
「慰謝料を払ったら、不倫の問題はこれで終わりになるのか」「後からまた請求されることはないのか」と、不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
不倫の慰謝料は、相手と合意した額を払えば、原則としてそれで終わりです。慰謝料は、過去の不倫に対して一度だけ支払う賠償だからです。
ただし、合意の内容を書面に残さずに払った場合や、支払い後も不倫相手との関係を続けた場合などは、終わらないことがあります。
この記事では、不倫慰謝料の問題に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 不倫の慰謝料は払ったら終わりなのか
- 払っても終わらない5つのケース
- 追加で請求されたら払う必要はあるのか
- 払ったら終わりにするための対策
お読みいただくことで、今の合意で本当に終わるのか、また請求されたときにどう動けばよいかを判断できます。
なお、不倫の慰謝料の支払いでお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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女性弁護士も在籍しています代表弁護士 若井 亮・弁護士 鳴海 裕子ほか、計10名が在籍
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慰謝料は払ったら終わり?原則は終わりだが例外もある
慰謝料を払ったら終わりかといえば、原則として、合意した額を払い終えた時点で終わりです。
不倫の慰謝料は、不貞行為によって配偶者が受けた精神的な苦痛を償うお金です(民法709条・710条)。そして、こうした賠償は原則としてお金で行うと定められています。決めた額を払い終えれば、その不倫について負っていた賠償の責任は果たしたことになります。分割払いにした場合は、最後の回を払い終えた時点で支払いの義務がなくなります。
また、示談(当事者が互いに譲歩して争いをやめる約束)で決めた金額は、どちらか一方の都合で後から変えることは原則としてできません(民法695条・696条)。
もっとも、払えば何があっても終わるわけではありません。払って終わりになる範囲は、示談で解決した問題に限られます。示談の中身があいまいなまま払った場合や、払った後の行動によっては、再度、慰謝料請求を受けるケースがあります。
慰謝料を払ったら終わりにならない5つのケース
慰謝料を払っても問題が終わらないのは、主に次の5つのケースです。
- 支払い後も不倫相手との関係を続けた
- 接触禁止の約束を破って連絡した
- 示談書を作らず口頭で払った
- 不倫の期間や回数を偽っていた
- 口外禁止を決めておらず周囲に明かされた
支払い後も不倫相手との関係を続けた
慰謝料の支払い後も不倫相手との交際を継続すると、新たな不貞行為として、改めて慰謝料を請求されるおそれがあります。
示談で解決できる不貞行為は、示談が成立した時点までのものに限られます。そのため、前の示談書に清算条項(示談書で決めたこと以外に、互いに請求するものはないと確かめる条項)があっても、示談後の関係には効きません。一度発覚した後も関係を続けると、反省していないとみられ、前回より額が高くなるおそれもあります。示談後の不貞行為について、改めて慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります。
ただし、新たに関係を持った時点で不倫相手がすでに離婚していた場合や、相手の夫婦関係が破綻していた場合は、新たな不貞行為として責任を問われないのが原則です(示談書の接触禁止条項に違反した場合の違約金の問題は別です)。破綻していたかどうかは別居の期間などから判断されるため、自分だけで決めつけるのは危険です。
払ったら終わりにするには、不倫相手との連絡や接触を断つことが欠かせません。関係をなかなか終わらせられない場合は「不倫をやめられない10の理由とやめたい人が関係を断ち切る方法」も参考にしてください。
接触禁止の約束を破って連絡した
慰謝料の支払い後に不倫相手と連絡を取るのは、避けるべきです。
示談書に接触禁止条項(不倫相手と連絡や接触をしないと約束する条項)を入れていれば、電話やメール、SNSでのやり取りや直接会うことは約束違反になり、示談書で決めた違約金の支払いを求められる場合があります。違約金は、約束を破ったときに払う額を示談書で決めておくもので、法律上は賠償額の予定(損害を償う額をあらかじめ決めたもの)と推定されます(民法420条3項)。金額が高すぎる違約金は、公序良俗(社会の秩序や道徳)に反するとして無効とされることもありますが、連絡を取ってよい理由にはなりません。違約金の相場については「不倫の接触禁止条項とは?拒否できる?違約金の相場と離婚後の効果」もあわせてご確認ください。
連絡をきっかけに関係が戻れば、違約金とは別に、新たな不貞行為として慰謝料請求も受けかねません。
示談書を作らず口頭で払った
示談書を作らず、口頭の約束だけで慰謝料を払った場合も、払ったら終わりにならないことがあります。
口頭でも、当事者間で互いに譲歩して争いをやめると約束すれば示談は成立し、書面がないことだけで無効になるわけではありません(民法522条2項・695条)。銀行振込で払っていれば、支払った事実も記録で示せます。
問題は、その支払いが何に対するもので、全額なのか一部なのかを示せないことです。たとえば、相手から「受け取ったのは慰謝料の一部にすぎない」と言われるおそれがあります。合意の中身を書面で示せないと、こうした主張に反論しにくくなります。
不倫の期間や回数を偽っていた
慰謝料の額は、不倫の期間や回数、夫婦関係への影響などを踏まえて決まります。額を低く抑えようと期間や回数を実際より少なく伝えて示談し、後で本当のことがわかると、示談で決めた額では済まなくなるおそれがあります。
そのうそが示談を決めるうえで重要な前提になっていた場合は、錯誤(思い違い)や詐欺(だまして思い違いをさせること)を理由に、示談そのものを取り消される可能性もあります(民法95条1項・96条1項)。取り消されれば示談はなかったことになり、慰謝料の額を一から話し合い直すことになりかねません。うそが発覚したことで反省していないとみられ、増額されるおそれもあります。
うそをついたまま示談すると、払ったら終わりにならないおそれがあります。
口外禁止を決めておらず周囲に明かされた
示談書に口外禁止条項(不倫や示談の内容をほかの人に話さないと約束する条項)がないと、慰謝料を払った後でも、相手が職場や友人、SNSなどで不倫を明かすおそれが残ります。明かされれば、職場での立場や人間関係に影響が出かねません。
慰謝料を払ったのに嫌がらせを受けたときや、周囲に明かされたときは、自分で相手とやり取りせず、示談書や支払いの記録をそろえて弁護士に相談してください。
慰謝料を払った後に追加請求されたら支払う必要はある?
不倫慰謝料の追加請求に、原則として応じる必要はありません。ただし、示談後の出来事や示談のときのうそなどが理由の請求は、支払う必要が出る場合もあります。主な分かれ目は次の図のとおりです。
支払う必要がある場合
次のような場合は、追加の慰謝料や違約金の請求に応じる必要が出てくることがあります。
- 示談後に、不倫相手と新たに関係を持った
- 違約金の定めがある示談書の約束(接触禁止など)を破った
- 示談のときに不倫の期間や回数を偽っていた
- 示談で解決していない損害を求められた
最後の場合は、何を解決した示談だったのかが争点になります。口頭だけの合意や、名目を書いていない示談書だと、ここで争いになりやすくなります。
支払う必要がない場合
示談が有効に成立し、その内容どおりに払い終えているなら、示談で解決した不倫を理由とする追加の請求には、原則として応じる必要はありません(民法695条・696条)。
「後で相場を調べたら安かった」と言われても、それだけでは支払う理由になりません。示談は争いをやめる約束であり、金額のように示談で決着させた点は、後から相場と違うとわかっても、示談で決めた内容が優先されるからです。清算条項のない示談書や口頭の合意でも、過去の不倫をすべて解決する合意だったと示せれば、追加の請求を断れる可能性があります。
慰謝料を払った後に追加の請求を受けたら、まず示談書(なければ合意したときのメッセージなど)と振込の記録を確かめ、請求の理由が示談で解決した範囲に入っているかを見てください。支払う必要がないと考えられる場合でも、相手に返事をする前に弁護士に相談しておくと安心です。
慰謝料を払ったら終わりにするための3つの対策
慰謝料を払ったら確実に終わりにするために、払う前にできる主な対策は次の3つです。
- 示談書を交わしてから支払う
- 清算条項や接触禁止などの条項を入れる
- 弁護士に相談する
示談書を交わしてから支払う
慰謝料は、示談書を交わしてから支払うのが基本です。示談書には、慰謝料の額と支払い方法に加えて、どの不倫についての慰謝料なのかを書いておきます。示談書に書く項目は「不倫の示談書の書き方と注意点を弁護士が解説【テンプレートあり】」をご参照ください。
先にお金を渡してしまうと、条件の話し合いがまとまらないまま支払いだけが終わり、後でもめる原因になります。
慰謝料の支払い後でも示談書を作ることはできますが、相手の協力が必要です。お金を受け取った相手はすでに目的を果たしているため、作成に応じてもらえないこともあります。すでに払ってしまった場合は、弁護士を通じて示談書の作成を求めるのが現実的です。
清算条項や接触禁止などの条項を入れる
慰謝料を払ったら終わりにするために、示談書には清算条項を入れておきましょう。清算条項があれば、示談の時点までの不倫について、示談書で決めたこと以外に互いに請求するものはないと確認でき、追加の慰謝料請求を原則として防げます。ただし、清算条項が及ぶのは示談の時点までで、その後に新たな関係を持てば対象外です。
あわせて、必要に応じて接触禁止条項や口外禁止条項も入れておくと、示談後の連絡をめぐるもめごとや、周囲に明かされる事態を防ぎやすくなります。不倫相手と同じ職場の場合は、「仕事で必要なときを除く」など、守れる内容にしておくことが大切です。
弁護士に相談する
慰謝料を払う前に弁護士に相談すると、そもそも支払う義務があるのか、金額は適正か、示談書にどの条項を入れるべきかを確かめられます。
たとえば、不倫が始まった時点で相手の夫婦関係が破綻していた場合や、時効(請求できる期間の制限)が過ぎている場合は、支払いに応じなくてよいこともあります。請求額が高すぎるときは、減額を求めて交渉することもできます。請求額が妥当かどうかは「不貞行為の慰謝料500万円は高すぎ?相場・減額事例と対処法」で解説しています。
示談書に何をどう書くかには法律の知識がいるため、自分だけで判断するのは容易ではありません。弁護士に依頼すれば、相手との交渉や示談書の作成を任せられ、感情的になりがちな話し合いに自分で臨む負担も減らせます。
慰謝料を払ったら終わりにしたい方は当事務所にご相談ください
不倫の慰謝料は払えば原則として終わりますが、示談書の中身や払った後の行動しだいでは、再び請求を受けることもあります。
払う前に、支払う義務の有無や金額、示談書の条項を弁護士が確かめておけば、払った後のもめごとを防ぎやすくなります。すでに払ってしまった方や、追加の請求を受けている方も、本当に払う必要があるのかを確かめられます。
払ったのにまだ終わらないのではないかと不安を抱えたまま過ごすのは、心の負担も大きいでしょう。相手から追加の請求や連絡が届いている場合は、返事をする前にご相談ください。
当事務所では、不倫慰謝料に関する豊富な経験を持つ弁護士が、示談書の作成から追加の請求への対応まで、周囲に知られないよう配慮しながら、払ったら終わりにできる解決を目指します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
不倫慰謝料、婚約破棄、妊娠トラブル、パパ活トラブル、元交際相手からのつきまといなど、男女トラブルのご相談に力を入れて取り組む。慰謝料を請求する側・請求された側のどちらのご相談も、お話を丁寧に伺ったうえで、相手方との交渉や調停・訴訟など状況に応じた手段を検討する。「家族や職場に知られたくない」といった事情にも配慮して対応している。











