- 相続放棄申述受理証明書はどんな時に取得する必要があるのだろう…どこで発行してもらえるのだろう…
- 申請書の書き方や、貼り付ける印紙代など諸々わからないことが多い…
- 実物を見たことがないので見本が見てみたい…
- 自分は亡くなった人の債権者だけど、取得できるのだろうか…
このようなことでお悩みではありませんか?
そこでこの記事では、遺産相続に強い弁護士が、相続放棄申述受理証明書にまつわる様々な疑問や悩みを解決する情報を徹底解説していきます。
法律に詳しくなくても簡単に読めますし、相続放棄申述受理証明書について網羅的な知識を得られますので最後まで読んでみて下さい。
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相続放棄申述受理証明書について
相続放棄申述受理証明書とは
相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄をしたことを第三者に証明するための正式な書類です。
この点、相続放棄の手続きが完了したあとに家庭裁判所から送付されてくる「相続放棄申述受理通知書」でも、基本的には相続放棄の証明は可能です。
しかし、第三者によっては、相続放棄の正式な証明書である相続放棄申述受理証明書を求めてくることもあります。
また、相続放棄申述受理通知書は再発行ができないため、紛失した場合には、相続放棄申述受理証明書を発行することで相続放棄をしたことが証明できます。
相続放棄申述受理証明書の見本
発行する家庭裁判所によって様式は異なりますが、相続放棄申述受理証明書に記載されている内容は、以下の見本とほぼ同じです。
相続放棄申述受理証明書はどこで発行される?
相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書を提出します。
相続放棄申述受理証明書も、相続放棄申述の手続きをした家庭裁判所で発行されます。
相続放棄申述受理証明書の発行手数料(印紙代)は?
相続放棄申述受理証明書の発行1通につき150円の印紙を申請書に貼り付けます。
なお、郵送による申請をする場合は、同封する返信用封筒に貼り付ける切手代(発行枚数が4枚までは84円切手、5枚以上は94円切手)がかかります。
相続放棄申述受理証明書は再発行できる?
既に触れましたが、相続放棄の手続き完了後に家庭裁判所から送られてくる「相続放棄申述受理通知書」は再発行できません。
対して、「相続放棄申述受理証明」は、1通あたり150円の印紙代を支払えば、何度でも再発行可能です。
ただし、再発行するには、相続放棄申述受理通知書に記載されている「事件番号」を交付申請書に記載する必要があるため、相続放棄申述受理通知書はコピーをとるなどして大切に保管しておきましょう。
相続放棄申述受理証明書は誰が取得できる?
相続放棄をした本人(申述人)やその代理人(弁護士や親権者などの法定代理人)のほか、利害関係人も交付申請できます。
利害関係人としては、被相続人にお金を貸していた債権者や、相続放棄をしていない相続人(共同相続人)、受遺者などがいます。
相続放棄申述受理証明書が必要となる場面は?
相続放棄申述受理証明書はどんな場面で必要となるのでしょうか。以下で解説します。
① 他の相続人が相続登記をする時
相続財産に不動産が入っているときは、相続人が相続登記(被相続人名義の不動産を相続人の名義に変更すること)を行うことになります。
その際、必要書類として相続人全員の印鑑証明や遺産分割協議書などの書類を添付する必要があります。
しかし、相続人の中で相続放棄をした人がいれば、その人は最初から相続人ではなかったとみなされるため、遺産分割協議書に名前が載ることもありません。
そのため、相続放棄をした人がいることを法務局に対して証明するために相続放棄申述受理証明書が必要になることがあります。
② 他の相続人が銀行口座の名義変更や解約をする時
相続財産に預金がある場合、被相続人が亡くなった後は銀行口座が凍結してしまいます。
相続人が、この凍結した口座の預金相続(名義変更や解約)をするためには、相続人が一人の場合を除き、基本的には相続人全員の印鑑証明や遺産分割協議書が必要になります。
しかし、既に触れたように、相続放棄した人は遺産分割協議書に名前も載っていませんので、銀行に対して、相続放棄をした人がいることを証明するために、相続放棄申述受理証明書が必要な場合があります。
③ 債権者が要求してきた時
相続放棄をした後で、金融機関やその他の債権者から、被相続人の債務(借金)を返済してください、という請求が来るケースがあります。
これは、相続放棄の事実を債権者が知らないために起きることです。
この場合、債権者に、被相続人の債務を相続放棄したことを証明するために相続放棄申述受理証明書が必要な場合があります。
相続放棄申述受理証明書の取得方法と必要書類
相続放棄申述受理証明書は、申請書、必要書類を揃え、申述人(相続放棄した人)が相続放棄の申立てをした家庭裁判所(被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所)の窓口または郵送で提出することで取得できます。
参考:裁判所の管轄区域を調べる
相続放棄した人(申述人)が交付申請する場合の必要書類
①相続放棄申述受理証明書の申請書
申請書は、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付されてきたときに同封されています。
もし交付申請書を紛失した場合でも、家庭裁判所から改めて貰うこともできますし、家庭裁判所によってはネットでダウンロードできるようにしています。
申請書に押印する印鑑は、認印で構いません(シャチハタなどのゴム印は不可)。
申請書の印紙貼り付け欄には希望する発行枚数分×150円の印紙を貼りましょう。
②相続放棄申述受理通知書の写し
紛失などで添付できない場合は、以下のものが必要となります。
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
- 3ヶ月以内に発行された申述人の戸籍謄本
③裁判所で窓口申請する場合の必要書類
窓口申請の場合は、①と②の書類に加え、以下も必要となります。
- 申述人の身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 申述人の認印
④郵送申請の場合の必要書類
郵送申請の場合は、①と②の書類に加え、以下も必要となります。
- 宛名・住所を書いた返信用封筒(発行を希望する枚数が4通までは84円、5通以上は94円)
- 身分証明書のコピー(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
⑤申述人の住所等が変更された場合の必要書類
相続放棄した人が相続放棄申述時と住所等が異なる場合には、相続放棄した人の戸籍謄本または戸籍の附票も必要となります。
利害関係人が交付申請する場合の必要書類
①相続放棄申述受理証明書の申請書
申請書は、交付申請する家庭裁判所の窓口で貰うか、家庭裁判所によってはネットでダウンロードできるようにしています。
利害関係人が交付申請する場合の申請書は、相続放棄した人が使用する申請書と書式が異なる場合がありますので、交付申請をする家庭裁判所に問い合わせましょう。
個人で申請する場合の押印は、認印で構いませんが(シャチハタ等のゴム印は不可)、法人が申請する場合は代表社印を用いてください。
相続放棄申述受理証明書の発行手数料として、申請書の印紙貼り付け欄に希望する発行枚数分×150円の印紙を貼りましょう。
また、交付申請書には「事件番号」を記入する欄がありますが、これは相続放棄申述受理通知書に記載されています。
申述人が非協力的で事件番号を教えてくれない場合は、家庭裁判所に対して、「相続放棄の申述の有無の照会手続き」を行うことで、事件番号などの相続放棄に関する回答を得られます。
②利害関係を証明するための書類
相続放棄をしていない相続人が申請者の場合は、申請者の住民票のほか、申請者と被相続人との相続関係がわかる戸籍謄本が必要となります。
ただし、この戸籍謄本は、申請者が被相続人とどのような続柄(子供・配偶者・父母・兄弟姉妹など)にあるかによって、揃えるべき戸籍謄本の種類や数が異なります。
また、債権者が申請者の場合は、債権債務関係がわかる契約書(借用書など)、契約書で使用した印鑑の印鑑登録証明書などが必要となります。
債権を譲り受けた者が申請者の場合は「債権譲渡通知書」の原本、債権回収会社の申請であれば「債権回収に関する委託証明書」の原本などが必要です。
利害関係の証明書類は、申請者が個人なのか法人なのか、相続人なのか債権者なのかなどにより、揃えるべき書類が全く異なるため、交付申請をする管轄裁判所に事前に問い合わせした方が良いでしょう。
③申請者が法人の場合の必要書類
法人の代表者が手続きする場合は、代表者本人の身分証明書、法人資格証明書の原本が必要です。
法人の従業員が手続きする場合は、従業員の身分証明書、代表者印が押印された社員証明書、代表者本人が作成した委任状、法人資格証明書の原本が必要です。
④裁判所で窓口申請する場合の必要書類
窓口申請の場合は、①と②(法人の場合は③も)の書類に加え、以下も必要となります。
- 申請者の身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 申請者の認印
⑤郵送申請の場合の必要書類
郵送申請の場合は、①と②(法人の場合は③も)の書類に加え、以下も必要となります。
- 宛名・住所を書いた返信用封筒(発行を希望する枚数が4通までは84円、5通以上は94円)
- 身分証明書のコピー(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
相続放棄申述受理証明書の書き方
相続放棄をした人が申請する場合
相続放棄をした人が申請する場合には以下の箇所を記載します。
- 事件番号
- 事件名
- 交付通数
- 受理日
- 申述人の名前と電話番号、署名押印
これらの情報は通知書に記載されていますので、通知書を見れば簡単に埋めることができます。以下は、相続放棄申述受理証明書の交付申請書の見本です。
利害関係人が申請する場合
債権者等の利害関係人が相続放棄申述受理証明書を申請する場合には、家庭裁判所によっては利害関係人用の申請書が用意されていることがあります。
用意されていない場合は、通常の申請書(相続放棄をした人が使用する申請書)内に、「利害関係人の申請」といった選択項目がありますので、そこをチェックします。
ここでは、利害関係人用の申請書を元に書き方を説明しますが、通常の申請書を用いる場合でも同内容の記載を求められますので参考にしてください。
記載する必要があるところは以下の通りです。
- 申請者の住所氏名、押印
- 被相続人の氏名
- 交付通数
- 被相続人との利害関係
- 申請理由
- 日付
家庭裁判所の申請書の種類形式にもよりますが、一般的には、申請理由については申請書にあらかじめ選択項目が記載されています。
例えば、不動産競売手続きをするため、相続登記手続きをするため、訴訟を提起するためなど、該当する箇所にチェックをするようになっています。
申請書に当てはまるものがない場合は「その他」の欄に理由を書きます。
また他に種類がある、申請理由を書ききれない、という場合は別紙を添付することもできます。
以下、利害関係人用の相続放棄申述受理証明書の申請書の見本です。
まとめ
相続放棄の手続きが終わった後に、債権者に対して自分が相続放棄をしたということを証明したり、他の相続人が相続財産である不動産を登記手続きを行ったりするときに、相続放棄をした人がいるということを証明するために相続放棄申述受理証明書が必要な場合があります。
申請自体は難しくありませんし、費用もかかりません。
しかし、相続順位が低ければ低いほど申請書に添付する必要書類が煩雑になります。
必要書類の添付が漏れて発行に時間がかかることがないように、どの書類が必要なのかはあらかじめ確認しておきましょう。
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