
「慰謝料を払えば、不倫問題はすべて終わるのだろうか?」──そう疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
本来、慰謝料の支払いによって不倫問題は解決するはずですが、示談内容やその後の行動次第では、再び慰謝料を請求されたり、新たなトラブルに発展する可能性もあります。
この記事では、示談後に追加請求される主なケースとその防止策、そして法的に不倫問題を完全に終結させるために必要なポイントを、不倫慰謝料問題に強い弁護士の視点から解説します。
この記事を最後まで読むことで、慰謝料を支払った後に再トラブルを防ぐための正しい知識と備え方がわかります。
もし、この記事を読んで、慰謝料の支払いや示談の対応を一人で進めるのが難しいと感じた場合には、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。
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目次
慰謝料を払ったら終わりとは限らない!追加請求の可能性があるケース
不倫の事実が発覚し、相手方から慰謝料を請求された際、「これを支払えばすべて解決する」と考える方は少なくありません。
しかし、残念ながら、慰謝料を支払っただけでは問題が完全に終結しないケースも存在します。予期せぬ追加請求を受け、混乱してしまう方もいらっしゃいます。なぜこのような事態が起こるのでしょうか。
民法上、不貞行為に対する損害賠償は金銭による賠償が原則であり、慰謝料を支払うことで法的な責任は果たされると考えられています。
それにもかかわらず、支払いが済んだはずなのに再度請求が来るのは、通常、最初の合意内容に不備があったり、支払い後に新たな事実が判明したりするからです。
詳しくは後述しますが、示談書などの書面を交わさずに口頭で合意してしまった場合や、合意の前提となる事実に虚偽があった場合、あるいは支払った金額が不倫慰謝料の相場から著しく低かった場合などには、追加請求のリスクが生じます。
慰謝料を支払う際には、これらのリスクを十分に理解し、適切な対応をとることが極めて重要です。
慰謝料を払ったのに追加請求されないためには示談が重要
不倫慰謝料の支払い後に追加請求される事態を避けるためには、示談を締結することが非常に重要です。
示談とは、当事者間の合意によって紛争を解決する法的な手続きを指します。口頭での約束は、後々の「言った、言わない」のトラブルに発展しやすく、支払い済みであることを証明するのが困難になるため、必ず書面(示談書)で残すべきです。
この示談書には、慰謝料の金額や支払い方法だけでなく、「清算条項」を必ず盛り込むようにしましょう。
清算条項とは、「本示談書に定める以外の債権債務が、当事者間には一切存在しないことを確認する」という旨の条項です。
これを明記することで、今回の不倫問題に関して、示談書に記載された内容以外の金銭的請求や一切の要求を互いに行わないことを法的に約束できます。清算条項がある示談書を交わすことで、慰謝料支払い後の追加請求リスクを最大限に回避し、不倫問題を完全に終結させることが可能になります。
示談をして慰謝料を払ったのに終わりにならないケース
慰謝料を支払い、示談書を取り交わしたにもかかわらず、「まだ終わっていなかったのか」と感じるようなトラブルに巻き込まれるケースもあります。ここでは、示談後にも不倫問題が再燃する主なパターンを紹介します。
- ① 慰謝料を支払った後も交際を継続した
- ② 接触禁止条項に違反して連絡した
- ③ 口外禁止条項を示談書に定めていなかった
- ④ 不倫の事実を過少申告していた
①慰謝料を支払った後も交際を継続した
示談書を締結し、慰謝料を支払ったからといって、不倫関係を継続して良いわけではありません。示談はあくまで「その時点までの不貞行為」に対する清算であり、示談後に再び不倫関係が続けば、それは「新たな不貞行為」とみなされます。
そのため、相手の配偶者は、新たな不貞行為を理由として、再度慰謝料を請求することが可能です。
一度不倫が発覚したにもかかわらず関係を続けた場合、より悪質と判断され、前回の慰謝料よりも高額な請求を受ける可能性もあります。示談書には通常、不倫相手との接触禁止条項が含まれていますが、これを無視して関係を継続することは、新たな法的な問題を引き起こすことになります。
このような状況から抜け出したいと思いながらも、なかなか関係を終わらせられない場合があります。その心理的背景と具体的な解決策については「不倫をやめられない10の理由とやめたい人が今すぐ行動すべき対応」をご参照ください。
②接触禁止条項に違反して連絡した
示談書には、不倫相手との連絡や接触を一切禁止する「接触禁止条項」が盛り込まれることが一般的です。これは、不倫関係の再発防止と、被害者の精神的な平穏を保つための重要な条項です。
もしあなたがこの接触禁止条項に違反し、示談後も不倫相手と電話やメール、SNSなどで連絡を取り合ったり、直接会ったりしたことが発覚した場合、示談書に定められた違約金の支払いを請求される可能性があります。
この違約金は、慰謝料とは別に支払いを求められるものであり、不倫問題が終結しない原因となります。示談を締結した以上、その内容を遵守する責任が伴います。
③口外禁止条項を示談書に定めていなかった
不倫の事実や示談の内容を第三者に口外しないことを約束する「口外禁止条項」は、不倫問題の示談書において非常に重要な項目です。
この条項を示談書に定めていなかった場合、慰謝料を支払った後であっても、相手の配偶者があなたの不倫の事実を職場や友人、SNSなどで暴露するリスクが残ります。
これにより、あなたの社会的信用が失われたり、人間関係に悪影響が出たりする可能性があります。また、精神的な苦痛を受け続けることにもなりかねません。
口外禁止条項は、将来的な風評被害や精神的苦痛を避けるためにも、必ず示談書に含めるべきでしょう。
④不倫の事実を過少申告していた
慰謝料の金額は、不倫の期間や回数、夫婦関係への影響など、様々な要素を総合的に考慮して決定されます。
もしあなたが、慰謝料を少なくするために不倫の回数や期間を実際よりも少なく申告するなど、重要な事実を意図的に隠したり、嘘をついたりしていた場合、その事実が後から発覚すれば、追加で慰謝料を請求されるリスクが生じます。
不倫期間や回数が多いほど慰謝料額は高額になる傾向があるため、本来支払うべき慰謝料との差額を請求される可能性があります。
さらに、申告していなかった不倫の期間や回数が後から発覚すると、示談を交わしていても、錯誤や詐欺による示談の無効・取消しが主張されるリスクもあります。
一般的に、和解の対象となった事項そのものについての錯誤の主張は認められませんが、和解の前提として当事者が争わなかった事実について錯誤があった場合には、和解の効力が否定される可能性があります。
そうなれば一から交渉をやり直す必要が生じるなど、事態はさらに複雑化しかねません。事実とは異なる主張をして、事後的にそれが判明すると、トラブルの解決が遠のきます。
慰謝料を払って不倫問題を終結したいなら弁護士に相談
不倫問題の解決、特に慰謝料の支払いを通じて完全に終結させたいと考えるなら、弁護士への相談は不可欠です。
まず、弁護士はあなたの状況を詳細にヒアリングし、そもそも慰謝料の支払い義務があるのかどうかを法的に判断します。
不貞行為を証明できていない場合や、夫婦関係がすでに破綻していた場合、または、すでに時効が成立している場合など、支払い義務が発生しないケースもあり得るため、不必要な支払いを防ぐことができます。
また、請求されている慰謝料の金額が法的に適正であるかを判断し、もし高額すぎる場合は減額交渉を行います。不倫の期間や回数、夫婦関係の破綻状況など、様々な要素を考慮した上で、最も妥当な金額での合意を目指します。
さらに、最も重要な点として、弁護士は将来のトラブルを未然に防ぐための適切な示談書を作成します。清算条項はもちろんのこと、接触禁止条項や口外禁止条項など、あなたの状況に応じた必要な条項を盛り込み、法的に有効かつ抜け目のない書面を作成することで、慰謝料支払い後の追加請求や嫌がらせといったリスクを最大限に回避し、真の意味で紛争の終了へと導きます。
感情的になりがちな交渉も、弁護士が代理人となることで冷静かつ専門的に進められ、精神的な負担も軽減されるでしょう。
よくある質問
慰謝料の支払い後に示談書を交わすことはできますか?
慰謝料の支払い後に示談書を交わすことは、法的には可能です。
しかし、実際には難しいケースが多いことを理解しておく必要があります。
示談書は、将来的な追加請求やトラブルを防ぐために、慰謝料の支払いと引き換えに締結するのが最も効果的です。なぜなら、一度慰謝料を受け取ってしまえば、相手方の目的が達成されてしまい、示談書の締結に協力してくれない可能性が高まるからです。
示談書がなければ、前述の通り、「支払った金額が何に対するものか」、「その支払いで全て解決するのか」といった点が不明確なままとなり、後になって「一部しか支払われていない」、「別の損害がある」などと主張され、追加の慰謝料や別の要求をされるリスクが残ります。
もし既に支払ってしまっている場合は、弁護士に相談し、示談書の締結に向けて相手方と交渉してもらうことをおすすめします。
慰謝料の支払い後に不倫相手と交際や結婚をするには?
慰謝料の支払い後に不倫相手との交際や結婚を希望する場合、いくつかの重要な点に注意が必要です。
まず、慰謝料の支払いは「それまでの権利侵害に対する賠償」を意味します。
したがって、慰謝料支払い後も不倫相手との交際を継続すれば、前述の通り、それは「新たな不貞行為」とみなされ、再び慰謝料を請求される可能性があります。さらに、示談書に接触禁止条項が含まれていれば、その違反として違約金請求のリスクも生じます。
他方で、不倫相手の婚姻関係が完全に破綻していると認められる状態になれば、その後の交際や結婚は違法にはなりません。婚姻関係が破綻したと認められる状態とは、夫婦双方が婚姻を継続する意思を失い、夫婦としての共同生活を回復する見込みが全くない状態を指します。
長期間の別居、離婚に向けた具体的な協議の進行、あるいは夫婦間の接触の有無などを考慮して判断されることになるため、ご自身で勝手に判断するのにはリスクが伴います。
また、不倫相手と結婚するには、まず相手が配偶者と離婚する必要があります。しかし、不倫をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。つまり、不倫相手の配偶者が離婚を拒否した場合、裁判を起こしても離婚が認められない可能性が高く、不倫相手との結婚は実現しない可能性もあります。
不倫問題を完全に終結させたいなら当事務所までご相談ください
慰謝料を支払えば本当にすべてが終わるのか――そうした不安を抱えながら、この記事にたどり着かれた方も多いのではないでしょうか。
不倫問題を完全に終わらせるためには、金銭の支払いだけでなく、法的に有効な示談の締結や、将来のトラブルを未然に防ぐための適切な対応が欠かせません。
当事務所では、不倫慰謝料に関する豊富な経験を持つ弁護士が、あなたの立場に寄り添いながら、親身かつ誠実に、最善の解決策をご提案いたします。
「慰謝料を払えば終わるのか」その答えを明確にし、不安なく問題を終結させたい方は、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。
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