このようなことでお困りではないでしょうか。
先にお伝えしますと、婚約破棄をしたからといって必ずしも慰謝料を払わなくてはならないとは限りません。そもそも婚約が成立していない場合や婚約破棄に正当な理由がある場合には、慰謝料を支払う法的義務はありませんので、相手からの請求を拒否することができます。
この記事では、婚約破棄の問題に強い弁護士が、
- 婚約破棄で慰謝料請求されても払わなくていいケース
- 婚約破棄で慰謝料請求された場合の対処法
などについて詳しく解説していきます。
記事を最後まで読むことで、アナタのケースでは慰謝料を払わなくていいのかどうか、また、慰謝料請求された場合の対処法がわかるようになります。なお、記事を読んでみたものの、ご自身一人での対応が難しいと思われた方は、まずは全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
婚約とは
「婚約」とは、将来婚姻をするという予約を当事者間で約束する契約の一種です。
それでは実際に当事者間で婚約が成立していたといえるためにはどのような条件が必要なのでしょうか。
婚約は当事者双方の口約束でも成立しますが、訴訟においては、当事者間で約束した・してないの水掛け論で終始することがないように合意の成立は「客観的な事実」によって推認・認定されます。婚姻が成立していたと認定するために重要な客観的な事実は以下のようなものです。
- 2人の合意が第三者にも知られていたか否か
→具体的には両家の顔合わせが行われていた場合や両親・兄弟姉妹・知人・勤務先に結婚することが知られていたという事実の有無が考慮されます。 - 2人が同棲や引っ越しなど婚姻に基づいた何らかの共同生活関係を形成していたといえるか否か
→具体的には2人が共同で住むために新たに賃貸マンションを契約したり、パートナーのアパートに同居するために引っ越しをしたりした事実が考慮されます。 - 結婚式場を予約していた
- 婚約指輪の取り交わしや結納を行っていた
上記はどれかひとつでも事実が欠けていたら認められないとか、どれかひとつの事実があれば合意が認められるという関係ではありません。あくまで婚姻予約の合意は各種の事実を考慮して総合的に判断されることになります。
婚約破棄とは
婚約破棄とは、婚約が成立した後に、一方的に婚約を解消することをいいます。
婚約破棄について判例によれば、正当な理由なく婚約破棄した者は相手方に対して損害賠償をする責任があるとされています(大審院判決大正4年1月26日)。
請求の根拠としては、婚約という契約上の義務が不履行であるとして「債務不履行」を原因とした損害賠償を請求することもできますし、不法行為に基づく損害賠償請求をすることもできます。
婚約の不当破棄においては破棄によって直接に生じた損害(式場のキャンセル料、引き出物や婚礼家具の購入費用など)以外にも婚約破棄による精神的損害に対する慰謝料を請求することができます。
婚約破棄しても慰謝料を払わなくていいケースとは
まず、「婚約が成立していない」場合には、慰謝料請求は認められません。
前述の通り、婚約破棄とは、”婚約という契約が成立した後に”一方的に婚約を解消する行為ですので、そもそも婚約が成立していない場合には婚約破棄にあたりません。したがって、慰謝料請求されても支払う法的義務は生じません。
また、先ほど、正当な理由なく婚約破棄した場合には慰謝料を払わなくてはならないとお伝えしましたが、裏を返せば、正当な理由がある場合には払わなくて良いということになります。
具体的には、婚約破棄に「正当な理由」があるとされるのは以下のようなケースです。
- 婚約相手に不貞行為(他の異性との性行為)があった
- 婚約相手から悪意で遺棄された
- 婚約相手が結婚式前に行方不明となった
- 婚約相手から暴力を振るわれた
- 婚約相手に正常な性交能力がない
- 婚約相手が強度の精神病や病気にかかって回復の見込みがない など
なお、逆に以下のようなケースでは「正当な理由」があるとは言えません。
- 性格や価値観の不一致
- 相手方の親・親戚とそりが合わない
- 浪費家である
- 家事や料理を全くしない など
なお、以下の記事も合わせて読むと、婚約破棄で慰謝料請求された場合に支払義務が生じるのかどうかの理解がすすみます。
婚約破棄で慰謝料請求されたらいくら払う?
慰謝料の相場は?
婚約破棄の慰謝料に関して明確な相場は存在していませんが、一般的に数十万〜200万円程度が相場であると考えられます。
慰謝料については、行為の悪質性や婚約期間の長さ、婚約破棄に至る経緯、当事者の不利益の程度などによってケースバイケースで算定されることになるため、事案によって慰謝料の金額は異なります。
慰謝料が増額する要素は?
事案に応じて慰謝料の相場が高額になる可能性があります。
婚約破棄による慰謝料額が増額する要因として、以下のような事情が考えられます。
- ①交際期間が長い
- ②結婚の準備をしていた
- ③相手が結婚を機に仕事を辞めた
- ④相手が妊娠・中絶した
- ⑤婚約破棄により健康状態が悪化した
- ⑥不貞行為やDVがあった
以下、順番に説明していきます。
①交際期間が長い
交際期間が長いほど、結婚に対する当事者の期待は大きくなるため、婚約破棄に伴う精神的な苦痛も大きくなると考えられます。ただし、交際期間がどの程度であるのかについては、証拠に基づいて立証する必要があります。交際期間の開始時期が分かる資料が重要となります。
②結婚の準備をしていた
結婚に向けて、式場との契約やゲストの選別・招待、結納などの準備を進めていた場合には、慰謝料が高額になる可能性があります。結婚のための準備を相当進めていた場合には、財産的な損害も大きくなるとともに、精神的な苦痛も大きくなると考えられます。
③相手が結婚を機に仕事を辞めた
結婚を機に専業主婦(主夫)になるために、仕事を退職したという場合には、慰謝料が高額になる可能性があります。仕事という経済的な基盤を失っている場合には、結婚に対する期待が大きかったと考えることができます。
④相手が妊娠・中絶した
相手の女性が婚約破棄の時点で既に妊娠していた場合や、婚約破棄によって中絶せざるを得なくなったという場合があります。妊娠・中絶は女性に与える影響が甚大であるため、婚約破棄による慰謝料が高額になる可能性があります。
④婚約破棄により健康状態が悪化した
婚約破棄によって、相手方の精神疾患を発症・睡眠障害・食欲不振など健康状態が悪化した場合、慰謝料が高額化する可能性があります。医師の診断書や治療を受けた資料が重要となります。
⑤不貞行為やDVがあった
婚約破棄をした相手に不貞行為やDVなどの有責性がある場合には、慰謝料が高額化する傾向があります。パートナーの不貞行為や暴力・脅迫・侮辱行為が分かる動画や画像、LINEのやり取りなどが証拠として有効です。
慰謝料が減額する要素は?
上記に対して、婚約破棄による慰謝料の金額が減額する方向にはたらく事情として、以下のようなものがあります。
- 婚約するまでの期間が短い場合
- 婚約してから解消するまでの期間が短い
- 婚約破棄された側に一定の原因・責任がある場合
どちらかが一方的に悪いということは稀であり、慰謝料の金額については双方の事情を総合的に考慮して算定されることになります。
婚約破棄の慰謝料請求をされた場合の対処法
①無視はしない
相手方から婚約破棄の慰謝料請求をされた場合、無視して放置するのは厳禁です。
相手からの請求を無視してしまうと、慰謝料請求調停の申立てや民事訴訟の提起など裁判所を介した紛争解決手段を取られてしまう可能性があります。
相手方が家庭裁判所に慰謝料請求調停を申し立てた場合、アナタ(婚約破棄した側)が無視したとしても話し合いができないため調停不成立で終わります。しかし、相手方が訴訟を提起した場合、裁判所からの呼び出しを無視して放置してしまうと、相手の請求を全面的に認める判決が出されて、財産の差押えなどにより強制的に支払わされることになります。
調停の段階でもあなたの立場を明確にして、誠実に対応することが慰謝料額の減額に繋がる可能性がありますので基本的に無視することはおすすめできません。
③婚約不成立または正当な理由のある婚約破棄であることを主張する
それでは調停や訴訟などの裁判手続において、アナタはどのような主張をすればよいのでしょうか。
相手方の慰謝料請求を拒否するためには、そもそも婚約が成立していないという主張が考えらます。婚約の成立を証拠によって立証する責任があるのは慰謝料を請求している相手方ですので、なんら証拠がない場合には、アナタは婚約自体の不成立を主張することができます。
また、婚約自体は認めても「正当な理由」のある婚約破棄であるので慰謝料支払い義務はないと主張することも考えらます。その場合「正当な理由」を基礎づける事実の立証責任はそれを主張する側(アナタ)にありますので、証拠により主張・立証する必要があります。
ただし、慣れない裁判手続きに一人で出席するだけでも緊張しますし、婚約破棄の正当な理由を自分一人で立証できるか心配な方も多いでしょう。したがって、相手から請求の連絡が来た時点ですぐに弁護士に相談し、調停や裁判に向けた準備を進めておくべきです。
③減額交渉をする
上記に対して、正当な理由のない婚約破棄によって慰謝料を支払う義務が発生している場合には、減額交渉する必要があります。
同種事案と比較して慰謝料相場がどうなのかを検討する必要があります。相手方にも一定の責任があり減額の余地がある場合には、交渉が必要となります。
婚約破棄で慰謝料請求されたが解決に至った事例
ここでは、婚約破棄の慰謝料請求をされた方が当事務所の弁護士に依頼し、解決に至った事例を2つ紹介します。
慰謝料を減額できた事例
この事案の男女は、マッチングアプリで知り合い交際を開始しましたが、男性が不当に婚約を破棄したとして慰謝料を請求された事案です。
相手方の女性は男性の子どもを妊娠していたが、婚約破棄に伴い中絶をするに至ったとして慰謝料400万円超を請求していました。
男性から相談を受けた弁護士は、婚約は成立していなかったものの、妊娠・中絶については男性側にも責任があることから慰謝料の減額を交渉しました。女性側は訴訟を提起して慰謝料満額を請求しましたが、交際と復縁を繰り返していたため、明確な婚約の成立は立証されていませんでした。
結果として、裁判上の和解が成立し、男性側の意向通り約100万円の解決金を支払うことで解決しました。
慰謝料を支払わずに済んだ事例
この事案は、親族トラブルが原因で婚約が解消されたにもかかわらず、後日相手方から婚約破棄による慰謝料が請求された事案です。
本件では、結婚準備の段階で男性側の両親がさまざまな口出し・横槍を入れてきたことから当事者間の関係が劣悪になり、最終的に話し合いによって婚約を解消することになりました。しかし、男性側の親族が女性に対する不満が収まらないということで、婚約破棄の一方的な責任を追及されてしまったのです。
女性から相談を受けた弁護士は、相手方と話し合い・交渉を行い、本件婚約は合意解約されているため、不当破棄にはあたらないことを、懇切丁寧に説明しました。
結果的には、弁護士からの説明を受けた結果、相手方が請求を取り下げるという形で解決することができました。
婚約破棄をして慰謝料請求されたら弁護士に相談
婚姻破棄により慰謝料の請求をされた場合には、弁護士に相談してください。
婚姻は届出によって形式的に判断することができるのに対し、婚約はさまざまな事情を考慮して判断されることになります。また、婚約が有効に成立していたとしても、慰謝料を減額できる要素が存在しているため、適切に減額交渉を行いたいという場合は、必ず弁護士に相談する必要があります。
婚約破棄トラブルに詳しい弁護士に依頼すれば、事案に応じた証拠の収集方法や、有利な主張・立証を行ってくれるため、法的な責任を否定・軽減できる可能性が高まります。
当事務所では、婚約破棄の慰謝料請求に関する交渉を得意としており豊富な解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者の利益のために全力を尽くしますので、婚約破棄をして慰謝料請求されてお困りの方は、是非一度当事務所の弁士までご相談ください。
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