トレントで開示請求されたら拒否すべき?拒否理由と書き方を解説

トレントの利用後にプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届き、「拒否すれば開示を防げるのではないか」と考える方は少なくありません。

しかし、トレント事案では著作権侵害の明白性が認められやすく、単に「同意しない」と回答するだけでは、最終的に裁判所の判断により情報が開示されるケースが多いのが実情です。さらに、回答書の書き方を誤ると、かえって不利な証拠を残してしまうこともあります。

この記事では、開示請求の対応実績が豊富な弁護士が、以下のポイントを詳しく解説します。

  • 同意しない回答は可能か、開示が認められるのはどんな場合か
  • 拒否すべきケースと同意すべきケースの判断基準
  • 拒否理由のNG例と回答書の正しい書き方
  • 拒否した後に発生する裁判手続・損害賠償リスク

なお、トレントの開示請求でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。

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トレントの開示請求を拒否する前に知るべき基礎知識

開示請求を拒否するかどうかを判断するには、まずトレントの仕組みと、なぜトレント利用が著作権侵害になるのかを正しく理解しておく必要があります。「ダウンロードしただけなのに、なぜ自分が訴えられるのか」と疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、意見照会書に回答する前に押さえておくべき基礎知識を解説します。

BitTorrentの仕組み

「トレント(BitTorrent/ビットトレント)」とは、中央のサーバーに依存せず、ネットワークに参加するユーザー同士が直接ファイルをやり取りするP2P(Peer-to-Peer)通信の技術のことです。代表的なクライアントソフトとしてμTorrentやqBittorrentがあり、これらのファイル共有ソフトを総称してトレントクライアントと呼びます。

従来のダウンロードのように、単一のサーバーからデータを受け取るのではなく、細かく分断されたファイルの断片を複数のユーザーから少しずつ受け取り、最終的に一つの完全なファイルを構成します。

これにより、大規模なデータでも効率的かつ高速に共有することが可能となります。

重要なポイントは、トレントの仕組み上、ユーザーがファイルをダウンロードすると同時に、そのファイルの断片を他のユーザーへ自動的に送信(アップロード)する機能が組み込まれているという点です。

多くの利用者は「ダウンロード」を目的にトレントソフトを使いますが、その裏側で自分の意思とは無関係に「アップロード」も行っているという自覚がありません。トレントは、データを共有する全ての参加者がダウンロード(受信)とアップロード(送信)の両方の役割を担うことで成立しているシステムなのです(完全なファイルを保持して配布する側を「シーダー」、ダウンロード中の参加者を「リーチャー」と呼びます)。

トレント利用が著作権侵害になる理由

トレントというファイル共有の技術そのものは、オープンソースソフトウェアの配布など、合法的な目的でも利用されており、それ自体は違法ではありません。

しかし、著作権によって保護された作品(アニメ、映画、ドラマ、音楽、アダルトビデオなど)を著作権者の許諾なくインターネット上で不特定多数の公衆に向けて送信することは、著作権法第23条で定められた公衆送信権の侵害という明確な違法行為にあたります。これは違法アップロードに該当する行為です。

上記で解説したとおり、トレントソフトを使用してファイルをダウンロードすると、その時点で自動的に他のユーザーへデータの一部をアップロードする動作が行われます。

利用者が意識的に「アップロード」ボタンを押していなくても、技術的にネットワークへデータが送信可能な状態(送信可能化)になるため、これは著作権法上の「公衆送信権の侵害」が成立する行為と見なされます。つまり、ダウンロードだけのつもりでも、法的にはアップロード(著作権侵害)を行ったことになります。また、トレントでのダウンロード行為自体も、有償著作物等を対象とする場合は違法ダウンロードに該当する可能性があります。詳しくは「トレントはダウンロードのみも違法?リスクと開示請求された事例」をご参照ください。

発信者情報開示請求と意見照会書

著作権者またはその代理人弁護士が、トレントを通じて著作権を侵害した者を特定するために行う法的手続きが発信者情報開示請求です。

具体的には、P2Pネットワークの監視システム(P2PFINDERなど)を利用して著作権侵害の通信を行ったIPアドレスとタイムスタンプ(送受信日時の記録)を特定し、権利侵害者の追跡を行います。

次に、そのIPアドレスが使用された際の通信記録を保有しているプロバイダ(OCN、SoftBank、BIGLOBEなどのインターネット接続事業者・ISP)に対し、契約者の氏名や住所などの情報開示を請求します。この開示請求は、その後の損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置の準備段階として実施されるのが一般的です。

この請求を受けたプロバイダは、直ちに情報を開示するのではなく、契約者本人に情報開示の可否について意見を確認する義務があります。

この確認のために送られてくるのが「発信者情報開示請求に係る意見照会書」です。

この意見照会書には、通常2週間程度の回答期限が定められており、契約者は「開示に同意する」または「開示を拒否する(同意しない)」のいずれかを選択して回答しなければなりません。この回答が、その後のプロバイダによる判断、そして著作権者との交渉や裁判手続の流れを大きく左右します。

トレントの開示請求を拒否できるのか?

発信者情報開示請求をされても意見照会書で開示を拒否すれば逃げ切れるのでしょうか。

結論からお伝えすると、意見照会書で「同意しない(拒否する)」と回答すること自体は可能です。しかし、拒否しても、その後のプロバイダや裁判所の判断により、最終的に情報が開示されてしまう可能性があります。以下で詳しく解説します。

意見照会書で拒否(不同意)することは可能

プロバイダから届く「発信者情報開示請求に係る意見照会書」に対し、「開示に同意しない」とチェックを入れて返送することで、開示請求を拒否する意思を表明することは可能です。

この不同意回答は、情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法。2024年公布・2025年4月施行の改正法により名称・内容を変更)に基づいて契約者に認められた、自己の個人情報の開示について意見を述べる権利の行使にあたります。したがって、この権利を行使して拒否の意思を示すこと自体は、法的に何ら問題ありません。

しかし、この意見照会書への回答は、あくまで「契約者としての意見表明」に過ぎません。最終的に情報開示を行うかどうかを判断するのは、契約者の意見も考慮するプロバイダ自身であり、プロバイダが任意開示を拒否した場合でも、著作権者が裁判所に対し訴訟提起または開示命令申立てを行えば、最終的には裁判所が開示の可否を判断します。特に、トレントの利用では、著作権侵害の明白性が認められやすいため、単に「拒否」しただけで、開示を完全に免れることは困難であるのが実情です。

拒否しても開示が認められる場合

意見照会書で情報開示を拒否したとしても、プロバイダや裁判所が以下の要件を満たすと判断すれば、開示は認められてしまいます。

1つは、「著作権者の権利が侵害されたことが明らか」であることです。もう1つは、「開示請求をする正当な理由」があることです。著作権侵害が事実である場合、この2つの要件はほとんど満たされることになります。

特にトレントの場合、ファイルのダウンロードと同時に自動的にアップロード(公衆送信権の侵害)が行われる仕組みのため、他のインターネット上の違法行為と比較しても、著作権侵害の明白性が認められやすいという特徴があります。

また、P2PFINDERのような監視システムにより、侵害日時やIPアドレスが正確に特定されている場合、裁判所もその信用性を高く評価する傾向にあります。

プロバイダが任意開示を拒否したとしても、著作権者が裁判所に対し訴訟提起または開示命令申立てを行い、裁判所が開示を認める判断を下せば、情報開示は避けられません。つまり、単に「同意しません」と回答するだけでは、開示を防げないケースが多いのです。

なお、著作権者が行う発信者情報開示請求には、裁判所を介する手続(発信者情報開示命令申立て・訴訟)と、裁判外でプロバイダに直接求める「任意開示請求(テレサ書式)」の2つのルートがあります。

両者は結果が異なり、任意開示請求のケースでは契約者が拒否(不同意)の意思を示せば、プロバイダ判断で開示されないケースもあります。一方、裁判所を介する手続のケースでは、拒否しても裁判所が開示を認める判断を下す例が大半です。

意見照会書に裁判所への申立書の写しが同封されていたり、書類に「甲第○号証」のような証拠番号が記載されている場合は、すでに発信者情報開示命令の手続きが進められている可能性が高いと考えられます。一方、そうした裁判所関連書面がなくプロバイダ単独からの送付に留まっている場合は、テレサ書式に基づく任意開示請求の段階と推定できます。どちらのルートかによって対応方針が変わるため、書面の内容を必ず確認してください。

トレントの開示請求を拒否すべきケース・同意すべきケース

発信者情報開示請求に係る意見照会書への回答は、その後の法的展開を決定づける重要な機会であり、ケースによって適切な対応が異なります。ここでは、情報開示を拒否すべきケースと、むしろ同意すべきケースに分けて、ご自身の状況に照らして判断するための具体的な考え方を解説します。

トレント開示請求の拒否・同意判断フローチャート(トレント利用の有無→アリバイの有無→著作権侵害の否定可否で判断)

拒否すべきケース

情報開示を拒否すべきなのは、権利侵害の事実が明確に存在しないか、あるいは開示請求の要件を満たさないと判断できる場合です。具体的な不同意の理由としては、次の3つのパターンが挙げられます。

典型的なのは、「トレント利用の事実に全く身に覚えがないケース」です。

意見照会書に記載された侵害行為があったとされる時期に、該当するパソコンを利用していない、あるいは、トレントソフト自体をインストールしていない、さらには、そもそもトレントソフトを使用したことがないなど、ご自身が著作権侵害行為を行っていないことが明らかな場合は、当然ながら開示を拒否すべきです。

「権利侵害の明白性がないケース」も拒否の理由になります。

例えば、ダウンロードしたファイルが著作権法上の保護対象ではない、または、開示請求者が当該作品の著作権者ではない可能性があるなど、請求の根拠自体に疑問がある場合です。このような場合、権利侵害行為を否定する具体的な法的説明を回答書に記載し、開示の不当性を主張します。

このほか、「開示を受ける正当な理由がないケース」も拒否が可能です。開示請求の目的が、損害賠償請求や差止請求といった正当なものではなく、単なる不当な嫌がらせや、個人情報の晒し上げを意図している可能性がある場合は、開示に正当な理由がないとして拒否を主張できます。

同意すべきケース

一方で、情報開示に同意することを積極的に検討すべきケースも存在します。それは、拒否することでかえって事態が悪化するリスクがある場合です。

最も典型的なのは、トレントで該当作品をダウンロードした事実がある、または、ダウンロードした可能性が高く否定できない場合です。

このような場合、拒否しても著作権者が裁判所に対し訴訟提起または開示命令申立てを行い、最終的に裁判所の判断で開示が認められる可能性が極めて高くなります。手続を経ると、開示請求に要した弁護士費用まで損害賠償の対象に加算されることになり、結果として賠償金額が雪だるま式に高額化するリスクがあるため、早期解決を目指して同意することが得策となる場合があります。

また、権利侵害の事実は否定できないものの、それを裏付ける証拠が乏しい場合も慎重な判断が必要です。

曖昧な理由で拒否を続けても、裁判手続では不利な判断が下される可能性があります。この場合は、自己判断で拒否するのではなく、速やかに弁護士と協議し、自らの主張を法的に補強できるか、それとも早期に著作権者との和解交渉に進むかを慎重に見極めるべきです。

なお、契約者本人ではない同居家族や知人などがトレントを使用していたケースも同意が適切です。

自宅のWi-Fi回線を利用した友人、あるいは会社のインターネット回線を利用した従業員など、契約回線が利用された事実に変わりはないため、契約者宛に意見照会書が届きます。この場合、契約者本人は権利侵害行為を行っていなくても、開示に同意して実際に利用した本人に対応を引き継ぐ形で手続きを進めるのが合理的です。

上記のようなケースで判断を誤ると、後々不利になるリスクがあります。特に判断が難しいケースでは、自己判断を避け、早めに弁護士へ相談されることをおすすめします。

トレント開示請求の拒否理由と回答書の書き方

意見照会書で開示を拒否する場合、回答書にどのような理由を記載するかが大きく結果を左右します。書き方を間違えると、意図せず著作権侵害を認める内容になってしまったり、後の法的手続きで不利な証拠として使われてしまう可能性があります。ここでは、回答書の基本的な書き方から、よくあるNG例、そしてケース別の具体的な記入例まで詳しく解説します。

回答書の書き方の基本

プロバイダから送付された意見照会書には、通常、回答書が同封されています。これを使用して、「開示に同意する」または「開示に同意しない(拒否する)」のいずれかにチェックを入れます。拒否を選択した場合は、その理由を具体的に記載する欄に記入が必要です。

この際、回答期限(通常2週間程度)を必ず守ることが最も重要です。期限を過ぎてしまうと、プロバイダは「特に意見なし」と判断し、情報開示に応じてしまうリスクが高まります

また、意見照会書を放置・無視することも避けたい対応です。回答書を返送しなかった場合、プロバイダは「契約者からの異論がない」と扱い、結果として開示請求に応じてしまうおそれがあります。期限厳守を徹底し、トレント利用に関する事実関係と法的根拠に基づいた冷静な主張を行うことが基本です。

【重要】拒否理由のNG例と正しい書き方

拒否理由の書き方を間違えると、かえって著作権侵害の事実を認めてしまい、ご自身にとって不利になる可能性があります。以下、よくある失敗例と正しい書き方を対比して説明します。

NG例①:「間違えてダウンロードしてしまった」

「間違えてダウンロードしてしまった」という書き方は、トレントソフトを使用したこと、そしてダウンロード行為自体を認める主張に他なりません。

ダウンロードした時点で自動的にアップロードも行われるため、これは著作権侵害の事実を自認していることになり、拒否理由として全く機能しません

実際にダウンロードした事実がある場合は、拒否ではなく同意を検討すべきです。本当にダウンロードしていない場合にのみ、「私はトレントソフトを使用してダウンロードした事実は一切ありません」といった否定の記載が可能です。

NG例②:「記憶にない」とだけ書く

「記憶にない」とだけ書くのは、曖昧で、法的主張として説得力を欠きます。

過去にダウンロードした可能性を完全に否定できていないとみなされ、拒否理由として不十分と判断されます。

正しくは、「トレントソフトをインストールした記憶がなく、現在使用しているPC上にもトレントソフトやダウンロード履歴の記録がありません」、「該当日時にはPCを使用できる状況になく、外出していました」など、客観的な事実を具体的に示して、権利侵害の事実がないことを主張する必要があります。

NG例③:虚偽の記載をする

実際にはトレント利用の事実があるにもかかわらず、「使ったことがない」などと虚偽の記載をすることは絶対に避けてください

回答書の内容は今後の法的手続きで証拠として利用される可能性があり、後から利用の事実を裏付ける証拠が提示された場合、契約者としての信用を完全に失い、その後の交渉や裁判で著しく不利な状況に陥ります。回答書は、事実に基づいて誠実に記載することが絶対条件です。

NG例④:感情的な記載

「こんな請求は許せない」、「身に覚えがないのに失礼だ」、「これはプライバシーの侵害だ」といった感情的な表現や、請求者への非難は、プロバイダや裁判所に対して法的な説得力を持ちません。

正しくは、「トレントソフトを使用した事実はなく、著作権侵害行為は一切行っていません」、「PC上にトレント関連のソフトウェアやデータの記録も存在しません」など、冷静に事実と、権利侵害の明白性がないという法的論点に基づいて記載する必要があります。

これらのNG例を避け、事実に基づいて具体的かつ冷静に記載するよう心がけてください。

なお、回答書の内容は、その後の開示請求手続(訴訟・開示命令申立て)や損害賠償請求訴訟で証拠として利用される可能性があります。曖昧な表現や不用意な発言は避け、慎重に記載しなければなりません。自己判断で記載内容を決めると、かえって不利になる可能性があるため、弁護士に回答書の内容をチェックしてもらうことをおすすめします。

トレント開示請求の拒否理由:ケース別の記入例

以下に、トレント開示請求を拒否する際によくあるケースにおける、回答書への具体的な記入例を示します。これらはあくまで参考例であり、実際の状況や証拠の有無に応じて内容を調整する必要があることにご注意ください。

記入例①:トレント使用の事実がない場合

トレントソフトを使用した事実がなく、該当作品をダウンロードした覚えもない場合は、根拠のない推測や曖昧な否定ではなく、具体的な事実を明示することが重要です。

【記入例】

私はトレントソフトを使用した事実はありません。パソコンにトレントソフトをインストールした記録もなく、該当作品をダウンロードした事実もありません。また、PC上にトレント関連のソフトウェアやデータの記録も一切ありません。必要に応じて、PCの解析結果などを提示することも可能です。したがって、開示請求に記載された権利侵害行為は私が行ったものではなく、開示に同意することはできません。

この記入例では、トレント使用の事実がないこと、ソフトのインストール記録もないこと、関連データも存在しないことを明確に述べています。さらに、PC解析結果などの提示に言及することで、客観的な証拠を前提とした主張として説得力が高まります。

記入例②:該当日時にパソコンを使用できなかった場合

開示請求に記載された日時に、物理的にパソコンを使用できない状況にあった場合は、単に「使っていない」と述べるのではなく、証明可能な事実関係を具体的に書き込みましょう。

【記入例】

開示請求に記載された日時(令和○年○月○日○時○分頃)には、私は業務出張で東京に滞在しており、自宅のパソコンを使用できる状況にありませんでした。出張の事実は、宿泊施設の領収書や交通機関の利用記録で証明が可能です。また、当該時間帯には自宅のネットワークも使用されておりませんでした。したがって、開示請求に記載された権利侵害行為は私が行ったものではなく、開示に同意することはできません。

この記入例では、該当日時に物理的にパソコンを使用できなかったこと、その事実を証明できる資料があることを明確に述べています。

ネットワーク自体も使用されていなかった旨を記載することで、第三者による利用の可能性を排除し、説得力を高められます。トレント利用がなかったアリバイを主張する場合は、証拠書類(領収書、交通機関の利用履歴、位置情報記録など)を添付することで、より強い主張となります。

なお、上記はあくまで記入例であり、実際に記載すべき内容は個別の状況によって異なります。誤った記載や曖昧な表現は不利な判断につながる可能性があるため、弁護士に相談して内容を検討すべきです。

トレントの開示請求を拒否した後の流れ

意見照会書で開示を拒否した場合、その後どのような流れで手続きが進むのでしょうか。全体像を把握しておくことで、今後の見通しを立てやすくなります。

  1. プロバイダによる判断と任意開示
  2. 裁判所への開示請求
  3. 情報開示後の損害賠償請求または刑事告訴

トレント開示請求を拒否した後の流れ(プロバイダの判断→裁判所への開示請求→損害賠償・刑事告訴)

以下、各ステップについて詳しく解説します。

【ステップ①】プロバイダによる判断と任意開示

意見照会書で情報開示の拒否を回答した場合、プロバイダは、契約者から提出された拒否理由を考慮した上で、最終的に開示するかどうかを判断します。原則として、契約者の同意が得られない限り、プロバイダが任意で氏名や住所などの情報開示を行うことはありません。これは、不用意に個人情報を開示した場合、契約者からプライバシー侵害などで責任追及を受けるリスクがあるためです。

しかし、権利侵害の明白性が高いとプロバイダが判断した場合は、契約者の拒否を排して任意で開示することがあります。特に、P2PFINDERなどの監視システムによってIPアドレスが具体的に特定されているトレント事案では、裁判所もそのログの信用性を認めているため、プロバイダが権利侵害の明白性を認めるケースが多いです。そのため、情報開示を拒否する場合は、単に「同意しない」と述べるだけでは足りず、権利侵害の事実そのものを否定する具体的な事実関係や法的論点を、回答書の中で示すことが必要となります。

【ステップ②】裁判所への開示請求

プロバイダが契約者の拒否を受けて任意開示に応じなかった場合、著作権者は次の手段として、プロバイダを相手として、裁判所に発信者情報開示請求訴訟(判決手続)または発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)を行います。2022年改正により非訟の開示命令申立てが創設され、現在のトレント開示請求では主にこちらの手続が利用されています。

この訴訟・申立てでは、著作権侵害の事実があったこと、その通信に使用されたIPアドレスがプロバイダによって特定の契約者に割り当てられていたこと、などを著作権者が立証し、裁判所に情報開示を命じる判決または決定を求めます。

トレント事案では著作権侵害の明白性が認められやすいため、裁判所が開示を認めるケースが大半です。また、裁判所が判断を促すために心証を開示し、それを受けてプロバイダが手続中に任意で情報開示に応じることもあります。

ここで、情報開示を拒否して訴訟・申立てに発展した場合、最終的に開示が認められた際には、著作権者が支出した弁護士費用も損害賠償の対象に加算される可能性がある点には注意が必要です。

【ステップ③】情報開示後の損害賠償請求または刑事告訴

裁判を経て情報が開示され、著作権者に契約者の氏名と住所が判明すると、いよいよ具体的な法的責任の追及が始まります。トレントの著作権侵害事案では、この後の展開は、主に損害賠償請求または刑事告訴のいずれか、あるいはその両方となります。著作権者の中には、損害賠償請求よりも先に刑事告訴を行うケースもあります。

損害賠償請求では、著作権法第114条に基づき、ダウンロード回数(受信複製物の数量)と作品1つあたりの利益額を掛け合わせる計算式で損害額が算定され、数百万円〜数千万円という高額を請求されることもあります(著作権者が利益額の代わりに販売価格を用いて過大に請求するケースもあります)。ただし、弁護士が適切に介入することで大幅に減額できる可能性があり、実際の示談金額は数万円〜100万円以内で収まるケースが多いです。

損害賠償請求とは別に、著作権法違反(公衆送信権の侵害)は10年以下の拘禁刑(懲役と禁錮を一本化した刑罰)、1000万円以下の罰金またはその両方を科される可能性のある重い罪です(著作権法第119条1項)。有罪判決で前科が付くリスクを回避するためには、情報開示前後の早い段階で弁護士に相談し、適切な和解交渉や示談交渉を始める必要があります。逮捕に至るケースや回避策の具体例は「トレント利用は逮捕される?実際の事例と逮捕を回避する対処法」をご参照ください。

※拘禁刑とは、2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。

トレントの開示請求を弁護士に相談すべき理由

トレントによる発信者情報開示請求を受けた際、弁護士への早期相談は、その後のリスクを最小限に抑えるための最善策です。

弁護士は法的観点から、開示に同意すべきか拒否すべきかを適切に判断し、拒否する場合は法的反論を踏まえた説得力のある回答書作成をサポートできます。回答書の内容は今後の法的手続きで証拠となるため、専門家のチェックは欠かせません。

情報が開示された後の示談交渉でも、弁護士の介入が大きな差を生みます。著作権者(AVメーカーや映画・アニメの制作会社など)側からの過大な損害賠償請求に対し、適正な金額への減額交渉が可能となり、賠償額を大幅に抑えられる可能性があります。示談金の具体的な相場については「トレント開示請求の示談金相場は?減額事例と対処法を弁護士が解説」もあわせてご確認ください。

加えて、最も重いリスクである刑事告訴を回避できる可能性が高まります。早期に弁護士が交渉を開始し、示談を成立させることで、逮捕や前科が付く事態を防ぐことができます

意見照会書が届いた時点ですぐに相談することで、回答期限内の適切な対応が可能になり、自己判断で不利な状況を作ることを避けられます。

トレントで開示請求が届いた方は早期にご相談ください

意見照会書には2週間程度という短い回答期限が設けられており、適切な対応を取れないまま期限を迎えてしまうと、開示や賠償につながる重大な不利益を招く可能性があります。回答書の書き方を一つ誤るだけで、その内容が今後の法的手続きで不利な証拠として使われることもあります。

弁護士に依頼すれば、ご自身の状況に応じて拒否・同意の判断、法的に説得力のある回答書の作成、開示後の示談交渉や刑事告訴の回避までを一貫して進められます。早期に弁護士が介入することで、賠償額の大幅減額や、家族や勤務先に影響が及ばない形での穏便な解決を目指すことも可能です。

「身に覚えがないが、どう書けばよいかわからない」「示談金を請求されたが、金額が妥当か判断できない」といった段階でも構いません。一人で抱え込まず、まずは現状を弁護士にご確認ください。

当事務所はトレントの開示請求・損害賠償請求の対応実績が豊富にあり、意見照会書への回答から示談交渉、刑事弁護まで一貫してサポートいたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

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