
婚姻届を出していなくても、婚約が成立していれば、婚約者本人と浮気相手の双方に慰謝料を求められる場合があります。金額の目安は50万円〜200万円程度ですが、婚約の実態や浮気の内容によって上下します。
もっとも、実際に相手から支払いを受けられるかどうかは、婚約が成立していたといえるか、その浮気が「不貞行為」にあたるかを示せるかで変わります。相手から「婚約なんてしていない」と切り返される場面も珍しくありません。
まだ結婚していない段階だからと、あきらめてしまう必要はありません。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次のポイントをわかりやすく解説します。
- 婚約中の浮気で慰謝料請求が認められる3つの条件
- 浮気相手に請求できるケースとできないケース
- 慰謝料の相場と金額を左右する事情
- 請求に必要な証拠と手続きの進め方
なお、婚約者の浮気でお悩みの方は、どうか一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へご相談ください。
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婚約中の浮気は慰謝料請求の対象になる
婚約中に浮気をされたときは、裏切った婚約者と浮気相手のどちらに対しても、慰謝料を求められるケースがあります。まだ入籍していないことは、あきらめる理由になりません。
婚約は、将来結婚することを当事者同士が約束した法律上の契約です。一度成立すれば、夫婦に準じた保護を受ける関係とみなされ、お互いに誠実であること、いわゆる「貞操義務」が求められます。
不貞行為(婚約者以外の相手と自由な意思で性的関係を持つこと)は、この約束に対する重大な違反にあたります。債務不履行(約束どおりの履行がされないこと)に基づく損害賠償として、慰謝料を請求できます(民法415条)。約束の違反ではなく権利の侵害としてとらえ、不法行為を根拠に組み立てることもあります。
浮気相手に対しては、二人の関係を壊した不法行為(他人の権利や法律上保護される利益を侵害する行為)を理由に請求します(民法709条)。裁判例でも、婚約者には債務不履行責任、浮気相手には不法行為責任が認められた例があります。
婚約中の浮気で慰謝料請求が認められる3つの条件
婚約中の浮気であれば、必ず慰謝料を請求できるのでしょうか。実際には、次の3つの条件を満たす必要があります。
- ① 二人の間に婚約が成立していること
- ② 浮気が不貞行為に該当すること
- ③ 慰謝料請求が時効にかかっていないこと
浮気相手に請求する場合は、これに加えて相手の認識が問われます。次章で解説します。
① 二人の間に婚約が成立していること
慰謝料を請求するには、まず当事者間で婚約が成立していたことが必要です。単なる交際中の浮気に法的保護は認められません。
婚約は書面や届出がなくても、二人が将来結婚する意思を確かめ合っていれば成立します。ただし相手から「婚約していない」と反論されることもあるため、裏付けとなる資料は「慰謝料請求に必要な証拠と集め方」で整理します。
口約束のみでの婚約成立や慰謝料請求の可否については「口約束で婚約成立?婚約破棄の慰謝料は請求できる?判例で解説」で詳しく解説しています。
② 浮気が不貞行為に該当すること
ここで問われるのは、婚約者が自由な意思で婚約者以外の相手と性的関係を持ったといえるかどうかです。
判断の基準は肉体関係の有無です。食事やデート、LINEのやり取りだけでは不貞行為にあたりません。キスやハグにとどまり、性的な行為に至っていない関係も同様です。ただし性交がなくても性的に密接な行為があれば、不貞行為と評価される余地があります。
そのため、肉体関係の存在を裏付ける客観的な証拠が必要になります。
どこまでの行為が不貞にあたるかは、事案によって判断が分かれる部分でもあります。判断の考え方は「最後までしてないのに不貞行為?慰謝料請求された場合の対処法」をご参照ください。
③ 慰謝料請求が時効にかかっていないこと
慰謝料請求には「消滅時効」があり、永遠に請求できるわけではありません。
婚約中の浮気に対する慰謝料請求は、不法行為に基づく構成と債務不履行に基づく構成があり、どちらを根拠にするかによって時効期間が異なります。
- 不法行為に基づく請求:被害者が浮気と加害者を知ってから3年(行為時から20年)
- 債務不履行に基づく請求:権利を行使できることを知った時から5年(権利を行使できる時から10年)
どちらの構成をとるかはケースによって異なるため、時効の判断は弁護士に確認されることをおすすめします。
なお、不法行為構成の場合、浮気相手の氏名や住所がわからないときは「加害者を知った」とは言えず、3年の時効は進行しません。
婚約者の浮気相手にも慰謝料を求められるのか
婚約者だけでなく、浮気相手にも慰謝料を払わせたいという相談は少なくありません。浮気相手への請求は不法行為だけを根拠とするため、婚約者への請求とは別に条件を検討することになります。
浮気相手に請求できるのは婚約を知っていた場合
浮気相手に慰謝料を請求できるのは、その人に故意または過失がある場合です。故意とは婚約の事実を認識していたこと、過失とは少し注意を払えば気づけたはずなのに関係を続けていたことを指します。
故意や過失があったかどうかは、次のような事情から判断されます。
- 「婚約している」と伝えたLINEやメール
- 家族や友人に紹介されないまま性的関係に至った
- 休日や日中に一切会えないなど不自然な交際状況
- 婚約の事実が周囲に知られていた
「普通の感覚なら婚約を疑うべきだった」と評価されれば、過失が認められる余地があります。
浮気相手への請求が認められないケース
反対に、次のような場合には、浮気相手への請求は認められにくくなります。
- そもそも婚約が成立しておらず、交際関係にとどまっていた
- 相手が婚約の事実を知らず、知ることも難しい状況だった
- 肉体関係を裏付ける資料がそろわない
婚約は当事者の合意だけで成立し、外からは見えにくいため、浮気相手からは「知らなかった」という反論がよく出てきます。似た事情でも裁判所の判断は分かれます。
婚約が成立しておらず交際関係にとどまっていた場合の慰謝料請求については「恋人が浮気!未婚でも慰謝料を請求できるケースと慰謝料相場」もあわせてご確認ください。
婚約中の浮気の慰謝料はいくら?相場と金額を左右する事情
相手に求められる慰謝料の金額は、50万円〜200万円程度が一つの目安です。もっとも、これは標準的なケースを想定した目安であり、事情が重いと判断されればこの幅を上回ることもあります。実際の金額は、婚約の実態や浮気の内容によって大きく変わります。
金額を大きく左右するのは、浮気をきっかけに婚約がどうなったかです。話し合って婚約を続けた場合よりも、浮気を理由に婚約を破棄した場合のほうが高くなる傾向があります。結婚に向けて積み重ねた準備が白紙に戻るためです。浮気に限らず、婚約破棄そのものを理由とする慰謝料の相場は「婚約破棄の慰謝料はいくらもらえる?相場や請求できるケース」で解説しています。
また、婚姻届を出した夫婦の間で起きた不貞行為と比べると、婚約中の浮気の慰謝料は低額になる傾向があります。法律上の夫婦のほうが守られる利益は大きいと考えられているためです。
次のような事情は、慰謝料を増額させる方向に働きます。
- 浮気の期間が長期にわたり継続していた
- 複数回にわたって性的関係を持っていた
- 婚約期間が長く、同棲していた・事実上の夫婦と見なされる実態があった
- 結婚式や新居の準備など、経済的損害を伴っていた
- 浮気相手が妊娠・中絶・出産した
一方、婚約期間が短い、精神的損害が軽微と判断される、あるいは浮気後に関係修復の努力があったなどの事情がある場合は、慰謝料が減額されることもあります。
慰謝料とは別に、婚約が破棄された場合は、すでに支出した費用の返還や損害賠償も請求の対象になります。結納金や婚約指輪、結婚式場のキャンセル料、新居の契約費用などが代表例です。慰謝料とは性質が異なるため、分けて整理しましょう。
金額はあくまで個別の事情を踏まえた上で裁判所が判断するため、具体的な証拠や交渉内容も大きな影響を与えます。
慰謝料請求に必要な証拠と集め方
婚約中の浮気で慰謝料を請求するとき、壁になるのが証拠です。不十分だと、事実であっても請求が認められないおそれがあります。そろえたい資料は大きく次の2つです。
① 婚約していたことを示す証拠
婚約の成立を客観的に示す証拠がなければ、相手から「そもそも婚約していなかった」と反論され、浮気の慰謝料請求が難しくなります。次のような証拠が有効です。
- 「結婚しよう」と約束したLINE・メール・通話録音
- 結婚式場の予約書や内金の領収書
- 婚約指輪の購入記録やSNSへの投稿
- 結納・両家の顔合わせの日程表や当日の写真
- 両親や友人へ婚約を報告したときのやり取り
1つだけでは弱くても、複数を組み合わせれば婚約の事実を裏付ける材料になります。
② 不貞行為があったことを示す証拠
LINEのやり取りや食事の写真だけでは足りません。慰謝料請求では、性的関係を裏付ける客観的な証拠が求められます。
- 探偵による調査報告書
- ホテルのレシートやポイントカードの利用履歴
- 性行為をうかがわせるメッセージや通話録音
- ラブホテルや自宅への出入りを記録した写真・動画
これらが揃っていれば、「不貞行為があった」と裁判で認定されやすくなります。
婚約者と浮気相手へ慰謝料を請求する流れと対処法
婚約中の浮気の慰謝料請求は、いきなり裁判に進むわけではありません。まずは示談(裁判を使わず当事者の合意で解決すること)を目指し、まとまらなければ次の手段へ移ります。
- まずは話し合いで示談を目指す
- 内容証明郵便で正式に請求する
- 家庭裁判所に婚約者との調停を申し立てる
- 訴訟を提起して裁判で争う
① まずは話し合いで示談を目指す
まずは当事者間で話し合い、慰謝料の金額や支払方法を示談書にまとめられるかを検討します。
浮気を許して婚約を続ける場合も、口約束で終わらせず、浮気相手と連絡を取らないこと、再発時には賠償を求めることを誓約書に明記しておけば、責任の所在がはっきりします。
相手と直接やり取りしたくない場合は、弁護士に代理を任せる方法もあります。
② 内容証明郵便で正式に請求する
話し合いで解決しない場合には、内容証明郵便で正式な請求意思を伝える方法があります。これは「誰が・いつ・誰に・どのような内容を送ったか」を証明できる手段で、相手に心理的プレッシャーを与える効果も期待できます。
文書には、婚約の事実、浮気による精神的苦痛、慰謝料額、支払期限などを明記します。
③ 家庭裁判所に婚約者との調停を申し立てる
内容証明にも応じてもらえないときは、婚約者を相手に、家庭裁判所へ浮気の慰謝料を求める調停を申し立てます。調停では第三者(調停委員)が仲介に入り、双方の主張を踏まえて解決を図ります。なお、浮気相手への請求は家庭裁判所の調停では扱えません。示談交渉でまとまらないときは、相手の住所地を管轄する簡易裁判所へ民事調停を申し立てるか、訴訟を提起することになります。
直接顔を合わせずに話を進めることができるため、精神的な負担を軽減したい方にも適した手続きです。
④ 訴訟を提起して裁判で争う
調停が不成立に終わった場合や、調停が適さない場合は、裁判で浮気の慰謝料を請求することになります。裁判では、婚約関係や不貞行為の存在などを客観的証拠で立証していく必要があります。実際の裁判でどのような事情が考慮され、どの程度の金額が認められたのかは「婚約破棄の裁判例25選|破棄の理由の実例や判決金額が分る」で確認できます。
なお、請求する金額が60万円以下の場合は、少額訴訟(簡易裁判所で原則1回の期日で審理を終える手続き)を利用できます。
訴訟の準備には法的知識が求められ、長期化することもあるため、早い段階から弁護士に依頼しておくと安心です。
婚約中の浮気トラブルを弁護士に任せるメリット
慰謝料請求は自分で進めることもできますが、証拠の評価にも交渉にも法的な判断が必要です。弁護士に任せると、次の点が変わります。
まず、どの資料が証拠として役に立ち、何が足りないのかを早い段階で整理できます。あとから集め直せない証拠もあるため、動き出す前の助言は重要です。
次に、婚約者や浮気相手とのやり取りをすべて代理してもらえます。直接連絡を取らずに済み、精神的な負担を抑えられます。話し合いでまとまらない場合も調停や訴訟へそのまま移行でき、書面の準備まで一任できます。
そして、結婚準備にかかった費用や精神的苦痛など、相手に請求できる損害の範囲についても、専門的な判断が可能です。過去の事例に照らして請求額を見極めたうえで交渉を進められます。
「一人では不安」「相手と関わりたくない」と感じた時点で、ぜひ弁護士にご相談ください。
浮気の慰謝料請求でお悩みの方へ
婚約中の浮気であっても、婚約の成立と不貞行為を示す資料がそろえば、婚約者本人に責任を追及できます。浮気相手に対しても、婚約を知っていた、あるいは知り得たといえる場合には請求できます。
ただ、どの資料が証拠として通用するのか、いくらまで求められるのかは事情ごとに分かれます。相手に事実を否定されたまま一人で交渉を続けても、話が前に進まないことは少なくありません。
信じていた相手に裏切られたうえ、その相手と金銭のやり取りをするのは、精神的に重い作業です。すでに婚約破棄を決めている方も、まだ迷っている方も、方針が固まる前の段階でご相談いただいて構いません。
当事務所では、婚約中の浮気トラブルや慰謝料請求について豊富な対応実績があり、証拠の集め方から交渉・調停・訴訟まで一貫してサポートいたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

