このようにお考えではないでしょうか。
結論から言いますと、婚約中に浮気をされた場合、婚約者や浮気相手に慰謝料を請求することができます。慰謝料の相場は50万円~200万円となります。ただし、慰謝料請求が認められるには、①婚約が成立していること②婚約者の浮気が不貞行為(性的関係)に該当すること③時効が完成していないこと④浮気相手が婚約の事実を知っていたか知らないことに過失があることの4つの条件を満たす必要があります。
この記事では、男女問題に強い弁護士が、
- 婚約中の浮気で婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件
- 婚約中に浮気された場合の慰謝料相場
- 婚約中の浮気で慰謝料請求するために集めておくべき証拠
などについてわかりやすく解説していきます。
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目次
婚約中に浮気された場合でも慰謝料請求できる
婚約中であっても、浮気された場合には慰謝料請求できます。
慰謝料とは、婚約者の浮気によって受けることになった精神的苦痛に対して支払われる損害賠償のことを指します。
慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求の一種ですので「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害し」これによって損害が発生したと言える必要があります(民法第709条参照)。
婚約中の浮気で慰謝料請求ができる条件
婚約中の浮気で慰謝料を請求するための条件は、以下の4つです。
①婚約が成立していること
当事者間で婚約が成立していない場合には、慰謝料を請求することができません。
「婚約」に至らない程度の男女の関係は、単なる「交際中」の男女と考えられています。男女交際は、自由恋愛の範囲であると考えられているため、相手が別の異性と関係を持っていても原則として夫婦同様の保護は与えられず慰謝料を請求することができないのです。
他方で、婚姻の予約、すなわち婚約が成立した男女の間には、「誠意を以て夫婦になるべき予期」のもとで合意し、「真実夫婦として共同生活を営む意思」が存在することになると考えられています。そのため、「婚約」関係にある男女についても、「婚姻」関係にある夫婦同様に法律上の保護が与えられるべきである、と考えられているのです。
ここで「婚約」とは婚姻の予約をいい、男女が将来的に婚姻することを誠実に約束することで成立すると考えられています。貰い状・呉れ状、指輪交換、樽入れ、結納などなんらかの形式的な条件を具備しなければならない、というものではなく、口頭でも婚約は成立します。
もっとも、浮気の慰謝料を請求される側が、「婚約が成立していた」ことを否定してくる可能性がありますので、婚約が成立していたことを客観的に証明できる証拠を揃えておく必要があります。どのようなものが証拠となり得るかは後述します。
②浮気が不貞行為に該当すること
婚約中における「不貞行為」とは、婚約者が自由な意思に基づいて相手方婚約者以外の者と性的関係を持つことをいいます。なお浮気相手が自由な意思に基づいていたか否かは問題となりません。
婚約した当事者は、夫婦同様お互いに対して貞操を守る法的な義務を負っていると考えられています。したがって、不貞行為があった場合には、「夫婦同様の共同生活の平和を維持する」という法的権利・利益が侵害されるといえるのです。
このような権利・利益侵害は、婚約者が第三者と性行為または性交類似行為をしたことで侵害されると考えられているため、キスやデートをした程度では不貞行為には該当しません。
したがって、婚約者が別の異性と性的関係を結んでいたことを主張・立証する必要があります。
浮気(不貞行為)の証拠となり得るものについては後述します。
③時効が完成していないこと
婚約中の浮気を理由に慰謝料を請求するためには、消滅時効が完成していないことも必要です。慰謝料請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権ですので、時効期間が定められています。
不法行為に基づく損害賠償の請求権は、以下の場合には時効によって消滅することになります(民法第724条参照)。
- 被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から「3年間」行使しないとき
- 不法行為の時から「20年間」行使しないとき
したがって、婚約者に慰謝料を請求する場合には、浮気相手がどこのだれか分からない場合であっても、浮気を知ってから3年以内に請求する必要があります。また浮気の事実があったとしても浮気から20年が経過してしまうと慰謝料請求をすることはできません。
仮に浮気相手に対して慰謝料を請求したいと考える場合には、相手の顔は分かっていても、名前や住所を知らず相手方を特定することができない場合には、「浮気相手を知った」とは言えません。したがって、相手方を特定できるまでは3年の消滅時効期間は進行しません。もっとも、知らない間に20年が過ぎてしまえば浮気相手に対しても慰謝料請求ができなくなるのは同様です。
④浮気相手が婚約の事実を知っていたか知らないことに過失があったこと
婚約中の浮気に基づく慰謝料請求については、浮気をした婚約者のみならず、婚約者に手を出した浮気相手に対しても慰謝料請求することができます。
この場合、浮気をした婚約者と浮気相手は、共同して他人の権利・利益を侵害したことになるため「共同不法行為」が成立することになります。共同不法行為が成立すると浮気の両当事者は連帯して被害者に対して慰謝料を支払う義務が発生します。
それでは、婚約者が恋人がいないと偽ったために、「婚約」の事実を知らずに婚約者と性的関係を結んだ浮気相手に対して慰謝料請求することはできるのでしょうか。
この点、浮気相手が婚約の事実を知らなければ「故意(わざと・知っていた)」による不法行為は成立しません。しかし、浮気相手が婚約の事実を知らなかったことに「過失」があれば不法行為責任を問うことができます。
実際、浮気相手が「婚約者だとは知らなかった」と反論してきても、故意・過失が否定されるケースが多くありません。
婚約者であることを疑わなかった浮気相手に通常必要とされるべき注意義務を欠くと判断される場合には、過失があったと認定されることになります。
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婚約中に浮気された場合の慰謝料相場
婚約中に浮気された場合の慰謝料の相場としては、「50万円~200万円」だと言われています。ただし精神的な損害については裁判官の自由裁量によって判断されることになるためケースバイケースで変動する可能性が大きいです。
慰謝料の金額の算定にあたっては、諸般の事情を考慮して総合的に判断されることにあるため、浮気の程度が悪質で被害者の負った損害の程度が大きいとされた場合には高額になる可能性があります。
- 相手方の婚約者が浮気が長期間に及んでいること
- 浮気の回数が多いこと
- 婚約期間が長く、事実上夫婦と認められる実態があったこと
- 結婚式や挙式の手配をしており、実際にキャンセル料などの損害が生じたこと
- 浮気相手が婚約者の子どもを妊娠または出産したこと など
以上のような事情を考慮して慰謝料の金額は算定されることになります。
なお、浮気が原因で婚約破棄までならない場合、婚約者の浮気は婚約関係を破綻する程度には至っていないと判断され、慰謝料の金額も少額に留まる可能性があります。
婚約中の浮気で慰謝料請求するために集めておくべき証拠
婚約が成立していた証拠
婚約中の浮気で慰謝料請求をするには、婚約が成立していたことを客観的に判断できる証拠が必要です。
婚約は当事者間の意思の合致(合意)により成立しますが、そのような合意が真に存在したというためには客観的な事情が必要となるのです。
具体的には、以下のような事情があることで婚姻関係が推認されます。
- 結納を行った
- 婚約したことを報告するために両親に挨拶をした
- 婚約者として、友人・知人に紹介した
- 婚約指輪の取り交わしをした
- 結婚式の準備や式場の予約をおこなった など
ただし、婚約破棄の段階で、浮気の慰謝料を請求されたくない婚約者が上記事実があったことを否定してくる可能性もありますので、
- 結婚式の申込書、予約票、内金を払込みした際の領収書
- 婚約指輪、あるいは婚約指輪を購入したことを裏付ける資料
- 結納品、あるいは結納品を購入したことを裏付ける資料
- 結婚の約束を取り交わす内容のメール・LINE等のSNSのやり取り・通話を録音した音声
といった、婚約が成立していたことを客観的に証明できる証拠を準備しておくべきでしょう。
浮気の証拠
婚約中の浮気で慰謝料を請求するためには、単に浮気相手とデートやキスやハグをしただけでは足りず、性行為があったことを立証することが必要です。
したがって、肉体関係があったことを示す証拠を収集することが重要となります。
肉体関係の存在を立証できる証拠となりうるものとして、以下のようなものがあります。
- 性行為自体やラブホテル・自宅似通っている様子を捉えた写真や動画
- 性行為自体や性行為が推認できる内容のやり取りや通話データ
- 不倫相手と利用したラブホテル・ビジネスホテルの利用明細
- 不倫してることがわかる探偵の調査報告書 など
浮気相手が婚約の事実を知っていた証拠
婚約者の浮気相手に慰謝料を請求する場合には、相手が婚約の事実を知っていた又は知らなかったことに過失があったことを立証する必要があります。
相手方の故意・過失を立証するためには、以下のような事実があったことを証明することが重要です。
- 平日の夜しかも限定的な時間帯しか会っていない
- 土日には連絡していない
- 親族や友人を紹介されたこともない
- ホテルや相手方の自宅などの密室でしか会ったことがなかった
- 一度も婚約者の自宅に招待されたことがなかった など
上記のような事情があったにもかかわらず、相手が婚約者であることを知らなかったことは、通常必要とされる注意義務を著しく欠いているとして過失が認定される可能性が高まります。
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婚約中に浮気をした婚約者とは婚約破棄すべき?
婚約中に浮気をする婚約者の場合、結婚してからも浮気を繰り返す可能性があります。浮気癖というものは中々治らない性質のものです。
実際、当事務所にも、婚約中に浮気をされてそれを許して結婚したものの、結婚後も浮気をされてしまい離婚相談に来られる方も少なくありません。とくに、婚約中に浮気や女遊びをする男性は、弁護士の経験上、結婚後も同じことを繰り返す傾向が強い印象があります。
しかし、離婚は婚約破棄よりも条件が厳しく労力も必要になるため、結婚前に婚約者とご自身の貞操観念に気付けたのは不幸中の幸いです。長い結婚生活を考えれば、相手との婚約を破棄した方が得策であるケースも多いでしょう。
どうしてもお別れを希望しない・別れられないという場合には。婚前契約を締結しておくべきでしょう。もう一度浮気・不倫をした場合には、慰謝料の金額や分与財産について予め合意しておくことでリスクヘッジしておくことができます。
婚前契約書の作成を拒否する場合には、一切反省していないとみなして、婚約破棄を選択するのが良いでしょう。
まとめ
婚約中の浮気が原因で婚約破棄に至った場合には、浮気をされた側は相手婚約者に対して慰謝料を請求することができます。浮気相手が婚約の事実を知っていた場合も同様です。
婚約破棄の慰謝料相場は、「50万円~200万円」程度ですが、婚約期間、浮気をしていた期間など、様々な事情を考慮して慰謝料の金額は算定されることになります
また、婚約中の浮気に対する慰謝料を請求するためには、
- 婚約が成立していたこと
- 浮気(不貞行為)があったこと
- 浮気相手に慰謝料請求するケースでは、浮気相手が婚姻の事実を知っていた、あるいは知らなかったことに過失があったこと
を証明できる証拠を準備する必要があります。
慰謝料請求はご自身で行うこともできますが、浮気をした婚約者がそれに応じないケースも多々あります。そのような場合には弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士に依頼することで、訴訟を回避したい相手婚約者が支払いに応じることもありますし、仮に慰謝料の支払いを拒否して訴訟になった場合でも、裁判手続き等を全て弁護士に委任することもできます。
当事務所では、婚姻中に浮気をした婚約者に対する慰謝料請求を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、婚約中に浮気をされて慰謝料請求をご希望の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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