
トレントの開示請求や示談金の請求は、無視していれば済むのだろうか。そう考えている方は少なくありません。しかし、無視しても相手の手続きが止まることはなく、情報開示へと進み、その先には民事訴訟や刑事告訴もあり得ます。逆にいえば、期限内に動けば選べる手が残っており、すでに期限を過ぎた場合でも取れる対応はあります。
検索すると「示談金ビジネス」という言葉が出てきます。5chや知恵袋には、この種の請求に支払いは不要だと書く投稿も並んでいます。ただ、書き込まれた時点と現在では運用が違い、権利者も作品数もケースによって異なります。何が起きるかは、届いたのが意見照会書か示談金の請求かで変わります。
開示請求は法律に基づく手続きで、近年は進行も速くなっています。意見照会書の回答期限は、多くの場合2週間ほどしかありません。
この記事では、トレント開示請求の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 意見照会書・示談金請求を無視するとどうなるのか
- 「示談金ビジネス」という見方は本当なのか
- なぜ自分が請求されてしまうのか
- 回答期限までに取るべき対応と解決事例
お読みいただくことで、いま自分がどの段階にいて、期限までに何をすべきかを整理できます。
なお、トレントの開示請求や示談金請求についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。
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トレント開示請求や示談金請求の無視でどうなる?
結論からお伝えすると、意見照会書や示談金請求を無視しても、相手の手続きが止まることはありません。むしろ段階が進むにつれて、選べる手段のほうが減っていきます。
無視した場合に起きうることは、大きく次の3つです。
- 意見照会書を無視しても情報は開示される
- 示談金請求を無視すると民事訴訟を起こされる
- 無視を続けると刑事告訴されるおそれがある
それぞれ詳しく見ていくとともに、掲示板やQ&Aサイトで語られる「示談金ビジネス」という見方が実態に合っているのかも、最後に検証します。
①意見照会書を無視しても情報は開示される
発信者情報開示に係る意見照会書(プロバイダが契約者に対し、権利者へ情報を開示してよいか意見を尋ねる書面)がプロバイダから届いた後、これを無視すると、意見が示されないまま手続きが進み、開示を避けられないケースが大半です。不同意で回答した場合とは、その後の流れが異なります。
意見照会書の回答期限は通常2週間程度しかなく、この期間内に回答しなければ、意見が示されなかったものとして扱われます。その場合、開示に応じるかどうかは、後述する2つの経路に応じてプロバイダまたは裁判所が判断します。無回答が法律上の同意とみなされるわけではありませんが、開示を争う材料が何も出ていない状態になります。IPアドレスや日時という客観的な記録が揃っているトレントの案件では、権利侵害が明白と判断して開示に応じるケースが多いのが実情です。
届く意見照会書は2種類に分かれます。ひとつは、権利者がプロバイダへ直接請求してきた場合の通知で、プロバイダ関係団体でつくる協議会がガイドラインで定めた様式を使います。この様式を一般社団法人テレコムサービス協会が公表していることから「テレサ書式」と呼ばれます。もうひとつは、権利者が裁判所へ発信者情報開示命令を申し立てた場合の通知です。どちらによるものかは書面の記載から確認できますが、判別がつかない場合も、期限内に回答する点は変わりません。
テレサ書式の場合、プロバイダは同意のないまま開示して責任を問われる事態を避けるため、不同意の回答があれば任意開示を控えるのが通常です。ただし権利者はそこで止まらず、裁判所への発信者情報開示命令の申立てに進みます。トレント事案では侵害が明白と判断されやすく、不同意と書くだけで最終的な開示まで防げるとは限りません。無視した場合は、その判断材料すら示さないまま手続きが進みます。発信者情報開示命令の申立てを経ている場合も、回答を無視すれば裁判所の判断で開示が認められる流れが通常です。
つまり、無視して困るのは開示そのものよりも、その先です。早期に弁護士に相談して防御策を検討したり、より良い条件で解決したりする機会を失います。開示後は数週間から数ヶ月のうちに代理人弁護士から高額な請求書が届き、応じなければ訴訟に発展することもあります。その請求書がいつ届くか分からないまま、不安を抱えて過ごすことになります。
意見照会書そのものの読み方や届いた直後にすべきことについては、「開示請求の意見照会書が届いたら?回答書と正しい対処法」で詳しく解説しています。
②示談金請求を無視すると民事訴訟を起こされる
トレントの利用で権利を侵害されたとする著作権者は、発信者の氏名・住所などの個人情報を特定した後、訴訟費用や時間的コストの回避などの理由から、一般的にはまず示談交渉を試みてきます。
しかし、示談金を請求する内容証明郵便が届いたにもかかわらず、これを無視したり、支払いに応じない姿勢を見せると、著作権者は損害賠償を求める民事訴訟を起こすことがあります。
請求を無視したまま訴訟に発展した場合、示談段階で譲歩していた条件は撤回され、権利者は本来の損害額に、侵害時から積み上がった遅延損害金を加えて主張してきます。示談交渉で提示されていた額よりも請求額が大きくなる主な理由がここにあります。裁判所が最終的に認める金額は争いのなかで動きますが、支払いを求められる出発点は上がります。
加えて、裁判対応のために弁護士を依頼する場合、余計な弁護士費用がかかるだけでなく、敗訴した場合は、遅延損害金(支払いが遅れている期間について加算されるもの)に加え、権利者側の弁護士費用の一部も損害として認められ、併せて支払うよう命じられることがあります。遅延損害金の計算に用いる法定利率は、民法419条1項により「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点」のものとされ、不法行為による損害賠償では侵害の時点から遅滞に陥ると解されているため、実務上は侵害時点の利率が用いられます。令和2年4月以降は年3%が続いています。法定利率は民法404条3項以下の変動制で3年ごとに見直されますが、令和8年4月1日以降も年3%で据え置かれることが公表されています。
トレントの訴訟でも、裁判所への出廷や書面作成など、時間的コストが発生し、仕事や日常生活にも影響が生じ、精神的ストレスが増大します。早期に示談交渉していれば分割払いなどの柔軟な支払条件を取り決められた可能性がありますが、判決では一括での支払いを命じられるリスクも高まります。訴状が届いてからも出頭せずに放置すれば、相手の主張をそのまま認めた判決が出ます(民事訴訟法159条3項)。
「無視して時間が経てば請求は消えるのではないか」と考える方もいらっしゃいますが、損害賠償を請求できる期間はそれほど短くありません。権利侵害による損害賠償を請求できる権利(不法行為に基づく請求権)の消滅時効は、被害者が損害および加害者を知った時から3年です(民法724条1号)。あわせて、不法行為の時から20年という期間も定められており(同条2号)、どちらか早いほうが到来するまでは請求を受ける状態が続きます。3年の起算点はアップロードした時点ではなく、権利者が発信者情報の開示を受けて相手を知った時点と考えられるため、開示後しばらく連絡がなくても、それだけで請求権が消えたとはいえません。
③無視を続けると刑事告訴されるおそれがある
トレントによる示談金の請求を無視したり、示談交渉を拒否する姿勢を見せると、権利者は著作権侵害で刑事告訴に踏み切ることも考えられます。
示談に応じない態度は、権利者から「反省していない」「誠意がない」と受け取られ、被害者感情を悪化させます。「民事で誠実に対応しようとしない相手には刑事手続きで厳しく対応する」と権利者が判断し、告訴に至るケースがあります。
著作権侵害は原則として親告罪です(著作権法123条1項)。もっとも、告訴が必要なのは起訴の場面であって捜査ではなく、権利者の申告をきっかけに告訴前から捜査が進むこともあります。実際に告訴されれば、逮捕・起訴に至るリスクが現実のものになります。なお、対価を得る目的や、有償の作品を出回らせて権利者の売上を損なわせる目的で、作品を原作のまま送信し、権利者が得られるはずの利益が不当に害される場合は、告訴がなくても起訴できる例外が定められています(同条2項)。営利目的でなくても対象になり得る点にはご注意ください。
トレントの事案で科されうる刑事罰の重さも見過ごせません。著作権法119条1項は、著作権を侵害した者に対して10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を定めています(出典:e-Gov法令検索)。ただし、トレント事案でこの重さが向けられるのは、作品を送り出した行為です。私的使用の目的で自ら複製を行った者は条文上この規定から除かれますが、除かれるのは自ら複製した部分の評価にとどまり、同時に送信していた部分は除かれません。ダウンロードのみが違法とされる場面の刑事罰は、同条3項の2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が上限です。もっとも、トレントは取得と同時に送信が始まる仕組みのため、ダウンロードのみとして扱われる場面は限られます(次章で説明します)。
刑事事件として立件される件数そのものは、統計上かぎられています。警察庁の「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、令和7年中の著作権侵害事犯の検挙は64事件・77人で、そのうちインターネット利用事犯が53事件(82.8%)でした。この数字には、示談で終わった件も民事で争われた件も含まれません。示談金の請求を受けた人の数ではない点に注意が必要です。そのうえで、現に検挙されている人がいます。無視を続けて権利者の心証を悪化させることは、この少数の側に自分を近づける行為だといえます。
有罪となれば前科がつき、就職や社会生活に影響が出ます。トレント利用による逮捕の可能性や実際の事例は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:トレントで捕まる確率は?逮捕される違法行為と対処法を解説
※拘禁刑とは、2025年6月1日施行の刑法改正で導入された刑罰で、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」を統合したものです。
5ch・知恵袋の「示談金ビジネス」を理由に無視するリスク
「トレント 開示請求」で検索すると、弁護士が書いた解説記事と並んで、匿名掲示板やQ&Aサイトのスレッドが上位に出てきます。そこでは、この種の請求を「示談金ビジネス」と呼び、支払う必要はないと書く投稿を見かけます。
そう呼ばれる理由自体は理解できます。同じ時期に多数の利用者へ定型的な書面が送られ、金額の算定根拠が受け取った側から見えにくいためです。ただし、呼び名がどうであれ、行われているのは正規の法的手続きです。開示請求は多くの場合、権利者の代理人弁護士が、IPアドレスや日時という客観的な記録を根拠に行うもので、プロバイダの側も、法律上の義務として意見照会を行っています。そして支払いを求められる根拠は呼び名ではなく、作品を送り出して著作権を侵害したという事実にあります。
トレントについての掲示板の情報が当てにならないのは、内容が嘘だからではなく、条件が違うからです。書き込まれた時点と現在では手続きの運用が変わっていますし、権利者・作品数・利用期間が違えば結論も変わります。書き手が誰で、その後どうなったのかも追えません。加えて、掲示板に残りやすいのは何も起きなかったという書き込みで、訴訟や捜査に至った人はそのまま書き込みをやめてしまいます。掲示板に書き込まれている内容の割合は、実際に起きていることの割合とは一致しません。
当事務所にも、トレントの案件で突然訴状を受け取った方や、捜査機関の動きに驚いた方からのご相談が寄せられています。いずれも、ネット上の書き込みを判断材料にして様子を見ていた期間があった点は共通しています。
自分のケースで何が起きうるかは、届いた書面と利用の実態を照らし合わせないと判断できません。掲示板の結論を自分に当てはめる前に、一度弁護士に確認しておくことをおすすめします。
なぜトレントで開示請求や示談金請求をされるのか
「ダウンロードしただけなのに、なぜ自分が請求されるのか」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。請求が届く理由は、トレントというソフトの仕組みと、著作権法上の位置づけの2つで説明できます。
ダウンロード中に自分も配信側になる仕組み
トレントは正式にはBitTorrent(ビットトレント)と呼ばれる、P2P方式のファイル共有ソフトの一種です。作品データを1つのサーバーから受け取るのではなく、同じファイルを持つ多数の利用者どうしで断片をやり取りしながら組み立てていきます。
このとき、受け取る側は同時に、自分が持っている断片を他の利用者へ送り出す配信側にもなります。設定を意識していなくても、通常は取得を始めた時点で送信(アップロード)も始まっているのが、この仕組みの特徴です。
権利者側は、作品がトレント上に出回っていないかを監視するシステムで、そのファイルを送信している端末のIPアドレスと日時を記録しています。この記録が、契約者を特定するための開示請求の根拠になります。「自分では配布したつもりがない」という感覚と、記録に残る事実がずれるのは、取得と同時に送信が始まるというこの仕組みが原因です。
著作権侵害として損害賠償や刑事罰の対象になる理由
著作物を公衆が受信できる状態に置く権利は、著作権者が持っています(公衆送信権。自動公衆送信では送信可能化も含みます。著作権法23条1項)。ここでいう「公衆」には不特定の相手だけでなく、特定かつ多数の相手も含まれるため(同法2条5項)、会員制の場であっても、送信先が特定かつ多数であれば「公衆」にあたり、侵害の評価は変わりません。トレントで作品を取得すると同時に断片を送り出す行為は、この権利の侵害、すなわち著作権侵害にあたると評価されます。
つまり、利用者が問われるのは、受け取った点だけではありません。送り出した点についても責任を負うことになり、権利者からは民事上の損害賠償を請求され、刑事面でも送信側の行為として重く扱われる点に注意が必要です。届く示談金の請求は、この損害賠償を訴訟によらずに解決するための金額として提示されます。なお、ダウンロードのみの行為も、一定の要件を満たす場合には違法ダウンロードとして著作権法119条3項の刑事罰の対象になり得ますが、開示請求や示談金請求が届く理由の中心は、送り出した側の行為にあります。
権利者は、記録したIPアドレスと日時をもとに、契約者を特定するための開示請求を、契約プロバイダ(NTTドコモ・ソフトバンク・OCNなどのインターネットサービスプロバイダ)に対して行います。根拠となるのは、2025年4月に改称・施行された情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。旧プロバイダ責任制限法)です。これに先立つ2022年10月には、旧法の改正により裁判所の発信者情報開示命令の制度が設けられており、海賊版対策の強化を背景に、近年は手続きの迅速化が進んでいるのが実情です。
なお、ダウンロード行為のみの違法性は「トレントはダウンロードのみも違法?リスクと開示請求された事例」にまとめています。
無視せずに取るべき対応と回答期限
心当たりがある場合も、身に覚えがない場合も、意見照会書や示談金請求を無視することは、前述のように甚大なリスクを招きます。では、具体的にどう対応すべきなのか。取るべき対応は次の3つです。①と②は届いた書面に応じた時系列の対応、③はどの段階からでも有効な対応です。
- ①期限内に回答書を提出する
- ②示談交渉には誠実に応じる
- ③早めに弁護士に相談する
順に解説します。
①期限内に回答書を提出する
意見照会書に対して最初にすべきことは、同意・不同意のどちらを選ぶにせよ、期限内に回答書を返送することです。返送先は書面を送ってきたプロバイダで、提出期限は2週間程度、プロバイダによってはさらに短い場合もあります。この期間を過ぎると、開示の判断に自分の意見を反映させる機会は原則として失われます。すでに過ぎてしまった場合に何が残るかは、後述の「③早めに弁護士に相談する」で説明します。
トレントを実際に使った覚えがある場合は、開示に同意したうえで示談交渉に進む選択が現実的です。誠実に対応する姿勢は、権利者の被害者感情の悪化を防ぎ、刑事告訴という選択肢を取られにくくすることにつながります。仮に告訴された場合でも、不起訴処分につながる可能性が高まります。
一方、身に覚えがない場合や、記録された日時に自宅の回線を使っていないなどの事情がある場合は、不同意で回答して理由を示す余地があります。ただし、心当たりがあるのに事実と異なる理由を書くと、後の交渉で不利に働くおそれがあるため避けるべきです。同意・不同意を決める前に、書面に記載された日時に自分・同居のご家族・来訪者の誰が回線を使っていたかを確認してください。トレントの意見照会書は回線の契約者宛てに届くため、実際に使った人が別であっても、確認しないままの自己判断は後の交渉で立場を悪くします。実際に使っていたのが同居のご家族だった場合は、ご家族ご本人が回答する書式が用意されており、契約者の情報に代えてご本人の連絡先を権利者側へ通知するよう求めることもできます。逆に、ご本人が回答せず契約者が代わりに答えると、その後の請求に契約者が向き合うことになりかねません。家庭内で事実を確認したうえで方針を決めてください。
また、遅延損害金は不法行為の時から発生しており、問題が長引くほど総支払額が膨らみます。期限内に回答して示談交渉に進むことで、遅延損害金が積み上がる期間を短縮できます。
不同意で回答する場合の理由の立て方や回答書の書き方については、「トレントで開示請求されたら拒否すべき?拒否理由と書き方を解説」で具体的に解説しています。
②示談交渉には誠実に応じる
開示請求によって情報が開示されると、権利者の代理人弁護士から示談金を請求する書面が届き、ここから示談交渉が始まります。以後のやり取りの窓口は、権利者本人ではなくこの代理人弁護士です。この段階では、権利者側も訴訟のコストを避けたいという意向があるため、交渉の余地が残されています。
示談金の請求書にも、権利者側が指定した回答期限が記載されています。誠実に応じるとは、示された金額を無条件でのむという意味ではなく、この期限内に反応し、利用の実態や支払える範囲を具体的に示したうえで話し合う姿勢を指します。期限までに方針が固まらない場合でも、書面を受け取ったことと、弁護士に相談中であるなど対応する意思を期限内に伝えておけば、無視として扱われるリスクを大きく下げられます。
弁護士が窓口に入れば、提示された請求額から減額した金額で和解できる可能性があり、一括払いが難しい場合に分割払いや支払期限の調整を求める余地もあります。
一方、示談金の請求を無視して訴訟に発展した場合、判決では一括払いを命じられるのが通常です。訴訟になっても裁判上の和解で支払条件を調整できる余地は残りますが、示談段階に比べて条件面では不利になりやすくなります。判決が確定すれば、それをもとに給与や預貯金を差し押さえる強制執行に進みます(民事執行法22条1号)。無視し続けても、支払いを免れることはできません。連絡を絶つことは、交渉のテーブルそのものを手放す選択だとお考えください。
トレントでは複数の権利者から相次いで請求が届くこともありますが、その場合も個別に放置せず、届いた順に対応方針を決めていくことが大切です。提示額の妥当性や減額の見通しについては、「トレント開示請求の示談金相場は?高すぎる請求の減額と対処法を解説」もあわせてご確認ください。
③早めに弁護士に相談する
トレントの案件では、意見照会書が届いた段階、あるいは示談金請求の初期段階で弁護士に相談しておくと、その後の対応がスムーズになります。回答書の内容も、示談交渉の進め方も、最初の一手で選べる範囲が変わるためです。
すでに回答期限を過ぎている場合でも、打つ手がなくなるわけではありません。まだ開示の連絡が来ていない段階なら、開示請求がプロバイダへの直接請求によるものであれば判断は確定しておらず、期限後でも事情を伝えられる場合があります。裁判所への申立てによる場合は、発信者がその手続きの当事者ではないため、プロバイダを通じて伝えられる余地が残るかどうかにとどまります。開示されて請求書が届いた段階なら支払条件を含めた示談交渉が残っており、訴状が届いた段階でも裁判上の和解という道があります。失われるのは選べる手の幅であり、対応する道は段階に応じて残ります。気づいた時点で相談することで、取れる手は広がります。
無視した末に訴訟対応になると、示談交渉の段階で解決する場合よりも弁護士費用は高額になります。弁護士に依頼すれば、裁判所への出廷準備や書面作成の手間も省け、本業への支障を抑えられます。
さらに、早い段階で着手できれば、訴訟を経ずに示談で終えられる可能性があります。無視して訴訟に発展させると、判決が出るまで長く裁判手続きに付き合うことになり、その間ずっと不安を抱えて過ごすことになります。
トレントの開示請求・示談金請求を無視した事例
ここからは、実際に無視したことで状況が悪化した事例を2つ紹介します。いずれも、当事務所の弁護士が介入して解決に至ったケースです。
開示請求(意見照会書)を無視してしまった事例
依頼者A様(30代・男性)は、自宅のインターネット回線を通じてトレントを利用し、人気のアニメや漫画作品を複数ダウンロードしていました。
ある日、発信者情報開示に係る意見照会書が、契約先のプロバイダから届きました。しかし「身に覚えがない」と自己判断し、不安から逃れたい一心で回答期限までにこれを完全に無視しました。
その結果、A様の意思表示が確認できないままプロバイダは情報開示に踏み切り、数週間後に著作権者の代理人弁護士から高額な示談金(当初請求額90万円)を請求する内容証明郵便が突然届きました。
A様は突然の請求に混乱し、初めて弁護士を探すことになりました。意見照会書の段階で弁護士に相談していれば、冷静に今後の対応策を検討し、資金準備もできたはずですが、無視した結果、慌てて対応しなければならない事態に陥りました。
早期に誠実に対応していれば、権利者の心証を悪化させることなく、より低額な示談金で迅速に解決できた可能性がありました。
当事務所の弁護士が直ちに示談交渉を開始し、法的な損害額の根拠を主張しました。最終的には、当初の請求額90万円から大幅に減額した40万円で和解を成立させ、同時に守秘義務条項を盛り込むことで、問題を無事に終結させることができました。
示談金請求を無視してしまった事例
依頼者B様(40代・男性)は、以前トレントで映画作品をダウンロードした件で、発信者情報開示を経て、著作権者の代理人から示談金20万円の請求書を受け取りました。
しかし、「詐欺ではないか」と疑い、インターネット上の「無視すれば大丈夫」という情報を鵜呑みにして、示談金請求を完全に無視し続けました。
権利者側はB様の態度を「不誠実で反省の色がない」と判断し、無視開始から約3ヶ月後、B様に対し損害賠償請求訴訟を提起しました。
訴訟に発展したことで、示談のための譲歩はなくなり、権利者は損害額を計算し直したうえで遅延損害金を上乗せして請求してきました。その結果、当初の示談金20万円に対し、請求額は50万円にまで増額されました。裁判対応のための弁護士費用が別途必要となり、時間的・経済的な負担が大幅に増加しました。
そのうえ、早期に示談交渉していれば分割払いも交渉可能だったにもかかわらず、訴訟で敗訴すれば判決で一括払いを命じられるリスクを負うことになりました。
訴状が届いた段階で当事務所に依頼があり、弁護士が訴訟代理人として和解交渉を行いました。無視による悪影響が大きかったものの、裁判上の和解手続きを通じて、最終的に35万円の支払いで和解を成立させ、問題を終結させました。
当初の示談金20万円よりも高額での解決となりましたが、判決に至るリスクを回避し、最悪の事態を防ぐことができました。
トレント開示請求や示談金請求でお困りの方は弁護士にご相談ください
ここまで見てきたとおり、届いた書面を放置しても手続きは進み、開示、訴訟、そして刑事手続きへと段階が上がるにつれて、選べる手段は減っていきます。逆に、期限を守って誠実に対応する姿勢を示すことが、請求額を抑え、刑事のリスクを避け、問題を早く終わらせる最短の道です。
訴訟が始まってから依頼するのと、意見照会書の段階で依頼するのとでは、対応の難易度も費用も大きく変わります。回答書に何をどう書くか、示談の場でどこまで交渉できるかも、最初の一手に左右されます。
書面を受け取ったばかりの方、内容証明郵便が届いて返事に迷っている方、すでに放置してしまい今からでも間に合うのか不安な方。一人で抱えるほど不安は大きくなります。家族や職場に知られないように進めたいというご要望にも、相手方との交渉窓口を弁護士が引き受けることで配慮いたします。
当事務所はトレントに関する開示請求・示談交渉を数多く取り扱っており、書面が届いた初期段階から訴訟に発展した段階まで、状況に応じた最善の対応をご提案します。ご依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてお守りします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

