
掲示板やSNSに誹謗中傷を書き込んでしまった場合、書き込んだ側からの削除依頼は基本的に難しいのが実情です。削除請求の制度は被害者を救済するためのものであり、書き込んだ本人からの依頼にはサイト運営側が応じてくれないケースが大半です。
「あの書き込みで訴えられたらどうしよう」「削除したいけど方法がわからない」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。放置すれば、相手方から発信者情報開示請求をかけられ、損害賠償や刑事告訴に発展する可能性もあります。
この記事では、ネット誹謗中傷問題に詳しい弁護士が、自分の書き込みによって生じる法的リスク、削除依頼が難しい理由、そして削除できなかった場合の具体的な対処法について解説します。
なお、自分の書き込みについて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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自分の書き込みによりどんな結果が生じるか
ネットの世界に限ったことではありませんが、法律に違反する行為をした場合には民事責任と刑事責任を負うことになります。
民事責任
民事責任とは、不法行為により他人の権利や利益を侵害した人が、その被害者の損害を賠償する責任をいいます。
あなたが個人の悪口や誹謗中傷をネットに書き込みしたことで相手が心の傷を負った場合には慰謝料を支払う必要が生じます。その心の傷を治療するために精神科や心療内科に通うことになれば、治療費や通院費、病院へ通うための交通費といった金銭的な負担も発生しますので、それらの支払い義務も生じるでしょう。
また、会社や店舗といった企業の評判を落とすような書き込みをすれば企業イメージの低下による売上減少等の損害につながりますので、その損害を賠償しなくてはなりません。
刑事責任
刑事責任とは、犯罪を犯した者が刑罰を科される責任のことです。
相手の社会的評価や名誉を低下させる書き込みであれば名誉毀損罪や侮辱罪、虚偽の情報により相手の信用を低下させたり業務に支障をきたせば信用毀損罪や業務妨害罪が成立することが考えられます。逮捕されて有罪判決となれば以下のような刑罰をもって償わなくてはなりません。
| 罪名 | 刑罰 |
|---|---|
| 名誉毀損罪(刑法230条) | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 侮辱罪(刑法231条) | 1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 |
| 信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条) | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
誹謗中傷の加害者となった場合に前科がつくリスクや取るべき対応については「ネット掲示板で誹謗中傷の加害者に!前科がつく前にすべきこと」で詳しく解説しています。
自分の書き込みの削除依頼が難しい理由
X(旧Twitter)やFacebookといったSNSでは自分のコメントを削除する機能が実装されていますが、一部の掲示板やブログを除き自分の書き込みを削除する機能はありません。また、被害者(書き込まれた側)が削除依頼するためのフォームは設けられていても、書き込んだ側のものはありません。なぜでしょうか。
削除請求は被害者の権利を守るためのもの
削除依頼フォームによる削除請求以外にも、じつは法律に則った方法が2つあります。一つは情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に定められた送信防止措置依頼という方法で、もう一つは削除の仮処分命令の申立て(または訴訟)といった裁判所を介する方法です。
しかし、どちらの方法も誹謗中傷の書き込みをされた側からしか行えません。なぜならこの削除方法は、名誉権やプライバシー権といった権利を侵害された人を救済するために法律でわざわざ規定したもので、加害者側の「損害賠償請求されたくない」「警察に逮捕されたくない」といった不安を解消するための手続きではないからです。
同じ理由で、各サイトに設置されている削除依頼フォームも、あくまでも被害者側のためのものとサイト運営者は考えています。そのため、加害者側からの削除依頼には基本的には応じてくれないのです。
書き込みをした証明が難しいため
例えば、書き込みをした者が、「スレッド〇〇のレス番号〇〇の箇所は私がつい魔が差して投稿してしまったものです。削除をお願いします」と削除理由を書いて削除依頼をしたとします。しかし、その問題のあるレスが本当に削除依頼をしてきた者によって書かれたものかサイト運営者は判別できません。無関係の第三者が書き込みした者を装っている恐れもあります。その場合にサイト運営側が削除に応じてしまうと実際に書き込みをした人の表現の自由を侵害することにもなりかねません。このように、自分の書き込みであることを証明することが困難であることも、削除依頼が難しいことの原因の一つとなっているのです。
自分の書き込みの削除依頼が通ることもある
削除依頼に応じるかどうかは、サイト管理人や運営スタッフ、削除ボランティアといった"人"が審査・判断します。機械的に行われるものではありません。
先ほど、削除依頼は被害者側のための手続きであり書き込み証明も難しいことはお伝えしました。しかし、削除依頼に応じるかどうかが人の判断で行われている以上、その人を納得させれば削除してくれる可能性もあります。そのためには、「相手の方に大変申し訳なく感じております」「反省しています」「二度とこのような投稿はしません」と深く反省していることがわかるよう削除理由の記載欄に書く必要があるでしょう。
ただし、削除依頼に応じるか否かはサイト運営側次第ですので、しばらく様子を見守るしかありません。早く削除してもらいたいがために何度も削除フォームから申請すると、「自分が法的責任を負いたくないがために焦ってるのではないか」という印象を与えてしまいます。また、何度も削除依頼することは業務妨害となることもありますので、複数回繰り返すことのないよう注意が必要です。
削除依頼が通らなかった場合の対処法
自分の書き込みを削除依頼してみたものの、いつまで経っても削除される気配がないと不安が募ることでしょう。中には、「これ以上は対策のしようがないので放置しよう」と考える人もいるかもしれません。
しかし、現時点ではあなたの書き込みに相手が気付いていないかもしれませんが、いつどのタイミングで相手が気付くかはわかりません。相手が気付き、削除の手続きをするだけならまだしも、サイト運営者やプロバイダに対し発信者情報開示請求をかけてくるかもしれません。
発信者情報開示請求とは、違法な書き込みにより名誉毀損や侮辱、業務妨害といった被害にあった人が投稿者を特定するための手続きのことです。この手続きの過程で、サイト運営者やプロバイダから「意見照会書」、「発信者情報開示請求書」という書面が届くことがあります。この書面は、「貴方のIPアドレスを開示請求してきた人に教えていいですか?」「貴方の氏名や住所を教えていいですか?」という確認のための書類です。「教えないで下さい」と拒否したところで、最終的には発信者情報開示請求訴訟という裁判を起こされてしまえば、あなたの氏名や住所といった個人情報が相手の手に渡ることがあります。開示請求を拒否した場合のリスクについては「発信者情報開示請求は拒否でも大丈夫?拒否するとその後どうなる?」をご参照ください。
投稿者の特定と並行して、民事訴訟や刑事告訴の準備を着々と進めていることが多く、突然訴訟を起こされたり、最悪のケースでは警察に逮捕されて身柄を拘束されることになります。
弁護士による示談交渉・意見照会書の対応
相手が知人であったり、著名人やインフルエンサーなど連絡先が分かる方であれば、弁護士が示談交渉をすることによって、民事訴訟や刑事告訴のリスクを軽減できます。
また、意見照会書や発信者情報開示請求書が届いた段階であっても、弁護士を通じて相手方と示談交渉することで、刑事告訴や民事訴訟にまで発展する事態を防げるケースもあります。問題となる書き込みによっては、意見照会書や発信者情報開示請求書へ適切な法的反論をすることによって、特定を防いだり、賠償額をゼロにすることも可能です。意見照会書が届いた場合の具体的な対応方法は「発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いたらするべきことは?」でも解説しています。
自分の書き込みでお悩みの方は弁護士にご相談ください
自分が書き込んだ誹謗中傷の削除依頼は、制度上、書き込んだ本人からでは通りにくいのが現実です。そして書き込みを放置すれば、相手方から発信者情報開示請求をかけられ、損害賠償請求や刑事告訴へと発展するリスクがあります。
こうした事態を防ぐには、弁護士を通じた示談交渉や意見照会書への適切な対応が有効です。早い段階で弁護士が介入することで、訴訟や告訴に至る前に問題を解決できる可能性が高まります。
「自分の書き込みが相手に知られているかもしれない」「意見照会書や発信者情報開示請求書が届いて対応に困っている」など、精神的な負担を一人で抱え続ける必要はありません。真摯に反省しているからこそ、適切な法的対応を取ることが大切です。
当事務所はネット誹謗中傷問題を数多く取り扱っており、書き込みをしてしまった側からのご相談にも対応しております。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
※現在、当事務所では自分の書き込みの削除の業務は受け付けておりません。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

