婚約破棄で財産分与の請求は原則不可!認められるケースとは?

「婚約を破棄されたけれど、これまで二人で築いてきた財産はどうなるのだろう…」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

婚約破棄では原則として法律上の「財産分与」を請求することはできませんが、状況によっては損害賠償が認められることもあり、関係性が内縁に該当すれば、財産分与の対象となる可能性もあります。

この記事では、婚約破棄で財産分与が認められる可能性のある内縁関係の成立要件や、慰謝料請求をはじめとした損害賠償のポイントについて、婚約破棄に強い弁護士が詳しく解説していきます。

この記事を最後まで読むことで、婚約破棄にともなって請求できるお金の種類や条件、内縁関係を証明するための具体的な証拠、そして請求に向けた適切な対応方法が明確になります。

なお、婚約破棄に伴う金銭請求について、ご自身での対応が難しいと感じた方は、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。

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婚約破棄されたら財産分与を請求できる?

婚約中に築かれた財産について、婚約破棄後に分けてもらえるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

「財産分与」という言葉を耳にする機会もありますが、これは本来、法律上の夫婦が離婚する際に適用される制度です。

ここでは、婚約破棄における財産分与の可否や、それに代わる請求手段について分かりやすく解説します。

婚約破棄による財産分与の請求はできない

結論からお伝えすると、婚約破棄を理由として、法律上の「財産分与」を請求することはできません

そもそも「財産分与」とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚時に公平に分配するための制度であり、法律上の婚姻関係にある夫婦にのみ適用されます

婚約は、あくまで将来の結婚を約束した段階であり、法律上の婚姻とは異なるため、この財産分与の制度は適用されないのです。

したがって、婚約破棄を理由とした金銭の請求は、財産分与とは異なり、不法行為に基づく損害賠償請求という形になります。すなわち、婚約が破棄されたことによって被った精神的・経済的な損害に対し、補償を求めることになるのです。

婚約破棄で請求できるお金

正当な理由なく婚約を破棄された場合、被害者は相手方に対して金銭的な請求が可能です。これは「財産分与」とは異なり、あくまで損害賠償としての請求となります。

具体的に婚約破棄を理由に請求できるお金として、以下の2種類があります。

  • ①慰謝料
  • ②財産的損害

①慰謝料

これは、婚約破棄によって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。婚約期間の長さ、婚約破棄に至った経緯、精神的苦痛の程度などによって金額は異なりますが、数十万円から数百万円が相場とされています。特に、結婚式の準備がかなり進んでいた場合や、相手の不貞行為が原因で破棄された場合などは、高額になる傾向があります。

②財産的損害

婚約や結婚の準備のために実際に支出した費用です。具体的には、以下のようなものが含まれます。

  • 結納を交わしていた場合、その全額または一部
  • 婚約指輪の購入費用
  • 結婚式をキャンセルした場合、式場や関連業者に支払った費用
  • 新婚旅行をキャンセルした場合にかかる費用
  • 新居契約費用
  • 引っ越し費用
  • 結婚を理由に退職した場合、再就職までの期間に得られたであろう収入 など

ただし、これらの請求は、婚約破棄に「正当な理由」がない場合に限られます

正当な理由とは、例えば、相手のDV(家庭内暴力)やモラハラ、不貞行為(浮気)、または重大な経歴詐称(学歴・職歴・年収の虚偽申告)、回復困難な病気の発覚、経済状況の極度な悪化、婚姻生活を継続し難いほどの重大な価値観の不一致などが挙げられます。

これらの理由がある場合は、婚約を破棄しても慰謝料や財産的損害の賠償責任が発生しない、あるいは軽減される可能性があります。正当な理由の有無は個別の状況によって判断が異なるため、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

婚約破棄の正当な理由とは?慰謝料請求する側・される側の対処法

婚約破棄後でも内縁関係が成立していれば財産分与の請求が可能

上記の通り、婚約破棄そのものでは財産分与を請求できませんが、婚約者との関係が法律上「内縁」として認められる場合は話が変わります。

内縁関係が成立していれば、法律婚と同様に財産分与を請求できる可能性があります

ここでは、内縁関係の成立要件や、財産分与が認められる条件について詳しく解説します。

内縁関係とは?成立要件は?

婚約破棄された場合でも、実は婚約者との関係が内縁関係に該当していれば、通常の婚約破棄とは異なる法的保護を受けることができます。

内縁関係とは、婚姻届を提出していないため法律上の夫婦ではないものの、実質的には夫婦と全く同じように共同生活を送っている関係を指します。婚約破棄のケースでも、単なる婚約関係を超えて内縁関係が成立していた場合は、単なる同棲とは明確に異なる扱いを受けます。

婚約破棄後の財産分与を検討する際に重要となる内縁関係の成立要件は、以下の二つです。

  • ①お互いに婚姻の意思があること
  • ②夫婦同然の共同生活の実態があること

①お互いに婚姻の意思があること

これは、単に「一緒に住みたい」というだけでなく、将来的に夫婦として生活していく意思、つまり社会通念上夫婦と認められる関係を築こうとする明確な意思があることを意味します。婚約破棄のケースでは、親族や知人に夫婦として紹介していた、結婚式や披露宴を挙げた(入籍はしていないが)、いずれ婚姻届を提出する予定だったというような客観的な事実が判断材料となります。

②夫婦同然の共同生活の実態があること

これは、単に同じ住居で暮らしているだけでなく、家計を一つにしている・日常の生活費を共有している・互いに扶助義務を負っているといった、実質的な夫婦としての共同生活が営まれている状態を指します。

同居期間は明確な定めはありませんが、一般的には数年以上の継続した共同生活が重視される傾向にあります。ただし、同居期間が短くても、その他の事情(例えば、一方の病気などで介護をしていたなど)が夫婦としての実態を強く示していれば、内縁関係が認められることもあります。

これらの要件を総合的に判断し、婚約破棄の際の内縁関係の成否が決定されます。

なお、内縁関係を主張する場合は、以下のような証拠が有力とされます。

  • 同一住所に一定期間住んでいたことがわかる住民票や賃貸契約書
  • 互いを配偶者として紹介していたことがわかるSNS投稿や招待状
  • 結婚式や披露宴の実施・準備に関する記録
  • 生活費を共有していたことがわかる銀行口座の記録やレシート
  • 扶養に関する申告書や健康保険証の被扶養者記載
  • 共同で購入した不動産・家具などの領収書や契約書
  • 互いを配偶者とする記載がある遺言書・保険契約・契約書類など

内縁の妻とは?内縁の妻の条件やメリット・デメリットを解説

内縁が成立していれば財産分与請求が可能

婚約破棄された場合でも、内縁関係が法律上認められれば、その関係は法律上の夫婦に準じるものとして扱われます。したがって、単なる婚約破棄とは異なり、内縁関係を解消する際には、離婚時と同様に財産分与を請求することが可能となります。

これは、内縁関係にあった期間に、お互いが協力して築き上げてきた共有財産を、公平に分配することを求める権利です。婚約破棄のケースでも、内縁関係が成立していれば、この財産分与の権利が認められるのです。

たとえ名義が一方にあったとしても、実質的に二人で築いた財産であれば、財産分与の対象となります。財産分与の割合については、当事者の話し合いで決めることができますが、それぞれ2分の1とするのが一般的です。

婚約破棄後の内縁関係解消に伴う財産分与は、将来の生活基盤を立て直す上で非常に重要な要素となります。

内縁関係を解消した場合に妻(夫)は財産分与を受けられる?

財産分与の対象となる財産は?

それでは、婚約破棄のケースで内縁関係が解消される際の財産分与の対象となるのは、原則として内縁関係にあった期間中に、二人が協力して築き上げたり、維持・増加させたりした財産です。これらの財産は、どちらか一方の名義になっているかに関わらず、「共有財産」として分与の対象になります。

婚約破棄後の財産分与で具体的な対象財産としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 預貯金:共同の口座や、内縁期間中に協力して貯めた預貯金(それぞれが管理しているものも含む)
  • 不動産:内縁期間中に購入した自宅(土地・建物)など、名義が一方にしかない場合でも、共同でローンを返済していたり家事労働などで貢献していたりすれば対象となり得ます
  • 自動車:共同で購入したり、共同で使用していた自動車
  • 有価証券・投資信託:内縁期間中に形成した株式、投資信託などの金融資産も対象となります
  • 保険:積み立て型の生命保険や学資保険などで、解約返戻金があるものも対象となります
  • 退職金・年金:内縁期間に対応する部分の退職金や年金も、将来的に受け取れる見込みがあれば分与の対象となり得ます
  • 家財道具:内縁期間中に購入した家具、家電、什器・備品など
  • その他の共有資産:骨董品、高価な美術品、宝飾品なども対象となる場合があります

ただし、婚約破棄の財産分与において、内縁関係になる前から各自が所有していた「特有財産」や、内縁関係中に親からの相続や贈与によって得た財産は、原則として財産分与の対象にはなりません。また、財産分与の基準となるのは、内縁関係を解消した時点(または共同生活が実質的に終了した時点)での財産状況です。

慰謝料請求も可能

婚約破棄により内縁関係が正当な理由なく一方的に破棄された場合、法律上の夫婦の離婚と同様に、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することが可能です。内縁関係は婚姻に準じる関係として手厚く保護されているため、婚約破棄であっても不当な解消は不法行為とみなされます。

婚約破棄による内縁関係解消の慰謝料の相場は、内縁関係の期間、破棄に至った経緯、精神的苦痛の程度、破棄された側の年齢や経済状況など様々な要素によって異なりますが、一般的には50万円から300万円程度が目安となることが多いです。

婚約破棄で正当な理由がないとされる具体的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 突然音信不通になり、一方的に連絡を絶たれた場合
  • 特に理由もなく「もう一緒にいたくない」と一方的に告げられた場合
  • 他の異性と交際を始めた、または肉体関係を持った(不貞行為)ことが原因で解消された場合
  • 親族の反対や、単なる性格の不一致といった、婚姻生活を継続できないとまでは言えない理由の場合 など

婚約破棄の慰謝料相場は?高額になる要因や請求の流れを解説

婚約破棄に関するお金の問題を弁護士に相談するメリット

婚約破棄やそれに伴う金銭トラブルに直面した場合、弁護士に相談するメリットは大きいといえます。

まず、あなたの関係が内縁関係に当たるかどうかを法的に正確に判断してもらえます。もし内縁関係が成立していれば、法律婚に準じた財産分与や慰謝料の請求が可能となり、その手続きから訴訟対応まで、全てを弁護士に一任できます

仮に内縁関係と認められなくても、正当な理由のない婚約破棄であれば、慰謝料や財産的損害の賠償請求が可能です。弁護士は、この場合の適切な請求額を算定し、相手との直接交渉を代行してくれるため、精神的な負担を大きく軽減できます

さらに、弁護士は、LINEのやり取り、SNSの投稿、写真、メール、各種契約書、支払記録など、どのような証拠が裁判で有効となるかを判断し、その確保方法や保存方法について具体的なアドバイスを提供してくれます。これにより、証拠の散逸を防ぎ、あなたの主張を裏付ける強力な材料を準備できます。相手が財産を隠すといった行為に出るリスクもあるため、早期に弁護士に相談することで、そうした事態を未然に防ぎ、適切な権利行使へと繋げられるでしょう。

婚約破棄に強い弁護士|弁護士費用の相場や無料相談窓口は?

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