まず、あっさりと辞めさせてくれる風俗店は、”優良店に限る”ことを肝に銘じておくべきです。
「なんか怖いんだけど…事情を説明しても風俗を辞めさせてくれないの?」と思われる方もいることでしょう。
思ったほど稼げない、彼氏・結婚相手ができた、昼間の普通の仕事に転職したい、体調を壊した、家族に身バレしたなど、風俗嬢をやめたいと思う事情は人それぞれです。
角が立たないよう、「稼げないので辞めます」と言うことは避けるにしても、事情をちゃんと伝えればすんなりと辞めさせてくれるのが、まさに”優良風俗店”です。
しかし残念なことに、悪質な店に勤めてしまったがために、脅迫されて風俗を辞めれない状況に陥っている女性も少なくありません。一刻も早く今のお店と縁を切りたいのに、苦しい気持ちで毎日を過ごしている女性も多いと思います。
安全・安心に今のお店を辞めて、本気で新しい生活のスタートを切りたい方は、少し文章は長いですが、これから弁護士が解説する内容を最後まで読んでどう行動すべきかを考えていただけたらと思います。
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目次
風俗を辞めれない人のためのQ&A
店側としては女の子に辞められたら売り上げが下がるので必死です。しかし、彼らが女の子を引き止めるための言動は、多くのケースにおいて法律に違反しています。
実際に、以下のように店に言われて辞めさせてもらえないという相談が弁護士事務所に多く寄せられています。
- ①親や学校、昼の職場に風俗で働いていることをバラす
- ②風紀違反の罰金を払うまでは辞めさせない
- ③入店時に1ヵ月前に申し出ないと罰金が発生すると契約した
- ④払わないなら自宅や実家に押しかける
- ⑤飛んだら、ヤクザを使って追い込みをかける
- ⑥組んだシフトが終わるまで辞めさせない
そこでここでは、風俗を辞めたい人に役立つ法律知識や情報を、キャストの女の子と弁護士のQ&Aの対話形式でわかりやすく紹介していきます。
契約期間を過ぎないと辞めることはできない?
風俗業界では女性は店と雇用契約(労働契約)ではなく、一般的には業務委託契約を結んでいることが多いでしょう。業務委託契約で風俗店で勤務している場合、辞めるためには契約の満了と途中解約の2つの方法があります。
契約で業務期間が定められている場合、更新手続きをしない限り店との業務委託契約は終了することになります。事前に取り交わした契約書を確認して、契約期間や更新に関する規定について確認してください。
これに対して、契約期間中に途中解約できる場合もあります。
途中解約に関して「書面による通知を1か月前までに」と合意している場合には、その合意内容にしたがって解約の申し入れをする必要があります。
業務委託契約の内容に違反して女の子が辞めたことで店に損害が生じたら、お店に対して賠償しなくてはならない可能性がでてきます。
また、風俗店の店長やオーナーも人間ですので、黙って姿を消したら感情的になるのは当然です。社会人として最低限のマナーは守るべきでしょう。相手が怒れば、履歴書や住民票を入店時に渡しているはずですので、自宅や実家、通っている学校などに押しかけてくることもあり得ます。
ただし、体調を崩してしまい働ける状況ではないケースや、店の男性スタッフによるパワハラやセクハラが原因で精神的に出勤できない状況に追い込まれたなどの事情がある場合は、即日辞めても賠償請求は認められないでしょう。
しかし、そういった事情をしっかりと説明もせずに飛んでしまった場合には責任を負う可能性があるので絶対にやめましょう。
そういった理由があったのですね。実は委任契約はどちらの当事者も理由なく解除することできるとされています(民法第651条1項)。これは委任契約は当事者間の信頼関係を前提として成立するため、信頼関係がなくなった当事者間では契約を継続させる意味がないと考えられているからです。
店側に不利な時期に委任を解除した場合等には相手方の損害を賠償しなければなりませんが、「やむを得ない事由」があったときには、損害賠償責任を免れることができます。
罰金を払い終わるまでは辞めれない?
風俗店によっては、バイトの掛け持ちのほか、ドライバーやボーイとの恋愛、無断欠勤・当日欠勤・遅刻などをすると罰金を払わせるルールを作っていることがありますね。
しかし、風俗店がスタッフに課した罰金、払わなくてもいいって本当ですか?に関する記事で詳しく解説していますが、風俗店がお客さんや店のスタッフに罰金を課すことは法律上認められていません。なぜなら、”罰金”というのは、国が犯罪を犯してしまった人に課す刑事罰ですので、単なる民間企業である風俗店が罰金を徴収することはできないのです。
店と業務委託契約を結んでいるフリーランスの場合、雇用ではありませんので基本的には自由に兼業することができます。ただ、業務委託の場合、違約金等についても自由に合意して決定することができます。
しかし、事業者(会社)が優越的な地位を濫用して一方的に競業避止義務を課した場合には独占禁止法違反となります。
バンス(前借)を返済するまでは辞めれない?
退店するときは一括返済することを条件とする金銭の貸付については、たとえ書面を取り交わしていたとしてもそのような合意は無効となる可能性があります。
風俗営業法第18条の2(第31条の3で準用)で、風俗営業者は、接客従業員(スタッフ・コンパニオン)に対して、辞める時には一括返済することを条件として、高額な貸付をしてはならないと決められています。高額とは、従業員の給料からして不相当なほど高い金額のことです。
アナタの働いているお店はどうやら”稼げない”店のようですので、経営者は風俗営業法違反として罰せられる可能性があります。強引に引きとめて辞めさせてくれないようであれば、風営法違反を盾に争うことも一つの手段です。
風俗勤務をバラすと脅されたらどうすればいい?
まだ学生なのですがピンサロで働いています。先日店をやめたいと店長に伝えたら、「この人手が足りない時に辞められたら困るんだよね。辞めるなら学校や親に連絡するけどいい?」と言われました。
もちろん親には内緒でバイトしていますし、学校にも知られたくありません。
風俗で働いていることは、女の子にとっては「一般に公表されたくない」事実といえます。ですので、親や、就学している学校にそのことを知られたくなければ継続して勤務しろと脅すことは、名誉に対する危害を加えることを告げることですので脅迫罪になる言葉となります。また、暴行や脅迫を用いて義務のないことを行わせることで成立する強要罪にあたる可能性もあります。
※なお、学校や、昼間の勤務先に風俗勤務を本当にバラした場合には、周りにその情報が広がる可能性があることから名誉毀損罪が成立します。
これらの罪は、逮捕されて懲役刑になる可能性があるほど重い罪ですので、もし刑事事件になっても構わないようであれば警察に被害届を出すのも一つの手段です。
しかし、大ごとにはしたくない、自分の口から店長やオーナーに反論する勇気がない人も多いでしょう。そのため、後述する”具体的な解決策”をよく読んで検討してください。
ヤクザが関わってくることはある?
風俗営業の届け出を公安委員会に出していないような”裏風俗”であればあり得る話ですが、通常はまずあり得ません。
警察はヤクザを逮捕したくて手ぐすねを引いて待ち構えています。もしカタギ(一般人)を脅迫したとなれば即刻警察が逮捕してくれます。
また、ヤクザの名前を出すと脅迫罪になる?にも書いていますが、もしオーナーや店長がヤクザの名前を出せば、脅迫罪(2年以下の懲役、または30万円以下の罰金)が成立します。
さらに悪質なケースでは、恐喝罪や、強要罪、暴力行為法違反などの、脅迫罪よりも重い罪で処罰されることになります。
女性一人を店に留めておくためや、請求根拠のない罰金を取り立てるために、逮捕されるリスクを踏んでまでヤクザに依頼することもありませんし、引き受けるヤクザもいません。安心してください。
退店届を出せば簡単に辞めれるって本当?
退店届というのは、一般企業でいうところの「退職届」のことです。風俗業界では「退店届」と呼ばれていることが多いですが、名前はどちらでも問題ありません。問題は、退店届を店に出せば、「脅迫や強引な引き止め行為が収まるかどうか」ですよね?まずは実際に、退店届とはどういうものか見てみましょう。「退店届サンプル」←ここをクリック
そうですね。退店届というのは、単にお店に対して「私は〇月〇日をもって辞めます」と伝えるだけの書面ですので。
中には数万円もの費用で退店届の作成代行をしている業者があるようですが、ネットで「退職届 フォーマット」と検索すれば簡単に無料で手に入ります。
わざわざネット検索するのが面倒な方のために、「退店届フォーマット(wordファイル)」をクリックすればダウンロードできるようにしておきますね。
どうやら誤った情報に振り回されているようですね…
内容証明郵便というのは、「〇月〇日に、誰から誰に対して、どういった内容の手紙が送られたのか、後から郵便局が証明してくれるサービス」のことです。先ほどの退店届のフォーマットに必要事項を記載し、e内容証明という郵便局のネットサービスを利用すれば、誰でも簡単に1265円で内容証明をお店に送れます。
内容証明郵便で退店届を出せば、後から風俗店と、「辞めると言った」「いや、言ってない!」と揉めた時に、郵便局に、「たしかに××さんは、〇月〇日に、お店を辞めると言いましたよ(正確には手紙を送りましたよ)」と証明してくれますので便利ではあります。
しかし、内容証明郵便というのは郵便局のサービスの一つに過ぎません。送られてきたところで受け取る義務もなく、読まずにゴミ箱に捨てても、読んで破り捨てても、なんらの罰則もありません。もちろん法的効力もありません。
ということは、退店届を店に送っても意味がないということですよね?
というのは、内容証明郵便を送るときに、「弁護士の名前入り」で送れば、店側は、無理な引き止めや脅迫言動を行えないようになります。
なぜそうなるのかは、弁護士による交渉を読めばわかります。
風俗を辞めさせてくれない時の具体的な解決策
風俗店側がなんと言おうと、女性は法律的にはやめることができることを説明しました。
しかし、いくら法律が味方していても、店長やオーナーを目の前にして、法律違反を指摘してお店をすんなりと辞める自信がある女性は少ないでしょう。これまで、委託者と受託者といった立場で接してきた相手に、急に法律知識を振りかざして、問題なく対処するのは非常に難しいかもしれません。
そこで、自分で店側とうまく交渉する自信がない人のためにここでは具体的な解決策を2つ紹介したいと思います。
警察に逮捕してもらう
風俗店が脅したり罰金を科してアナタが辞めるのを阻止したのであれば、刑法の各種犯罪が成立する可能性があります。彼らが警察に捕まれば、アナタを店に縛り付ける相手はいなくなりますので自由の身になります。
そうなった場合、ほとんどのケースでは、オーナーや店長は弁護士を通じてアナタに示談の申し入れをしてきます。示談書には、今後、風俗店関係者がアナタやアナタの家族、周囲の人へ連絡や接触を一切しないという内容も当然盛り込まれます。そして、もし約束を破った場合は高額な違約金を店はアナタに支払うといった条項も示談書には入るので安心です。
ただ、穏便に解決を図りたい、おおごとにしたくないといった女性からすれば腰が引けてしまうかもしれません。
警察への被害届の提出は最後の手段にとっておいて、極力穏便にお店を辞めたい人は次の解決策を参考にしてください。
弁護士による交渉
いきなり警察沙汰にすることに抵抗がある人もいるでしょうし、状況によっては民事不介入として警察が被害届を受理してくれないこともあるでしょう。
このような場合は、弁護士に代理人になってもらい、オーナーや店長と自分の代わりに退店手続きの交渉をしてもらうようにしてください。
弁護士は、警察・検察への刑事告訴の代理、金額の上限がない民事事件の取り扱い、刑事弁護の全ての権限を国から与えられている唯一の資格です。もし、風俗を辞めたいと考えている女性に、脅迫・恐喝・強要・労働基準法違反の行為等を行えば、弁護士であれば、刑事告訴や民事訴訟で風俗店に責任をとらせることが可能です。
もちろん、風俗店の責任者レベルであれば、弁護士が介入しているのに依頼主である女性に危害を加えれば、自分達が逮捕・賠償請求されることは十分に理解しています。そのため、店側は女性への連絡をやめて弁護士との交渉のテーブルにつくしかありません。
お店の人ともう話したくないし、顔も合わせたくない。辞めたいといっても辞めさせてくれないのは目に見えている。脅されていて怖くて泣き寝入りしている。そんな方は、弁護士に全てを任せて自分を苦しい立場から解放してあげてはいかがでしょうか。
当法律事務所は、風俗店がアナタやアナタの家族、他の職場、学校等に連絡したり、支払い不要の罰金等の要求をストップさせることを得意としております。弁護士が全力で貴女を守ります。全国どこからでもお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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