
「離婚調停中だけど、気になる異性と会ってもいいのだろうか」「食事や連絡くらいなら、不貞行為にはならない?」と迷っていませんか。
離婚調停中でも、異性と会うだけなら、肉体関係がない限り不貞行為にはなりません。ただし、ホテルや自宅で二人きりで過ごすなど、会い方によっては肉体関係を疑われ、配偶者から慰謝料を求められたり、調停で不利に扱われたりするおそれがあります。
離婚が成立するまでは、婚姻関係が継続しており、法律上はまだ夫婦です。会う前に、どのような会い方が問題になるのかを知っておきましょう。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が次の点を解説します。
- 異性と会うと不貞行為になるのか
- どこまでなら会っても問題ないか
- 会っていたことが知られたときのリスク
- 不貞行為を疑われたときにすべきこと
お読みいただくことで、今の会い方を続けてよいのか、控えるべきなのかを自分で判断できるようになります。
なお、調停中の異性との関係でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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離婚調停中に異性と会うと不貞行為になる?
不貞行為にあたるかどうかを分けるのは、異性と会ったかどうかではなく、その相手と肉体関係をもったかどうかです。
離婚調停とは、家庭裁判所で、裁判官と調停委員(民間から選ばれ、夫婦の話し合いを仲立ちする人)を交えて、夫婦が離婚や離婚条件を話し合う手続きです。調停で離婚の合意ができ、それが調書(調停の結果を記録する書面)に記載されたときに調停が成立します(家事事件手続法268条1項)。それまでは、離婚調停中であっても法律上は夫婦のままです。
当事者の話し合いで離婚する協議離婚でも、離婚届を出して受理されるまでは夫婦です。離婚協議中に異性と会う場合も、考え方は変わりません。
不貞行為とは配偶者以外の人と肉体関係をもつこと
不貞行為とは、結婚している人が、自分の意思で配偶者以外の人と肉体関係(性的関係)をもつことです。最高裁判所も、昭和48年11月15日の判決で、不貞な行為をこの意味で示しています。
そのため、離婚調停中でも、肉体関係がなければ、異性と会う、連絡を取る、食事に行くといった交流は、それだけでは不貞行為になりません。肉体関係があったと判断される行為の具体例は「どこからが不貞行為?あたる・あたらない行為と浮気・不倫との違い」で解説しています。
不貞行為が問題になる場面は2つあります。1つは離婚の場面で、現行の民法770条1項1号は「配偶者に不貞な行為があったとき」を、裁判で離婚を求められる理由(離婚原因)の一つとしています。もう1つは慰謝料の場面で、不貞行為は配偶者の権利や利益を傷つける行為として、損害賠償(慰謝料)の対象になりえます(民法709条)。離婚調停中の不貞行為でも、離婚原因になるかどうかと、慰謝料を支払う責任を負うかどうかは、それぞれ別に判断されます。
婚姻関係が既に破綻していれば責任を負わない
離婚調停中に肉体関係をもった時点で、夫婦の関係がすでに破綻していた(修復の見込みがない状態になっていた)場合は、交際相手も、肉体関係をもったあなた自身も、原則として慰謝料を支払う責任を負わないと考えられています。
最高裁判所の平成8年3月26日の判決は、夫婦の一方と第三者が肉体関係をもった当時、夫婦の婚姻関係が既に破綻していたなら、特段の事情がない限り、その第三者は不法行為責任(損害を賠償する責任)を負わないと判断しました。守られるべき夫婦の共同生活の平和が、その時点ではもう失われているからです。この判決が直接述べているのは交際相手(第三者)の責任ですが、同じ理由から、破綻した後に肉体関係をもったあなた自身も、通常は慰謝料の責任を負わないと考えられています。
破綻していたかどうかは、たとえば次のような事情をあわせて判断されます。
- 別居している期間の長さと、別居に至ったいきさつ
- 同じ家に住んでいても、寝室・食事・家計が別々で、会話もほとんどないか
- 夫婦の双方が離婚することで一致しているか(離婚届に二人とも署名したなど)
- 別居の後も一緒に出かけたり、やり直そうと話し合ったりしていないか
注意したいのは、離婚調停中というだけで、破綻していると認められるわけではないことです。別居して間もない場合や、調停の場で配偶者がやり直しを望んでいる場合には、破綻は認められにくいでしょう。自分では「もう終わっている」と思って異性と会う場合でも、裁判所は慎重に判断します。
また、完全には破綻していなくても、それに近い状態だった場合は、慰謝料の額を減らす事情として考慮されることがあります。
どこまでなら会ってよい?連絡・食事・宿泊など行為ごとの線引き
離婚調停中に異性と会うことを禁じる法律はありません。気をつけたいのは、肉体関係があったと推認される(直接の証拠がなくても、周りの事情から関係があったと判断される)ような会い方と、会っていたことが発覚したときの不利益です。行為ごとに、どこまでなら問題になりにくいかを見ていきます。
LINEや電話で連絡を取り合う
離婚調停中でも、仕事の用件や友人としてのやり取りであれば、LINEや電話で異性と連絡を取ること自体は問題ありません。
一方で、「会いたい」「好きだ」といった恋愛感情がうかがえるメッセージや、ホテルの予約・泊まりの約束を思わせるやり取りは、肉体関係を推認させる材料として使われることがあります。画面は撮影や転送で簡単に残るため、送った内容が配偶者の手に渡る可能性も考えて、異性と会う約束を含め、やり取りの中身に気を配りましょう。
食事やデートに出かける
離婚調停中に1度食事をしただけで、不貞行為になったり慰謝料の支払い義務を負ったりすることは通常ありません。昼間に人目のある店で異性と会う程度なら、問題になりにくいでしょう。
ただし、同じ相手と頻繁に会う、夜遅くまで二人きりで過ごす、個室の店ばかりを選ぶといった会い方が重なると、交際していると受け取られやすくなります。肉体関係がなくても、親密な付き合いが度を越えて夫婦の平穏な生活を害したと評価されれば、慰謝料の対象になる余地もあります。食事だけの付き合いで慰謝料を求められたときの対応は「既婚者との食事だけでは不貞行為にならない!慰謝料請求された場合の対処法」をご参照ください。
離婚調停中に気になる人ができても、その気持ち自体が責められるわけではありません。ただ、恋愛関係として付き合いを深めるのは、離婚が成立してからにするほうが安全です。
宿泊する・自宅やホテルで二人きりになる
離婚調停中に異性と会うとき、泊まりがけの外出や、密室で二人きりになる会い方は、肉体関係を強く疑われます。ラブホテルに一緒に入った、二人で旅行に出かけて同じ宿に泊まった、夜にどちらかの自宅を訪れて朝まで出てこなかった、といった事実は、肉体関係を推認させる典型的な事情です。
こうした事実が写真や記録などの証拠で示されると、「何もなかった」と説明しても受け入れてもらうのは難しくなります。ビジネスホテルで別々の部屋に泊まった場合でも、それを裏づけるものがなければ疑いは残ります。すでに親しくしている相手、いわゆる浮気相手と会い続けている場合は、とくにこうした会い方は避けるべきです。
マッチングアプリや婚活で相手を探す
離婚調停中にマッチングアプリや婚活パーティーで離婚後の相手を探すことも、法律で禁じられてはいません。
ただ、これらは恋人や結婚相手を見つけるための場です。利用していることが配偶者や調停委員に知られると、婚姻中なのに次の相手を探していると受け止められ、誠実さを欠くと評価されやすくなります。アプリで知り合った異性と会うときも、ここまでの会い方の注意はそのまま当てはまります。
異性と会っていることが発覚したときの3つのリスク
離婚調停中、異性と会っていたことが配偶者に知られた場合に生じうる不利益は3つです。このうち慰謝料と有責配偶者の問題は主に肉体関係があった場合に生じるものですが、調停委員の心証は、会っていただけでも悪くなるおそれがあります。
配偶者から慰謝料を請求される
離婚調停中に異性と会う中で肉体関係があり、その時点で夫婦関係が破綻していなかった場合は、慰謝料の支払いを配偶者から求められる可能性があります。調停中とはいえ、夫婦の平穏な共同生活を守るという配偶者の利益を傷つけたと評価されるためです。
請求を受けるのは、あなただけではありません。肉体関係をもった相手も、あなたが既婚者と知っていた場合や、知ることができた場合には、あなたと連帯して(どちらに対しても支払いを求められる形で)配偶者から慰謝料を請求される立場になります。相手に迷惑をかけたくないと思っていても、相手のもとに直接請求が届くこともあります。
慰謝料の額は、関係が続いた期間や会っていた頻度、もともとの夫婦関係の状態、不貞行為が原因で離婚に至ったかどうか、などの事情で大きく変わります。なお、実際には肉体関係がなかったのに請求を受けたときは、請求の根拠そのものを争える場合があります。請求を争う場合の具体的な進め方は「最後までしてないのに不貞行為?慰謝料請求された場合の対処法」もあわせてご確認ください。
調停委員の心証が悪くなり話し合いで不利になる
調停では、調停委員が夫婦それぞれから交互に話を聞き、双方の言い分を調整して合意点を探ります。その途中で、あなたが異性と会っている写真やメッセージが配偶者の側から示されると、調停委員は、あなたのこれまでの説明がどこまで信用できるのか、離婚を急ぐ理由がほかにあるのではないかと考えるかもしれません。
調停委員はどちらかの味方をする立場ではありません。それでも、説明の信用性に疑問をもたれると、たとえば「性格が合わない」といったあなたの言い分が通りにくくなります。配偶者の側も、示した写真やメッセージを足がかりに慰謝料などを強く求めやすくなり、話し合いがあなたにとって不利な方向へ傾くおそれがあります。
子どもがいる場合は、調停で親権者についても話し合います。親権者は、父母の双方とするか一方とするかも含めて、子どもの利益を基準に決められます。異性と会うことそれ自体は、親権の判断に直接影響することは多くありません。ただし、子どもを預けて頻繁に出かけていた、子どもの世話よりも相手と過ごす時間を優先していたといった事情があれば、子育てへの向き合い方として問題視され、親権の話し合いで不利に働くこともあります。
有責配偶者となり離婚が認められにくくなる
有責配偶者とは、不貞行為などによって、夫婦関係が壊れる原因を主に作った側の配偶者のことです。調停で合意できず、離婚裁判に進んだ場合、有責配偶者かどうかは結論を大きく左右します。
離婚調停中に肉体関係をもち、それが婚姻関係の破綻する前の不貞行為と認められると、離婚の原因を作ったのはあなただと評価され、有責配偶者とされかねません。そうなると、あなたから離婚請求をしても、配偶者が拒んでいる限り、裁判所は原則として離婚を認めません。
もっとも、夫婦の年齢や同居していた期間と比べて別居が相当長く続き、夫婦の間に経済的に自立していない子(未成熟子)がいない場合で、離婚によって配偶者が極めて苛酷な状況に置かれるといった特段の事情もなければ、有責配偶者からの請求でも離婚が認められる余地があります。ただ、離婚調停中という段階でこうした条件を満たすのは簡単ではなく、離婚までの道のりが長引くことを覚悟しなければなりません。
異性と会う中でこうした不利益が生じないか心配な場合は、早めに弁護士に相談し、今の状況で何に気をつけるべきかを確かめておくと安心です。
離婚調停中に異性と会って不貞行為を疑われたら弁護士に相談を
離婚調停中でも、肉体関係のない交流なら不貞行為とはされません。ただ、会い方によっては関係を疑われ、慰謝料や調停・離婚裁判での不利益につながる場合があります。
離婚調停中にすでに配偶者から不貞行為を疑われている場合は、感情的に否定して言い争うのではなく、いつ・どこで・どのように会ったのかを冷静に説明できるよう整理しておきましょう。慰謝料を請求されても、示された金額をそのまま受け入れて支払う必要はありません。会った当時すでに別居が長く続いていた、離婚することで双方が一致していたなど、夫婦関係が破綻していたことを示す事情があれば、それを立証できるやり取りや記録をそろえておくことも大切です。
弁護士に相談すれば、肉体関係を推認されるおそれがあるか、破綻を主張できるか、請求された金額が妥当かを、具体的な事情に即して見極められます。配偶者との交渉ややり取りを弁護士に任せることで、精神的な負担を軽くすることもできます。
調停が長引く中で、異性と会う機会や気になる人との関係に悩むのは自然なことです。一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
当事務所は、不倫・不貞行為をめぐる慰謝料のご相談に力を入れています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

