婚約破棄の裁判例20選|破棄の理由の実例や判決金額が分る

突然の婚約破棄に直面すると、「なぜこんなことになったのか」「自分に落ち度があったのか」と強い不安や戸惑いを抱く方も少なくありません。逆に、婚約を解消した側であっても、「高額な慰謝料を請求されているが妥当なのか」「裁判になればどの程度の支払いが命じられるのか」といった不安を抱えるケースもあります。

実際の裁判例を見ると、慰謝料の金額は数十万円から数百万円規模まで幅広く認められていることが分かります。

婚約破棄の慰謝料相場は?高額になる要因や請求の流れを解説

しかし、「性格の不一致」や「家族の反対」といった理由であっても、必ずしも正当な婚約破棄の事由と認められるわけではありません。この記事では、裁判例を通じて婚約破棄の理由の実例を取り上げ、慰謝料がどのように判断されているのかを紹介します。

具体的な事例を知ることで、ご自身の立場に応じて裁判での見通しを立てる一助となるでしょう。

なお、婚約破棄に関する問題でお悩みの方は、この記事に目を通した上で、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。

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目次

【裁判例①】:親の宗教信仰を理由とする婚約破棄|慰謝料50万円

判決日時

令和4年10月13日

請求者→請求先

女性→男性

当事者の属性

女性:会社員

男性:公務員(民間企業に出向中)

判決金額

55万円(慰謝料50万円、弁護士費用5万円)

婚約破棄の理由

女性の母親が特定の宗教を信仰していること

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、交際期間中にお互いの両親に結婚の報告を行ったが、女性の実家を訪れた際、女性の母親が特定の宗教を信仰していることを男性を知り、両親の理解が得られないことを理由に一方的に婚約の破棄を告げた。

女性は関係の修復を試みたものの、男性の意思が変わらなかったことから、自身とは無関係の母親の信仰を理由に不当に婚約を破棄されたとして、慰謝料200万円を求めて訴訟を提起した。

裁判所は、両親への結婚報告や結婚指輪の購入、婚姻届の準備などから婚約の成立を認定し、婚約破棄の「正当事由」の有無が最大の争点となった。

裁判所は、原告の母親の信仰が、結婚生活に悪影響を及ぼす具体的な根拠はないこと、被告が結婚前に宗教の信仰を重視していることを原告に伝えていなかったことなどを挙げ、婚約破棄に正当事由はないと判示した。

男性による婚約破棄について不法行為が成立するとして、その慰謝料の金額については、婚約に至る経緯やその期間、婚約破棄の経緯、その後の交渉や本件訴訟における男性の対応、その他一切の事情を考慮して、50万円と認定された。

【裁判例②】:二度の交際と性格の不一致による婚約破棄|慰謝料50万円

判決日時

令和4年6月14日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:航空会社のキャビンアテンダント

男性:航空会社のパイロット

判決金額

慰謝料50万円と婚約指輪の返還

婚約破棄の理由

1回目の交際解消と原因となった性格の不一致が婚約の際も残存していた

事案の概要

航空会社の同僚であった女性(原告)と男性(被告)は、交際を開始し、同棲まで至るも、互いの結婚観や性格の不一致を理由に1回目の交際を解消し、婚約指輪は返却された。

しかし、その後男性が機長昇進訓練に合格したことを機に、女性に復縁を強く求めた。女性は当初断っていたものの、再び結婚を前提とした交際(2回目の交際)を開始した。2回目の交際が始まってわずか1ヶ月も経たないうちに、男性は婚約指輪を再び女性に贈呈し、プロポーズをして婚約に至った。両者は結婚指輪の注文や両親との結納プランの予約など、具体的な結婚準備を進めていた。しかし、男性は婚約から約3週間後、過去の破局原因となった女性の性格の不一致が修正されていないと感じ、電話で一方的に婚約破棄を告げた。裁判所は、男性が電話で別れ話を切り出した後のやり取りや、女性の両親に謝罪している事実から、男性が一方的に婚約を解消したと判断した。

慰謝料の金額については、2回目の婚約がわずか3週間弱で破棄されたこと、結婚式場や披露宴の具体的な予約には至っていなかったことなどを考慮しつつ、1度の破局による女性の心労、住居の解約や荷物搬送手続きなどの負担を総合的に評価し、50万円が相当であると結論付けた。婚約指輪についても、所有権放棄の意思表示を否定し、女性への返還が命じられた。

【裁判例③】:男性側の一方的な心変わりによる婚約破棄|慰謝料100万円

判決日時

令和元年11月14日

請求者→請求先

女性→男性

当事者の属性

女性:会社員

男性:会社員

判決金額

慰謝料100万円

婚約破棄の理由

「一緒にいると疲れる」「好きではない」といった男性側の心変わり

事案の概要

約3年にわたる交際を経て、男性(被告)の転勤を機に、女性(原告)は仕事を辞めて男性宅へ転居し、同棲を開始した。同棲中には婚約指輪の贈呈や、結婚式場の見学も行うなど、結婚に向けた具体的な準備が進められた。しかし、同棲開始からわずか半年後、男性の東京勤務への異動の内示がきっかけとなり、男性は女性に別れ話を切り出した。

女性は関係修復を強く望んだが、男性は「一緒にいると疲れる」、「もう好きではない」などと述べ、同居解消を一方的に迫った。女性は、関係修復に努めたものの、話し合いに応じてもらえず、同棲解消に追い込まれた。

女性は、男性の言動に翻弄され、精神的苦痛を被ったとして、300万円の慰謝料を求めて提訴した。

裁判所は、男性が別れ話を切り出し、同棲を解消させた経緯、女性が関係修復に努める一方で、男性が冷淡な言動を繰り返した事実などを認定した。また、男性が別居後も関係継続を匂わせる発言をしていたことについても、その場しのぎの約束であったと判断し、婚約関係は同居解消時に男性によって一方的に破棄されたと評価された。

慰謝料の金額について、キャリアや生活基盤まで変えたにもかかわらず、一方的な心変わりによって婚約を破棄されたことの精神的苦痛は大きいとして、100万円が相当であると判示された。

【裁判例④】:結婚式直後の婚約破棄|慰謝料200万円と実費556万円

判決日時

平成28年3月25日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:会社員

男性:歯科医師

判決金額

756万4365円(慰謝料200万円、弁護士費用68万円、その他費用488万4365円)

婚約破棄の理由

性交渉の不能、性格・味覚の不一致、原告の虚偽説明など

事案の概要

結婚相談所を通じて知り合った女性(原告)と男性(被告)は、交際わずか4ヶ月で婚約し、結納を交わした。その後、2人は結婚式と披露宴を開催し、親族や友人の前で婚姻の誓いを立て、結婚指輪を交換した。しかし、結婚式からわずか10日後、男性は女性に婚約破棄を告げ、同居を解消した。女性は、結婚式まで挙げたにもかかわらず一方的に婚約を破棄されたとして、慰謝料と結婚準備にかかった費用など合計1175万円の損害賠償を求めて提訴した。

男性側は婚約破棄の理由として、性交渉の不能や性格・味覚の不一致、経歴詐称などを主張した。

裁判所は、性交渉の不能については、男性側の心因的なものであり、女性側に問題があったとはいえず、味覚の不一致や性格の不一致についても、事前に話し合いで解決できたはずの事柄であり、一方的な婚約破棄の理由とはならないと結論付けた。女性が経歴などを偽ったという主張についても、事実とは異なるとして退けた。

裁判所は男性に、慰謝料の支払いを命じ、慰謝料額については、結婚式まで挙げたにもかかわらず破棄されたことによる女性の精神的苦痛の大きさを考慮し、200万円と算定した。また、結婚式費用、家具、家電、交通費など、結婚準備にかかった費用についても、婚姻準備として必須の出費と認められるものに限定して損害賠償を認め、合計で約756万円の支払いを命じた。

【裁判例⑤】:妊娠発覚による婚約破棄|慰謝料250万円

判決日時

平成17年12月16日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:派遣社員

男性:会社員

判決金額

522万8353円(慰謝料250万円、弁護士費用約52万円、その他損害約220万円)

婚約破棄の理由

男性が別の女性を妊娠させたため

事案の概要

同僚で交際関係に発展した女性(原告)と男性(被告)は、男性の広島転勤を機に、女性は仕事を辞めて東京から広島へ転居し、同居を開始した。結婚式場の見学やウェディングドレスの購入など具体的な結婚準備が進み、男性は家族用のマンションも購入していた。しかし、同居開始からわずか4ヶ月後、男性が別の女性を妊娠させていたことが発覚し、男性は最終的に妊娠させた女性と入籍した。

女性は、男性の一方的な婚約破棄によって多大な損害を被ったとして、慰謝料500万円を含む約950万円の損害賠償を求めて提訴した。

裁判所は、当事者間の具体的な結婚準備(両親への挨拶、結婚指輪・ウェディングドレスの購入、転居、同居)を根拠に、法律上の婚約が成立していたと認定した。また、男性が別の女性を妊娠させたという事実は、婚姻の意思を覆すような重大な背信行為であり、婚約破棄は全面的に男性の責任であると判断した。

慰謝料額については、女性が男性を信頼して仕事を辞め、遠方に移住までしたにもかかわらず、男性の背信行為によって婚約を破棄されたことの精神的苦痛は極めて大きいと判断し、250万円を相当とした。

さらに、女性が仕事を辞めて転居したことによる逸失利益を約192万円、新居用の家具や交通費など、結婚準備のために支出した費用も約50万円と認定した。最終的に、これらの損害額から失業保険給付金などを差し引いた合計522万8353円の支払いを男性に命じた。

【裁判例⑥】:妊娠発覚後の婚約破棄|慰謝料200万円

判決日時

平成17年9月13日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:会社経営者

男性:会社員

判決金額

200万円(慰謝料)

婚約破棄の理由

女性の妊娠発覚後、男性が一方的に入籍を拒否

事案の概要

半同棲状態だった女性(原告)と男性(被告)は、結婚を約束し、双方の両親に結婚の意思を伝えていた。その後、女性の妊娠が発覚すると、二人は入籍日を決めるなど結婚に向けた準備を進めた。しかし、入籍日が迫った頃、男性は女性との連絡を絶ち、一方的に関係を断った。女性は、妊娠中にもかかわらず男性から堕胎を求められ、出産後は認知すら拒否された。

これにより、女性は精神的な苦痛を被り、やむなく会社を休眠させて仕事上のキャリアを断念せざるを得なくなったとして、婚約不履行による慰謝料を求めて提訴した。

男性は、女性との間に婚約はなかったと主張し、女性の言い分を全面的に否定した。

裁判所は、男性が女性の両親に「結婚をしたい」と伝えたこと、そして女性の妊娠発覚後に入籍日を相談していたことなどを考慮し、2人の間に婚約が成立していたと認定した。

慰謝料の金額については、男性が女性の妊娠を知った後も入籍を拒否し、さらには堕胎を求めたり、出産後の認知すら拒否したという背信的な態度や、男性が調停の場でも交際自体を否定し、女性を誹謗中傷する言動を繰り返したことが考慮された。他方で、女性が堕胎可能な時期に自らの意思で出産を決意したという側面も考慮され、女性が被った精神的苦痛を慰謝するために、慰謝料200万円が相当であると判断された。

【裁判例⑦】:二股交際中の婚約破棄|慰謝料100万円

判決日時

平成17年3月17日

請求者→請求先

女性 → 男性、二股相手の女性、男性の両親

当事者の属性

女性:会社員

男性:会社員

二股相手の女性:会社員

男性の両親:不明

判決金額

321万0750円(慰謝料100万円、その他費用221万円)、二股相手には連帯して30万円

婚約破棄の理由

男性が別の女性と交際していたため

事案の概要

女性(原告)と男性D(被告)は、交際期間を経て婚約し、結婚準備を進めていた。しかし、婚約後に男性は、結婚相手として選んだ女性の親が自分の両親に対して否定的であることに不満を抱いたことなどから、突如婚約破棄を通告した。その後、男性が婚約期間中に被告E(別の女性)と交際していたことが発覚した。

裁判所は、当事者間の具体的な結婚準備(婚約指輪の贈与、結婚式場の予約、新居探し、結納金の授受)を根拠に、婚約が成立していたと認定した。また、男性が婚約後も別の女性との関係を続けていたことや、二股相手の女性が婚約を知りながらも交際を続けていたことが、婚約破棄の決定的な理由であると判断した。

慰謝料額については、男性の言動が不誠実であることは認めつつも、婚約期間が約3か月と短かったことなどを考慮し、100万円が相当とされた。

また、男性と二股をかけていた女性は、婚約の存在を知りながらも関係を続けた責任があるとして、男性と連帯して30万円の慰謝料を支払うよう命じられた。一方で、男性の両親は、息子に協力して金銭を要求した事実は認められたものの、婚約破棄そのものへの共謀があったとは認められなかったため、損害賠償責任は負わないとされた。

【裁判例⑧】:他の女性との肉体関係がばれて婚約破棄|慰謝料100万円

判決日時

平成17年1月19日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

不明

判決金額

慰謝料100万円

婚約破棄の理由

別の女性と肉体関係を持っていた

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、交際期間を経て、共同生活も開始した。高価な家具などを購入し、来年には結婚する予定であることを報告するなど、結婚に向けて具体的な準備を進めていた。しかし、ある日、原告が被告の携帯電話のメールを見たことで、被告が別の女性と交際し、肉体関係も持っていたことが発覚した。女性が浮気相手に会いに行ったことを知った被告は、一方的に別れを切り出し、婚約を破棄した。原告は、被告の不当な婚約破棄によって精神的苦痛を被ったとして、慰謝料300万円を請求する訴訟を提起した。

裁判所は、当事者間の具体的な結婚準備(双方の家族・親戚への紹介、同居生活の開始、高価な家具の共同購入など)を根拠に、婚約が成立していたと認定した。

被告は、婚約解消の原因は原告が無断で携帯電話を見て、交際相手の女性の職場にまで会いに行ったことにあると反論したが、裁判所は、不自然な言動が多い被告の供述は信用できず、二股交際をしていた被告に婚約破棄の責任があると判断した。慰謝料の金額については、被告の一方的な婚約破棄によって原告が精神的苦痛を被ったことは明らかであり、慰謝料として100万円を支払うべきと判断した。

【裁判例⑨】:女性が別の男性からプロポーズされたことで婚約破棄|慰謝料100万円

判決日時

平成16年3月4日

請求者→請求先

男性 → 女性

当事者の属性

男性:研究活動を行うため国家公務員をやめて大学院に進学

女性:不明

判決金額

慰謝料100万円

婚約破棄の理由

女性が他の男性からプロポーズを受けた

事案の概要

男性(原告)と女性(被告)は、交際を経て婚約した。結婚式場や披露宴会場の予約、新居探し、ウエディングドレス選びなど、具体的な結婚準備を進めていた。しかし女性が別の男性Aからプロポーズを受け、原告との婚約を一方的にメールで解消する。

原告は被告の不当な婚約破棄によって精神的苦痛を被ったとして、慰謝料を求めて提訴した。

裁判所は、原告が大学院に進学したことについて、被告が一度は別れを切り出したが、最終的に原告を応援することに同意し、その後も結婚に向けた準備を進めていたことから、原告が大学院に進学したこと自体が婚約破棄の正当な理由にはならないと判断した。

また、原告の態度が不誠実であったという被告の主張についても、大学院での研究生活が忙しくなり、連絡が減ったことは自然なことであり、婚約を解消するほどの破綻状態にはなかったと判断した。

さらに、被告が別の男性Aからのプロポーズを受けたことが、被告が原告との婚約関係を解消する意思を固めた決定的な要因であり、正当な理由に基づくものではないと判示した。

裁判所は、被告の一方的な婚約破棄により原告が精神的苦痛を受けたことを認め、慰謝料として100万円が相当であると判断した。

【裁判例⑩】:9年間交際した後に婚約破棄|慰謝料200万円

判決日時

平成16年2月27日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

不明

判決金額

慰謝料200万円

婚約破棄の理由

交際関係が自然消滅により終了した

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、結婚相談所を通じて知り合い、婚約指輪を贈るなどして婚約した。9年間にわたり交際を続け、双方の家族ぐるみでの交流や国内外への旅行もしていた。しかし、被告は別の女性と結婚した。原告に無断で連絡用の携帯電話を解約し、荷物を送り返す形で一方的に婚約を解消した。

原告は、長期間にわたる婚約関係を一方的に破棄され、精神的苦痛を被ったとして慰謝料を求めて提訴した。

被告は、原告が喫煙をやめないこと、被告の母親との関係を築こうとしなかったこと、性格の不一致などから結婚に踏み切れず、自然消滅的に関係が解消されたと主張した。

裁判所は、婚約後に生じた問題(喫煙や母親との関係)は、本来婚約前に話し合って解決すべきものであり、婚約後の原告の行動が直ちに結婚生活を困難にさせるものとは認められないと判断した。また、入籍を先延ばしにしたのは被告の方であり、婚約解消は自然消滅ではなく、被告の一方的な意思によるものだと認定した。

慰謝料の額については、9年という長期間にわたる交際と、婚約解消後に湿疹や不眠症といった身体症状を呈したことから女性の精神的被害は大きいとしつつ、一方で、男性が結婚に消極的になったことを認識していたにもかかわらず、早期の決断を迫らずに交際を続けたており双方に責任があると判断した。

以上の事情を総合的に考慮し、慰謝料として200万円の支払いが命じられた。

【裁判例⑪】:妊娠・中絶を巡る婚約破棄|慰謝料100万円

判決日時

平成16年1月16日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:IT関連企業にて人事・経理を担当する管理部のマネージャー

男性:建築会社の代表取締役

判決金額

111万7670円(慰謝料100万円、手術費用等11万7670円)

婚約破棄の理由

結婚に対する自信・経済的不安

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、知人の紹介で交際を開始し、3ヶ月足らずで妊娠が発覚した。互いの親に紹介するなど結婚を前提とした関係を築いていたが、男性は経済的な不安を理由に結婚の意思がないことを表明し、一方的に交際が終了した。

女性は妊娠11週目での中絶を余儀なくされ、婚約不当破棄と中絶費用・慰謝料などを含む損害賠償を男性に求めて提訴した。

裁判所は、短期間の交際であったものの、双方の親への紹介や妊娠後の行動から、黙示の意思表示による婚約が成立していたとした。また、被告の「結婚する自信がない」という理由は、正当な婚約破棄の理由には当たらないと判示した。

損害賠償額については、妊娠中絶という事態に至りながら婚約を破棄した被告の行為の悪質性を指摘し、原告が受けた精神的苦痛は多大であるとして、慰謝料として100万円が相当であるとした。さらに、中絶手術に関する費用については、被告が署名した「誓約書」に基づき、一部既に支払われた分を差し引いた11万7670円の支払いが命じられた。

【裁判例⑫】:結婚退職後の婚約破棄|慰謝料200万円

判決日時

平成15年7月17日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:銀行員

男性:銀行員

判決金額

230万7350円(慰謝料200万円、結婚準備費用30万7350円)

婚約破棄の理由

性格の不一致、親族関係のもつれ

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、職場の同僚関係から交際に発展し、順調に結婚準備を進めていた。女性は婚約を機に勤めていた銀行を退職した。しかし、結婚式をわずか2ヶ月後に控えた時期に、男性が婚約解消を一方的に告げ、その後、一度は婚約維持の意思を表明し、性交渉まで持ったものの、翌日には再び婚約破棄を通告した。

女性は、被告の不誠実な行為により、結婚準備に要した費用、退職に伴う逸失利益、そして精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めて提訴した。

裁判所は、結納や結婚式の招待状発送など、結婚に向けての具体的な準備行為が積み重ねられていたことから、本件では有効な婚約が成立していると認定したうえで、男性が主張する婚約破棄の理由は、客観的に正当な理由とはいえないとし、一方的な婚約解消による債務不履行責任を認めた。

また、一度は婚約維持を約束しながら、わずか数時間後に再び一方的に破棄を通告したことなど被告の婚約解消に至るまでの言動が極めて不誠実であり、原告に多大な精神的苦痛を与えたとして、不法行為に基づく慰謝料として200万円を支払うよう命じた。

さらに、結婚準備のために原告が負担した費用(結納返しや式場内金など)30万7350円の支払いを命じた一方で、結婚退職に伴う逸失利益の請求は棄却された。現代社会において結婚退職は当然ではなく、本人の自由な意思決定によるものとして、婚約破棄との因果関係は否定された。

【裁判例⑬】:2度の妊娠と婚約破棄|慰謝料150万円

判決日時

平成15年5月22日

請求者→請求先

女性 → 男性・男性の両親

当事者の属性

女性:大学附属病院の看護師

男性:大学生(司法試験浪人)

判決金額

150万円(慰謝料)

婚約破棄の理由

男性に結婚の意思はなかった・両親の反対

事案の概要

女性(原告)は交際中に2度男性(被告A)の子を妊娠したものの、1度目は双方学生のため中絶を選択したが、2度目の妊娠では出産を決意した。被告Aも出産に同意し、文書で婚約を約束した。しかし、原告が出産した直後、被告Aは実家で両親に反対されたことを機に、一方的に連絡を絶ち婚約を破棄した。原告は、被告Aとその両親(被告B、C)に対し、慰謝料を求めて提訴した。

裁判所は、一度中絶した後に再び妊娠し、出産を決意した原告の意思を被告Aが尊重し、文書で婚約を約束した事実から、遅くとも2度目の妊娠が発覚した時点で婚約は成立していたと認定した。そのうえで、被告Aが両親BCの反対を理由に婚約を破棄したことは正当な理由に当たらないとし、不当破棄による慰謝料支払いを命じた。

ただし、2人の年齢、被告Aが無職の学生であること、そして事実婚と同様の関係性とは認められないことなどを総合的に考慮し、慰謝料として150万円が妥当であるとした。

また、被告Aの両親(B、C)に対しては、親として子の結婚に反対することは当然であり、婚約破棄に加担したとはいえないとして請求を棄却した。同様に、堕胎の強要、認知の拒絶、養育費の不払いについても、不法行為は成立しないと判断された。

【裁判例⑭】:妊娠を機に成立した婚約の不当破棄|慰謝料100万円

判決日時

平成15年1月30日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:フリーターでウエイトレス

男性:飲食店勤務

判決金額

慰謝料100万円

婚約破棄の理由

親との同居問題、親の反対

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、交際中に妊娠が発覚したことを機に結婚を約束した。被告は原告の両親に挨拶し、結婚式の日取りも決めるなど順調に準備を進めていた。しかし、結婚後の生活について、被告の母親との同居を巡り、双方の親族間で意見の食い違いが生じる。

一度は女性と男性の間で別居の合意に至り、新居を探すも、男性の母親がアパートの保証人になることを拒否した。男性は女性に会おうとせず、最終的に男性の母親から「今回のことはなかったことにしたい」と一方的な婚約破棄を通告された。

そこで、女性は、男性の不誠実な行為による精神的苦痛を理由に、1000万円の慰謝料を求めて提訴した。

裁判所は、被告が原告の両親に挨拶した時点で婚約が成立していたと認定した。婚約破棄の理由となった親との同居問題は、確かに両者の関係に摩擦を生じさせてはいるが、破棄時点で関係が完全に破綻していたとまでは認められないとして、被告による一方的な婚約破棄は正当な理由がない不法行為に該当すると判断した。

一方で、慰謝料額については、妊娠という事態にやむを得ず応じた側面が強いこと・婚約破棄の大きな原因が、親との同居問題を巡る両者の意見の対立であること・婚約前の妊娠については、双方に責任があることを考慮し、100万円が相当であると判示した。

【裁判例⑮】:新居購入後に起きた婚約不当破棄|慰謝料300万円

判決日時

平成14年10月22日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性・男性:ともに冠婚葬祭を執り行う会社に勤務

判決金額

330万円(慰謝料300万円 + 弁護士費用30万円)

婚約破棄の理由

些細な口論、暴力

事案の概要

女性(原告)と男性(被告)は、交際を始めてから互いの家族や友人に婚約者として紹介し、新居として一戸建ての中古物件を購入し、リフォームや家具の購入を進めていた。しかし、些細なことから口論となり、関係が冷え込み、話し合いの場で男性が女性に暴力をふるい、一方的に「結婚を取り止める」と通告した。

そこで女性は、新居の購入費用やリフォーム代などの財産的損害に加え、精神的苦痛に対する慰謝料などの損害賠償を求めて提訴した。

裁判所は、当事者が互いの家族や友人に結婚する意思を伝えていたこと、そして共同生活の拠点となる不動産物件を共に購入した事実を重視し、遅くとも不動産購入時には婚約が成立していたと認定した。そして、被告による婚約破棄に正当な理由はないとし、不法行為に該当すると判断した。

そして、新居を購入するまで結婚準備を進めていたにもかかわらず、一方的な破棄と暴力により原告が受けた精神的苦痛は大きいとして、300万円の支払いが命じられました。ただし、新居購入費やリフォーム代や家具代などは、婚約破棄によって直ちにその価値が失われたわけではないとして、損害として認めませんでした。これらの費用は不動産の価値増加に結びついていると判断し、損害賠償の対象からは外された。

【裁判例⑯】:同棲中の婚約破棄と慰謝料|慰謝料100万円

判決日時

平成6年1月28日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:短大をやめてアルバイト

男性:ガソリンスタンドの正社員

判決金額

慰謝料100万円

婚約破棄の理由

他の人を好きになり結婚する気がなくなった

事案の概要

高校の同級生だった女性(原告)と男性(被告)は、高校時代から交際を開始し、約1年にわたり同棲していました。同棲生活は双方の親も承知しており、被告は職場で原告を婚約者として紹介していた。

しかし、被告に新たな交際相手ができたことが発覚し、女性が追及すると、被告は「新しい相手が好きになった」と告げ、関係の修復を拒否した。

そこで、女性は、慰謝料や、嫁入り道具の購入費用、同棲期間中に得られなかった逸失利益などを求めて提訴した。

裁判所は、高校時代からの長期にわたる交際、双方の親公認の同棲、周囲に婚約者として紹介していた事実から、婚約が成立していたと認定し、男性が新しい交際相手を理由に一方的に関係を解消したことは、正当な理由のない婚約破棄にあたると判断した。

慰謝料の金額については、原告の精神的苦痛は認められるとしつつも、被告による暴行が婚約破棄の原因ではないこと、原告の母親が問題を急ぎすぎた点があること、原告が既に引越し費用等として86万円を受け取っていることなどを総合的に考慮し、100万円が相当であると判断した。

これに対して、嫁入り道具の購入費用や同棲期間中の逸失利益については、損害として認められなかった。

【裁判例⑰】:民族的差別による婚約破棄|慰謝料150万円

判決日時

昭和58年3月8日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:日本で生まれ育った韓国籍の女性

男性:日本国籍の会社員

判決金額

損害金269万7380円(うち慰謝料150万円)

婚約破棄の理由

朝鮮人であるという民族的差別

事案の概要

原告(韓国籍の女性)と被告(日本人男性)は、交際期間を経て婚約し、結婚式の準備を進めていました。しかし、挙式を目前にして、男性が披露宴の案内状を親戚や上司に送らず、最終的に婚約破棄を女性に通告した。

男性は、「朝鮮人と結婚すると会社で出世できない」と発言しており、民族的差別意識により婚約を不当に破棄されたとして、慰謝料や嫁入り道具の買い替え費用などの損害賠償を求めて提訴した。

裁判所は、長期にわたる交際や結婚準備の進捗から、婚約が成立していたと認定した。そのうえで、男性が挙式直前に招待状を送らなかったことや、過去の差別的な発言などを踏まえ、被告の婚約破棄は朝鮮人であるという民族的差別意識に起因したもので、女性に対して著しい精神的苦痛を与える不法行為にあたると認定した。

そして、慰謝料の金額については、挙式直前の破棄であること、民族的差別が原因であることなどを考慮し、150万円と認定された。最終的に、慰謝料に加え、婚約破棄によって使途を失った嫁入り道具の損害や弁護士費用などをあわせた約270万円の賠償が男性に命じられている。

【裁判例⑱】:多額の養育費の要求による婚約破棄と結納金の返還

判決日時

平成31年3月25日

請求者→請求先

男性 → 女性

当事者の属性

不明

判決金額

100万円

婚約破棄の理由

結婚後の多額な金銭要求や過去の離婚歴

事案の概要

結婚情報サイトで知り合った男性(原告)と女性(被告)は、交際を経て婚約し、男性は女性に結納金として100万円を振り込んだ。婚姻生活の話し合いの席で女性は、過去に7回離婚していることや、年間500万円以上の多額な養育費を男性が負担することを求めたため、話し合いはまとまらず、その後も被告は高額な金銭を要求した。これに不信感を抱いた男性は、直接的なやり取りを終了する旨のメールを送り、婚約を解消した。

さらに、男性は、女性が結婚する意思がないのに金銭目的で婚約したとして、不法行為に基づく損害賠償を請求し、結納金などの返還を求めて提訴した。

裁判所は、被告が行政書士を手配したり、原告と面会したりしていることから、当初から結婚する意思がなかったとはいえないと判断し、原告の不法行為に基づく損害賠償請求を棄却した。

しかし、予備的請求である結納金の返還については、被告が多額の金銭負担や過去の離婚歴を突然告げたことで、両者の信頼関係が失われ、婚約解消に至ったと認定。婚約破棄の原因は被告側にあると認定した。

婚約が破棄された場合、結納金の授与者側に一方的な責任がない限り、受領者は結納金を返還すべきであるとし、被告は結納金100万円を不当に利得したとして、原告の請求を認め、結納金全額の返還が命じられた。

【裁判例⑲】:国際的な婚約と一方的な破棄|慰謝料200万円

判決日時

平成29年12月4日

請求者→請求先

女性 → 男性

当事者の属性

女性:ミャンマー国籍の会社員

男性:ネパール国籍の会社員

判決金額

220万円(慰謝料200万円、弁護士費用20万円)

婚約破棄の理由

別の女性と結婚した

事案の概要

ミャンマー国籍の女性(原告)とネパール国籍の男性(被告)は、4年間の交際と3年間の同居生活を送っており、その間、原告は2回男性の子を妊娠し、男性の意向で人工妊娠中絶を行っている。両者は婚姻届を作成し、ウェディング写真も撮影するなど、婚姻に向けた具体的な準備を進めたが、男性は別の女性と婚姻届を提出し、一方的に婚約を破棄した。

そこで、女性は、婚約の不当破棄を理由に、慰謝料や人工妊娠中絶費用の立替金などの支払いを求めて提訴した。

裁判所は、同居期間の長さ、2回にわたる人工妊娠中絶、そして婚姻届の作成やウェディング写真の撮影といった事実を考慮し、両者の間に婚姻予約が成立していたと認定した。

そのうえで、被告が別の女性と婚姻したことは、この婚姻予約を一方的に破棄する不法行為にあたると判断し、同居生活の期間や2回にわたる人工妊娠中絶という原告が負った精神的苦痛の大きさを考慮し、慰謝料額は200万円と認定した。

一方、人工妊娠中絶費用については、被告が全額を支払うと約束した事実は認められないとし、請求を棄却した。ウェディング写真費用も婚約破棄以前に支出されたものであり、損害とは認められなかった。

【裁判例⑳】:交際相手との子をもうけた後の婚約破棄|慰謝料150万円

判決日時

平成28年11月14日

請求者→請求先

女性 → 男性・男性と結婚した女性

当事者の属性

女性:既婚歴があり、子どもがいる。運輸会社のアルバイト勤務

男性:運輸会社でトラックの運転・配送業務に従事

浮気相手の女性:同じ運輸会社の非正規社員

判決金額

165万円(慰謝料150万円、弁護士費用15万円)

婚約破棄の理由

他の女性と結婚した

事案の概要

女性(原告)は男性(被告Y1)と交際を開始し、後にY1との子を妊娠した。Y1は離婚が成立したら結婚すると約束し、婚約指輪を渡し、両家の顔合わせも行うなど、婚姻に向けた具体的な行動をとっていた。しかし、Y1は別の女性であるY2と交際を開始した。一度は原告との復縁を試みたものの、最終的にはY2との婚姻を選択し、女性との婚約を破棄した。

そこで、女性は、Y1の不当な婚約破棄とY2の不法行為を理由に、慰謝料などを求めて提訴した。

裁判所は、被告Y1が原告に婚約指輪を贈呈し、両家の顔合わせを行ったこと、さらに原告が被告Y1との子を出産することを決意した事実を重視し、遅くとも子を出産する決意をした頃には婚約が成立していたと認定した。

被告Y1が他の女性と婚姻したことは、この婚約を一方的に破棄する不法行為であると判断し、原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料として150万円の支払いを命じた。

一方、被告Y2については、原告と被告Y1の関係が強固なものではなかったことや、被告Y2が両者の婚約を知らなかったと考えられることから、法的な責任は負わないと判断し、Y2への請求は認められなかった。

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