このようにお考えではないでしょうか。
信頼していた夫(妻)から裏切られた絶望感や、夫(妻)を寝取った不倫相手への怒りから復讐心に燃えるお気持ちは理解できますし当然の感情でしょう。
しかし、不倫の復讐は、やり方を一歩間違えるとご自身が刑事・民事(損害賠償)の責任を負うリスクがあります。
そこでこの記事では、不倫問題に強い弁護士が、
- リスクの高い不倫の復讐方法
- 安全に不倫の復讐をする方法
- 不倫の復讐をする場合の注意点
などについて詳しく解説していきます。
なお、この記事を最後まで読んでみて、ご自身一人では不倫の復讐を成し遂げることが難しいと思われた場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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リスクの高い不倫の復讐方法
ネットに拡散する
不倫された報復として、SNSやブログ、掲示板などインターネット上に拡散することが考えられます。
しかし、不倫の当事者が特定できるような内容で、不倫の事実を公表することは名誉毀損罪(刑法第230条1項)や侮辱罪(刑法第231条)に該当する可能性があります。
公然と事実を摘示して人の社会的評価を低下させた場合には名誉棄損罪が成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に問われる可能性があります。また、事実を摘示せずに人の社会的評価を低下させた場合には侮辱罪が成立し、1年以下の懲役・禁錮もしくは30万円以下の罰金、拘留または科料が科される可能性があります。
刑事犯罪に問われた場合には刑罰が科されるおそれがあります。
さらに、不倫の事実をネット上に晒す行為は、不倫当事者の人格権やプライバシー権を侵害する違法行為に該当する可能性もあります。この場合には、民事上の責任として慰謝料などの賠償責任が発生する可能性があります。
ネットへの投稿は基本的には匿名で行えるため、バレない復讐方法として安易に実行する方も見受けられますが、たとえ匿名投稿であっても、発信者情報開示請求という手続きを踏むことで、誰が投稿したのかが明らかになってしまいます。不倫の被害者から一転して、インターネット上に公表したことで加害者として不倫相手から損害賠償請求されるという逆襲のリスクがあるため、このような行為は慎むべきでしょう。
職場にバラす
不倫をされた復讐として、不倫をした配偶者や不倫相手の職場にバラすことを画策する人もいます。
しかし、個人が不倫をしている事実を職場の同僚などに知らせることも、名誉棄損罪や侮辱罪に問われるおそれがあります。
前述のように、名誉毀損行為や侮辱行為については、刑事責任のみならず民事責任として、不法行為に基づき慰謝料請求がなされる可能性があります。
また、上記のような暴露行為を原因として不倫相手が仕事を続けることが難しくなり失職した場合には、一定期間の給料相当額を損害として賠償請求されてしまうおそれもあります。
したがって、職場にバラす行為も厳禁です。
退職や引っ越しを強要する
不倫当事者が同じ職場に勤務している場合、制裁として退職するように強要することが考えられます。配偶者の同僚である不倫相手が近くに住んでいる場合には、転居を要求することもあります。
しかし、本人が了承して任意に応じる場合を除き、退職や転居を強制することはできません。
不倫相手が拒否しているにもかかわらず、退職や転居を執拗に要求した場合には、強要罪に該当する可能性があります。
例えば、退職・転居をしなければ、職場やネット上に不倫の事実を公表すると脅した場合には、脅迫して「人に義務のないことを行わせ」または「権利の行使を妨害した」として強要罪が成立します(刑法第223条1項)。
強要罪が成立した場合には、3年以下の懲役が科されることになりますし、民法上の不法行為責任として慰謝料が請求されるおそれもあります。
不倫相手やその家族に危害を加えたり脅迫する
不倫相手自身への脅迫はもちろん、不倫相手の家族に危害を加えることを告げる行為も違法行為となります。
まず実際に不倫相手の家族に危害を加えた場合には、暴行罪や傷害罪に問われることになります。
また、本人(不倫相手)以外の「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合であっても脅迫罪が成立することになります。親族については民法が規定しており、「6親等内の血族」、「配偶者」、「3親等内の姻族」です(民法第725条)。
不倫相手に対して何かを伝えたり、通告をしたりする場合には、感情的になって暴力的なことを口走らないように注意してください。
腹いせに自分も不倫する
腹いせに自分も不倫をすることを考える人もいます。
しかし、報復とはいえ自身の不倫行為についてもその違法性が問題になるおそれがあります。
そもそも夫婦はそれぞれお互いの貞操を守る義務が課せられています。配偶者が自分以外の第三者と性的関係・肉体関係を持った場合には、自身の貞操権が侵害されたことになります。
そして、夫婦として婚姻関係が継続している以上、自身もまた貞操義務を負っていることになり、腹いせといえども第三者と性的関係を持ってしまうと相手方配偶者の貞操権を侵害することになります。そして、不倫されたことで不倫当事者に慰謝料を請求する権利がありますが、配偶者側もあなたの不倫に対して賠償請求できることになってしまいます。
このように双方に違法な行為があり、また慰謝料をめぐって夫婦間で賠償金が循環するという複雑なトラブルにもなりかねません。
子供に不倫の事実を話す
配偶者の不倫の事実を子どもに話そうと考える人もいます。
不倫に限らず、子どもを両親の問題に巻き込むのは得策とはいえません。不倫された側からすれば、「子どもから不倫をやめて欲しいと言われれば効果があるだろう」とか、「子どもにバレたら罪悪感で反省するだろう」などと考える人がいますが、親の不倫問題は子どもに大きな精神的ショックを与える可能性があります。
不倫問題の解消と子どもへの愛情の問題は、全く別の問題です。
両親が不倫トラブルで揉めていることや、親に裏切られたと感じることは、まだ未成熟な子どもに対して大きな心の傷となるおそれがあります。
安全に不倫の復讐をするには?
離婚する
合法的に不倫に対して復讐するための手段として、配偶者と離婚することが挙げられます。
不倫は、民法上「不貞行為」として配偶者の貞操権・人格権を侵害する違法行為です。「配偶者に不貞な行為があったとき」には、裁判上の離婚を請求することが認められています(民法第770条1項1号)。不貞行為は、配偶者に対する性的な裏切り行為として法定離婚事由とされています。
離婚裁判で法定離婚事由が認められると、仮に相手が離婚に応じていなかったとしても、問答無用で離婚をすることができます。
あなたを裏切った配偶者は、強制的に離婚されてしまうことで、ようやく失ったものの大きさに気づかされ自らの過ちを深く後悔することになるでしょう。
また、離婚をする場合には、子どもの親権者を父母の一方に決めなければなりません。
子どもの親権を得ることができれば、不倫をした配偶者は子どもとも離れて暮らすはめになります。子どもと離れて暮らす親にも、面会交流の権利が認められていますが、それも月1回程度にとどまります。離婚をして一番つらい経験として、自由に子どもに会えないことであるという人も多いです。
以上より、離婚されると配偶者と子どもを同時に失うことになるため、不倫をしたことに対する大きな制裁となります。
不倫の慰謝料請求をする
不倫をされたことに対する復讐として一般的な手段として、相手からしっかりと慰謝料を回収するということです。
不貞行為は、配偶者の貞操権・人格権を侵害する不法行為にあたります。不法行為を行ったものはそれによって生じた損害を賠償する責任を負います(民法第709条)。したがって、不倫当事者には、不貞行為によって配偶者が受けた精神的な苦痛を補償するために慰謝料を支払う義務があるのです。
そして、不倫で離婚する場合の慰謝料の相場については、200万円程度です。これに対して離婚をしない場合には100万円程度が相場となります。
慰謝料の算定については、婚姻期間の長さや不倫期間の長さ、未成年の子どもの有無や当事者の状況に応じて変動することになります。
また、不倫の慰謝料請求については、不倫をした配偶者と不倫相手の両方に請求することができますので、不倫の制裁としての役割を果たします。
離婚に応じず別居して婚姻費用をもらい続ける
復讐方法として配偶者との離婚を拒否し続けるという方法があります。
この方法は、相手との離婚を拒否して別居して生活することで、相手から婚姻費用の支払いを受け続けるというものです。
不倫をして夫婦関係を破綻させた原因を作った配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。そのため、不倫された方の配偶者が離婚に同意しない限り婚姻関係が継続することになります。
そして、夫婦が別居して生活するようになると、収入の多い方は他方の配偶者に対して婚姻費用を支払う義務を負います。この婚姻費用の支払いは、一方が亡くなるか離婚が成立するまで毎月継続することになります。
自分からは離婚することもできないが、毎月の生活費を相手に支払い続けなければならないという状況は不倫当事者への報復となります。不倫された側として、相場よりも高い慰謝料や財産分与、養育費の支払いに応じない限りは、離婚をしないと釘を刺しておくこともできます。
不倫の復讐をする場合の注意点
W不倫の復讐をする場合
W(ダブル)不倫とは、不倫当事者の両方に配偶者がいるという場合です。W不倫の場合は、不倫を行うことで自分の家庭のみならず不倫相手の家庭も壊していることになります。
W不倫の復讐として、不倫相手の配偶者にも不倫の事実を伝えて家庭を破壊してやろうと考える人がいます。
しかし、不倫相手の配偶者はあなたの配偶者に対して不貞の慰謝料を請求することができます。もちろんあなたも不倫相手に対して慰謝料を請求することができますが、この場合、金銭の支払いをめぐって賠償金がそれぞれの家庭を循環することになります。もし不倫相手の夫婦が離婚した場合には、相手の慰謝料額の方が大きくなるおそれがあり、そのような場合には差し引きの結果こちら側が支払うことにもなりかねません。
もしあなたが配偶者と離婚しないという選択をする場合には、不倫相手の配偶者には事実を伝えず、不倫相手から慰謝料を回収するようにした方が得策でしょう。
不倫相手にだけ復讐する場合
不倫当事者は共同不法行為として連帯して慰謝料を賠償する責任があります。具体的な賠償額については不倫の当事者間で分担することになります。
そして不倫相手が自身の負担部分を超える慰謝料を支払った場合、不倫した配偶者に対して自分の負担部分を請求することができます。
これを「求償権」といいます。
したがって、浮気相手が慰謝料全額を支払ったとしても事後的に配偶者の負担すべき部分については回収されてしまうことになるのです。
例えば、浮気相手から100万円の慰謝料の支払いを受けたけれども、そのあと求償権を行使され不倫した配偶者の負担部分の50万円を返さなければいけないのであれば、結局家計には50万円しか残りません。
そこで、不倫相手に対して求償権を放棄させるという方法があります。
求償権を放棄させることで、一度支払った慰謝料の一部をあなたの配偶者に請求することを阻止することができます。
しかし、そのような求償権を放棄するように求める場合には、慰謝料の減額交渉が行われる可能性もあります。
したがって、求償権を放棄させて不倫相手にだけ制裁を加えたいという場合には、弁護士に依頼して慎重に合意書を作成するようにすべきでしょう。
復讐せずに不倫配偶者と婚姻生活を続ける場合の注意点
子供の気持ちを考えた行動をとる
不倫した配偶者と離婚せずに婚姻生活を継続する場合には、子どもの前での言動に注意しましょう。
夫婦生活において不倫をした配偶者を罵ったり無視したりすると、それを見た子どもに悪影響を与えるおそれがあります。不倫を契機に日常的に両親の不仲や言い争いを目の当たりにすることは、子どもの心に大きな傷を負わせることになりかねません。
不倫配偶者との共同生活を続けるのであれば、子どもの前での振る舞いや発言内容に注意しておく必要があります。
不倫誓約書を作成しておく
不倫後も夫婦関係を続ける場合、「不倫誓約書」を作成するようにしましょう。
不倫誓約書とは、不倫の示談をする際に取り交わされる書類のことです。どのような内容を書面に記載するかは本人の希望によってさまざまですが、二度と不倫をしないことの制約やその約束を破った際の慰謝料の合意などを記しておくことができます。
また、不倫誓約書を交わしておくことで、合意した内容や事実関係を立証するための客観的な証拠となります。
このような合意書を取り交わしておくことで、再度の不倫の抑止力にもなりますし、繰り返した場合の賠償額の予定をしておくことにもなります。
不倫の復讐をしたいなら弁護士に相談
配偶者に不倫をされてその復讐を法に触れないよう安全に行いたいのであれば、不倫問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
夫婦トラブルや離婚事件の経験が豊富な弁護士に相談・依頼することで、適切な方法を選択してもらえ、法的なアドバイスやサポートを受けながらスムーズに手続きを進めていくことができます。
当事務所では、不倫が原因での離婚請求、慰謝料請求を得意としており豊富な実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者にとって有利な条件で離婚問題を解決できるよう全力を尽くします。合法的な不倫の復讐を考えている方は、ぜひ当事務所に一度ご相談ください。お力になれると思います。
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