日本における離婚の80%以上は、夫婦の話し合いによる協議離婚によって成立しています。
しかし、当事者の一方が離婚を拒否している場合には協議離婚は成立しません。
このようなケースで離婚するためには、まず離婚調停を行うのが一般的です。
しかし、相手方が強硬に離婚を拒否している場合には、離婚裁判を行わなければいけません。
離婚裁判を行えば、相手がいかに離婚を強く拒否している場合でも離婚が認められるケースがあります。
今回は、相手が離婚を拒否している場合でも、離婚が認められるために必要となる5つの条件をメインに解説させていただきます。
- 「離婚裁判とは?」
- 「離婚が認められるための条件とは?」
みなさんが疑問に思う上記のような疑問に、5分でしっかりとお答えします。ぜひ、最後までお読みください。
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目次
1.相手が拒否している場合の離婚方法
冒頭でご紹介させていただきましたように、日本での離婚の大半は協議離婚です。
しかし、協議離婚が成立するためには、当然のことですが夫婦両方の離婚に関する合意が必要です。
夫婦のどちらか一方が離婚に合意しない場合、協議離婚することはできません。
このような場合には、まず調停離婚を検討することになりますが、調停も結局は家庭裁判所で行われる当事者の話し合いにすぎません。
このため、相手が強く離婚を拒否している場合には調停不成立となる可能性が高く、離婚を成立させることができないことが一般的です。
このようなケースで離婚するためには、離婚を求めて裁判を起こすしか方法が残されていません。これが、いわゆる「離婚裁判(離婚訴訟)」です。
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離婚が認められるためには一定の条件が必要|法定離婚事由
離婚裁判において、裁判所によって夫婦の離婚が認められるためには、民法の定める一定の条件が必要です。
この条件のことを「法定離婚事由(ほうていりこんじゆう)」または「法定離婚原因(ほうていりこんげんいん)」といいます。
裁判所によって夫婦の間に法定離婚事由に該当する事実があると判断された場合には、相手方がどれほど強く離婚を拒否していたとしても、離婚を認める判決をもらえる可能性があるのです。
2.離婚拒否でも離婚できる5つの条件
民法上、法定離婚事由は、つぎのように5つ定められています。
- (1)不貞行為(民法770条1項1号)
- (2)悪意の遺棄(同項2号)
- (3)3年以上の生死不明(同項3号)
- (4)回復の見込みのない強度の精神病(同項4号)
- (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由(同項5号)
今回は、裁判で離婚が認められるための条件を短時間でご確認いただけるように、ごく簡単にご紹介します。
法定離婚事由の具体例など詳細に関しては、以下の記事を参照してください。
(1)不貞行為(民法770条1項1号)
相手方に不倫など、いわゆる「不貞行為(ふていこうい)」がある場合、裁判で離婚が認められる可能性があります。
「不貞行為」とは、配偶者以外の人と肉体的に性的な関係をもつ行為を言います。
不貞行為を原因として離婚裁判を起こすためには、配偶者の不倫を裏付ける証拠を用意しておくことが大切です。
証拠はたくさん集めておくほど、裁判を有利に進めることができます。
証拠を集めるためには、探偵事務所に依頼するなど、事前の準備が大切です。
(2)悪意の遺棄(同項2号)
「悪意の遺棄(あくいのいき)」とは、正当な理由なく配偶者と別居したり、生活費を渡さないような相手方の行為のことを言います。
法律上、夫婦には同居・協力・扶助の義務があります(民法752条)。
相手方が、この義務に違反している場合には、離婚が認められる可能性があります。
(3)3年以上の生死不明(同項3号)
相手方について最後の生存確認ができた時から3年以上生死が不明な場合、裁判で離婚できる可能性があります。
現在の住所などが不明であっても、相手方が生存していることが分かっている場合には離婚事由とはなりません。
(4)回復の見込みのない強度の精神病(同項4号)
相手方が非常に重い精神病にかかり、しかも回復の見込みがないと判断される場合には、離婚事由となります。
しかし結婚とは、そもそも病気にかかった時などに協力し合うのが夫婦の本質ともいうべきものです。
このため、相手方の精神病を理由に離婚が認められるためには、一定以上の厳格な要件が必要とされます。
(関連記事:夫や妻の精神病を理由に離婚したい人が知っておくべき3つのこと)
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由(同項5号)
相手方において夫婦関係を根底から破壊し、結婚生活の継続を不可能とするような重大な行為がある場合、離婚事由となります。
5つある法定離婚事由の中で、もっとも幅の広い事由であるため、ケースバイケースで判断されることになります。
具体的には、家庭内暴力(DV)やモラハラ、薬物依存など多種多様なものが認められる可能性があります。
(関連記事:婚姻を継続し難い重大な事由として離婚が認められやすい7つの具体例)
離婚裁判の流れ
法定離婚事由がある場合には、裁判上の離婚の手続をとることができます。
ただし、離婚訴訟を提起しようとする場合には、原則として家庭裁判所で離婚調停手続きを経た後でなければなりません。このようなルールを「調停前置主義」といいます。要するに、離婚調停を申立てて調停手続きにより当事者間で話し合いを行ったものの、お互いに妥協点を見いだせずまとまらずに終了した場合(このような場合を「不調」といいます。)に、引き続いて離婚訴訟を起こすことができるということです。
なぜこのような運用がなされているのかというと、夫婦関係に関するトラブルに関してはいきなり裁判手続きによって公開の法廷で争わせるというのは望ましくなく、できる限り当事者間が話し合って解決できる道を探すこと方が適切であると考えられているからです。
そして離婚調停に引き続き、離婚を望む当事者が家庭裁判所に訴状を提出して訴えを提起することで離婚訴訟が始まります。
裁判手続きでは、当事者双方が自分の主張を証拠に基づいて立証していくことになります。基本的に1カ月に1回期日が設けられ主張と反論を繰り返し、証人尋問、当事者尋問を経て裁判所が判決によって離婚を認めるか否かについて判断することになります。
なお、判決に至るまでにおいても当事者の妥協点を見いだせた場合には和解で争いを終了させることができます。実際、柔軟な離婚条件を取りまとめることができるため、和解で解決している事件も多いです。
3.まとめ
今回は、相手が離婚を拒否していても離婚が認められるために必要となる「法定離婚事由」を、ごく簡単にご紹介させていただきました。
相手が離婚を拒否していても、やはり自分の気持ちとして離婚を希望する場合、離婚裁判を起こす必要があります。
離婚裁判では、今回ご紹介させていただいた5つの条件のうちどれか1つでも存在すると判断された場合、判決によって離婚できる可能性があります。
しかし、これら5つの条件に該当する事実があったとしても、裁判は「水物」です。
裁判の進め方によっては、離婚が認められなくなってしまう可能性も考えられなくはありません。
判決によって離婚を勝ち取るためには、裁判を自分に有利に進める必要があります。
そのためには、弁護士への相談や依頼が必須と言えます。
離婚問題に強い弁護士に相談・依頼すれば、離婚裁判で勝訴する可能性を最大限に高めることができるはずです。
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