妻が不倫相手の子を妊娠した場合の適切な対応策を弁護士が解説

まさか妻が不倫相手の子を妊娠していたなんて──」
突然の事実に直面し、怒りやショック、裏切られた苦しみに言葉を失う方も少なくありません。しかし、その後に待ち受けるのは、戸籍、親子関係、慰謝料、離婚など、複雑な法的問題への対応です。

感情のままに動いてしまえば、かえって不利な状況に陥ってしまうおそれもあります。冷静に、そして確実に対処するためには、正しい知識と準備が欠かせません。

この記事では、不倫妊娠トラブルに豊富な経験を持つ弁護士が、法律の基本から実際の裁判例、そして取るべき具体的な対応策まで、あなたが適切な判断を下すために必要な情報をすべて解説します

記事を最後まで読むことで、あなたの状況に応じた最適な対処法を見つけることができるでしょう。一人での対応が難しいと感じた場合は、全国どこからでも無料で相談できる当事務所にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

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妻が不倫相手との子を出産した場合、法律上どう扱われるのか

妻の不倫で生まれた子どもは、法律上どのような扱いを受けるのでしょうか。日本の民法には「嫡出推定」という制度があり、婚姻中に生まれた子どもの法的地位に大きく影響します。ここでは、この制度の仕組みと親子関係を否定するための具体的な手続きについて詳しく解説していきます。

出産した子どもは法律上、夫の子とされる

妻が不倫相手の男性との間の子どもを妊娠して出産した場合、原則として夫の子どもとして取り扱われることになります。

妻が婚姻中に妊娠した子は、原則として夫の子であると推定されます(民法第772条)。このような制度を「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」といいます。このような推定規定が設けられている趣旨は、子どもの身分関係を早期に安定させるためのものであり、たとえ妻が不倫相手との子を妊娠・出産した場合であっても、婚姻中である限り、法律上は夫の子として扱われるのが原則です。これは、2024年4月1日に施行された改正民法でも同様の考え方が維持されています。

したがって、出産した子どもは夫の戸籍に入ることになります。もし夫が子どもの父親ではないとわかっていても、この嫡出推定により、法的な親子関係が成立してしまうことに注意が必要です。

親子関係を否定するにはどうすればいい?

夫が不倫相手の子との親子関係を否定するにはどうすればいいのでしょうか。

夫が、生まれた子が自分の子ではないと考える場合、法的に親子関係を否定するためには、嫡出否認または親子関係不存在確認を行う必要があります。

嫡出否認は、嫡出推定が及ぶ子に対しては、夫が出生を知ってから3年以内に家庭裁判所に調停を申し立て、不成立の場合は訴訟を提起する方法です。

これに対し、親子関係不存在確認は、嫡出推定が及ばない子に対しては、期間の制限なく申し立てが可能です。嫡出推定が及ばない子とは、夫が長期海外出張中や、刑務所収監中に妻が懐胎した場合、夫と妻との間で性的接触の機会がなかったことが明らかなケースや、夫と子の血液型が明らかに異なる場合など、生物学的に父子関係がないことが明らかなケースを指します。

どちらの手段を取るべきかはケースによって異なるため、専門家である弁護士に相談し、適切な手続きを選択することが重要です。

出生した子が夫の戸籍に載るのを防ぐことはできる?

妻が不倫相手との子を妊娠・出産した場合、原則としてその子は夫の戸籍に記載されます。これを防ぐためには、上記で説明した嫡出否認または親子関係不存在確認の手続きを夫が行う必要があります。

これらの手続きを経て、最終的に裁判所で親子関係がないと判断されれば、戸籍上の親子関係も解消されます

しかし、これらの手続きには法的な要件や期間制限があるため、発覚から時間が経過してしまうと、手続きが困難になる場合があります。また、戸籍が改められる場合であっても、線が引かれるだけで、完全に記載が抹消されることにはならないため、注意が必要です。

不倫による妊娠が発覚した場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の対応について検討することをおすすめします。

妻を妊娠させた不倫相手に対して請求できる内容とは

妻が不倫相手の子を妊娠した場合、夫はどのような損害賠償を請求できるのでしょうか。通常の不倫とは異なり、妊娠という事実は慰謝料の算定に大きく影響します。ここでは、不倫相手に対する慰謝料請求の相場や中絶費用の請求可能性について詳しく解説していきます。

慰謝料を請求できる場合とその相場

妻が不倫相手との子を妊娠した場合、夫は不倫相手に対して慰謝料を請求することができます

もし、不倫が原因で夫婦関係が破綻し、離婚に至る場合の慰謝料相場は、一般的に200万〜300万円程度とされています。

しかし、不倫相手との間に子ができたという事実は、夫の精神的苦痛を増大させることになるため、慰謝料の増額要素となります。妻が不倫相手の子を出産した場合、その子が一時的にでも夫の戸籍に載ってしまうことや、夫が嫡出否認の手続きを行わなければならないなど、夫にかかる負担が大きくなるため、300万円以上の慰謝料が認められる可能性もあります。

これに対して、離婚しない場合の慰謝料相場は、一般的に100万円程度です。

しかし、妻が不倫相手の子を妊娠・中絶した場合、夫の精神的苦痛を増大させることになるため、慰謝料が増額される可能性があります。また、不倫相手の子を出産した場合は、中絶した場合よりも夫の精神的負担や法的手続きの負担が大きいため、離婚しない場合であっても、300万円以上の慰謝料が認められる可能性があります。

中絶費用は請求可能か?

妻が不倫相手との子を妊娠し、中絶を選択した場合、その手術費用は十数万円かかります。不倫のために家計からこのような支出をすることについて、夫としては納得がいかないでしょう。

中絶費用の負担について法律上の明確な定めはありませんが、裁判所は「男女が共同で行った性行為による妊娠であり、その結果生じる負担は公平に分けるべき」という立場をとっています。

東京高裁の平成21年判決によれば、男性側には妊娠・中絶により女性が受ける様々な負担を軽減したり分担したりする責任があるとされています。この責任を果たさなかった場合、妻は不倫相手の男性に対し中絶にかかった費用の賠償を求めることが可能です。

ただし、相手男性が真摯に対応し、適切に負担を分けようと努めているのであれば、法的な責任は生じにくいとされています。しかし実際のところ、女性側が訴訟や請求に踏み切らざるを得ない状況というのは、たいてい男性側の協力が得られなかったり、費用負担を拒否されたりしているケースが大半です。そうした事情があれば、法的責任が認められる可能性は相当高くなるでしょう。

もっとも、中絶を受けるのは妻本人であるため、請求権も妻にあります。夫が「家計から支払ったから返せ」と主張しても、直接的な請求は困難でしょう。

参考:中絶で慰謝料が認められる4つのケースと相場・請求方法を解説

妻の不倫妊娠が発覚したときの対応

妻の不倫妊娠という深刻な事態に直面したとき、離婚するかどうかは重大な決断となります。どちらの選択をするかによって、取るべき法的手続きや対応策は大きく変わってきます。ここでは、離婚する場合の慰謝料請求方法と夫婦関係を継続する場合の再発防止策について詳しく解説していきます。

離婚する場合の対応と請求できる慰謝料

妻の不倫妊娠が原因で離婚を選択する場合、夫は妻と不倫相手の双方に慰謝料を請求することができます。法律上、不倫は夫婦間の貞操義務に違反する「不貞行為」であり、民法上の不法行為に該当します。妻と不倫相手は共同して不法行為を行ったとみなされ、共同不法行為者として連帯して慰謝料を支払う義務を負います。

前述の通り、離婚する際の慰謝料の相場は、一般的に200万円から300万円程度ですが、妻の不倫相手との妊娠・出産という事実は、夫の精神的苦痛を著しく増大させるため、相場よりも高額な慰謝料が認められるケースが多いです。

夫は、妻と不倫相手のどちらか一方、あるいは双方に対して慰謝料全額を請求することが可能ですが、慰謝料の二重取りはできません

例えば、不倫相手から慰謝料全額を受け取った場合、妻に対してはそれ以上の慰謝料を請求することは、受けた損害以上の賠償金を受け取ることになるため許されません。

離婚しない場合に取るべき対策

妻の不倫妊娠が発覚しても、夫婦関係の継続を望む場合、夫は再発防止のために不倫誓約書を作成することが有効です。

不倫誓約書は、不倫行為があった事実、不倫関係の解消、今後の再発防止策、そして違反時のペナルティなどを記載した書面です。

このような書面は、口頭での約束とは異なり、客観的な証拠として機能し、将来的なトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。特に、不倫の再発防止には、誓約書に違反時のペナルティを明確に記載することが非常に効果的です。例えば、「今後、不倫行為が発覚した場合には、〇〇万円を支払う」といった具体的な違約金を定めておくことで、相手は再度の不倫に踏み切りにくくなります。

ただし、「二度と不倫はしません」といった抽象的な文言は、法的な効力がないことには注意が必要です。また、再度の不倫があったとしても、そのことは別途、証拠に基づいて証明される必要があります。

誓約書を作成する際は、法的に有効な内容となるよう、弁護士に相談し、適切な文言を盛り込むことが不可欠です。また、万が一、再び不倫があった場合に備えて、その事実を証明するための証拠集めについても意識しておく必要があります。

妻の不倫妊娠が発覚したときに考慮すべき法的ポイント

妻の不倫妊娠への対応を検討する際、慰謝料請求以外にも重要な法的課題があることをご存知でしょうか。親権の獲得可能性や財産分与への影響、さらには離婚によって生じる予想外のリスクなど、事前に理解しておかなければ後悔する可能性があります。ここでは、見落としがちな重要なポイントについて詳しく解説していきます。

不倫が原因でも、夫が親権を得られるとは限らない

妻の不倫が原因で離婚に至ったとしても、夫婦間に子どもがいる場合、親権や監護権は必ずしも夫が得られるとは限りません

日本の裁判所は、親権者を決定する際、親のどちらに原因があるのかという「有責性」よりも、「子どもの福祉」を最優先に考えます。具体的には、これまでの養育実績、子どもの年齢、現在の生活環境、今後の養育能力、子どもの意思などを総合的に判断して親権者・監護権者を決定します。

そのため、たとえ妻が不倫をしていたとしても、これまで主として子どもを養育してきたのが妻であったり、妻に十分な養育能力があると判断されれば、親権者が妻となる可能性は十分にあります

その場合、夫は子どもと別々に暮らすことになり、子どもとの面会交流が認められる一方で、離婚後も妻に対して養育費を支払う義務が発生します。養育費は子どもの健やかな成長のために支払われるものであり、不貞行為をされた親であるからといって、支払い義務が免除されるという性質のものではありません

慰謝料を受け取っても財産分与は別に行われる

妻の不倫妊娠を理由に慰謝料を受け取ったとしても、それとは別に財産分与が行われる点に注意が必要です。

慰謝料は精神的苦痛に対する賠償であるのに対し、財産分与は夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を清算するものです。これらは全く異なる性質を持つため、慰謝料を受け取ったからといって財産分与の額が減額されることは原則としてありません

財産分与は、原則として夫婦の共有財産を2分の1ずつに分けるという考え方が一般的です。例えば、夫婦に1,000万円の共有財産があった場合、夫は妻から慰謝料を受け取ったとしても、原則として500万円を妻に分与しなければなりません。もし財産が多額であれば、慰謝料として得た金額よりも、財産分与で妻に渡す金額の方が大きくなる可能性も十分にあり得ます

離婚を検討する際は、慰謝料だけでなく財産分与の見込み額も考慮に入れる必要があります。

離婚によって妻と不倫相手が交際・結婚できるようになるリスク

妻の不倫妊娠を機に離婚を選択した場合、夫は妻や不倫相手への怒りから解放される一方で、離婚によって妻と不倫相手が、もはや何の制約もなく自由に交際し、さらには結婚できるようになるという点を理解しておく必要があります。

婚姻中は、不倫相手との関係を続けることは法的な問題となり、慰謝料請求の対象となります。しかし、離婚が成立すれば、妻は不倫相手との関係を続けることに法的な制約がなくなります

これにより、これまで水面下で行われていた二人の関係が公になり、堂々と交際を続けたり、最終的には再婚したりすることも可能になります。

夫にとっては、妻の不倫というつらい経験を経て、結果的に妻と不倫相手が結ばれることを許す形になってしまうという、精神的に大きな負担となる可能性があるでしょう。

妻の不倫妊娠で夫が提起した訴訟の裁判例

実際に妻の不倫妊娠で訴訟となった場合、裁判所はどのような判断を下すのでしょうか。慰謝料の金額はどの程度認められ、どのような事情が考慮されるのかは、同様の問題に直面している方にとって重要な参考情報となります。ここでは、過去の具体的な判例を通じて裁判所の判断基準と慰謝料算定のポイントについて詳しく解説していきます。

妻と不倫相手に200万円の慰謝料を命じた事例

この事案は、妻(被告Y1)が不倫相手(被告Y2)との間に子を妊娠・出産し、夫(原告)が夫婦関係を破綻させられたとして、両被告に慰謝料1000万円を請求した事案です。

被告らは、不倫が始まる前に夫婦関係がすでに破綻していた、そして、夫が慰謝料の支払いを免除していた等と反論しました。しかし、裁判所は、妻と不倫相手による不倫や夫からの暴力といった主張を信用せず、不倫が始まるまで夫婦は通常の生活を送っていたと認定しました。また、夫が慰謝料請求権を放棄したという主張も退けられました。

裁判所は、「被告らの不貞行為により家庭生活を破壊され、精神的損害を被ったことが明らかである」と判断し、不倫相手と妻に対し、連帯して200万円の慰謝料とその遅延損害金を夫に支払うよう命じました(東京地方裁判所平成18年2月28日判決)。

不倫相手の子を妊娠した妻に250万円の慰謝料を命じた事例

この事案は、夫がアメリカ留学中に、妻が他の男性と不倫し妊娠した上、その事実を隠して妻の両親と共謀し、離婚原因を夫に転嫁して離婚を求めたとして、夫が妻とその両親に対して損害賠償を請求した事案です。

裁判所は、夫が妻と不倫相手の間に子ができたことによる婚姻関係の破綻を認定し、妻の責任を認めました。妻が不倫の事実や妊娠を隠して離婚交渉を進めたこと、そして出産に至ったことは、夫に対する重大な背信行為であると判断されました。

裁判所は、夫は妻の行為により精神的苦痛を被ったとして、妻に対し慰謝料250万円の支払いを命じました(東京地方裁判所平成15年7月14日判決)。

一方、妻の両親に対する請求については、娘の不倫を知りながらその事実を隠して離婚交渉を行ったことについて、直ちに不法行為は成立しないと判断し、請求を認めませんでした。これは、親が娘の不貞を配偶者に伝える法的な義務はないという考えに基づいています。

妻が不倫相手の子を妊娠したときに弁護士へ相談すべき理由

妻が不倫相手の子を妊娠した場合に、夫の権利を守り、トラブルを円滑に解決するためには、弁護士に相談することをおすすめします。

まず、弁護士に相談することで、的確な法的アドバイスを受けることができます。嫡出推定の否定や、不貞行為に基づく慰謝料請求の可否や金額の相場、親権や養育費、財産分与といった離婚に関わる法的論点について、専門家から正確な情報と今後の見通しを得ることができます。

また、弁護士に依頼することで、不倫相手や妻と直接やり取りをする必要がなくなります。弁護士はご本人の代理人として行動するため、不倫当事者との話し合いや交渉を任せることができます。感情的な衝突を避けて、冷静に話し合いを進めることができるため、トラブルの早期解決が期待できます

さらに、必要となる法的な手続きについても、弁護士に一任しておくことができます

嫡出否認の訴えや慰謝料請求の訴訟など、法的な手続きは専門知識がなければ正確に行うことが困難です。弁護士はこれらの手続きを適切に進め、証拠収集のアドバイスから書類作成、裁判所での手続きまで、一貫してサポートしてくれます。

このように、弁護士に相談することで、不倫された夫の問題を解決し、新たな人生を歩み始めるための強力なサポートを受けられるようになります

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妻の不倫や妊娠という現実に直面したとき、心に深い傷を抱えながらも、冷静な判断を求められるのが現実です。

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