
「離婚する予定だから」「家庭はもう壊れている」――そんな言葉を信じて関係を続けてきたものの、なかなか離婚しない浮気相手に苛立ちを感じていませんか?
裏切られた怒りや悲しみから、「浮気相手の配偶者に真実をばらしてやりたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、感情のままに行動すると、あなた自身が脅迫罪や名誉毀損罪に問われたり、損害賠償請求を受けたりするリスクがあります。
この記事では、浮気トラブルに強い弁護士が、次の点について詳しく解説していきます。
- 不倫をばらすことで成立し得る罪とそれぞれのリスク
- 浮気相手の配偶者から損害賠償請求される可能性
- 不倫の事実をばらさずに制裁を加えるための具体的な方法
この記事を最後まで読むことで、不倫をばらす際に生じるリスクと、後悔しないための適切な対応策がわかります。
もし「自分では対応が難しいかも」と感じた場合は、全国どこからでも無料で相談できる当事務所へご相談ください。
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目次
浮気相手の配偶者に不倫をばらすなら別れる覚悟が必要
なかなか離婚しない浮気相手に対する怒りや失望から、浮気相手の配偶者に真実を告げたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、感情のままに行動すると、思わぬリスクを招くおそれがあります。
浮気相手の配偶者に不倫の事実を告げるという行為は、あなたと浮気相手の関係に終止符を打つ可能性が極めて高いと言えるでしょう。
不倫が明るみに出ることで、相手の配偶者との関係はもちろんのこと、あなた自身との関係も維持できなくなる覚悟が必要です。
相手に制裁を加えたいという気持ちが先行するかもしれませんが、配偶者に不倫を暴露した結果、事態が予期せぬ方向へ進むことも少なくありません。場合によっては、あなたの行動が法的な責任を問われるリスクも存在しています。
不倫された側の配偶者からすれば、あなたは家庭を壊した加害者と認識されます。
そのため、不倫の事実をあなた自身が相手の配偶者に伝えるという行為は、相手から慰謝料を請求されるというリスクを自ら招くことになるのです。安易な気持ちで行うと、後悔する結果を招くかもしれません。
法的なリスクについて、詳しくは以下で解説していきます。
浮気相手の配偶者に不倫をばらすと罪に問われるケース
浮気相手の配偶者に不倫の事実を告げる行為には、場合によっては刑事罰に問われるリスクも存在します。不倫をばらすことで成立し得る罪は次の通りです。
- ①「離婚しないなら不倫をばらす」と相手を脅した場合
- ②不倫を配偶者に伝える際に相手や配偶者を侮辱した場合
- ③「不倫をばらされたくなければ金銭を支払え」と要求した場合
- ④不倫をばらすと脅して相手に土下座などの義務のない行為を強要した場合
- ⑤配偶者だけでなく職場やSNSなど周囲の人に不倫をばらした場合
- ⑥不倫を配偶者にばらす目的で相手につきまとったり待ち伏せしたりした場合
①「離婚しないなら不倫をばらす」と相手を脅した場合
浮気相手に対して、「もし離婚してくれないなら、あなたの配偶者に不倫の事実を全て話す」といった内容の脅迫をした場合、脅迫罪に該当する可能性があります。
脅迫罪とは、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合に成立する犯罪です(刑法第222条1項)。
このケースでは、「不倫をばらす」という行為が、相手の社会的な信用や名誉を傷つけると認識されるため、危害を加える旨の告知と解釈されるのです。
実際に不倫の事実を配偶者に伝えなくても、不倫相手に「ばらすぞ」と脅迫行為を行った時点で罪が成立することになります。
そして、脅迫罪が成立した場合には、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、脅迫の対象は相手本人だけでなく、その親族に及ぶ場合も同様に脅迫罪が成立する可能性があるため、注意が必要です(同条2項)。安易な脅し文句は、自身の立場を危うくする行為だと認識しましょう。
不倫で脅迫された人がとるべき【失敗しない】対処法を弁護士が解説
②不倫を配偶者に伝える際に相手や配偶者を侮辱した場合
浮気相手の配偶者に不倫の事実を伝える際に、感情的になって相手やその配偶者を侮辱するような言動があった場合、侮辱罪に問われる可能性があります。
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」場合には侮辱罪が成立します(刑法第231条)。例えば、「あなたの夫は最低な人間だ」「不倫女!」といった言葉を、不特定多数の人が認識できる状況で発した場合、侮辱罪が成立する可能性があります。
名誉毀損罪とは異なり、具体的な事実の指摘は必要とされませんが、「バカ」や「ブサイク」といった抽象的な表現であっても、状況によっては侮辱罪に該当する場合があります。
そして、侮辱罪が成立した場合、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料が科せられます。
不倫という状況下では感情が激昂しやすいものですが、相手やその配偶者を貶めるような言動は、人間関係においても深い傷跡を残すだけでなく、法的な責任を問われる行為だと認識しておくことが重要です。
③「不倫をばらされたくなければ金銭を支払え」と要求した場合
浮気相手に対して、「もし配偶者に不倫の事実をばらされたくなければ、〇〇万円支払え」といった金銭を要求する行為は、恐喝罪に該当する可能性があります。
恐喝罪は、「人を恐喝して」財物を交付させたり、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です(刑法第249条)。
このケースでは、「不倫をばらす」という脅迫によって相手を精神的に追い詰め、金銭を支払わせようとする行為が、恐喝罪に該当すると考えられます。
脅迫罪との違いは、金銭などの財物の要求を伴うかどうかという点にあります。単に脅すだけでなく、金銭を要求する行為は、より悪質な行為とみなされるため、より重い刑罰が法定されています。
恐喝罪が成立した場合には、10年以下の懲役が科されます。
不倫の事実を盾に金銭を得ようとする行為は、絶対に避けるべき犯罪行為です。
④不倫をばらすと脅して相手に土下座などの義務のない行為を強要した場合
浮気相手に対して、「もし配偶者に不倫の事実をばらすぞ」と脅迫し、それと引き換えに土下座をさせたり、不当な要求を飲ませたりする行為は、強要罪に該当する可能性があります。
強要罪は、暴行や脅迫を用いて、人に義務のない行為をさせたり、権利の行使を妨害したりする行為を罰するものです(刑法第223条)。
このケースでは、「不倫をばらす」という脅迫が、相手に精神的な圧力をかけ、本来負う必要のない行為を強いる手段として用いられています。例えば、「ばらされたくなければ、今すぐ会社を辞めろ」といった要求も強要罪に該当する可能性があります。
そして、強要罪が成立した場合には、3年以下の懲役が科されます。
相手の弱みにつけ込み、不当な要求を突きつける行為は、人としての尊厳を侵害する悪質な行為であり、法によって厳しく罰せられます。
⑤配偶者だけでなく職場やSNSなど周囲の人に不倫をばらした場合
浮気相手の配偶者だけでなく、その職場の人々やSNSなどの不特定多数の人が閲覧できる場所で不倫の事実を暴露した場合、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合には名誉毀損罪が成立します(刑法第230条1項)。
たとえ不倫の事実が真実であったとしても、みだりに他人に公表することは、相手の社会的評価を低下させる行為とみなされ、名誉毀損罪が成立する可能性があります。不倫はあくまでプライベートな問題であり、それを公にすることで相手に与える精神的な苦痛や社会的な不利益は計り知れません。
そして、名誉毀損罪が成立した場合、刑法第230条により、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金が科されます。
⑥不倫を配偶者にばらす目的で相手につきまとったり待ち伏せしたりした場合
浮気相手に配偶者への不倫の事実を自ら話すように迫る目的で、相手につきまとったり、自宅や職場付近で待ち伏せしたりする行為は、ストーカー規制法に違反する可能性があります。
ストーカー行為は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情に基づき、様々な方法で相手に不安や嫌悪感を与える行為を指します。
具体的にストーカー規制法で禁止されている行為としては、つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき、監視していると告げる行為、面会や交際の要求、乱暴な言動、電話やSNS等での執拗な連絡、汚物等の送付、名誉を傷つける行為、性的羞恥心を侵害する行為、位置情報の無承諾取得などが該当します。
例えば、「ちゃんと奥さんに話すか監視している」と伝えたり、実際に相手の行動を確認するために待ち伏せしたりする行為は、ストーカー規制法に抵触するおそれがあります。
そして、ストーカー行為を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金などが科される可能性があります(同法第18条等)。
損害賠償請求されるリスクもある
不倫の事実を浮気相手の配偶者に自ら告げるという行為は、あなたの意図とは裏腹に、相手の配偶者から損害賠償を請求されるという大きなリスクを伴います。
なぜなら、不倫(不貞行為)は、夫婦の平穏な婚姻生活を侵害する不法行為とみなされるからです。あなたが異性と肉体関係を持った時点で、その異性の配偶者はあなたに対して慰謝料を請求する権利が発生します。
たとえあなたが浮気相手に騙されていたり、裏切られたと感じていたとしても、法律上、相手の配偶者から見れば、あなたは家庭を壊した加害者の一人という立場になります。
そのため、自ら不倫の事実を暴露する行為は、相手の配偶者に対して、不法行為による損害賠償請求を行う明確な根拠を与えることになるのです。
そして、不倫慰謝料の相場は、一般的に50万円から300万円程度とされていますが、不倫の期間や回数、その態様、さらには妊娠や出産の有無などにより大きく変動し、事案によってはさらに高額になる可能性も否定できません。
不倫の事実をばらさずに相手に制裁を与えることは可能?
不倫の事実を配偶者にばらすリスクを避けながら、相手に対して制裁を加える方法にはどのようなものがあるのでしょうか。考えられる対応策は次の通りです。
- ①相手が独身を装っていた場合は慰謝料請求できる可能性がある
- ②相手が既婚者であることを知っていた場合でも慰謝料請求は可能?
①相手が独身を装っていた場合は慰謝料請求できる可能性がある
浮気相手が交際当初から既婚者であることを意図的に隠し、独身であると偽ってあなたと親密な関係を持ち、肉体関係に及んだ場合、あなたは相手に対して貞操権侵害を理由とする慰謝料を請求できる可能性があります。
貞操権とは、自己の意思に基づいて性的関係を持つ相手を選ぶ権利であり、相手が既婚者であることを隠蔽する行為は、あなたのこの重要な権利を侵害するものと法的に解釈されるためです。
慰謝料請求が認められるためには、相手が既婚者であることを隠していたという故意、または不注意(過失)によって、あなたの貞操権が侵害された事実を立証する必要があります。
例えば、相手が「近いうちに離婚する」「結婚を前提に真剣に付き合ってほしい」といった虚偽の説明を繰り返し、あなたに独身であると信じ込ませて関係を持ったケースなどです。相手が巧妙に事実を隠蔽しており、客観的に見てもあなたが既婚者であることに気づくのが困難であった場合などには、慰謝料が認められる可能性が高まります。
②相手が既婚者であることを知っていた場合でも慰謝料請求は可能?
相手が交際を始める当初から既婚者であることをあなたが認識していた場合、あるいは交際期間の途中でその事実を知りながらも関係を継続した場合、原則として相手に対して貞操権侵害を理由とした慰謝料を請求することは極めて困難であると考えられます。
これは、既婚者であることを認識した上で関係を持った場合、あなた自身もその関係に同意したと解釈され、相手の行為のみを一方的に非難することは難しいと判断されるためです。
しかし、例外的に、慰謝料請求が認められる可能性もあります。相手が「婚姻関係は名ばかりで既に完全に破綻している」や、「離婚手続を進めており、妻とは離婚間近である」、「あなたとの将来を真剣に考えており、結婚を前提に交際してほしい」などと、事実とは異なる嘘をつき続け、そのような言葉を信じたことに相当な理由がある場合です。
過去の裁判例でも、25歳年上の既婚男性が「妻とは離婚する」という嘘を30年間にわたり信じ込ませ、23歳の女性と不倫関係を継続し、子どもまでもうけた事案において、男性側に慰謝料の支払いが命じられたものがあります(東京地方裁判所平成3年7月18日判決)。
したがって、一般的な不倫関係においては、相手が既婚者であることを知りながら関係を持った場合、上記のような極めて特殊な状況を除き、相手に慰謝料を請求することは非常に難しいと認識しておくべきでしょう。
不倫をばらす前に慎重な判断を
浮気相手への怒りや失望から、相手の配偶者に不倫の事実を告げたくなる気持ちは自然なものです。
しかし、感情のままに行動してしまうと、脅迫罪や名誉毀損罪に問われたり、損害賠償請求を受けたりと、ご自身に大きなリスクが及ぶ可能性があります。
冷静に状況を整理し、リスクを最小限に抑えるための適切な判断が求められます。
当事務所では、不倫トラブルに精通した弁護士が、親身かつ誠実に、あなたの利益を守るため全力でサポートいたします。
お一人で抱え込まず、まずは全国どこからでも無料でご相談ください。あなたにとって最善の道を一緒に考えます。
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