離婚後に元配偶者に新住所を知られたくない人がとるべき手順
  • 「婚姻生活中に元配偶者からDVを受けていたので離婚後の新住所を知られたら家に来られて暴力を受けるのではないか…」
  • 「離婚を嫌がっている相手と訴訟で離婚が成立したが、新住所を知られたらストーカーされるのではないか…」

離婚後に引っ越しをして住民票を移した新しい住所を元配偶者に知られないようにするためにはどうすればいいのだろう?

このようなことでお悩みではないでしょうか。

そこでこの記事では、離婚問題に強い弁護士が、離婚後に住所を知られないようにするための手順について解説していきます。

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離婚後に住所を知られないようにする手順

離婚後の新しい住所は戸籍の附票から相手に知られてしまう可能性があります。「戸籍の附票」とは、その戸籍に入っている人の住所を記録したもので、その戸籍に入っている限り引っ越しをしてもその住所の履歴が残ってしまいます。

そのため次の手続きに従って、結婚していた時の戸籍に新住所を残さないようにすることが重要です。

  1. 離婚届を提出してから住民票を移動させるようにする
  2. 除籍後の本籍地は新住所とは別の住所を設定しておく
  3. 新住所に住民票を移動させる
  4. 閲覧制限をかけておく

①離婚届を提出してから住民票を移動させるようにする

結婚していた時の戸籍の時点で住民票を移動させてしまうと、新住所が記録されて戸籍の附票から新住所が判明してしまうことになってしまいます

したがって、「離婚届を提出してから」住民票を移動させるようにしておいてください。

一度結婚していた時の戸籍から抜けることがポイントとなるため、新しい戸籍を作成したり実家などの別の戸籍に入る必要があります。

既に新しい住所に引っ越し済みのような場合でも住民票の移動より先に離婚届を提出するようにしてください。

②除籍後の本籍地は新住所とは別の住所を設定しておく

結婚していた時の戸籍を抜けた後に入る戸籍の本籍地は、離婚後にあなたが生活する新住所とは異なる住所を設定してください。

なぜなら、戸籍の附票にはその戸籍を抜けた後にどこに本籍を移動させたかという記録が残ってしまうため、戸籍の附票から新住所が判明してしまわないようにしておく必要があるからです

したがって、離婚後の本籍地と新住所とは別の住所にしておく必要があります。

ここで本籍地については、実際に住んだことがない場所であっても日本国内に番地がある場所であればどこでも指定することができる性質のものです。

戸籍から抜ける人は、元々いた両親の戸籍に復籍したり、自分が筆頭者となる新しい戸籍を作成する必要があります。

他方で筆頭者として結婚していた時の戸籍に残ることになる方は、新しい戸籍を作って転籍しない限り、元配偶者が婚姻時の戸籍附票を見ることであなたの住所や転居履歴を把握することができてしまうことになります。

③新住所に住民票を移動させる

次に転居する新住所に住民票を変更します。

転居してから14日以内に住民票の住所変更を届け出る必要がありますが、その期間を経過してしまった場合でもできるだけ早期に変更手続きを取りましょう。

なお、令和元年6月20日までは元配偶者も「住民票の除票」という書類を請求でき、引っ越し先の住所を閲覧することができていました。しかし現在は住民基本台帳法の改正により、住民票の除票は原則として本人のみが請求できることになったため、元配偶者であっても住民票の除票を入手することは原則としてできなくなりました。

ただし、改正以降も相続手続きや訴訟手続きなど正当な理由があると判断される例外的な場合には、元配偶者でも住民票の除票を請求できます。そのため、どうしても心配だという方は別の住所で住民票を作っておく手続きを取ることが安心かもしれません

④閲覧制限をかけておく

子どもがいて、あなたと同じ戸籍に入っている場合には、戸籍の閲覧・交付制限をかけておくことができる可能性があります。

法律には、戸籍の附票は、戸籍に記録されている者、その配偶者、直系尊属(両親や祖父母など)、直系卑属(子どもや孫など)であれば請求することができると規定されています(住民基本台帳法第20条参照)。

そのため子どもがいる場合には、離婚したとしても元配偶者は自分の子どもの戸籍を請求することができますそれにより、子どもと同一の戸籍に入っているあなたの戸籍を閲覧することができてしまうのです

そこでそのようなことを防ぐために戸籍の閲覧・取得制限という制度が設けられています。

以下のような事情がある場合には、あなたのやあなたの子どもの住民票、戸籍の附票の閲覧・交付を制限することができます。

  • 配偶者から暴力を受けていた場合
  • 配偶者からストーカー行為を受けていた場合
  • 児童虐待行為の被害者の場合 など

閲覧・交付制限として具体的に制限される内容としては以下のようなものです。

  • 住民基本台帳の一部の写しの閲覧
  • 住民票(除票を含む)の写しの等の交付
  • 戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付

元配偶者からこれらの請求があった場合であっても制限をかけておけばそれを拒否してもらうことができます

閲覧・交付制限については、住民票や戸籍がある市区町村で対応を行っているため、必要があると感じている方は相談してみてください。

まとめ

離婚後に住所を知られたくない場合の対策について解説してきました。

ただしこの対策は、あくまでも戸籍や住民票から住所を知られないための方法であって、あなたの勤務先や子どもが通う学校が知られていればそこで待ち伏せされて後をつけられて新しい住居がバレてしまうこともあるでしょう。

それを防ぐためには転職や転校するなどの対策が必要となってきますが、離婚した後も元配偶者の影に怯えて暮らすのは精神的にも辛いものがあるでしょう

モラハラ夫との離婚後でも怖い思いをしている場合の対処法に書かれていますが、離婚後も元配偶者がしつこく連絡をしてくる場合や、あなたや子ども、あなたの親族に危害を加える内容のメッセージを送ってくるなどのケースでは、警察に事件として動いてもらうことで解決が図れることもあります。また、弁護士から警告を出すことで穏便に解決することも期待できます。

弊所では、離婚後の元配偶者による嫌がらせ、ストーカー、DV、脅迫事案を解決してきた実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、お困りの方は弊所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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