
「削除率99%」「成功報酬」とうたう削除代行業者に頼んでも大丈夫なのか、非弁行為なら、すでに払った費用は取り戻せるのか。そんな不安を抱えて調べている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、弁護士でない業者が報酬を受け取って書き込みの削除を代行することは、弁護士法72条で禁止された非弁行為にあたると考えられており、業者との契約を無効とした裁判例もあります。依頼した人が罰せられることはなく、すでに支払った費用も返金を請求できます。
この記事では、ネット誹謗中傷の削除に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 削除代行業者への依頼は違法なのか
- 「弁護士と提携」の業者なら問題ないのか
- 業者に支払った費用を返金してもらえるのか
- すでに依頼してしまった後にすべきこと
お読みいただくことで、業者に頼むべきかどうか、すでに払ったお金をどう取り戻すかを判断できます。
なお、ネット上の誹謗中傷でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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非弁行為とは?削除代行業者が違反する弁護士法72条
報酬を受け取って、サイト運営者に書き込みや口コミの削除を求める削除代行業者の業務は、弁護士法72条が禁止する非弁行為にあたるとされており、東京地裁も同じ判断を示しています。非弁行為とは、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を仕事として扱うことをいい、弁護士法72条は次のように定めています。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索
要件は3つで、①報酬を得ることが目的であること、②法律事件(権利や義務をめぐる争いや疑問がある案件など)に関する法律事務を扱うこと、③業として(くり返し続ける意思をもって)行うことです。違反した場合の罰則は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(弁護士法77条3号)。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
一方で、非弁行為の依頼者が刑事罰を受けることはありません。罰則の対象は72条に違反した者、つまり弁護士でないのに法律事務を扱った業者であって、依頼者を処罰する規定は置かれていないためです。
削除代行はどこまで違法?非弁行為になる理由と裁判例
72条の要件に当てはめると、削除代行業者の業務は次のようになります。
株式会社などの企業である削除代行業者は、弁護士でも弁護士法人でもなく、料金を受け取って請け負う以上、①報酬を得る目的があります。
②については、書き込みの削除申請は、人格権(名誉やプライバシーなどを守る権利)に基づく削除請求権を行使するものです。申請を受けたサイト運営者には削除義務という法律上の効果が生じる場合があり、運営者が拒めば仮処分(裁判所に削除を命じてもらう手続き)で争うことにもなります。そのため、削除の申請は単なる連絡ではなく、法律事件に関する法律事務にあたると考えられます。
③についても、ウェブサイトや広告で継続的に客を集めていれば、業として行っているといえます。
依頼者本人になりすまして申請したり、申請文を作って依頼者に送らせたりする業者もいますが、削除請求権の行使であることに変わりはなく、非弁行為にあたるおそれがあります。
東京地裁は削除代行の契約を無効と判断した
削除代行が非弁行為にあたると裁判所が認めた例として、東京地裁平成29年2月20日判決があります(読売新聞 2017年2月20日報道)。
この事案では、依頼者の男性が業者に自分を中傷する書き込み13件の削除を依頼し、そのうち10件が削除され、業者に約49万円を支払っていました。業者は裁判で「サイトの通報用フォームから削除を依頼しただけで、法律事務ではない」と主張しました。
これに対して判決は、フォームへの入力も人格権に基づく削除請求権の行使であり、サイト運営者に削除義務という法律上の効果を生じさせると判断しました。そのうえで業者の行為を非弁行為と認め、業者が受け取った報酬の全額を返還するよう命じています(慰謝料などの請求は退けられました)。削除に成功した分も含めて返還の対象とされたことからわかるように、返金を求められるかどうかは、基本的に削除の成否ではなく契約が有効かどうかで決まります。
「弁護士と提携」をうたう業者も違法になりうる
「顧問弁護士が対応します」「弁護士と提携しているので安心です」と宣伝する削除代行業者もいます。しかし、契約を結んで料金を支払う相手が業者であれば、法律事務を引き受けているのはやはり業者であり、非弁行為と判断されるおそれがあります。
弁護士の側も、72条などに違反する者から事件の周旋(紹介やあっせん)を受けたり、自分の名義を使わせたりすることを禁じられています(弁護士法27条)。
本当に弁護士が引き受けているかは、申込書や見積書に記載された契約の当事者と振込先の名義が法律事務所になっているかで見分けられます。もっとも、弁護士の名義だけを借りて実際の申請は業者が行っているケースもあり、書類の名義だけでは見抜けないこともあります。
逆SEOや風評監視、自分での削除依頼は違法ではない
好意的な情報を増やして問題のあるページの順位を相対的に下げる「逆SEO」や、インターネット上の書き込みを見張って報告する風評監視は、サイト運営者に削除を迫るものではないので、それだけでは非弁行為にあたりません。
ただし、書き込みそのものは残るため根本的な解決にはならず、確実に消すには削除請求や削除の仮処分が必要です。「風評被害対策」をうたう業者の中にも削除代行まで請け負うところがあるため、依頼する前にサービスの中身を確かめておきましょう。
削除請求と仮処分のどちらを選べばよいか、弁護士に頼むといくらかかるかは「ネットの誹謗中傷を削除するには?削除依頼の方法と費用を解説」をご参照ください。
なお、業者に頼まず、被害を受けた本人が自分で掲示板やSNSの運営者に削除を申請することは、もちろん適法です。
関連記事:送信防止措置とは?削除依頼が無視されても出せる依頼書の書き方
削除代行業者との契約は無効、支払った費用は返金を請求できる
削除代行業者にすでに料金を支払ってしまった場合でも、その費用は返金を求めることができます。
非弁行為を内容とする契約は、公序良俗(社会の秩序や一般的な道徳)に反するものとして無効とされています(民法90条)。契約が無効であれば、業者は法律上の原因がないまま料金を受け取ったことになるため、依頼者は不当利得として、支払った費用の返金を請求できます(民法703条)。
ただし、返金を求める権利には期限があります。権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早いほうが過ぎると、時効によって消滅します(民法166条1項)。なお、2020年3月31日以前に支払った費用については、改正前の民法が適用され、支払った時から10年で時効になります。
すでに支払ってしまった場合にすること
まず手元の資料を残しておきましょう。削除を頼んだ書き込みのURLと画面、業者とのメールやメッセージ、契約書や申込みの画面、振込の記録が、支払ったお金の返金を求めるときの証拠になります。
削除代行業者が返金の交渉にすんなり応じるとは限らず、その場合は訴訟で返還を求めることになりますが、業者に資力がなければ、勝訴しても実際にお金を取り戻せないリスクがあります。
また、書き込んだ人を特定して名誉毀損などの損害賠償を求めたい場合は、時間との勝負になります。投稿者の特定に必要なプロバイダの通信記録は、一定の期間が過ぎると消去されてしまうため、業者とのやり取りに時間をかけるほど特定が難しくなります。投稿者を特定する手続きは「発信者情報開示請求とは?開示命令による手続きを解説」で解説しています。
誹謗中傷の削除や削除代行業者への返金請求は弁護士にご相談ください
削除代行業者が報酬を得て書き込みの削除を請け負うことは、非弁行為にあたるものと考えられ、業者と結んだ契約が無効とされた裁判例があります。依頼者が処罰されることはなく、支払った料金は業者に返金を求めることができます。
誹謗中傷を消したいときは、削除代行業者ではなく弁護士にご相談ください。弁護士であれば、サイト運営者への削除請求から、応じない場合の仮処分、投稿者を特定する発信者情報開示請求、損害賠償請求まで一貫して対応でき、業者に支払った費用の返金請求もあわせてお任せいただけます。
業者に頼んだことを悔やんだり、返金を言い出しにくく感じたりしている方もいるでしょう。書き込みが残っている間は被害が続くため、一人で抱え込まず早めに動くことが大切です。
当事務所はネット誹謗中傷問題に豊富な実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

