
愛人契約を結んだあとに、「お手当を払ってもらえない」「受け取った分を返せと言われた」「配偶者から慰謝料を請求された」。交わした契約書は、こうした場面で自分を守ってくれるのでしょうか。
結論から申し上げると、愛人契約は契約書があっても原則として無効です。金額や会う頻度を書面に残しても、相手が約束を守らなかったときに、その書面を持ち出して支払いを迫ることはできません。
無効であることは、関係がこじれたときに法律が後ろ盾になってくれないという意味でもあります。お手当のやり取り、関係の解消、配偶者への発覚。愛人契約に特有のトラブルは、主にこの3つの場面で起こります。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。
- 愛人契約とは何か(不倫・パパ活との違い)
- 契約書は有効か、お手当に相場はあるか
- よくあるトラブル7つとその対処法
- 配偶者に知られたときの慰謝料リスク
お読みいただくことで、いまの状況で相手の言い分がどこまで通るのかを見分け、次に何をすべきかを整理できます。これから愛人契約を結ぼうか迷っている方も、結ぶ前に知っておくべきリスクを確認できます。
なお、愛人契約をめぐるトラブルでお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へご相談ください。地域を問わずご相談を承っています。
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愛人契約とは?パパ活・不倫との違い
「愛人契約」は、法律の条文に出てくる言葉ではありません。まずは言葉が指す中身を確認し、そのうえで混同されやすい不倫・パパ活・援助交際との違いを整理します。
愛人契約の定義と「妾契約」との関係
愛人契約(あいじんけいやく)とは、既婚者が配偶者以外の相手と継続的に肉体関係を持つことを前提に、金銭や住まいの提供といった対価を渡す約束のことです。法律上の定義があるわけではなく、当事者どうしが私的に取り決める関係を指す呼び方にすぎません。
当事者の一方が既婚者であれば、相手が未婚でも既婚でもこの呼び方が使われます。既婚男性が女性に金銭を渡す形を指すことが多いものの、組み合わせが逆でも法律上の扱いは変わりません。取り決めの中身は関係によってさまざまで、会う頻度や場所、毎月渡す金額まで細かく決めることもあれば、口頭で大まかに確認するだけのこともあります。
この関係は、古くは「妾(めかけ)契約」と呼ばれてきました。妾とは、正妻のほかに、男性から生活の面倒をみてもらう立場に置かれた女性を指した古い言葉です。法律の解説や裁判例では、いまも「妾契約」という表現が使われることがありますが、指している中身は愛人契約とほぼ同じと考えて差し支えありません。
呼び名が何であれ、法律上の評価は変わりません。金銭と引き換えに性的な関係を続ける約束である以上、次の章で述べるとおり、法的な効力は認められないのが原則です。
不倫・パパ活・援助交際との違い
愛人契約と混同されやすい言葉に、不倫・パパ活・援助交際があります。違いは「対価があるか」「関係が続くか」「肉体関係を伴うか」の3点で整理できます。
不倫は、既婚者が配偶者以外の相手と肉体関係を持つこと全般を指し、お金が動いたかどうかは問いません。愛人契約は、その不倫のうち対価の受け渡しと継続性がはっきりしているものと位置づけられます。
パパ活は、食事や買い物に付き合う見返りを受け取る関係を広く指し、肉体関係が伴うとは限りません。会うたびに条件を決める都度の付き合いも多く、相手が既婚者とも限らない点で愛人契約とは異なります。
援助交際は、金銭を渡して性的な行為をする関係を指す俗な言い方です。相手が18歳未満であることを知りながら、金銭などの見返りを渡し、またはその約束をして性交等をした側は児童買春として処罰の対象になります。法定刑は5年以下の拘禁刑(刑事施設に収容される刑)または300万円以下の罰金です(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)。相手の年齢によって話がまったく変わる点で、ほかの2つとは次元が異なります。
愛人契約は無効?契約書を交わしていた場合はどうなる
愛人契約は、契約書を交わしていても原則として無効です。書面に署名や押印があっても、その内容を相手に守らせる力は生じません。
根拠となるのは民法第90条です。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
出典:e-Gov法令検索
ここでいう「公の秩序又は善良の風俗」は、略して公序良俗(こうじょりょうぞく)と呼ばれます。社会で共有されている基本的な道徳に反する取り決めには、法律は力を貸さないという考え方です。ただし、何が公序良俗に反するかは取り決めの内容や経緯をふまえて個別に判断されるものであり、条文に「愛人契約は無効」と書かれているわけではありません。
婚姻は法律が保護する関係であり、配偶者以外の相手と性的な関係を続けることを前提にした約束は、この公序良俗に反すると判断される可能性が高いといえます。書面の有無にかかわらず愛人契約が原則として無効に扱われるのは、このためです。
また、愛人契約の内容によっては、売春防止法が問題になることもあります。同法第3条は「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」と定めています。もっとも、同法が定義する「売春」は、対償(見返り)を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交することを指すため(同法第2条)、特定の相手と続ける愛人契約がそのまま売春にあたるとは限りません。加えて、売春をすること自体に罰則は置かれておらず、処罰の対象となるのは、売春をする目的で公衆の目に触れる方法で相手を勧誘すること(同法第5条)や、売春の周旋(同法第6条)、売春を行う場所の提供(同法第11条)といった行為です。
契約が無効なら、お金はどう扱われるのか
契約が無効ということは、その約束を裁判所に守らせてもらえないということです。お金の動きに即して見ると、次の3点が実務上の分かれ目になります。
1つ目は、まだ受け取っていないお手当は請求できないことです。「毎月○万円を渡す」と書面に残していても、相手が支払いを止めた時点で打つ手はほとんどありません。無効な約束を根拠に支払いを命じてもらうことは、裁判を起こしてもできないからです。
2つ目は、愛人契約ですでに受け取ったお金は、原則として返す必要がないことです。民法第708条は、不法な原因のために給付したものは返還を請求できないと定めています(不法原因給付)。愛人関係の対価として渡された金銭はこれにあたるため、相手が「全部返せ」と言ってきても、原則として応じる義務はありません。
ただし、そのお金が「貸したお金」として渡されたと認められる場合は話が別です。借用書を書いていたり、返済の約束をやり取りした記録が残っていたりすると、相手は「愛人契約とは関係なく貸しただけだ」と主張できます。それが認められれば貸金の返還請求として扱われ、返済義務が生じることがあります。なお、男女間で渡したお金や物を返すべきかどうかは、愛人契約以外の場面でも問題になります。一般的な考え方はあげたものを返せと言われたら法律的に返す義務はある?で解説しています。
3つ目は、関係を終わらせるときに渡される手切れ金です。関係を続けることを目的とした約束は無効ですが、すでに終わった関係を清算するために金銭を渡すという合意については、公序良俗に反しないと判断される余地があるとされています。もっとも、手切れ金は法律上の請求権があるわけではなく、当事者が任意で取り決める金額です。提示された合意書にそのまま署名すると、書き方によっては、その書面が肉体関係を認めた証拠として残ります。内容を確認してから応じてください。
愛人契約書を作ること自体にリスクがある
契約書には相手を縛る力がない一方で、作った側に不利に働く場面があります。愛人契約書は、残せば残すほど自分の立場を危うくする書面だと考えてください。
1つ目のリスクは、相手の配偶者に見つかることです。不倫の慰謝料をめぐる争いでは、肉体関係があったかどうかが最大の争点になります。メッセージのやり取りだけなら「食事に行っただけ」と反論する余地が残りますが、性的な関係を前提とした取り決めが書面で残っていれば、その反論は通りにくくなります。守りのつもりで用意した書類が、かえって肉体関係を裏づける有力な証拠になってしまいます。
2つ目は、関係がこじれたときに脅しの道具にされることです。愛人契約の解消話をきっかけに相手の態度が変わり、「この書面を会社に送る」「家族に見せる」と切り出されることがあります。口約束であれば言った言わないで済んだ話でも、書面が残り、写しを取られていれば、回収は困難です。
なお、金額や会う頻度を書き残すこと自体は、話し合った内容の記録にはなります。ただしそれは相手が守ってくれることを期待できるだけの記録であり、法的な保証ではありません。
愛人契約のお手当に相場はある?金額を決めても請求はできない
愛人契約のお手当に、確立した相場はありません。検索すると月に数十万円という数字から数百万円まで幅のある情報が出てきますが、その多くは交際クラブやマッチングサービスが自社の会員を対象にまとめた目安で、母集団も調べ方もそろっていません。公的な統計があるわけでもありません。
金額に幅が出るのは、当事者の年齢や住んでいる地域、会う頻度、住まいや生活費まで面倒をみるのかといった条件が、関係ごとに違うためです。
たとえば愛人契約で同じ「月10万円」と決めていても、家賃や交通費を別に出してもらえるのか、食事代やプレゼントまで含めた額なのかで、手元に残る金額はまったく違ってきます。他人の条件と自分の条件を並べても比較にならないのは、このためです。
現金ではなく、住まいや車を用意してもらう形もあります。ただしこの場合も、契約そのものが無効である以上、「約束したのだから用意しろ」と求めることはできません。名義や費用の負担がはっきりしないまま話が進むと、関係が終わったときに引き渡しや明け渡しをめぐって別の揉め事になります。
そして法律の観点から見たとき、より重要なのは金額そのものではありません。いくらで合意しても、その金額を法的に取り立てる手段がないという点です。相場を調べて条件を吊り上げても、支払われる保証が生まれるわけではありません。
この構造を前提にすると、金額の交渉よりも先に受け取っておくことのほうが実務的な意味を持ちます。具体的な方法は「②お手当を払ってもらえない」で述べます。
よくあるトラブル7選と対処法
愛人契約は、金銭のやり取りと性的な関係が同時に存在するため、通常の交際や不倫とは違う形で揉めます。ここでは繰り返し相談を受ける7つの類型について、法律上どう考えるのかと、その場でとるべき行動を示します。
- ①お手当を返せと言われる
- ②お手当を払ってもらえない
- ③契約違反で訴訟を起こすと言われる
- ④警察に被害届を出すと言われる
- ⑤暴行や脅迫の被害にあう
- ⑥相手がストーカー化する
- ⑦妊娠しても相手が認知に応じない
①お手当を返せと言われる
愛人契約を解消したいと伝えた途端に、相手からこれまでのお手当を返せと迫られることがあります。原則として、返す義務はありません。
理由は前に触れた不法原因給付です。愛人関係の対価として渡された金銭は、渡した側から取り戻すことができません(民法第708条)。「契約が無効なのだから返すのが筋だ」という言い分は、法律上は通りません。ただし、そのお金が貸したお金として渡されたと認められる場合は、前の章で述べたとおり返済義務が生じることがあります。
注意が必要なのは、相手が感情的になったときです。「返さないなら家族に話す」「職場に知らせる」といった言葉が出てきたら、それは要求が正しいかどうかとは別の問題に移っています。やり取りは消さずに残したうえで、警察や弁護士に相談してください。
関連記事:パパ活でお金を返せと言われた場合の返済義務と3つの対処法
②お手当を払ってもらえない
約束した日になっても入金がない、そのまま連絡が取れなくなる。お手当の未払いは、愛人契約書という形をとっていても起こります。
そして未払い分を法的に請求する手段は、ほとんどありません。契約書に金額と支払日を書いていても、その契約自体が無効である以上、裁判所が支払いを命じることは期待できないためです。相手が任意で払わない限り、回収は難しいと考えてください。
だからこそ、前払いを徹底することが唯一に近い予防策になります。会うたびに、その場で受け取る。あるいは月の初めに、その月の分をまとめて受け取る。どちらでも構いませんが、後払いを一度認めると、次からも同じ形になりがちです。
すでに未払いが続いているなら、督促のやり取りを記録に残しつつ、関係の解消そのものを検討したほうがよい段階に入っています。
関連記事:パパ活でよくあるやり逃げの手口と対策・対処法を弁護士が解説
③契約違反で訴訟を起こすと言われる
愛人契約をやめたいと伝えると、「契約違反だ」「訴える」と言われることがあります。これも、契約が無効である以上、成り立たない主張です。
無効な契約について違反を問うことはできませんから、相手が実際に訴えを起こしたとしても、その請求が認められる見込みはほとんどありません。慌てて要求をのむ必要はありません。
ただし、実際に裁判所から訴状が届いたときに、これを放置してはいけません。答弁書を出さずに欠席すると、相手の言い分を認めたものとして扱われ(民事訴訟法第159条)、契約が無効だという主張が判決に反映されないまま負けてしまいます。訴状や支払督促が届いたら、書かれている期限までに必ず弁護士へご相談ください。
また、言葉がエスカレートして嫌がらせや脅しに変わってきたときも別です。訴訟の話としてではなく、「⑤暴行や脅迫の被害にあう」の問題として対応を切り替えてください。
④警察に被害届を出すと言われる
お手当を先に受け取ったあとで愛人契約を終わらせたいと伝えると、「だまされた」「詐欺で被害届を出す」と言い出す相手もいます。
しかし、お金を受け取って関係を解消したというだけで詐欺罪が成立するわけではありません。詐欺罪が成立するには、最初からだますつもりで相手を誤信させ、それによって財産を渡させたという関係が必要です。実際に関係を持っていたのであれば、だました事実があったとは言いにくいでしょう。
もっとも、最初から受け取るだけのつもりだったとみられる事情があれば、話は変わります。契約が無効であっても、詐欺罪が成立する余地はあるからです。それでも「警察に行く」と繰り返される場合は、その言葉自体が脅しとして機能しています。一人で抱え込まず、弁護士に対応を相談してください。
⑤暴行や脅迫の被害にあう
愛人契約の解消を切り出したところ、相手が逆上して暴行や脅迫に及ぶことがあります。「殺してやる」「動画をネットに流す」「家族や職場に言いふらす」など、告げられる内容はさまざまです。
こうした行為は、その時点で犯罪です。殴る蹴るといった有形力の行使は暴行罪(刑法第208条)にあたり、けがをさせたときは、傷害罪(刑法第204条)です。あなた本人や親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げる行為は、脅迫罪(刑法第222条)にあたります。どのような言葉が該当するかは、告げられた内容と状況をふまえて判断されます。
身の危険を感じたら、まず警察に通報してください。あわせて、診断書・録音・メッセージの画面など、あとから確認できる形で記録を残しておくと、被害届の提出や相手への対応がしやすくなります。
⑥相手がストーカー化する
愛人契約を解消したあとも相手が受け入れず、つきまとうようになる場合があります。執拗な連絡、自宅や職場での待ち伏せ、SNSでの中傷など、あらわれ方はいくつもあります。
特定の相手への恋愛感情や、それが満たされなかったことへの怨みを満たす目的で、つきまとい・待ち伏せ・執拗な連絡などをすることは、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)で「つきまとい等」として規制されています。こうした行為で身の安全や平穏に不安を覚えたときは、警察署長などは相手に警告を出すことができ、都道府県公安委員会は、同じ行為を繰り返さないよう命じる禁止命令を出すことができます(同法第3条〜第5条)。身の危険が差し迫っているときは110番を、急を要しない相談は最寄りの警察署を利用してください。制度の概要や被害を防ぐための情報は、警察庁のストーカー・DV等対策のページで確認できます。
ただし、この規制が届くのは、あくまで感情を満たす目的の場合です。「お金を返せ」といった金銭目的のつきまといは、対象外と判断されることがあります。その場合も、脅迫罪として警察に相談する、弁護士が窓口になって相手の連絡を止める、といった方法があります。
連絡の記録を保存したうえで、早い段階で警察に相談してください。愛人契約の解消後もつきまといが続く場合の具体的な対策については、別れたあとの元彼が怖い!ストーカー被害を最小限にする対策法とはで紹介しています。
⑦妊娠しても相手が認知に応じない
愛人契約が性的な関係を伴う以上、妊娠の可能性は否定できません。そして相手が既婚者である場合、生まれた子どもを認知してもらえる保証はありません。
認知とは、結婚していない男女の間に生まれた子について、父親が自分の子であると法律上認めることをいいます。任意で応じてもらえないときでも、子どもの側から認知を求めることはできます(民法第787条)。父子関係が認められれば、養育費を請求する道も開けます。
ただし、相手が存命のうちは、いきなり訴えを起こすことはできません。認知には調停前置主義がとられており、まず家庭裁判所に認知調停を申し立て、話がまとまらなかったときに認知の訴えへ進みます(家事事件手続法第257条第1項)。なお、相手が亡くなったあとは、調停ではなく、検察官を相手方とする訴えになり、死亡の日から3年が期限です(人事訴訟法第44条第1項)。
とはいえ、相手が家庭を持っている以上、任意の認知に応じてもらうのは簡単ではありません。愛人契約の相手との間で妊娠が分かった段階で、産む・産まないの判断とは別に、法的にどこまで求められるのかを早めに確認しておいてください。
関連記事:「認知しない」と言われた!認知してくれない時の4つの対処法
配偶者にばれると慰謝料を請求されることがある
愛人契約を結んで既婚者と肉体関係を持つと、その配偶者から慰謝料を請求されることがあります。お金で割り切った関係であっても、配偶者以外の相手と肉体関係を持つ行為は、法律上「不貞行為」にあたると評価されるためです。
夫婦が築いてきた婚姻共同生活の平穏は法律上保護される利益とされており、これを侵害する行為は不法行為として損害賠償の対象になります(民法第709条)。
不貞行為の慰謝料は個別の事情で大きく変わりますが、実務上は50万円から300万円程度の範囲で決まることが多くなっています。肉体関係の回数が多いほど、また関係が続いた期間が長いほど高くなりやすく、夫婦が離婚に至ったかどうかや婚姻期間の長さも考慮されます。
一方で、肉体関係がなければ不貞行為にはあたりません。手をつなぐ、食事に行くといった行為にとどまるのであれば、慰謝料請求は認められないのが原則です。
ただし、肉体関係がないというだけで必ず責任を免れるわけではありません。継続的に金銭を受け取っていた、深夜の密会を重ねていたなど、交際の程度が度を越して夫婦関係を壊したと評価される場合には、慰謝料が命じられた裁判例があります。愛人契約はもともと金銭の授受と継続性を伴う関係ですから、この例外にあたりやすい点には注意してください。
また、関係を持った時点で、すでにその夫婦の関係が破綻していた場合も、原則として支払い義務は生じません。別居の時期や期間がわかる資料が手元にあれば、残しておいてください。
なお、実際には破綻していなくても、破綻していると信じ、そう信じたことに相当の理由があれば、責任を問われない余地があります(最高裁令和8年6月5日判決)。記入済みの離婚届を見せられたなど、そう信じても仕方のない事情があれば、そのやり取りも残しておいてください。
さらに、相手が既婚者だと知らず、知らなかったことに落ち度もなかった場合は、支払い義務を免れる可能性があります。ただし「知らなかった」と述べるだけでは足りず、それを裏づける材料が要ります。たとえば、次のような証拠が挙げられます。
- 独身と記載されていたマッチングアプリや婚活サイトのプロフィール画面
- 独身だと明言していたり、結婚を前提とした話をしていたメッセージのやり取り
- 休日に頻繁に会っていた、友人に紹介されたなど、既婚者らしくない事情がうかがえる状況
- 既婚であることを隠していたと相手が認めた発言や文書
なお、愛人契約をめぐる慰謝料についても、請求する権利には期限があります。配偶者が不貞の事実と相手が誰かを知った時から3年が過ぎると、消滅時効にかかります(民法第724条第1号)。知らないままであっても、不貞行為の時から20年が過ぎれば同じです(同条第2号)。ただし時効は、こちらが援用する(時効の完成を主張する)ことではじめて効果が生じます(民法第145条)。請求書が届いたら、まず「いつ知られたのか」を確認してください。
あわせて注意したいのが、返答の仕方です。一部でも支払う、分割や減額を申し入れる、支払う意思を伝えるといった対応は「債務の承認」にあたり、それまで進んでいた時効はそこから振り出しに戻ります(民法第152条第1項)。時効が完成している可能性がある場合は、金額の交渉に入る前にご相談ください。
そして、届いた通知を無視するのは最も避けたい対応です。愛人契約が無効であることは、慰謝料を払わなくてよい理由にはなりません。無視すれば相手が訴訟に踏み切る口実になりますし、話し合いで金額を調整できる余地も失われます。金額や期限に納得できない場合ほど、返答の前にご相談ください。
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愛人契約のトラブルは当事務所までご相談ください
愛人契約に伴うトラブルは、お金・感情・相手の家庭という3つが絡むため、当事者だけで収めるのが難しくなりがちです。契約が無効である以上、書面を示して話を終わらせることもできません。
弁護士が入る実際的な意味は、いくつかあります。ひとつは、配偶者から請求された慰謝料の金額が妥当かどうかを判断し、根拠を示して減額を求める交渉ができることです。もうひとつは、愛人契約にともなう返還や契約違反といった相手の言い分について、応じる義務があるのかどうかを切り分け、こちらの立場を法律に沿って示せることです。そして弁護士が窓口になれば、相手方との連絡や交渉を任せ、ご本人が直接やり取りせずに進められます。
「返せと言われ続けている」「警察に行くと繰り返される」「配偶者から通知が届いた」。ここまで来ていると、何をどう答えればよいのか分からないまま、相手の言い分に押し切られてしまうことがあります。精神的な負担も小さくありません。
当事務所は男女間のトラブルを数多く取り扱っており、周囲に知られることなく解決することを重視して対応しています。いまの段階でも取れる手段は残っています。早くご相談いただくほど、選べる方法は多くなります。
全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

