愛人契約とは?法律上無効な愛人契約のトラブルやリスクを解説

愛人契約とは、既婚者が配偶者以外の者と継続的な肉体関係を持つことを条件に、金銭や住居の提供などの対価を支払うことを約束する関係を指します

しかしこのような契約は、性的関係を対価とした取り決めであることから、民法が定める「公序良俗」に反するとして、法律上は無効と判断されるケースがほとんどです。

この記事では、愛人トラブルに強い弁護士が、愛人契約の法的な位置づけや起こりやすいトラブル、そしてトラブルに巻き込まれた際の具体的な対処法について、わかりやすく解説します。

この記事を最後まで読むことで、愛人契約のリスクを正しく理解し、万一トラブルに発展した場合にどのように対処すべきかを具体的に知ることができます。

なお、現在すでに愛人契約を結んでいてトラブルに巻き込まれている方は、この記事をお読みいただいた上で、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。

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愛人契約とは?

愛人契約」とは、法律上の明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、既婚者が配偶者以外の者と継続的な肉体関係を持つことを前提に、金銭的な援助や住居の提供などの対価を支払う約束を交わすことを指します。

当事者の一方が既婚者であれば成立しますが、既婚男性と未婚女性の間の愛人契約が多い印象です。

愛人契約の具体的な内容は多岐にわたり、性的な関係を持つ頻度や場所、提供される金銭の額などが定められることがあります。

他方、愛人契約と混同されやすい言葉に「不倫」や「パパ活」、「援助交際」があります

「不倫」は、既婚者が配偶者以外の者と肉体関係を持つこと全般を指し、「対価」の有無は問いません。また、「パパ活」では、肉体関係は必須ではなく、継続的な「契約」というよりは都度的な関係性が主流といえます。「援助交際」は、未成年者が金銭目的で大人と肉体関係を持つことを指す場合が多く、違法行為です。

これらに対して愛人契約は、不倫の中でも特に「継続性」や「対価の発生」という特徴が見られます。また、パパ活や援助交際と異なり、多くは1対1の深い関係性が構築される傾向にあります。

愛人契約は法的に有効?契約書を交わしていたら?

愛人契約は法的には無効となる可能性が極めて高いです。たとえ当事者間で「愛人契約書」のような書面を交わしていたとしても、その効力は認められません

民法には、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と定められています(民法第90条)。

これは「公序良俗(こうじょりょうぞく)」と呼ばれ、社会の一般的な道徳観念や倫理に反する取り決めは法的な効力を持たない、という原則です。

婚姻制度は社会の基本的な秩序であり、既婚者が配偶者以外と性的関係を持つことを前提とした愛人契約は、この公序良俗に違反すると考えられるため、法的には無効と判断されることになります。

また、愛人契約の内容によっては、売春防止法に違反する可能性もあります。売春防止法第3条では「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と規定されています。

一般的に、単なる恋愛関係の延長線上にある不倫と異なり、愛人契約は性交渉の対価として金銭や経済的利益の授受が明確に約束されるケースがほとんどです。特に、複数の相手とこのような関係を持ち、金銭を得ているような場合は、売春行為とみなされ、売春防止法違反として罰則の対象となる可能性が高くなります。

愛人契約で起こりやすいトラブル6選

愛人契約は、継続的な金銭の授受と性的関係を伴う特殊な関係性であるため、通常の恋愛や不倫とは異なるトラブルが発生しやすい傾向にあります。ここでは、実際に多く寄せられている代表的なトラブル例を6つご紹介します。

  • ① お手当ての返還を求められる
  • ② 契約違反で訴訟を起こすと言われる
  • ③ 警察に被害届を出すと言われる
  • ④ やり逃げされる
  • ⑤ 暴行や脅迫被害にあう
  • ⑥ 相手がストーカー化する

①お手当ての返還を求められる

愛人関係を解消しようとすると、相手からこれまで支払った「お手当て」の返還を求められることがあります。しかし、原則として、愛人契約に基づいて支払われた金銭を返還する義務はありません

これは、「不法原因給付」という制度に基づいています。

民法は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めています(民法第708条)。

愛人契約は公序良俗に反するため、その契約に基づいて支払われた金銭は不法原因給付にあたります。そのため、もし相手から金銭の返還を求められても、法的には応じる必要はありません。

ただし、相手が感情的になり、過激な言動や行動に出る可能性もゼロではありません。「返さなければ家族に危害を加える」「職場にばらす」など、脅迫めいた言動があった場合は、すぐに警察や弁護士に相談してください。

②契約違反で訴訟を起こすと言われる

愛人関係を解消しようとすると、相手から「愛人契約違反だ」、「訴訟を起こす」などと脅されるケースもあります。しかし、前述の通り、愛人契約は公序良俗に反するため、法的に無効となる可能性が高いです。

契約が無効である以上、相手が「契約違反」を主張して訴訟を起こしたとしても、その訴えが裁判所に認められることはほとんどありません

そのため、このような脅しに対しては毅然とした態度で対応しても問題ありません。

ただし、相手の言動がエスカレートし、度を超した嫌がらせや脅迫行為に発展するようであれば、速やかに弁護士に相談し、適切な対処法を検討してもらう必要があるでしょう。

③警察に被害届を出すと言われる

お手当てを先払いでもらった後、性行為に何度か応じたものの、途中で関係解消を申し出た場合に、相手から「詐欺だ」、「警察に被害届を出す」と言われてしまうことがあります。これは、相手が「お金をだまし取られた」と主張している状況です。

しかし、愛人契約は法的に無効である可能性が高く、その性質上、金銭の授受が行われていたとしても、直ちに詐欺罪が成立するわけではありません

詐欺が成立するには、最初から相手をだます意図があったこと(欺罔行為)や、相手がだまされたことによって金銭を交付したという要件を満たす必要があります。そもそも、愛人契約の履行に対する男性側の期待は法的に保護すべきものではありませんし、性行為に応じている以上、欺罔行為があったともいえません

そのため、もしこのような脅しを受けた場合は、決して一人で抱え込まず、すぐに弁護士に対応を相談してください。

④やり逃げされる

愛人契約に関するトラブルとして、主に愛人になりたい側が、高額な「お手当て」を提示され、関係を持った後、相手が連絡を絶ってしまう「やり逃げ」も発生しています

例えば、「お手当ての支払いは月末」と約束したにもかかわらず、支払期日になると相手からの連絡が途絶える、といったケースがこれにあたります。

このような事態を避けるためには、お手当てを先に受け取る「前払い」を徹底することが最も有効な対策です。

初回だけでなく、継続的な関係においても、金銭の授受は必ず事前に済ませるようにしましょう。口約束だけでなく、可能な限り、具体的な支払い方法や金額を明確に確認し、不明な点があれば関係を始める前に解消しておくことが大切です。また、相手の素性や信頼性をできる限り事前に確認することも、リスクを軽減する上で役立ちます。

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⑤暴行や脅迫被害にあう

愛人関係の解消を申し出た際、相手が逆上し、暴行や脅迫の被害に遭うことがあります。

脅迫の内容は、「殺してやる」、「性行為の動画をインターネットに晒す」、「(既婚女性の場合)夫にばらす」、「(風俗嬢が客と愛人契約を結んだ場合)店外していることを店にばらす」など、多岐にわたります。

このような有形力の行使や害悪の告知は、犯罪行為です

暴行罪(刑法第208条)や脅迫罪(刑法第222条)に該当し、場合によっては傷害罪(刑法第204条)が成立する可能性もあります。もし、相手から暴力を振るわれたり、生命や身体、名誉、財産に危害を加える旨を告げられたりした場合は、すぐに警察に通報してください。証拠(診断書、録音、メール、メッセージの履歴など)がある場合は、それらを保存しておくことも重要です。

弁護士に相談することで、警察への被害届提出のサポートや、相手への法的措置についてのアドバイスを受けることができます。

⑥相手がストーカー化する

愛人関係の解消を申し出た後、相手が関係の解消を拒否し、ストーカー化するケースも少なくありません。

執拗な連絡、自宅や職場へのつきまとい、監視、無言電話、インターネット上での誹謗中傷など、その行為は多岐にわたります。ストーカー行為は、被害者の精神に大きな苦痛を与えるだけでなく、時には凶悪な犯罪に発展する危険性もはらんでいます

特定の者に対する恋愛感情や好意の感情、またはそれがみたされなかったことに対する怨念の感情を充足する目的で「つきまとい等」を行うことは、ストーカー規制法によって禁止されています。

もし相手がストーカー行為に及んだ場合は、速やかに警察に相談することが重要です。ストーカー規制法に基づき、警察は警告や禁止命令を出すことができます。被害を放置するとエスカレートする可能性が高いため、早期の対応が不可欠です。

愛人契約が相手の配偶者にばれて慰謝料請求されるリスクもある

愛人契約を結び、既婚者と肉体関係を持った場合、相手の配偶者から慰謝料を請求されるリスクが伴います。たとえお金で割り切った関係であったとしても、婚姻関係にある配偶者以外の者と肉体関係を持つ行為は、法律上「不貞行為」に該当するとみなされるためです。

夫婦の貞操権は法律で保護される利益であり、不貞行為はこの権利を侵害する不法行為にあたるため、慰謝料の支払い義務が発生する可能性があるのです(民法第709条)。

不貞行為による慰謝料の相場は、個別の事情によって大きく変動しますが、一般的には50万円から300万円程度とされています。これは、肉体関係の回数や離婚に至ったかなど愛人関係が夫婦関係に与えた影響の大きさ、婚姻期間の長さといった様々な要素が考慮されて決定されます。

一方で、既婚者と親密な関係にあったとしても、肉体関係がなければ不貞行為には該当しません。例えば、手を繋いだり、ハグをしたり、一緒に食事に行ったりするだけでは、法律上の不貞行為とはみなされず、慰謝料請求の対象にはなりません。

もしあなたが、相手が既婚者であることを知らずに愛人契約を結び、肉体関係を持っていた場合、慰謝料の支払い義務を免れる可能性があります。しかし、「知らなかった」と主張するだけでは不十分であり、それを証明する証拠が非常に重要になります。具体的な証拠として、以下のようなものが挙げられます。

  • 相手が独身と記載していたマッチングアプリや婚活サイトのプロフィール画面のスクリーンショット
  • 相手が独身であると明言したり、結婚を前提とした関係を匂わせていたLINEやメールのやり取り
  • 相手が家族の話を一切しなかった、休日に頻繁に会っていた、あなたの家族や友人に紹介するような素振りを見せていた、などの状況証拠。
  • 相手が「自分が既婚者であることを隠していた」と認める発言や文書 など

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愛人契約でトラブルになった場合に弁護士に相談するメリット

愛人契約に関連するトラブルは、法的な無効性や道徳的な問題も絡み、当事者だけでの解決が困難なケースが少なくありません。弁護士に相談することで、冷静かつ法的根拠に基づいた対応が可能となり、トラブルの深刻化を防ぐことができます。

  • ① 慰謝料の減額交渉をしてもらえる
  • ② 相手からの不当な要求をブロックしてくれる
  • ③ 周囲に知られずに解決できる

①慰謝料の減額交渉をしてもらえる

弁護士に相談することで、相手方配偶者から請求された慰謝料の金額が法的に妥当であるかを判断してもらえます

不貞行為の慰謝料には一定の相場があるものの、個々のケースによって適切な金額は異なります。過去の判例や具体的な状況を鑑み、法的な根拠に基づいた適正な慰謝料額を算定し、相手方との交渉を進めてくれます。

また、弁護士が交渉にあたることで、感情的になりがちな相手方との直接的なやり取りを避けることができ、冷静かつ専門的な視点から減額交渉を進めることが可能になります。

仮に、交渉が決裂し、訴訟に発展した場合でも、弁護士が代理人として裁判手続きのすべてを一任できるため、安心して解決を任せることができます。

②相手からの不当な要求をブロックしてくれる

愛人関係の解消を申し出た際、相手から「これまでの手当を返せ」といった不当な金銭の返還を求められたり、「契約違反で訴える」などと脅されたりすることがあります。このような場合も、弁護士に相談することで、相手からの不当な要求を法的にブロックしてもらうことができます

弁護士は、愛人契約が法的に無効であることや、不法原因給付の原則などを明確に伝え、相手の要求に法的な根拠がないことを毅然と主張してくれます。

あなたが直接相手と対応する必要がなくなるため、精神的なストレスや恐怖を感じることなく、問題解決に集中できます

③周囲に知られずに解決できる

愛人契約に関するトラブルは、周囲に知られたくないと考える方がほとんどです。特に、脅迫やストーカー被害に遭っているような場合、警察沙汰になることでかえって問題が広まってしまうのではないかと不安に感じるかもしれません。

しかし、弁護士に相談することで、周囲に知られることなく、穏便に解決できる可能性が高まります

弁護士は、相手の行為が法的に問題があることを明確に警告し、これ以上の行為を続けると法的措置を講じる可能性があることを伝えます。弁護士からの警告は、相手にとって大きなプレッシャーとなり、多くのケースで事態が収束に向かいます。

警察に被害届を出す前に弁護士が介入することで、プライバシーを守りながら刑事事件化を回避し、水面下でのトラブル解決を図ることが期待できます。

愛人トラブルは当事務所までご相談ください

愛人契約をめぐるトラブルは、金銭や感情、配偶者との関係などが複雑に絡み合い、当事者だけでの解決が困難なケースが多く見られます。「今までのお手当てを返せ」と返還を迫られたり、「詐欺で被害届を出す」と脅されたりするなど、愛人契約特有の問題も少なくありません。また、相手からの脅迫やストーカー行為、配偶者からの慰謝料請求への対応など、精神的な負担も非常に大きく、日常生活にも深刻な影響を及ぼすことがあります。

当事務所には、愛人関係に伴うトラブルの解決実績を多数有する弁護士が在籍しており、親身かつ誠実に状況をおうかがいしながら、あなたにとって最も納得のいく解決策をご提案いたします。慰謝料の減額交渉、不当な要求への法的対応、ストーカー行為や脅迫への対処など、深刻化する前に適切な対策を講じることが大切です。

「こんなこと誰にも相談できない」「もう逃げ場がない」――そう感じている方こそ、私たちにご相談ください。あなたの立場と安全を守るために、弁護士が全力で対応し、少しでも早く安心を取り戻せるよう尽力いたします

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