
「子供がLINEやSNSで悪口を書かれているようだ」「ネットいじめの原因はどこにあるのだろう」と、不安を抱えている保護者の方もいるのではないでしょうか。
ネットいじめの主な原因は、匿名で書き込めること、文字だけのやり取りで誤解が生まれやすいこと、傷つけている自覚を持ちにくいこと、スマホで子供同士が常につながる環境、教室での人間関係のもつれの5つです。
こうしたいじめは大人の目が届きにくい場所で進むため、その仕組みと兆候を知っておくことが、早期発見で被害を小さくする第一歩になります。
この記事では、ネットの誹謗中傷の解決に取り組む弁護士が、次の点について解説します。
- SNSでのいじめはなぜ起こるのか
- 代表的な事例と怖さ
- 子供を守るために家庭でできる対策
- 被害に遭ったときの対処法と相談先
お読みいただくことで、お子さんのどんな変化に目を向け、被害に気づいたときに何から手をつければよいかを整理できます。
なお、ネットいじめでお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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ネットいじめとは?
ネットいじめとは、LINEやSNS、掲示板、メール、オンラインゲームなどのネットを使ったいじめを指し、SNSいじめやインターネットいじめ、スマホいじめとも呼ばれます。
いじめ防止対策推進法は、同じ学校に在籍しているなど一定の関係にある子供から、心理的または物理的な影響を与える行為を受け、心身の苦痛を感じているものを「いじめ」と定義しています。そして、この行為には「インターネットを通じて行われるもの」も含まれると明記しています(同法2条1項)。同じ学校の子供などからネット上で悪口を書かれたり、仲間外れにされたりして、された子供が苦痛を感じていれば、法律上の「いじめ」にあたります。
代表的な形には、悪口の書き込み、LINEグループからの仲間外れ、本人へのなりすまし、恥ずかしい画像や動画の拡散などがあります。
文部科学省が公表した令和6年度の問題行動・不登校等に関する調査結果によると、学校が把握したいじめのうち、パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされたものは27,365件でした。件数は、前年度から2,687件増え、過去最多となっています。
ネットいじめはなぜ起こる?5つの原因
ネットいじめは、ネットの性質、書き込む側の心理、現実の人間関係といった要因が重なって起こります。主な原因は次の5つです。
- スマホとSNSで子供同士が常につながるようになった
- 匿名で書き込めるため責任感が薄れる
- 文字だけのやり取りでは誤解が生まれやすい
- 相手を傷つけている自覚を持ちにくい
- 現実の人間関係のトラブルがネットに持ち込まれる
スマホとSNSで子供同士が常につながるようになった
こども家庭庁の「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、10〜17歳の青少年の99.0%がインターネットを利用しており、利用する機器ではスマートフォンが78.5%でした。平日1日あたりの平均利用時間は、中学生で約5時間24分、高校生で約6時間44分にのぼります。
スマホが普及した今は、学校から帰った後も、同級生とのやり取りはグループチャットなどで途切れずに続きます。子供同士の関係から離れる時間がなくなったことで、小さな行き違いやからかいがすぐに広がりやすくなりました。これが、ネットいじめの原因の土台になっています。
匿名で書き込めるため責任感が薄れる
SNSや掲示板では、本名や顔を出さずに書き込めます。この匿名性がネットいじめの原因になるのは、「自分が書いたとは分からない」という気持ちからためらいが薄れ、面と向かっては言わないような攻撃的な言葉を書き込んでしまうためです。
ただし、匿名の書き込みでも、法的な手続きによって投稿者を特定できる場合があります。この手続きについては「発信者情報開示請求とは?開示命令による手続きを解説」で詳しく解説しています。
文字だけのやり取りでは誤解が生まれやすい
メッセージや書き込みには、表情や声の調子が伴いません。冗談のつもりの一言が悪口と受け取られたり、短い返事がそっけなく感じられたりします。
悪口だと受け取った側が言い返し、相手も言葉を強めて、やり取りがエスカレートしていくこともあります。対面で話せばすぐに解ける行き違いが、文字によるコミュニケーションでは解けないまま、ネットいじめの原因になってしまいます。
相手を傷つけている自覚を持ちにくい
画面の向こうで相手がどんな表情をしているかは、書き込む側には見えません。そのため、「いじっているだけ」「みんなも書いている」といった軽い気持ちで投稿し、相手を深く傷つけていることに気づかないまま続けてしまいます。
グループの中で一人が悪口を書き始めると、自分も仲間外れにされたくないという気持ちから、周りが同調して加わることもあります。こうして、罪悪感も悪意の自覚もないままネットいじめが広がっていきます。
現実の人間関係のトラブルがネットに持ち込まれる
ネットいじめの原因や背景は、ネットの中だけにあるとは限りません。教室での小さな行き違いや、部活動での不満、友人への嫉妬、以前のけんかの仕返しといった現実の人間関係のトラブルが、放課後のグループチャットや裏アカウント(仲間内だけで使う別のアカウント)に持ち込まれ、悪口や仲間外れに形を変えることがあります。
仲間内だけのグループは外から見えないため、日頃のストレスや不満のはけ口にもなりやすくなります。
ネットいじめの代表的な事例
使われるサービスや手口によって、ネットいじめはいくつかの種類に分かれます。代表的な4つの例を挙げます。
LINEグループから外す・既読無視を責める
ネットいじめの身近な例の一つが、LINEのようなメッセージアプリを使ったいじめです。同級生同士のLINEグループで、特定の子供だけを退会させたり、その子を除いた別のグループを作って悪口を言い合ったりするケースがあります。外された子供は、自分のいないところで何を言われているのか分からず、不安や孤立感を募らせます。
また、LINEではメッセージを読むと相手の画面に「既読」と表示されます。すぐに返信しないと「既読無視した」と責められ、いじめのきっかけとなる場合もあります。文字だけのやり取りで生まれる行き違いが、そのまま原因になる例です。
学校裏サイトやSNS・メールに悪口を書き込む
学校裏サイトとは、在校生などが学校の公式サイトとは別に作った掲示板やSNSのアカウントのことです。パスワードをかけたり、検索で見つからないようにしたりしているものが多く、教師や保護者が中身を確かめるのは簡単ではありません。こうした場所や裏アカウントに、特定の子供の悪口や個人情報、プライバシーにかかわる情報が書き込まれます。誰が書いたのか分からないため、被害者となった子供には、クラスの誰もが敵のように見えてしまうこともあります。
一方で、メールやLINEのほか、X(旧Twitter)やインスタグラムなどのSNSのダイレクトメッセージ(DM)で、悪口を本人に直接送りつけるケースもあります。周りの目に触れない1対1のやり取りでは書き込む側に歯止めがかかりにくく、それがネットいじめの言葉が過激になる原因にもなります。
本人になりすまして投稿する
なりすましは、本人の名前やあだ名、写真をプロフィールに使ってSNSのアカウントを作り、本人が書いたかのように悪口や恥ずかしい内容を投稿するネットいじめです。送信元を偽った「なりすましメール」で、他の人に嫌がらせのメッセージを送る事例もあります。
周りは本人の投稿だと思い込むため、友人との関係が壊れたり、本人が責められたりする二重の被害につながります。
恥ずかしい画像や動画を広める
着替えや失敗した場面をこっそり撮影したり、本人が友人だけに送った写真を無断で転送したりして、グループやSNSに広めるネットいじめもあります。
18歳未満の子供の性的な画像であれば、広めた行為が児童買春・児童ポルノ禁止法の児童ポルノの提供などにあたる可能性があります。
ネットいじめの特徴と怖さ
ネットいじめの怖さは、被害が広がりやすく、逃げ場がなく、周りからも見えにくいという3つの特徴にあります。
一度広まると消すのが難しい
ネットいじめの書き込みや画像は、スクリーンショットや転載によって、元の投稿を離れて拡散していきます。元の投稿を削除できても、一度広まった複製まですべて消すのは難しく、ネット上に残り続けることがあります。
何年も後に名前を検索したときに見つかるなど、進学や就職の時期まで影を落とすおそれもあります。だからこそ、広まる前の早い段階で対応を始めるのが肝心です。すでに広まってしまった書き込みや画像を消す方法については「デジタルタトゥーの消し方|自分で消す方法と弁護士への依頼費用」で紹介しています。
家にいても逃げ場がない
教室でのいじめであれば、学校を出ればいったん離れられます。ところがネットいじめは、原因の一つである「常につながる環境」のもとで起こるため、スマホに届く通知を通じて、夜も休日も24時間、自宅の中にまで入り込んできます。自分の部屋にいても悪口が気になり、何度もSNSを確かめてしまう子供もいます。
こうした状態が続くと、眠れない、食欲が落ちる、学校に行けなくなるなど、心理的にも身体的にも深刻な影響が出かねません。追い詰められて命にかかわる事態に至るおそれもあるため、様子の変化を軽く見ることはできません。
周りの大人が気づきにくい
ネットいじめは、仲間内のグループやパスワード付きの掲示板など、外からは見えにくい場所で行われることが少なくありません。持ち物を隠されたり、あからさまに無視されたりするいじめと違い、周囲が異変に気づくきっかけが少ないため、教師や保護者など周りの大人による発見が遅れがちです。
被害者の子供自身も、親に話したことが相手に知られて仕返しされるのを恐れたり、家族に心配をかけたくないと考えたりして、なかなか打ち明けられません。こうしたためらいが、発見の遅れの原因になっています。
子供をネットいじめから守るために家庭でできる対策
ネットいじめをなくすには、学校での取り組みだけでなく、家庭でのふだんの関わりも欠かせません。家庭でできる対策を、3つに分けて説明します。
子供の様子の変化に気づく
次のような変化が続くときは、ネットいじめを受けているかもしれません。
- 以前より元気がなく、一人で過ごす時間が増えた
- スマホの画面を親に見せないように隠す
- 通知の音が鳴るたびにおびえた様子を見せる
- SNSを何度も確かめる、または急に使わなくなった
- 学校や友達の集まりに行きたがらない
問い詰めると、子供はかえって口を閉ざしてしまうことがあります。「何か困っていることはない?」と落ち着いて声をかけ、話してくれたら最後まで聞き、あなたは悪くないと伝えてあげましょう。
ネットの使い方を家庭で話し合い、ルールを決める
ネットいじめを防ぐには、スマホやSNSの使い方とネットリテラシーを家庭で話し合い、子供と一緒にルールを決めておくことが有効です。
使う時間や場所を決め、個人情報や写真を載せないこと、困ったことがあればすぐに家族に話すことを約束しておきましょう。送信する前に文面を読み返し、「面と向かって同じことを言えるか」と考える習慣は、原因の一つである「相手を傷つけている自覚の持ちにくさ」への備えになり、子供が知らないうちに加害者になるのを防ぐことにもつながります。
フィルタリングを設定する
18歳未満の子供が使うスマホについて、携帯電話会社は、フィルタリング(有害な情報を見られないように制限する機能)の利用を条件として回線を提供することが法律で義務づけられています(保護者が利用しない旨を申し出た場合を除きます)。
見知らぬ人とのトラブルや、有害な情報に触れる機会を減らせますが、フィルタリングだけでネットいじめを防げるわけではありません。家庭のルールとあわせて活用するのが現実的です。設定方法が分からないときは、契約している携帯電話会社に問い合わせてみてください。
ネットいじめの被害を受けたときの対処法
ネットいじめの解決策は一つではありませんが、被害に気づいたら、まず証拠を残しましょう。そのうえで、学校などへの相談、投稿の削除依頼、相手との接点を断つこと、必要に応じた警察への相談や法的措置の検討を、状況に合わせて並行して進めます。
いじめの証拠を保存する
ネットいじめの書き込みやメッセージは、相手が消してしまうと確かめられなくなります。見つけたら、削除される前にスクリーンショットで保存しておきましょう。保存するときは、次の点が分かるようにします。
- 書き込みやメッセージの内容(悪口だと分かる前後のやり取りも含める)
- 投稿したアカウントの名前やID
- 投稿の日時と、保存した日時
- 投稿のURL
保存した画像は日付順にまとめておくと、学校や警察に相談するときに経緯を説明しやすくなります。
学校に相談し、対応を求める
ネットいじめの被害に気づいたら、保存した証拠を持って学校に相談し、対応を求めましょう。ネット上のいじめでも、原因が教室の人間関係にあるなら、学校が間に入ることで解決に向かう例もあります。
いじめ防止対策推進法は、学校に対し、子供がいじめを受けていると思われるときは速やかに事実を確認して設置者(教育委員会など)に報告すること、いじめがあったと確認できたときは、いじめをやめさせて再発を防ぐため、被害を受けた子供と保護者を支援することなどを求めています(同法23条)。学校の対応が十分でないときは、教育委員会に相談する方法もあります。
学校以外の公的な相談窓口もあります。文部科学省が設けている「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)は、夜間や休日を含めていつでも相談でき、原則として電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。法務省の「こどもの人権110番」(0120-007-110・平日午前8時30分〜午後5時15分)では、法務局の職員などに相談できます。
投稿の削除を依頼する
悪口の書き込みや画像は、転載や拡散で広がる前に、できるだけ早く削除を求めることが大切です。SNSや掲示板の多くには、利用規約に反する投稿を通報する機能や、削除を求める窓口があります。
やり方が分からないときは、総務省の委託事業である「違法・有害情報相談センター」に相談すると、削除依頼の方法などについて助言を受けられます。また、ネットいじめを受けた子供や保護者は、削除を求める際に、必要に応じて法務局の協力を求めることもできます(いじめ防止対策推進法19条3項)。
削除依頼の具体的な手順については「ネットの誹謗中傷を削除するには?削除依頼の方法と費用を解説」で詳しく解説しています。
ブロックなどで相手との接点を断つ
ネットいじめのメッセージや悪口が続くときは、相手をブロックしたり、ミュート(相手の投稿を自分に表示しない機能)や通報の機能を使ったりして、目に入る機会を減らしましょう。
ただし、ブロックやグループからの退会、アカウントの削除をすると、それまでのやり取りを見返せなくなることがあります。必ず証拠を保存してからブロックしてください。
いじめの原因が教室の人間関係にあり、相手が同じ学校の子供であれば、アカウントを消しても、別のアカウントや教室で関わってくることがあります。SNSをやめるだけで解決するとは限らないため、学校などへの相談とあわせて進めましょう。
警察への相談や法的措置を検討する
ネットいじめの中には、犯罪にあたるものがあります。たとえば、不特定または多数の人が知りうる状態で人の名誉を傷つけたり侮辱したりすれば、事実を挙げた場合は名誉毀損罪、挙げていない場合は侮辱罪にあたる可能性があります。また、本人や親族の生命・身体などに害を加えると告げて脅せば、脅迫罪にあたる可能性があります。
ネットいじめで処罰を求めたいときは、保存した証拠を持って最寄りの警察署に相談できます。警察庁も、書き込みが表示された画面を印刷し、詳しい情報を記録したうえで相談するよう案内しています。ただし、名誉毀損罪と侮辱罪は、被害者などが刑事告訴(捜査機関に被害を申告して処罰を求めること)をしなければ起訴されない親告罪です(刑法232条1項)。告訴は、原則として犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります(刑事訴訟法235条)。手続きの流れについては「ネットの誹謗中傷を名誉毀損罪で刑事告訴する流れを弁護士が解説」もあわせてご確認ください。
匿名の投稿でも、発信者情報開示請求(SNSの運営会社などに投稿者の情報の開示を求める手続き)によって、投稿者を特定できる場合があります。投稿者が分かれば、慰謝料(精神的な苦痛に対する賠償金)などの損害賠償を請求できることもあります。
時間がたつと投稿者の特定が難しくなることがあるため、開示請求や損害賠償の請求を考えている場合は、早めに弁護士に相談してください。慰謝料などの損害賠償を請求する場合の相場や手順については「名誉毀損の慰謝料相場はいくら?請求できる条件を弁護士が解説」をご参照ください。
ネットいじめの被害でお困りの方は弁護士にご相談ください
ネットいじめは、匿名性や文字だけのやり取りといったネットの性質に、書き込む側の自覚の薄さや友人関係のトラブルが重なって起こります。家庭で見守りながら防ぎ、被害に気づいたら証拠を残して早めに動くことが、被害を広げないための鍵です。
弁護士に依頼すれば、投稿の削除から加害者の特定、慰謝料の請求や刑事告訴まで、一貫したサポートを受けられます。保護者だけでは難しい手続きも、弁護士が代理人として進めるため、ご家族の負担を軽くしながら解決を目指せます。
お子さんが傷ついている姿を見るのは、保護者にとってもつらいことでしょう。SNSや掲示板で書き込みを見つけた方、学校に相談したものの解決に至っていない方は、一人で悩まずにご相談ください。
当事務所はインターネット上の誹謗中傷問題に注力しております。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

