浮気相手が慰謝料を払わない理由は?払わせるための対処法を弁護士が解説
配偶者の浮気相手に慰謝料を請求したのに払ってくれない…どんな理由があって払わないのだろう?
慰謝料を払わせるためにはどのように対処すべきかわからない…

この記事では、不貞(不倫)の慰謝料問題に強い弁護士がこれらの疑問や悩みを解消していきます。

また、浮気相手に慰謝料を請求する時にアナタが”やってはいけないこと”も合わせて解説しています。他人の配偶者を寝取っておいて慰謝料も払わない浮気相手に腹立たしい気持ちになることはわかります。しかし、一歩間違えると逆にアナタが法的責任を負うことになりますので、記事を最後まで読んで、正しい慰謝料請求の方法を確認しましょう。

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目次

浮気相手が慰謝料を払わない理由は?

浮気相手から慰謝料を回収する具体的な手段を検討する前に、まずは「なぜ浮気相手は慰謝料を支払わないのか?」という理由について検討してみましょう。

なぜなら相手方が慰謝料支払いを拒絶する理由に応じてこちらの対応も変わってくる可能性が高いからです。

まずはよくある6つの拒絶理由と相手方の主張について整理してみましょう。

払えるだけの資産がないため慰謝料を支払わない

これは「お金がないから払えない」という主張です。

実際に損害を賠償できるだけの資産がない場合には支払うことができません。また収入自体はあっても住宅費や生活費の支払いにその大部分を当てているため賠償に回せる資金がないという主張もありえるでしょう。

しかし、不貞行為について真摯に受け止め反省している相手方であれば、今すぐ支払えない理由を示して分割払いにして欲しい、支払期限を延ばしてほしいなどと相談があってしかるべきです。にもかかわらず、こちらからの請求に対して「金がない」というだけであれば、単なる支払いの拒絶を示しているに過ぎない場合もあるでしょう

相手方のなかには自己破産をちらつかせて追及を免れようとする相手もいますが、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務」であれば支払いを免れることができません(破産法第253条1項2号参照)。この「悪意」とは単純な故意では足りず、積極的な害意のことをいいます。

浮気・不倫をしていないから慰謝料を支払わない

浮気相手が自分は賠償を求められるような不倫も浮気もしていない」と考えている場合には慰謝料の支払いを拒否することがあるでしょう。具体的には、不貞行為となる「性行為があったというのは事実とは異なる」という主張です。

例えば、食事を一緒にしただけ、職場の上司と部下の関係で仕事の都合で一緒にいたところを目撃されただけなどという主張です。

実際に不貞行為が事実誤認の場合には、慰謝料を請求することができません。しかし、支払いを拒否するために不貞行為を否定している場合もあります。そのような場合には不貞行為を証明するための証拠があるか否かが重要なポイントとなります。

既婚者と知らなかったので慰謝料を支払わない

浮気・不倫をした配偶者が浮気相手に「自分は結婚していない」と虚偽を告げていた場合には、浮気相手は「既婚者とは知らなかった。自分もだまされた被害者である」と主張するケースがあります。

この主張は、法的には権利侵害について「故意または過失」を欠くという主張です。

そのため実際に知らなかったといえるか、知らなかったことに過失もなかったといえるかという点が問題となります。

既婚者だと知らなかった証拠は?証拠があれば不倫慰謝料請求を拒否できる?

婚姻関係が破綻していると思っていたので慰謝料を支払わない

夫婦の婚姻関係が破綻していると思っていた」ので慰謝料を支払わないという主張もあります。

肉体関係があった時点で既に夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、あなたの「婚姻共同生活の平和の維持」という守るべき権利・利益が既に消滅していることになります。したがって権利侵害がないため不法行為も成立しません。

ここで問題なのは実際には夫婦関係が破綻しておらず、「浮気相手が勝手にそう思っていた」という場合です。権利侵害があるものの、自分にはそのことについて「故意」がないと浮気相手は主張していることになります。

相手方のこのような主張に対しては本当に婚姻関係が破綻していたと思っていたのか、そのように思っていたことに過失はなかったのかという点が問題となります。

性行為を無理やり強要されたので慰謝料を支払わない

強姦や交際わいせつのように「無理やり性行為をさせられた」と主張して慰謝料を拒否する場合もあります。

性行為を無理やり強要された場合には、不法行為について相手方に故意・過失がありませんので慰謝料を請求することができません。そのようなケースでは相手方の主張にも合理性があります。

しかし真実として性行為に合意がなかったといえるのか、断ろうと思えば断われたのかという点は問題となります。強制性交等や強制わいせつについては刑法上の犯罪行為にあたり、非親告罪ですので告訴がなくとも犯罪として立件することができます。合意のない性行為であったと主張することは配偶者の犯罪行為を主張することと同義である可能性が高いものの、相手方が刑事処罰を求めていない場合には、真実合意があったのではないかと疑うこともできます

自分だけが支払うのは不公平なので慰謝料を支払わない

浮気をしたのは配偶者から積極的なアプローチがあったからで、それにもかかわらず「浮気相手の自分にだけ慰謝料を請求するのは不公平だ」と主張して支払いを拒絶することがあります。

不貞行為をはたらいた両当事者は、2人で共同して被害者の権利を侵害したことになりますので「共同不法行為」が成立します。

そして共同不法行為については「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」と民法には規定されています。

浮気相手としては不貞の責任は双方が分担して負担するのだから「自分だけが狙い撃ち」されているというのが納得いかないとして支払いを拒絶していると考えられます。

浮気相手に慰謝料請求できる条件

それでは浮気相手から「慰謝料は払えない」と言われた場合、慰謝料を請求することができるのでしょうか。慰謝料請求ができる条件を確認していきましょう。

浮気相手との間に性行為があった

浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、不貞行為があったこと、つまりは、相手方配偶者と浮気相手との間に「性行為(手淫・口淫などの性交類似行為も含む)」があったことが必要です。

そのため、

  • 浮気の当事者が恋愛感情を持っているだけ
  • 食事やデートを頻繁にしているだけ
  • キスやハグをしただけ

といった場合には性行為がありませんので不貞行為には該当しません。

浮気相手に「故意または過失」があった

浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、浮気相手が、アナタの配偶者が既婚者であることを知っていた(これを「故意」といいます)か、知らなかったことに過失があることが必要です。

もっとも、「既婚者と知らなかった」と浮気相手が主張した場合でも、実際の裁判においては、浮気相手の故意・過失が否定されるケースは少ないです。つまり妻や夫がいる相手と性行為をした場合には、多くの場合で浮気相手に故意・過失があったと認定されているということです。

既婚者と浮気をする場合には以下のような特徴があります。

  • 平日の夜の一定の時間帯しか会えない
  • 土日には連絡がとれない
  • 親族や友人を紹介されたことがない
  • これまで密室で2人きりで会うことしかなかった
  • 相手方の自宅に一度も招待されたことがなかった

上記のような事情があったにもかかわらず、相手を既婚者であると思っていなかったという場合には、既婚者であると気づかなかったのは当人の不注意であるとして過失が認定される可能性が高いのです。

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浮気相手が自分の意思で性行為をした

浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、浮気相手が「自分の意思に基づいて」配偶者と性行為をしたことが必要です。

例えば配偶者の方が浮気相手に恋愛感情を持って強引にアプローチをして半ば強引に誘って口説き落とされたという場合であっても、自分の意思で性行為したことは否定されません。したがって上記のような場合であっても不貞行為の成立は否定されず慰謝料支払い義務が生じることになります。

浮気により婚姻関係が破綻した

浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、「不貞行為により婚姻関係が破綻した」ことが必要です。

夫婦関係が劣悪で別居状態や家庭内別居に至るなど婚姻関係が実質的に破綻している場合には、前述の通り、あなたの守るべき権利・利益は既に消滅しています。そのため、不貞行為時に既に婚姻関係が破綻していた場合には、侵害の対象となる権利が存在しないため慰謝料請求は認められません

他方で、不貞行為が決定的な原因となり円満な関係にあった夫婦が別居・離婚にまで至ったケースでは、不貞行為の悪質性が高いとして慰謝料の金額も増額する可能性が高いです。

浮気相手に慰謝料請求できないケース

浮気相手に「故意または過失」がなかった場合

浮気相手に「故意または過失」がないと認定される場合には不貞行為に不法行為が成立しませんので、慰謝料請求もできないことになります。

上記で既婚者と性行為をした場合には「故意または過失」が認定されることが多いと解説しました。そこでこれらが否定される場合には特別な事情がある例外的な場合ということができます。

そのように言えるのはお互い未婚同士の交際関係であると信じることについて正当な理由があるような場合です。

具体的には出会い系サイトや婚活パーティーなど「既婚者は参加ができない」とされているにもかかわらず、配偶者側が「独身」であると登録・公表して浮気相手に独身であると虚偽申告をして近づいたような場合です。このような場合に交際の末、性行為を行ったとしても浮気相手には相手が独身であると信じることに正当な理由がありますので不注意があったとは言い難くなります。

したがって、配偶者が独身であることを信じても仕方ないと言える事情のもとでは不倫相手の「故意または過失」が否定される可能性があるのです。

相手が既婚者であることを知らないふりすれば慰謝料から逃げられる?

無理やり性行為を強要された場合

配偶者と性行為があったとしても相手方の自由な意思に基づいて性行為をしたと言えない場合には「故意・過失」による不法行為が成立しませんので慰謝料を請求することができません

具体的には配偶者が暴行・脅迫により無理やり性行為を行ったような場合です。そのような場合には「強制性交等」罪が成立することになり(刑法第177条参照)、当然相手方に不法行為が成立することもありません。

性行為について合意があったのか・なかったのかについては、立証することが非常に難しい事項です。

相手方が合意が無かったと主張しているにもかかわらず、配偶者を告訴もせず責任も追及しないのは不自然です。このような場合、実際は同意に基づく性行為であったにもかかわらず慰謝料の支払いを逃れるために「合意はなかった」と主張していると推認することもできます。このような場合には浮気相手のこのような矛盾する行動自体を証明することで不貞行為を間接的に立証することも可能です。

すでに全額慰謝料の支払いを受けている場合

不貞行為があったとしても、すでに全額慰謝料の支払いを受けている場合にはそれ以上の慰謝料を受け取ることはできません

例えば、離婚の際に元配偶者から十分な金銭や慰謝料を考慮した金額で財産分与を受けているような場合には、不貞による精神的損害について既に補填されているとして、浮気相手からも慰謝料を受け取ることは難しくなるでしょう。

問題は受け取った慰謝料が「十分な」金額か、慰謝料「全額」といえるかという点です。この点については、ケースによって慰謝料の相場も異なってきますのでプロである弁護士に相談してみるべきでしょう

すでに時効が完成している場合

時効期間が経過している場合には損害賠償請求権は時効消滅してしまいますので、慰謝料を請求することはできません。

不法行為に基づく損害賠償請求権は、以下の期間を経過することで消滅します(民法第724条)。

  • 被害者が損害または加害者を「知った時」から「3年間」行使しないとき
  • 「不法行為の時」から「20年間」行使しないとき

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不貞行為の証拠がない場合

真実、不貞行為があったとしても、それを立証するための証拠が何もない場合には、裁判所は不貞の事実を認定することができませんので、慰謝料請求をすることもできません

しかし、本当に証拠がないか否かは素人には判断が難しい可能性もあります。さらに任意での交渉の仕方次第では相手に支払いを約束してもらえる可能性もあります。

したがって、証拠が何もないと思われる場合であっても、まずは弁護士に相談してみるのが得策です。

浮気相手が慰謝料を払わない場合の対処法

浮気の証拠を示して請求する

相手方が「浮気をしていない」と反論している場合には、証拠を示して請求するのが良いでしょう。

2人でホテルを出入りしている写真や、性行為が明らかになる動画・画像、LINEやメールのやり取りを示された場合には、相手方も無駄な抵抗は諦めて素直に慰謝料の支払いに応じる可能性が高いです。

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内容証明郵便を利用して請求する

浮気相手が請求を無視する場合には、「内容証明郵便」によって慰謝料請求をしましょう。

「内容証明郵便」とはいつ・どのような内容を・誰から・誰に差し出されたのかについて日本郵便株式会社が証明してくれるサービスです。

これを利用することであなたが請求した時期や内容を後の裁判手続で証明することができるようになるのです。内容証明郵便を利用することで今後は裁判も辞さないという強い意思を伝えることもできますし代理人弁護士の名前で差し出す場合には相手方に心理的なプレッシャーを与えることもできます

分割での支払いを約束させる

相手方が「お金がないから支払えない」「高額なため一括では無理」と反論してくる場合には、慰謝料の金額を減額するか、分割での支払いを打診してみるのも効果的です

特に毎月5万円や10万円ずつなど月々の支払いが余剰の中から捻出できる場合には相手方も和解に応じる可能性が高まります。

相手の主張には適切に反論する

相手の主張には適切に反論しましょう。

「既婚者とは知らなかった」と主張する場合には、「平日夜の一定時間にしか会っていない」「いつもホテルや相手の自宅でしか会っていない」「休日には連絡がとれない」など既婚者であることを疑うべき事情があることを反論しましょう

「性行為には合意がなかった」と主張する場合には、「その後も何度も会って性行為をしてるのは不自然であること」「犯罪行為にあたるにもかかわらず訴追意思がないのは矛盾している」「一般的な男女交際として双方がやり取りしている」など相手方の矛盾行為を証拠とともに主張して反論しましょう

相手の主張に適切に反論しておくことで無用な抵抗を排除してスムーズに話し合いを進められる可能性もあります。

慰謝料請求調停や訴訟を提起する

任意での話し合いでは慰謝料の支払いに応じない場合には「慰謝料請求調整」を申し立てましょう。慰謝料請求調停とは、家庭裁判所の裁判官や調停委員が当事者の間に入って事情を聞き、双方が納得できる内容で合意を目指す手続きです。不貞行為が証拠により立証される場合には、賠償責任自体は発生することになりますので調停委員もあなたの味方になって相手方を説得してくれる可能性があります。

調停手続きが成立しない場合には、民事裁判を提起して慰謝料請求の可否を裁判所に判断してもらうことになります。この場合には証拠に基づき不法行為の要件を過不足なく立証していく必要があります。

慰謝料を払わないからといってやってはいけないこと

浮気相手の自宅や職場に押しかける

相手の態度が許せないとしても、決して浮気相手の自宅や実家、勤務先に押しかけたり、不倫の事実を公表したりしてはいけません。

このような行為は、住居・建造物侵入罪、名誉棄損罪などに該当する可能性があり、逆にあなたが慰謝料請求されてしまうリスクがあります。

ネットで個人情報を晒したり誹謗中傷をする

不倫相手や配偶者の浮気が許せないとして、SNSやブログ上の個人が特定できるような記載で不倫の事実を投稿したり公表したりしてはいけません。

インターネット上の投稿であっても名誉棄損罪に問われる可能性があり、相手方から損害賠償請求されてしまうリスクがあります。

仕事をやめるように強要する

浮気相手が配偶者の勤務先の同僚などの場合、配偶者の近くにいることが気に入らないとしても退職を強要するような行動をしてはいけません。

相手方に「仕事をやめないと不倫をばらすぞ」などと伝えた場合には脅迫や強要などの犯罪に該当する可能性があります。

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浮気相手が慰謝料を払わないなら弁護士に依頼

浮気相手が慰謝料の支払いを拒否するような場合には、イリーガルな手段に出ることなく弁護士に依頼しましょう。弁護士が代理人に就くと浮気相手もこれまでの態度を改めて話し合いに応じ、納得いく解決ができる場合もあります。

浮気相手が慰謝料の支払いに応じない場合には是非、離婚問題に精通した弊所の弁護士に一度ご相談ください。

弊所では、浮気・不倫相手への慰謝料請求を得意としており、支払いに応じない浮気相手への慰謝料請求の実績もあります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますのでまずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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