- 「キャバクラでお客さんに盗撮された…慰謝料請求できるのだろうか…相場はどれくらいだろう…」
- 「キャバクラで盗撮された場合にどう対処すればいいのだろう…」
このようにお考えではないでしょうか。
結論から言いますと、キャバクラで盗撮されたら慰謝料請求が可能です。慰謝料相場は10万円~50万円程度ですが、キャストが被った被害の程度によってはそれ以上になることもあります。また、示談交渉することで相場よりも高額な慰謝料を得られる可能性もあります。そのため、一旦は警察に被害届を提出し、加害者から示談の申し入れを待つことが得策と言えるでしょう。
この記事では、風俗トラブルに強い弁護士が、
- キャバクラで盗撮された場合の慰謝料相場
- キャバクラでの盗撮は犯罪になるのか
- キャバクラで盗撮された場合の対処法
などについてわかりやすく解説していきます。
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目次
キャバクラで盗撮されたら慰謝料請求できる?
慰謝料請求は可能?
キャバクラで盗撮された場合には、被害者は加害者に対して慰謝料請求できる可能性があります。
顧客による撮影行為は、民法上の不法行為に該当する可能性があるためです。
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害する行為をいい、加害者は不法行為によって生じた損害を賠償する責任を負うことになります(民法第709条参照)。
この点、無断で下着や性的部位が撮影された場合には、違法な盗撮行為になることに疑いはないでしょう。
また、人格的自立権を保障してる憲法13条の趣旨より、「何人も、その承諾なしにみだりに容貌・姿態を撮影されない自由」を有していると言われています(最高裁判所昭和44年12月24日判決)。そして、自己の肖像や氏名などを撮影・公開されない権利は、肖像権やプライバシー権として保護されています。
とくに写真は、被写体本人が公然と見せている容姿や行動をそのまま撮影した場合であっても一瞬を固定することから現実と異なる印象を与える場合もあり、またそうでなくても見る者に強い印象を与えるため、被写体側では掲載について不快感や困惑を覚えることがあるでしょう。
また、キャストの顔が写った写真や動画をネットで公表されると、襲撃や誘拐、ストーカー等の犯罪に利用されるおそれもあり、一定の行動・状態を撮影した写真はその内容によりプライバシーを侵害しあるいは名誉を毀損する可能性があります。特にキャバクラや性風俗店の従業員は源氏名を使用して働いているケースが多く、キャバクラでの稼働を個人が特定できる方法で公表することは、プライバシー権を侵害する可能性が高いです。
したがって、下着や性的部位が撮影されていなくても、キャスト個人が特定できる写真や動画を盗撮された場合や、それらをSNSや掲示板といったネット上に投稿された場合には、肖像権やプライバシー権の侵害として慰謝料請求できる可能性があります。
慰謝料相場は?
慰謝料とは、盗撮されたことに対する精神的苦痛を補償するために支払われる一定の金銭のことを指します。
盗撮による慰謝料の相場としては、「10万円〜50万円」程度が相場でしょう。盗撮行為がなんらかの刑事犯罪に該当する可能性が高い場合には、罰金などの刑罰の金額が参考にされることもあります。
ただし、キャバクラでの盗撮による慰謝料の金額については、撮影された内容の有無や、個人の特定の程度、写真や動画がネットに拡散されるなどしてキャストが被った被害や不利益の大きさなど個別の事情に応じてケースバイケースで判断されることになります。
したがって、ご自身のケースで加害者に慰謝料を請求できるかどうか、またどれくらいの相場になるのかについては、法律の専門家である弁護士に相談することで教えてもらえるでしょう。
キャバクラでの盗撮は犯罪?
お客はどんな罪に問われる?
キャバクラで盗撮する行為は、刑事犯罪に該当する可能性があります。盗撮行為が該当する可能性がある犯罪行為としては、以下のようなものが考えられます。
- 性的姿態撮影等処罰法違反
- 各都道府県の迷惑防止条例違反
- 建造物侵入罪、偽計業務妨害罪
2023年7月13日から施行された「性的姿態撮影等処罰法」により、正当な理由がないのに、性的姿態等を撮影することは撮影罪として「3年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されることになります。盗撮がキャストやボーイに見つかって未遂に終わった場合でも処罰の対象です。
新設された性的姿態撮影等処罰法における「性的姿態等」には、以下のようなものが含まれます。
- 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
- 人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられているもの)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
- わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態
撮影罪について詳しくは、撮影罪とは?刑法改正で令和5年7月13日に施行された盗撮の罪を解説をご覧になってください。
また、新法適用前の盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例に違反する可能性もあります。
東京都迷惑防止条例を例にすると、「公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする」場所や乗物において、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」は禁止されており、違反した場合には「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。キャバクラは飲食店であり、公共の場所と言えるため、キャバクラでの盗撮は迷惑防止条例違反となります。
このほかにも、盗撮目的でキャバクラ店に出入りすることは、店のオーナーなど管理権者の意思に反する立ち入り行為であるとして、建造物侵入罪の構成要件に該当する可能性があり、そのうえ、盗撮行為が発覚して店側に無用の対応を強いた場合には、偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪に問われるおそれもあります。
ネットで拡散したり人に渡した場合は?
それでは、キャバクラで盗撮した写真や動画をインターネットで拡散したりデータを人に渡した人は処罰の対象となるでしょうか。
これについて、新設された性的姿態撮影等処罰法では、撮影または記録された性的姿態等の画像(性的影像記録)を、「特定・少数の者に提供」する行為も禁止されています。例えば、「キャバ嬢の下着が写った写真をお譲りします」と謳って画像を販売したり、特定の友人・知人に無償で渡すケースが典型例です。これに違反した場合には、「3年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されることになります。
さらには、上記の性的影像記録を「不特定・多数の者に提供または公然と陳列」する行為も禁止されています。例えば、Twitter(現X)や掲示板に写真や動画をアップロードして不特定多数の人が見れる状態にした場合が該当します。これに違反した場合には、「5年以下の懲役」または「500万円以下の罰金」が科されることになります。
そのうえ、同法では、インターネットで生配信する行為も禁止されています。「不特定・多数の者」に対して、性的姿態等の影像を送信(ライブストリーミング)した場合には、「3年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されることになります。例えば、アフターで性行為にまで至り、その様子をスマホ等で盗撮しネットに生配信したようなケースです。
キャバクラで盗撮された場合の対処法
手順①:店長や黒服に伝え警察を呼んでもらう
それでは、キャバクラで盗撮されたことに気づいた場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。
盗撮被害に遭ったと分かった場合には、店長や黒服に伝えて警察を呼んでもらい被害届を出してもらうようにしましょう。盗撮されたキャストがお客に直接指摘すると、誤魔化されたりして強引にその場で盗撮画像や盗撮動画を削除・抹消されてしまうおそれがあります。
そのため、盗撮されたと気づいた場合には、化粧室などに行くふりをして一時的にその場を離れて、店長や黒服などのスタッフに被害を報告しましょう。顧客への対応は店の責任者に任せ、警察に通報してもらう必要があります。
手順②:加害者と示談交渉する
店側が被害届を提出すると、警察は事実関係を捜査して捜査報告書など資料を作成しなければなりません。被害届と慰謝料との間には法的な関連性はありませんが、慰謝料を相手方に請求するためには、盗撮行為によって精神的な損害が発生したことを立証しなければなりません。
被害届や告訴状を提出すれば、捜査機関が加害者の特定や盗撮行為の事実について国家警察権をもって調べてくれますので、証拠や資料を収集してくれることになります。
そして、お客が被疑者として逮捕されると、早期に釈放してもらうためや、検察官に起訴されて刑事罰を科されて前科がついてしまうことを避けるために、キャストに対して示談交渉の申し入れがなされる可能性もあります。
お客とキャストとの間で示談が成立した場合には、被害者から許しを得ている・被害が一定程度回復しているとして、早期釈放や起訴猶予の不起訴処分となる可能性が高まるのです。
そのため、キャストがある程度高額な慰謝料を請求してもお客がそれに応じる可能性が高くなりますので、示談交渉をすることで相場以上の慰謝料を獲得できる可能性もあるのです。
手順③:示談交渉は弁護士に依頼
被害者が逮捕されている場合には、刑事弁護人についた弁護士から示談の申し入れがなされる可能性が高いでしょう。
したがって、そのような場合には、あなた自身で対応したり店側に一切の手続きを丸投げしないように注意してください。
まず、ご自身で交渉に臨んだ場合には、相場よりも低額な慰謝料が提示されても、その多寡について判断することができないでしょう。一度示談してしまうとその後金額が不服であったとしても取り消すことはほとんど不可能です。
また、店側に弁護士との交渉を任せた場合には、警察の捜査が継続することやこれ以上騒ぎが大きくなって店のイメージが損なわれることを懸念して、低額な慰謝料であっても容易に合意してしまうおそれがあるのです。
弁護士に依頼しておけば、上記のように被害者が不利益を負うことは避けられます。交渉自体も相手方の弁護士と弁護士同士で交渉することができますので、法的に適切な金額で示談がまとまる可能性が高まります。
また、キャバクラで盗撮された女性の中には、おおごとになることを避けるため、その場では警察を呼ばずに盗撮データを回収するだけに留めた方もいることでしょう。その場合でも、弁護士に依頼し、慰謝料の支払いがなされない場合には刑事告訴も視野に入れていることを伝えてもらうことで高額な慰謝料を得られる可能性があります。
したがって、キャバクラで盗撮被害に遭った場合、適正な慰謝料を受け取りたいと考えている場合には、そのようなトラブル解決について経験や実績がある弁護士に依頼することがおすすめです。
当事務所では、盗撮加害者への慰謝料請求の実績が豊富にあります。親身誠実に弁護士が依頼者のために全力を尽くしますので、キャバクラで盗撮被害に遭われた女性で慰謝料請求をご検討中の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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