父親が自分の意思で認知をする「任意認知」では、子がまだ胎児の場合や子が成人している場合を除いて、父親は母子の承諾なしで認知をすることができます。
一方、母親その他第三者は任意認知の当事者ではありません。任意認知の届出人(認知届に署名捺印する者)は父親に限られるからです。
認知届とは、婚姻関係にない父母との間に生まれた子とその父との間に法律上の親子関係を生じさせるために父がする届出です。
もっとも、母親その他の第三者が、父親になりすまして署名捺印した認知届を勝手に役所に提出してしまう事態も実際に起こり得ます。役所の窓口では、その認知届の記入が第三者に偽造されたものかどうかまでは確認のしようがないからです。
そこでこの記事では、
- 認知届を勝手に提出されないための対策
- 認知届を勝手に提出された場合の対処法
について、男女問題に強い弁護士が解説していきます。
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認知届を勝手に提出されないための対策
母親などの第三者が認知届を勝手に提出するリスクがある場合には、事前に役所に対して自分名義の認知届を受理しないように「認知届不受理申出」をしておくという対策が考えられます。
認知不受理申出とは、申出人(父親)本人が自分で役所の窓口に出向いて届出をしたことが確認できない限り、認知届を受理しないよう申出する制度のことです。この不受理申出は、申出人が取り下げない限り効力が続きます。
参考:届出を受理されたくないとき【不受理届】 | 舞鶴市 公式ホームページ
認知届を勝手に提出された場合の対処法
既に第三者によって認知届が提出され受理されてしまったような場合には、「認知を取り消すことはできる?取り消せない場合の対処法も解説」でも書かれているように、認知が真実に反することを理由とする「認知無効の訴え」を提起することができます(民法786条)。
ただし、認知無効の訴えは血縁上の父子関係がないことを前提にしています。訴えの中でDNA鑑定を実施して実の親子であることが判明すれば認知を取り消すことができませんので注意しましょう。
まとめ
任意認知の場合、父親である男性は、胎児認知や成人した子の認知の場合を除き、認知される子や母親の承諾なしに勝手に認知届を提出することができます。一方、母親は認知届を勝手に提出できません。
もし母親などから認知届を勝手に役所に提出されて受理されてしまった場合には、認知無効の訴えを提起する必要があります。
当法律事務所では、認知無効の訴え(調停で合意できなければ訴訟)での同席や主張立証の代理の依頼も受け付けております。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でバックアップしますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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