
Googleマップやグルメサイトに店の悪い口コミを書かれ、「これは営業妨害ではないか」「どうにかして消せないか」と悩んでいる経営者の方もいるのではないでしょうか。
星1つだけの評価や「おいしくなかった」といった感想は、それだけでは違法になりにくいのが原則です。ただし、嘘の内容で店の信用を落とすものや、事実を示して店の評価を下げるものは、内容によっては犯罪にあたり、削除や、書いた人への賠償・処罰の請求で対処できる場合があります。
この記事では、ネットの誹謗中傷や口コミ被害の対応に強い弁護士が、次の点について解説します。
- どんな口コミが営業妨害になるのか
- 星1つや「まずい」だけでも違法になるのか
- 悪い口コミを削除してもらう方法
- 書いた人に賠償や処罰を求める方法
お読みいただくことで、書かれた内容が法的に争えるものかを見分け、次に何をすべきかを判断できます。
なお、こうした被害でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をご覧いただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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口コミは営業妨害になる?違法かどうかの基準と具体例
「営業妨害」は法律上の罪名ではありません。口コミが違法かどうか、書いた人がどんな法的責任を負うかは、主に次の罪や責任にあたるかで判断します。
- 信用毀損・偽計業務妨害(刑法233条):嘘を拡散したり人をだましたりして、店の信用を傷つけ、または営業を妨げる罪
- 名誉毀損(刑法230条):多くの人の目に触れる場所で事実を示し、店や人の社会的評価を低下させる罪
- 侮辱(刑法231条):事実を示さずに、多くの人の目に触れる場所で店や人をおとしめる罪
- 不法行為(民法709条):故意や過失で他人の権利や利益を侵害した人が、損害を賠償する責任を負う民事上のルール
Googleマップや、ぐるなび・ホットペッパーなどのグルメサイトの口コミは誰でも読めるため、「多くの人の目に触れる場所」にあたります。事実を示さずに「店主は人として最低」などとおとしめるだけの口コミでも、侮辱罪が問題になりえます。業務妨害罪の種類や刑罰は「業務妨害罪とは?どこから成立?罪の種類別に刑罰や具体例を解説」で詳しく解説しています。
ここからは、どんな口コミが違法になるのかを、内容ごとに具体例で見ていきます。
星1つや「まずい」だけの口コミは違法になりにくい
星1つだけの評価や、「まずい」「接客がいまひとつだった」といった感想・意見を書いた口コミは、原則として違法にはなりにくいといえます。味や接客の感じ方は人それぞれで、利用した人が率直な評価を書くことは、表現の自由の範囲として許されやすいためです。
店にとっては営業妨害に思えるほど厳しい批判や評価でも、それだけを理由に削除や賠償を求めるのは難しいでしょう。
もっとも、来店していない人が低評価を付けている場合や、同じ人が複数のアカウントで低評価を重ねている場合は、Googleのポリシーに違反する投稿として削除を申請できることがあります。また、感想の形をとっていても、虚偽の事実を書いていれば信用毀損罪などに、店や店主をおとしめる言葉を並べていれば侮辱罪に、それぞれあたる可能性があります。違法かどうかの線引きは、評価の厳しさではなく、書かれた内容で決まります。
嘘の口コミは信用毀損罪・偽計業務妨害罪になりうる
「料理に虫が入っていた」(実際には入っていない)、「この店は客をだまして高い料金を取る詐欺だ」のように、事実と違う内容で店の評判を落とす口コミは、営業妨害として信用毀損罪や偽計業務妨害罪にあたることがあり、書いた人は刑事責任を問われる可能性があります。
信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)の法定刑は、3年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金です。店の商品やサービスへの信頼を落とす場合は信用毀損罪、店の営業を妨げる場合は偽計業務妨害罪が問題になります。
もっとも、口コミを書かれた店の側からは、投稿者が本当に来店したのか、書かれた出来事が実際にあったのかを確かめにくいものです。事実無根の口コミだといえるかは、店に残っている記録や当時の状況と照らし合わせて判断することになります。
嘘の口コミが偽計業務妨害罪にあたる条件は「偽計業務妨害罪とは?構成要件・時効・判例と逮捕への対処法を解説」で詳しく説明しています。
事実を書いた口コミでも名誉毀損になる場合がある
口コミの内容が嘘の場合はもちろん、本当のことでも、名誉毀損罪にあたる場合があります。刑法230条は、多くの人の目に触れる場所で事実を示して人の社会的な評価を下げた人を、「その事実の有無にかかわらず」処罰すると定めているためです。法定刑は信用毀損罪と同じです。
ここでいう「人」には会社などの法人も含まれるため、店主個人だけでなく店を経営する会社も名誉毀損の被害者になりえます。
ただし、刑法230条の2は、①公共の利害に関する事実について、②もっぱら公益を図る目的で書かれ、③真実であると証明された場合は罰しないと定めています。たとえば食中毒や異物の混入など、利用者の安全にかかわる事実を、ほかの客に知らせる目的で正確に書いた口コミは、処罰されず、民事上も違法とされないことがあります。
反対に、公共の利害と関係のない事実を、嫌がらせの目的で書いた口コミは、内容が真実でも名誉毀損にあたる可能性があります。
書かれた内容が公共の利害にかかわるか、公益を図る目的といえるかの判断は難しいため、違法性が認められるかどうかは弁護士に相談して見通しを確かめるとよいでしょう。
悪い口コミを書かれたときの対処法
営業妨害に該当しそうな悪い口コミを見つけたら、まず画面をスクリーンショットで残し、URL・投稿日時・投稿者名・内容を記録します。あとで投稿が削除されたり書き換えられたりすると、投稿者の特定や賠償の請求に使う証拠が手元に残らないためです。
Googleのように店側が返信できる媒体では、事実と違う点を冷静に説明する返信を書いておく方法もあります。
証拠を残したうえで、掲載サイトの運営者に口コミの削除を求め、応じてもらえなければ裁判所の手続きを使います。投稿者の責任を問いたい場合は、通信の記録(アクセスログ)が消える前に、削除と並行して投稿者の特定を始めます。
Googleや口コミサイトに削除を申請する
口コミ削除は、まず掲載しているサイトの運営者に申請します。Googleマップの口コミ(Googleでの表記は「クチコミ」)は、ビジネスプロフィールの「クチコミを読む」から対象の口コミの「報告」を選ぶか、「クチコミ管理ツール」から削除をリクエストします。
ただし、こうした申請で削除の対象となるのはポリシーに違反している口コミだけで、内容が気に入らないという理由では削除されません。実際の体験にもとづかない投稿、同じ人が複数のアカウントから書いた投稿、競合する店が評判を落とすために書いた投稿、嫌がらせにあたる投稿などがポリシー違反の例です。審査には通常数日かかり、削除されなかった場合は1回に限り再審査を請求できます。
食べログなどのグルメサイトや掲示板、SNSでも、利用規約に違反する投稿を報告したり削除を依頼したりする窓口を設けているところがあります。窓口が見当たらないときは、運営会社の問い合わせ先に連絡します。飲食店が食べログの口コミを消したいときの手順は「食べログの口コミを削除する方法と誹謗中傷された店ができること」で紹介しています。
営業妨害にあたる口コミが報告やフォームでの依頼では消えないときは、運営者に書面で削除を求める方法もあります。
この書面を送信防止措置依頼書といい、書式は「情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会」が公開しています。依頼書の書き方は「送信防止措置とは?削除依頼が無視されても出せる依頼書の書き方」をご参照ください。
削除されないときは裁判所に仮処分を申し立てる
運営者が口コミの削除に任意で応じないときは、裁判所に削除の仮処分(正式な裁判より早く、暫定的に削除を命じてもらう手続き)を申し立てます。たとえば5ちゃんねるは、削除ガイドラインで法人・団体に関する書き込みは原則として放置するとしており、営業妨害にあたる書き込みでも、任意の削除依頼では消えにくい媒体です。
裁判所が削除を命じる決定を出せば、任意の依頼には応じなかった運営者でも、多くの場合は削除に応じます。
申立書の作成や証拠の準備は弁護士に依頼できます。申立ての流れや費用は「削除請求の仮処分|誹謗中傷を消す流れと期間・費用」にまとめています。
発信者情報開示請求で口コミの投稿者を特定する
営業妨害をした投稿者に損害賠償を求めるには、まず誰が問題の口コミを書いたのかを突き止める必要があります。発信者情報開示請求とは、サイト運営者やプロバイダに投稿者の情報を開示させる手続きで、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)にもとづいて行います。
特定は通常2段階で進みます。まずGoogleなどのサイト運営者から投稿時やログイン時のIPアドレス(ネット上の接続元を示す番号)などの開示を受け、投稿者が使った接続プロバイダ(携帯電話会社など)を割り出します。次に、その接続プロバイダから投稿者の氏名や住所などの個人情報の開示を受けます。
裁判外で開示を求めることもできますが、運営者やプロバイダが応じないときは裁判所の手続きを使います。2022年10月に施行されたプロバイダ責任制限法(当時の名称)の改正で、発信者情報開示命令という新しい裁判手続き(公開の法廷で争う訴訟とは異なる非訟手続き)ができました。サイト運営者に開示命令を申し立てる際は、あわせて提供命令(サイト運営者に、接続プロバイダの名称などを申立人に知らせるよう命じるもの)も申し立てます。これで判明した接続プロバイダにも開示命令を申し立てると、裁判所は2つの開示命令の申立てをまとめて審理します。以前はサイト運営者への仮処分と接続プロバイダへの訴訟を別々に行うのが一般的でしたが、改正後は一連の手続きで開示を求められるようになりました。
接続プロバイダが保存しているアクセスログは、数か月程度で消去されることがあります。ログが消えると口コミの投稿者を特定できなくなるため、開示を考えているなら早めに弁護士へ相談してください。開示の手続きの流れや期間の目安は「発信者情報開示請求とは?開示命令による手続きを解説」で確認できます。
投稿者に損害賠償を請求する
投稿者を特定でき、口コミが違法といえる場合は、民法709条の不法行為にもとづいて損害賠償を請求できます。
請求の対象になりうるのは、口コミによる営業妨害で減った売上などの損害、店主の精神的苦痛に対する慰謝料、会社の信用が低下したことによる損害、投稿者の特定にかかった調査費用の一部などです。ただし、売上の減少が口コミによるものだと示すのは簡単ではなく、どこまで認められるかは事案によります。
投稿者との話し合いによる示談(賠償金などを取り決めて解決すること)で済むこともあり、話し合いがまとまらなければ訴訟を起こします。
特定と請求には弁護士費用などがかかり、受け取れる賠償額がそれを下回る「費用倒れ」になることもあります。請求の手順や金額の考え方は「名誉毀損の慰謝料相場はいくら?請求できる条件を弁護士が解説」をあわせてご確認ください。
刑事告訴で投稿者の処罰を求める
営業妨害にあたる口コミの投稿者に刑事責任を問いたい場合は、警察や検察に告訴します。告訴とは、捜査機関に犯罪の事実を申告して犯人の処罰を求めることで、犯罪の被害を受けた人が行えます(刑事訴訟法230条)。
告訴が受理されれば捜査が進み、投稿者の処罰につながる可能性があります。とはいえ、逮捕や起訴をするかどうかは警察や検察が判断します。
名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪(告訴がなければ起訴できない罪)で、告訴は犯人を知った日(投稿者が誰かを知った日)から6か月以内にしなければなりません(刑事訴訟法235条)。信用毀損罪や業務妨害罪は親告罪ではないため、6か月の告訴期間の制限はありません。
告訴状の書き方や手続きは「ネットの誹謗中傷を名誉毀損罪で刑事告訴する流れを弁護士が解説」で紹介しています。
また、「店を爆破する」「従業員を刺しに行く」など危害を予告する書き込みは、脅しなどの力で業務を妨げる威力業務妨害罪(刑法234条)や、従業員に対する脅迫罪などが問題になりえます。店や従業員の安全にかかわるため、削除申請より先に警察へ相談してください。
口コミによる営業妨害は早めに弁護士へ相談を
星1つや感想だけの口コミは違法になりにくい一方、嘘の口コミや、事実を挙げて店の評価を不当に下げる口コミは、信用毀損罪や名誉毀損罪などにあたることがあり、店は削除を求めたり、投稿者の責任を追及したりできる場合があります。
悪い口コミを放置すると、店を探す人の目に触れ続けて来店や予約が減るおそれがあるうえ、アクセスログが消えて投稿者を特定できなくなることもあります。口コミが営業妨害にあたるかの判断から、削除の申請、仮処分、発信者情報開示請求、損害賠償の請求、刑事告訴までを弁護士に任せれば、店の営業を続けながら対応を進められます。
心ない書き込みに日々目を通すのは、経営者にとって大きな負担です。すでに予約の減少を感じている場合や、同じ人と思われる投稿が続いている場合は、早めにご相談ください。
当事務所は、口コミの削除や投稿者の特定など、ネット上の誹謗中傷への対応に取り組んでおり、依頼者の店の信用を守るため迅速に動きます。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

