ヘルスで盗撮をして示談金10万円を支払った男性が、金額に納得がいかないためお金を取り戻したいというご相談がありました。
示談書は、風俗店が行政書士に作成してもらったものを使用しています。
どのような結果となったのか早速見ていきましょう。
※個人情報保護のため、ご相談内容の一部を変更しております。
【相談内容】風俗の盗撮で支払った示談金10万円を取り戻したい
先日、名古屋市内のヘルスを利用しました。以前から何度か指名している女性なので気心が知れていることから少し気が大きくなってしまったのと、この後しばらく風俗を利用することができなくなることから、恥ずかしながら行為を撮影して保存しておきたいと考えました。盗撮しようと行動に移したのは今回が初めてです。
そのため、小型カメラを購入してカバンに入れ、ばれないように店舗に持って行きました。
いつものように女性と雑談をしながらわからないようにカバンを置きましたが、カバンの口が開いていることを不審に思ったようで女性から「カバン開いてるよ」と言われてしまいました。
ただ、この女性になら大丈夫なのではないかという甘えが生じてしまい、「これはなんでもない、大丈夫」とカバンのことはそのまま流してサービスを受けました。
女性はその後特に怪しんだ素振りもなかったため、ばれていないと思っていましたが、行為が終わった後で「お店の人呼ぶから待ってて」と外に出て行きました。
数分して男性が個室に入ってき、「女性スタッフが盗撮されたのではないかと言っているんですが、念のためカバンを見せてもらっていいですか」と言われ、盗撮していたことがばれてしまいました。
男性はカメラを見つけて「盗撮してますよね?盗撮は規約違反ですがどういうつもりですか?」とやや強めの口調で言ってきたため、とにかく謝罪し、「データも消去してくださって結構です」と伝えました。
データさえ消去すればそれで終わりかと思っていたのですが、その後免許証のコピーを取られ、「この示談書にサインして示談金を支払ってください」と言われました。
示談金は10万円と、サラリーマンの私にとってかなり高額でしたが、「女性が動揺して向こうで泣いてしまっている」「警察にはいかないから安心しろ」と言われ、盗撮をしてしまった負い目もあり、後日振り込むことも合わせて示談書2通に記載してサインをしました。
サインした後に、示談書に不備はないだろうか…と気になったため店員に聞くと、「盗撮の示談書なんてフォーマットが決まってるから、1度行政書士に作成してもらったものをコピーして使いまわしている」「どこの店でも同じだよ。1万くらいで作成できるから気になるなら自分でその行政書士事務所に行って作り直すか?」と言われましたが、早くその場を立ち去りたかったためそれは断りました。
次の日通勤途中に10万円を指定口座に振り込みましたが、よくよく考えてみると、その場でデータも消しているし10万円という額は高いのではないか、そう思うようになりました。
可能であれば取り戻したいと考えているのですが、一度支払ってしまったお金を取り戻すことはできますか?
【解決の流れ】相談のみでご納得いただけました
今回は電話での相談のみで最終的には受任に至りませんでしたが、相談者には納得していただけました。
今回相談者が盗撮をしたヘルスは名古屋ですが、愛知県迷惑防止条例二条の二 2項1号に違反しており、逮捕されれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑に処せられます。
初犯であり、盗撮データもその場で消去されていることから、警察に逮捕されない余地もありますが、確実ではありません。
相談者は正社員で15年以上会社勤めをしており、独身とはいえ、身柄拘束された時の損害は計り知れないでしょう。10万円の比ではありません。
また、今回のケースでは10万円という示談金額は妥当と考えていいでしょう。
ただ、正直なところを言うと、今回の示談はかなりの不安要素が残るものとなっています。
風俗トラブルの当事者同士で示談を交わしても、悪質風俗店であれば示談書の内容を反故にして再び金銭要求をしてくるケースがあるからです。
さらに今回は、示談書を交わす当事者は、お客である相談者と女の子のはずで店は無関係です。
とすれば、風俗店の店長が女の子の代理人として示談を交わすのであれば、女の子の委任状がなくてはなりません。
今回は委任状がない状況で店と示談を交わしたことになっており、後で女の子から慰謝料請求を受けてもおかしくない状況です。
また、盗撮被害者である女の子と示談が済んでいないとなると、被害届を出されれば、示談していない時よりも逮捕される可能性が高まります。
ただ、幸いなことに、この風俗店は、当法律事務所の弁護士が介入した事案でよく知ったお店でした。
けして悪質な店ではなく、盗撮がその場で発覚した場合は一律10万円の示談金と出禁扱いで処理する優良店です。
弁護士が、相談者が置かれたこれらの状況を伝えたところ、逆にこの金額で解決したことがラッキーであったと安堵されておりました。
また、万一、当該風俗店や女の子から接触を図ってくるようなことがあれば、いつでも弁護士にご相談くださいと合わせてお伝えました。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
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