「不倫を会社にばらすと脅迫されていて仕事が手につきません」「危害を加えられるのではと怖くて仕方ありません」
『自業自得なのはわかっています。でも、助けてください…』
こういった相談が弁護士に頻繁に入っておりますが、正直な回答をさせていただきます。
確実に相手の脅迫的行動を止める手立てはありません。
不倫関係が拗れて脅迫に走る者は、恋愛感情・憎悪・憎しみ・恨み・復讐心など様々な感情が入り混じっているため、冷静さを欠いています。そのため、警察や弁護士が介入しても、確実に相手が行動に移すことを阻止できるとは言い切れないのです。
しかし、何もせずに相手の脅しに従い続けるわけにはいきません。ここでアナタは自分がとれる最善の対処法を選択しなければなりません。
そこでここでは、男女問題に詳しい弁護士が、不倫相手やその配偶者から脅迫されたときにとるべき対処法をわかりやすく丁寧に解説していきます。
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不倫で脅迫される典型的パターン
まずは、アナタが今置かれている現状がどのパターンに当てはまるのか、そして相手の脅迫言動がどのような犯罪と結びついているのか、しっかりと確認しておきましょう。
脅迫される
別れを切り出されたことで、”捨てられた”、”遊ばれた”と感じた不倫相手が、「不倫をあなたの会社(人事部や上司)や奥さん(ご主人さん)にばらす」「別れるなら殺してやる」などと脅すのが典型例です。
自分だけが悔しい思いをするのが許せないといった恨みの感情からこのような台詞を口にします。
そのほかにも、不倫相手の配偶者が、「うちの夫(妻)と次に会ったらぶん殴る」「(起こす気もないのに怖がらせる目的で)訴えてやる」などと脅すケースもあります。
これらの発言があれば、脅迫罪(刑法222条)が成立する可能性があります。2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。
なお、実際に不倫の事実を会社にばらせば名誉毀損、自宅や職場に乗り込んで大声でばらすなどの行為をすれば、建造物侵入や威力業務妨害という犯罪にもなります。
恐喝される
不倫相手の配偶者に関係がばれてしまい、「慰謝料を払わなければ、お前の家族や近所の人、会社に不倫していたことをばらす」「不貞の慰謝料を払わなければ危害を加えるぞ」と脅されることがあります。
脅すことで慰謝料の金額を吊り上げる目的のほか、配偶者と不倫をした相手から高額な金銭を脅し取ることで復讐心を満たす目的があります。
自分の配偶者と不貞関係があった者に慰謝料を請求するのは正当な権利ですが、脅して金品を要求すれば、恐喝罪(刑法249条)が成立する可能性があります。10年以下の懲役刑とかなり重い罪となります。
不倫相手の両親に慰謝料を請求するケース
自分の配偶者が不倫をしていた場合、その配偶者の不倫相手の両親に慰謝料を請求するケースがあります。
しかし、慰謝料請求は、あくまでも不法行為(今回は不貞行為)をした者に対してのみできるものです。その者の両親に支払義務は一切ありません。
もちろん、その両親が任意に肩代わりするのであれば問題はないのですが、「アナタ方が慰謝料の肩代わりをしないとお子さんの人生が滅茶苦茶になってしまいますよ」と脅して要求すれば、恐喝罪になる可能性もあります。
退職を強要される
社内不倫が不倫相手の配偶者に知れてしまい、その配偶者から、「会社を辞めなければ、上司や社長に言い付けてやる」と脅されることがあります。
自分の配偶者を寝取った相手が、これから先も配偶者と同じ職場で働くことで、再び性的関係を持つのではないかという不安からそのような言動に走るのです。
しかし、不倫・不貞をしたことによる精神的苦痛は慰謝料といった金銭により賠償されるのが原則です。
また、社内不倫をしたからといって会社を退職しなくてはならない義務はありません。脅迫して退職に追い込むことは強要罪(刑法223条)となる可能性があるでしょう。3年以下の懲役刑となります。
交際の継続を強要される
不倫関係の解消を申し出たところ、「俺と別れるならお前を殺して俺も死ぬ」「家庭を壊されたくないなら関係を続けろ」などと脅し、交際関係を解消できないように阻止して、不倫の継続を強要するケースもあります。
脅すことで相手を繋ぎとめておきたいという目的ですが、次第に惨めな気持ちになり、相手に対する憎悪の感情が膨らむ危険性があります。
そもそも不倫は民法の不法行為に該当し、違法です。違法な行為を継続しなくてはならない義務がありません。脅迫して義務のないことを行わせることは強要罪となる可能性があります。
不倫で脅迫されたときの対処法
相談者
先生、これまでは不倫をばらすと脅せば、脅迫や恐喝になることを教えてもらいましたが、具体的にどう対処すればよいのでしょうか。私には妻と子供もいますし、そう簡単に転職できるわけでもなく、会社を辞めるわけにはいきません。妻子や会社に知られずに解決する方法はあるのでしょうか?
弁護士
冷たい言い方になりますが、”確実に秘匿できる対処法”といったものはありません。
相談者
そうなんですか!?例えば、内容証明郵便を送るとか、警察に逮捕してもらうとかはどうですか?
弁護士
内容証明郵便は単なる手紙に過ぎません。脅してきている相手がそれを読んだところで、不倫をばらすことは容易にできます。また、警察に逮捕されたとしても初犯なら高確率で執行猶予がつきますし、そうでなくとも必ずまた一般社会に舞い戻ってきます。その後、報復であなたの自宅や職場に乗り込んでこない保証はありませんよね。
相談者
それはそうですが…インターネットで色々調べると、脅してきている相手に内容証明郵便で警告を与えると事態が収まるとう記述もあるのですが…
弁護士
なるほど。ネットには情報が氾濫していて、あなたは何を信じて行動すればいいのか見失っている状態だと思われます。それでは、これから3つの対処法を紹介しますので、あなたの望む、”家族や会社に知られずに解決する”にはどの対処法が向いているのかを一緒に検証していきましょう。
1.警察に被害届を出す
弁護士
相手の言動次第では、脅迫罪や恐喝(未遂も含む)、強要(未遂も含む)、などの犯罪に該当することは先述しました。警察が被害届を受理してくれれば捜査が開始される可能性がります。もし逮捕に至れば身柄拘束されますのでひとまずは安心できます。
相談者
”ひとまず安心”というのは、やはり、報復の懸念があるということでしょうか?
弁護士
全く無いわけではないですが、ケースとしては稀です。理由としては、初犯であれば大抵のケースでは執行猶予付きの判決となるのですが、執行猶予期間中に法に触れるような報復行為をすれば猶予が取り消されて刑務所暮らしとなりますので、復讐した時の自分に跳ね返ってくる損害が大きいからでしょう。
弁護士
また、当初は頭に血が上って感情的になっていた加害者も、逮捕されて刑事裁判にかけられている段階で、自分が犯した罪を認識し冷静さを取り戻してくるのが普通です。釈放されるまでずっと、怨恨の感情を維持できる人の方が少ないでしょう。もちろん相手も人間ですので、確実にそうだとは言い切れませんが。
相談者
では、不倫をネタに脅されたら直ぐに警察に駆け込んだほうが良さそうですね
弁護士
幾つかの問題点もありますので必ずしもそうとは言えません。
まず第一に、もし被害届が受理されても即逮捕とはなりません。まずはあなたが警察に協力して、長時間にわたる事情聴取を受けることになります。そしてそれをもとに警察は捜査を開始し、証拠が固まれば逮捕に踏み切ります。その間に相手が暴走して不倫の事実を周囲に暴露しないとも限りません。
相談者
たしかに相手が興奮状態にあれば時間を引き延ばすのは容易ではないかもしれませんね…
弁護士
そうですね。また、もし加害者が逮捕・起訴されて刑事裁判になったときは、あなたが証人として出廷しなくてはならないこともあります。裁判は平日の日中に行われますのでお仕事を休まなければならなくなります。
相談者
仕事が忙しくてとてもじゃないですが休みをとることはできません。出廷を拒否することはできないのでしょうか?
弁護士
刑事訴訟法第143条で、原則として裁判所は誰でも証人として呼んで尋問できるとされています。出廷を拒否すれば刑事訴訟法151条で、10万円以下の罰金または拘留に処される可能性があります。罰金で済んだとしても前科がついてしまうことになります。
弁護士
また、検察が被告人を有罪にもちこむために、被害者であるあなたに検察側証人として出廷を求める可能性は高いでしょう。自分で被害届を出して相手の処罰を望んだのに、検察側証人の出廷協力をしないというのは筋が通らない話になってしまいます。
相談者
仰る通りですね。協力もせずに自分に都合の良い結果だけ求めることはできませんね。
弁護士
さらに、もう一つ、最も大きな問題点が残っています。それは、警察が現場検証のために自宅や会社に来てしまうことがあるということです。
弁護士
え?!被害者である私の自宅や勤務先に現場検証に来ることがあるのですか?!
弁護士
全ての事案でそうなるわけではないですが、そういうケースも少なからずあります。例えば、あなたが、「慰謝料を払わなければ会社に不倫していたことをばらす」とメールで脅された場合、そのメールを受信したのが自宅や会社にいる時だったとすれば、その受信場所が犯行現場として扱われることがあります。犯行現場である以上は、そこに警察が来て、写真撮影等の現場検証を行うことは当然の流れです。
相談者
色々と話を聞いていると、妻子や職場に知られたくない人にとって被害届を出すことはリスクが高すぎますね…
弁護士
そうですね。被害届の提出はお金がかからない、告訴よりも比較的受理されやすいというメリットはあるものの、まとめると次のようなデメリットがあります。
- 被害届が受理されても捜査が開始されるかどうかは警察次第
- 捜査が開始されたとしても逮捕してくれるかどうかは不明
- 逮捕されるにしても、被害届の提出から逮捕までかなりの日数がかかることもある
- 刑事裁判に被害者が証人として出廷しなくてはならない可能性がある
- 自宅や会社に警察が現場検証に来ることがある
弁護士
こういった理由から、家族や会社に不倫の事実を知られたくないことを優先するのであれば、被害届は適任ではないかもしれません。
ただし、加害者が、アナタやアナタの家族の生命や身体に危害を加えるような発言や様子がみられるようであれば躊躇無く警察に駆け込んでください。緊急性の高い案件であれば警察もすぐに対応してくれるでしょう。
2.内容証明郵便を送る
相談者
不倫をネタに脅迫してきている人に、内容証明郵便で警告を出せば事態が収まると書いてあるサイトをネットで見つけたのですが、そもそも内容証明郵便とはなんでしょうか?
弁護士
内容証明郵便とは、いつ、誰が誰にたいし、どんな内容の文書を送ったのかを証明してくれる郵便局のサービスです。言った言わないのトラブルになった際に活用できる便利なサービスですが、法的な力はなにもないので、いわば単なる手紙と同じです。
相談者
でもそのサイトには、「これ以上の脅迫・恐喝行為をするなら警察に訴える」と書いて内容証明郵便で送れば、加害者も逮捕を恐れて何もしてこなくなると説明されていましたが…
弁護士
それでは、逆に聞きますが、それは内容証明郵便でないと伝えられないことですか?今の時代、メールやLINEなどでもメッセージは送れますし形にも残ります。裁判においても電子メッセージは証拠として採用されています。
相談者
たしかに言われてみれば…法的効力がないのであればメールと変わらないですね
弁護士
そうですね。それともう一つ質問したいのですが、アナタが逆の立場ならどうでしょう。つまり、不倫の末に相手と揉めている状況で、相手から一方的に「アナタは犯罪を犯している。これ以上やるなら警察に突き出すよ」と手紙が届いたら、アナタはどう感じますか?
相談者
私が脅している方の立場だとしたら…
自分が脅しているのが悪いとはいえ、一方的に責められている気分がして腹が立つかもしれませんね…
弁護士
まさにそこなんです。不倫トラブルの難しい点は。
もともとは不倫とはいえ恋愛感情は存在していたわけですので、関係が拗れると余計に相手を恨みやすい傾向があります。可愛さ余って憎さ百倍という諺が当てはまるかもしれませんね。
相談者
仰る通りですね。では、内容証明郵便を加害者に送るのは逆効果なので一切しないほうが良さそうですね…
弁護士
矛盾しているようですが、内容証明郵便が全く意味をなさないというわけではありません。例えば、内容証明郵便を送って警告を与えたにもかかわらず、不倫していることを会社にばらされたとします。警察としても、被害者が警告を与えた後に行動を起こすのは悪質だと判断して、逮捕に踏み切ってくれる可能性が若干高まります。ただしこれは事後的な効果ですので、不倫を周囲に知られたくないという希望には沿わない結果ですね。
弁護士
それともう1点、弁護士を代理人としてたてて、代理人弁護士として内容証明郵便を送る方法もあります。弁護士は法律家の中で唯一、刑事告訴の代理ができる権限を国から与えられていますので、相手に与える警告の重みが違います。一般の方が刑事告訴をしても受理してくれない案件でも、弁護士が代理すると、事件として取り扱ってくれる可能性は高くなるからです。
相談者
たしかに弁護士が味方についているとなると、相手も行動を起こすのを躊躇してくれるかもしれませんね。
弁護士
はい。ただし、アナタの名前入りで内容証明郵便を送ろうが、代理人弁護士の名前入りで送ろうが、相手にしてみれば一方的に責められている気持ちになることには変わりません。感情的になって暴走して、不倫をしていたことを暴露してしまうリスクは完全には拭えないのです。
3.弁護士に交渉してもらう
相談者
被害届の提出や、内容証明郵便の送付のリスクについては理解できましたが、ではいったいどうすれば家族や勤務先に知られずに穏便に解決できるのでしょうか?
弁護士
先ほどもお伝えしましたが、警察への被害届も、内容証明郵便の送付も全く効果がないわけではありません。しかし、物事には順序というものがあります。恋愛感情・愛情・憎悪といった感情が交差する男女トラブルにおいては、まずは相手の話を聞くことから始めなくてはなりません。
相談者
既に相手には私から何度も自分の考えや気持ちを話してきましたがそれでも今現在このような状況です…
弁護士
不倫の当事者や関係者の間でいくら話をしたところで収拾はつかないでしょう。逆に相手の感情を逆撫でしてしまうことも考えられます。ここでは、当事者とは無関係な第三者、特に、男女問題に強い弁護士を介入させることをおすすめします。
相談者
共通の友人や知人を間に挟むのと、弁護士を介入させるのとでは相手の受け止め方は違いますか?
弁護士
これも、立場を逆にして考えてみればわかることです。逆にあなたが脅している側の立場であったとして、相手が共通の友人・知人に事を話して、その友人知人がアナタを諭してきたとしたらどう受け止めますか?
相談者
まず、私が感情的になって相手を脅迫したり恐喝したりしている事実を友人知人に漏らされたことで恥をかかされたと感じるでしょうね…それに、まるで複数人から責められているようで追い詰められた気分になると思います。
弁護士
そうですね。結果的に、内容証明郵便を一方的に送りつけるのと同じで、相手を逆上させかねない行為です。それに対し、弁護士はあくまでも”仕事として”あなたの代わりに相手と話をする役目を担っています。あくまでも業務として関わっていることは相手も理解はしてくれます
相談者
たしかに、弁護士は代理交渉することを仕事として引き受けているというのは世間一般で認識されていますね。
弁護士
はい。ですので、感情を荒げてアナタを恫喝している相手でも比較的冷静になって話ができる相手として、弁護士は最適な立場にあるといえます。もちろん相手も人間ですので、必ず穏便に事が進むとは言い切れませんが、弁護士の交渉力次第で事なきを得る可能性は高まるでしょう。
相談者
では、弁護士に相手との交渉を依頼した場合、どのような流れになるのでしょうか?
弁護士
まずは相手に電話やメール、書面で受任通知(依頼を受けて仕事を受任したことを知らせること)を入れ、話し合いの場を設けたい意思を伝えます。こちらの一方的な希望や考えを伝えるのではなく、相手の言い分もしっかりと聞く姿勢が大切です。
もちろん状況に応じて法的措置等の毅然とした対応をとらなければならないこともあります。弁護士の連絡にも応じない場合には最後の手段として内容証明郵便による警告もありえますし、さらには、即刻刑事告訴の手続きに入ることもあります。この判断は、これまでの経験に基づいて弁護士が判断することになります。
相談者
そう考えると、交渉してもらう弁護士選びは本当に大事ですね。今後の私や家族の人生がかかっていますので。
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