自己破産する場合、借金の返済義務の免除を受けることができますが、その反面として各種のデメリットを受けることになります。
それらのデメリットは基本的に自己破産をした本人だけが受けるものですが、まれに家族などにも影響が出ることがあります。
今回は、自分の父親が自己破産した場合の家族への影響をテーマにご紹介させていただきます。
- 「父親が自己破産すると、家族全員が路頭に迷ってしまうのでは?」
- 「自宅や自動車、貯金はどうなるの?」
- 「世間にバレて恥をかくことはないの?」
- 「学校に行けなってしまうのでは?」
上記のような疑問にお答えしますので、最後までお読みください。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|
1.父親が自己破産しても家族には影響が及ばないのが原則
父親が自己破産すると、家族の住んでいる家も家財道具もすべて差し押さえられてしまい、生活できなくなってしまうのではないだろうかという不安を持たれている方がいらっしゃいます。
しかし、実際にはそのようなことはありません。
父親が破産したとしても、実際にはほとんど家族に対して影響が及ぶことはないのです。
しかし残念ながら、全く影響がないという訳ではありません。
父親と同居している以上、どうしても影響を受けざるを得ない側面は存在します。
2.父親の自己破産による母親への影響
父親が自己破産しても、その配偶者(結婚相手)である母親には影響が及ばないのが原則です。
世間では、夫婦は共同して借金を返済しなければいけないというようなイメージが横行していますが、実際の法律上の扱いではそのようなことはありません。
たとえ夫婦であったとしても、保証人にでもなっていない限り、父親の借金の支払い義務を母親が負う必要はありません。
父親が自己破産すると母親の財産はどうなるか?
夫婦とは言っても、別々の個人ですのでそれぞれ自分名義の財産を持っています。
たとえば、母親名義の預貯金や自動車などは個人名義で所有する財産の代表例といってよいでしょう。
自己破産した場合、破産申立人の財産が処分されることはありますが、それ以外の人が所有する財産は処分されることがありません。
そのため、母親名義の財産が処分されるようなことはまずないと考えてよいでしょう。
つまり、父親が自己破産しても、母親名義の預貯金や自動車などが処分されることはありませんので安心してください。
自動車には要注意
ただし、たとえば母親が自動車を日常的に使用している場合などには注意が必要です。
車検証上の所有者が父親名義である場合には、その車は自己破産手続きによって処分される可能性があるからです。
自己破産することで実際にどのような影響が発生するかに関しては、事前に十分理解しておく必要があります。
3.父親の自己破産による子供への影響
父親が自己破産する場合、もっとも気になるのは子供への影響ではないでしょうか?
「父親のために子供に悪影響が出るのでは?」と不安に思われる方はたくさんいらっしゃいます。
しかし現実問題として、子供に悪影響が及ぶ可能性は極めて低いと考えてよいでしょう。
父親が自己破産しても、子供の通っている学校や子供名義の財産に影響が及ぶことはまずありません。
学校には影響なし
父親が自己破産したとしても、子供の学校にはまったく影響がありません。
自己破産した場合、その事実が官報に掲載されるため周囲にバレて学校に通いづらくなるのではと心配される方がいらっしゃいます。
しかし通常の場合には、官報から自己破産したことがバレることはまずありませんので心配する必要はありません。
子供の財産にも影響なし
父親が自己破産しても母親の財産に影響が及ばないのと同様、子供名義の財産についても影響が及ぶことはありません。
ただし、父親名義の財産を子供が普段から利用しているような場合、自己破産以降その財産を利用できなくなる可能性はあります。
子供がすでに独立し、家庭を持っている場合でも父親の保証人になっていない限り、子供に対して影響は及びません。
4.父親の自己破産による家族の実生活への影響
上記のように、父親が自己破産したとしても家族の財産などに影響が及ぶことはありません。しかし実際の生活に関しては、以下のように多少の影響が及ぶ可能性はあります。
5年から10年はローンが組めなくなる
自己破産した場合、その事実が個人信用情報機関に登録されることになっています。世間でよく言われる「ブラックリスト入り」という状態です。
個人信用情報機関でブラックリストに入ってしまった場合には、5年から10年間は新たに借り入れやクレジットカードを作ることができなくなってしまいます。
父親が自己破産した場合、その後一定の期間ローンなどを組めなくなるため、その分家族も不便な思いをする可能性があります。
ブラックリストに載ることのデメリットや抹消されるまでの期間などに関しては、以下の記事を参照してください。
引越しが必要となることも!
自己破産する以上、ある程度以上高額な財産は手放す必要があります。
破産手続きによって自己破産申立人の財産は処分・換金されることになるからです。
自宅不動産が父親名義である場合、当然ですが不動産は破産手続きによって処分されることになります。
このため、父親名義の自宅不動産に家族が同居している場合には、家族は全員引越しをする必要があります。
例外的に、家族や親族などに自宅不動産を適切な値段で買い取ってもらえる場合には、それ以降は家賃を支払うことで引越しせずに済ませることができるケースもあります。
しかし実際問題としては現実的な方法ではありませんので、父親が破産する場合には自宅不動産からは引越しになることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
どうしても自宅を手放したくない場合の対処法|個人再生
自己破産する場合、上記のように一定以上高額な財産は処分されることになってしまいます。
しかし、どうしても自宅不動産を手放したくない場合には、借金問題の解決方法としては自己破産ではなく個人再生を検討することをおすすめします。
個人再生では、最大で借金の80%~90%の免除が受けられるため、借金の返済が非常に楽になります。
なお、個人再生によって自宅不動産を維持しながら借金問題を解決する方法に関しては、以下の記事を参考にしてください。
5.保証人には注意が必要!
これまでご覧いただいたように、たとえ父親が自己破産したとしても家族に対して影響が及ぶことはまずありません。
しかし、父親の借金などに関して家族が保証人となっている場合には注意が必要です。
お金を借りた本人が自己破産によって借金を返さない場合には、保証人は借金の返済義務を負うことになるからです。
お金を借りた本人が自己破産する場合、お金の貸し手である債権者は保証人に対して借金の返済を請求してきます。
このため自己破産によって免除の対象となる債務の中に保証人を立てて借りたものがある場合には、自己破産することで保証人に迷惑がかかることになります。
自己破産する際には、事前に保証人に対して連絡するなど細心の注意を払う必要があります。
保証人も返済できない場合の対処法
上記のように、借金を借りた本人が自己破産する場合、保証人が借金を支払わなければいけません。
しかし、保証人も支払いが不可能な場合には、保証人としても何らかの債務整理を検討する必要が出てきます。
場合によっては、保証人も自己破産しなければならないケースもあるでしょう。
もし保証人との対応などについて不安がある場合には、弁護士や司法書士など債務整理の専門家に相談することをおすすめします。
6.結論|自己破産は恐れる必要なし!
これまでご紹介させていただいたように、父親が破産したとしても家族に対する影響は恐れるほどのものではありません。
ほとんどのケースでは全く影響がありませんし、影響があったとしてもほんのわずかであることが大半です。
自己破産することで、破産申立人本人には職業や自由の制限を受けたり財産の処分を受けるなどデメリットを受けることがあります。
しかし、それらのデメリットが家族に及ぶことはほとんどありませんので、家族への悪影響を恐れて自己破産することをためらう必要はまったくありません。
借金問題を抱え自己破産を検討しているのであれば、なるべく早く手続きを行うことが大切です。
父親が借金問題を抱えているということは、家族に対しても各種の負担をかけていることになります。
借金問題の解決が早まれば、その分だけ家族の負担も軽くなるのだということを忘れないでください。
7.まとめ
今回は、父親が自己破産した場合の家族への影響について解説させていただきました。
法律上、家族であったとしても人が違えば、法律関係は全く別の扱いとなります。
このため父親が自己破産したとしても、その法律的な影響は家族に及ばないことが原則となります。
しかし、実際上まったく影響がないという訳ではありません。
父親と同居している以上、どうしても自己破産の影響を受けてしまうという側面があることは否めません。
とは言っても、実際に被ることになる影響はそれほど大きくはありませんので、必要以上に心配することはありません。
自己破産に限らず借金問題にお困りの方は、お気軽に当事務所にご相談ください。当事務所では24時間、全国どちらからでも原則無料にてご相談を承っております。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|