再婚禁止期間とは|女性にだけ適用される理由と再婚できる6つの例外
  • なぜ男性にはないのに、女性にだけ再婚禁止期間があるのだろう…
  • 再婚禁止期間中でも再婚できる例外ってどんな場合なのだろう…
  • 再婚禁止期間が6ヶ月から100日に短縮された法改正の元になった最高裁の違憲判決について知りたい…

こういった疑問を抱えていませんか?

そこでこの記事では、離婚問題に強い弁護士が、以下の6つのポイントにつきわかりやすく解説していきます。

  • 再婚禁止期間とは?
  • なぜ女性にだけ再婚禁止期間があるの?
  • 違反すると罰則はある?
  • 100日の計算方法は?
  • 再婚禁止期間中でも再婚できる例外とは?
  • 法改正の元となった最高裁の違憲判決とは?

再婚禁止期間について詳しく知りたい!再婚できるのはいつになるの?私は例外に当てはまるのかしら?とお考えの方は、最後まで読んでみて下さい。

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再婚禁止期間とは?

女性が再婚する場合は、前に離婚した日から100日間は再婚できないと民法733条1項に規定されています。この期間のことを「再婚禁止期間」といいます。

第733条
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

なぜ女性にだけ再婚禁止期間があるの?

女性にだけ再婚禁止期間が設けられていて不公平…そう感じる方もいることでしょう。

では、なぜ女性にだけこのような期間が設けられているのでしょうか。

それは、端的に言えば、扶養義務や相続の場面において、再婚後に生まれてきた子供の父親が誰であるかを明確にして、子の利益を保護するためです。

女性は出産の事実によって、産まれてきた子と親子関係にあることを生物学的に証明できます。

しかし、男性の場合は、DNA鑑定をしない限り、産まれてきた子が本当に自分の子供であるかどうかはわかりません。

例えば、女性が再婚後にすぐに妊娠が判明した場合、元夫の子なのか、再婚相手の子なのかハッキリとしないケースもあるでしょう。

そして、こういった事態は、民法772条で規定されている「嫡出推定制度」と絡んで問題となります。

民法772条2項では、「①婚姻成立の日から200日を経過した後」または「②婚姻の解消(離婚)から300日以内」に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定すると規定されています。

例えば、女性が離婚してから60日後に再婚し、再婚した日から230日後に子供が生まれたとすれば、”再婚してから230日後、離婚してから290日後に子供が生まれた”ことになりますので、上記の①と②の両方に当てはまります。

つまり、再婚相手と元夫のどちらもが、子供の父親であると推定される状態となってしまいます(これを「父性の推定が重複する」といいます)。

父親がどちらであるかは子供の福祉にとって非常に重要です

父親は子供を扶養するために養育費を支払う義務を負いますし、将来的に自分が死亡した時に子供に財産を相続させることにもなります。

「別れた妻が連れて行った子供の養育費など支払いたくない。相続財産も渡したくない」という理由から、「自分は父親ではない。再婚相手の子だろう」と主張してくることも考えられます。

こういった事態を避け、子供の法律上の権利や利益を安定させるために、200日と300日で重複してしまう100日間を再婚禁止期間としているのです。

再婚禁止期間に違反すると罰則はある?

なんら罰則はありません

そもそも、再婚禁止期間内に役所に婚姻届を提出しても、受理してくれないので法律上再婚できません。

仮になんらかの手違いで婚姻届が受理されてしまった場合でも、罰金や刑事罰などの罰則は一切ありません。

罰則はなくても調停や裁判といった面倒ごとになることも

万一、再婚禁止期間中に誤って婚姻届が受理されて婚姻が成立し(後で取消の対象とはなりますが)、その後、再婚相手との間に子供が生まれると、既にお伝えしたように、父親は元夫なのか再婚相手なのかが不明確な状態が生じます。

そうなると、父親がどちらであるかを定めるために、まずは裁判所に調停を申し立て、調停が不成立の場合は訴訟で争わなくてはなりません。

DNA鑑定も行わなくてはならなくなり、調停も裁判も時間と労力を消耗します。

不手際があった役所側にも問題はありますが、再婚禁止期間を守らずに婚姻届を提出すると、罰則はなくとも、のちのち面倒な事態になり兼ねませんので気を付けましょう

再婚禁止期間の100日の計算方法

再婚禁止期間の法律上の書き方は「女は、前婚の解消または取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない(民法733条1項)」と書かれています。

つまり、離婚が成立した日、つまりは、協議離婚の場合は離婚届を役所に提出した日、調停離婚の場合は調停成立日、裁判離婚の場合は裁判確定日がそれぞれ再婚禁止期間の起算日となります。

この点、「初日不参入の原則」に従えば、離婚成立日の翌日から100日を経過しなくてはならないのでは?と思う方もいるのではないでしょうか。

「初日不算入の原則」とはなにか、以下の条文を見てみましょう。

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

再婚禁止期間とはその名の通り、「期間」を定めたものですので、”期間の初日は、算入しない”という民法の初日不算入の原則に照らし合わせれば、離婚成立日は再婚禁止期間に含めずに、離婚成立日の翌日から100日の期間が開始するのではないかとも思われます。

しかし、もう一度、再婚禁止期間を定めた条文の文言を確かめてみましょう。
「女は、前婚の解消(離婚)または取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない(民法733条1項)」

つまりこの条文によると、離婚成立日が起算日となり、初日不算入の原則は適用されないことになります。離婚が成立した日を含めて100日を計算するということですね。

もう少し詳しく説明しましょう。
例えばある人が、4月1日の午後14時に役所に離婚届を提出したとします。離婚の成立日は4月1日ですね。
そして、再婚禁止期間の起算日は、離婚成立日ですので4月1日です。
4月1日を含めた100日後は、同年7月9日となりますので、再婚できるのは7月10日0時~から(100日が経過した後である必要があるので)となります。

カレンダーの画像。離婚成立日を再婚禁止期間の起算日として、100日後を再婚禁止期間最終日、101日後が再婚可能日であることをカレンダーにマークして示している。

再婚禁止期間中でも例外的に再婚できるケース

再婚禁止期間中でも、父性の推定が重複する問題が生じない場合には、例外的に再婚が認められます。具体的に見ていきましょう。

①女性が離婚時に妊娠していない場合

離婚時に女性が妊娠していない場合には、再婚後に生まれてくる子供の父親は再婚相手であることが推定されます。そのため、父性の推定が重複する問題は起きませんので、再婚禁止期間中でも再婚できます(民法733条2項1号)。

ただし、離婚時に女性が妊娠していなかったことを証明するため、医師が診察し作成した「民法733条第2項に該当する旨の証明書」を婚姻届に添付して役所に提出しなくてはなりません。

②離婚前に妊娠して出産した場合

離婚前から女性が妊娠しており、離婚後に出産した後は、再婚禁止期間中であっても再婚できます(民法733条2項2号)。

離婚後に女性が出産したことで、その後、女性が妊娠出産した場合の子の父親は再婚相手であることが容易に推定できるからです。

ただしこの場合も、「民法733条第2項に該当する旨の証明書」を添付しなくては、婚姻届けを役所に受理してもらうことはできません。

③その他、再婚禁止期間が適用されない例外ケース

再婚禁止期間の主な目的が「父性推定の重複による混乱を防止すること」であることから、条文で明示されていなくとも、父性推定の重複が考えられないケースについては実務上は再婚禁止期間が適用外となっていますので、それらについてもご紹介します。

  • 前婚の夫と再婚する場合
  • 女性が閉経や子宮全摘出により妊娠の可能性がない場合
  • 夫が失踪宣告により死亡したと見做され、妻が婚姻を解消した場合
  • 夫が3年以上生死不明のため、裁判離婚で離婚判決が出た場合

再婚禁止期間は最高裁判例を元に改正された

現在では再婚禁止期間は100日となっていますが、平成28年6月の民法法改正以前は、女性の再婚禁止期間は6ヵ月でした

以前からこの期間については改正すべきとの意見がありましたが、平成27年12月16日の最高裁判所判決(以下、「平成27年判決」とします)で、「100日を超える部分は違憲(憲法違反)」との判例が出たことを受けて、民法が改正されました。

過去には、6ヶ月の期間は違法ではないという最高裁判決もあった

過去には次のような裁判がありました。

離婚後、6ヶ月を待たずして婚姻届を出そうとして市役所に受理されなかった人が、再婚禁止期間は、法の下の平等(憲法14条1項)、両性の平等(憲法24条)に違反すると主張して、再婚禁止期間を定めた法律(民法733条)の改廃(改正や廃止)をしていない国に対して慰謝料の請求をしました。

しかし、1審(地裁)2審(高裁)で請求が棄却され、最高裁でも上告が棄却されました(平成7年12月5日最高裁判決)。

再婚禁止期間を設ける趣旨が「父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解される」ことから、国会がこの法律を改廃しないことは違法ではない、というのがこの判決の理由です。

再婚禁止期間を100日に変更した最高裁判決とは

従来から有力な意見として、再婚禁止期間については削除するか、若しくは、その期間について100日とすべきとの意見が交わされていました。

冒頭で述べた平成27年判決は、まさにこうした意見を認める形式で、再婚禁止期間の制度の維持について容認しつつも、100日を超える部分の再婚禁止期間は認められないと判断しました。

民法が制定された当初の考え方として、「妻は前夫に対しても貞操をまもるべきであって、離婚してすぐ結婚するなんてとんでもない」という考え方がありました。

また、こうした考え方を時代背景として、法律的な線引きとして、「父性の無用な重複を避ける」目的として、6か月間の再婚禁止期間が容認されてきました。

一方で、平成27年判決によると、憲法上保証される両性の平等の観点から、婚姻に関する直接的な制約を行うことは違憲だということを根拠とし、法技術上の観点から再婚禁止期間は100日設ければ十分であって、これを超える部分は違憲だと判断しました。

再婚禁止期間が完全に無くならない理由

平成27年判決では、たとえDNA鑑定で容易に親子関係を確定できるとしても、再婚禁止期間を設けない場合には、一定の裁判手続でこうした科学的な検証を行わないと、父を確定できない等の不都合が生じると判断されています。

要するに、「父が誰か確定できない場合、裁判でDNA鑑定しないと結論がでないことになり、やっぱり不便だから再婚禁止期間の制度はあった方がいいよね」ということでしょう。

ただし、平成27年判決では、「人々の家族観は変化する」ということを確認しつつ、今後の時代の変遷によって、再婚禁止期間の存在が違憲となり得る場合があると、判断に幅を持たせています。

まとめ

ここまで再婚禁止期間について説明してきました。この再婚禁止期間について、“わかりやすく”まとめると、「女性は離婚後100日以内は婚姻できないが、離婚時に妊娠していないか、離婚後に出産した場合には例外的に婚姻できる」ということでしょう。

最高裁判所が判例で触れていましたが、時代によって人々の倫理観や家族観は変化するものです。もしかしたら、今後再婚禁止期間そのものがなくなる将来もあるかもしれません。

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