子を認知すると戸籍はどうなる?記載例と父の姓を名乗る手続き

「子供を認知すると戸籍はどうなるのだろう」「認知したら、子は父親の戸籍に入るの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、父親が認知すると母子と父親それぞれの戸籍に記録が残りますが、認知だけでは子が父親の戸籍に入ることはありません。

婚姻関係にない男女から生まれた子(婚外子・非嫡出子。民法上は「嫡出でない子」。かつては「私生児」とも呼ばれました)は、まず母親の戸籍に入り、その時点では父の欄が空欄です。子が父親の姓を名乗るには、別の手続きが必要になります。

この記事では、男女トラブルの解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 母子と父の戸籍にそれぞれ書かれる内容
  • 子が父の戸籍に入り父の姓を名乗る手続き
  • 任意認知と裁判認知で異なる記載例
  • 法律上の父子関係によって生じる効果

お読みいただくことで、戸籍の記載から何が分かるのか、父の姓を名乗るための手続きの流れを把握できます。

なお、お悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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父親が認知したら母子の戸籍はどうなる?

まずは、父が認知する前の状態から確認しておきましょう。婚姻していない父母のもとに生まれた子は、出生届によって母親の戸籍に入り、母の氏を名乗ります。胎児のうちに父が届け出ていなければ、出生の段階では法律上の父が決まっていないため、子の父欄には何も記載されません。

母が自分の親の戸籍に入ったまま出産した場合でも、そこに孫である子が加わることはありません。母を筆頭者(戸籍の最初に記載される人)とする新しい戸籍が作られ、母と子はそこに入ります(戸籍法17条)。成年者が自らの意思で親の戸籍を離れる「分籍」とは別の仕組みなので、母が分籍の届出をする必要はありません。

認知とは、婚姻関係にない父母の子と父との間に、法律上の親子関係を生じさせることをいいます。認知の効果や手続きについて詳しくは「子供を認知しないとどうなる?デメリットと認知してもらう方法」で解説しています。

認知後は子の父欄と身分事項欄に記録される

父が認知すると、母子の戸籍で何も書かれていなかった子の父欄に、父の氏名が記録されます。あわせて子の身分事項欄(出生や認知などの出来事を記録する欄)に「認知」の事項が設けられ、【認知日】【認知者氏名】【認知者の戸籍】が記録されます。

認知後の母子の戸籍

子の続柄欄は、平成16年11月1日以降、嫡出でない子も母が産んだ順に「長男」「長女」などと表記されるようになりました。それより前に「男」「女」と記載された人も、申出によって改めることができます(法務省)。

子が父の戸籍に入り父の姓を名乗る手続き

父子関係が成立しても、子の氏は変わらず、子は母の戸籍に残ったままです。子が父の氏(姓)を名乗って父の戸籍に入るには、認知とは別に、家庭裁判所での許可と、市区町村の役所への届出という2段階の手続きを踏みます。

まず、子の住所地を管轄する家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てます(民法791条1項)。子が15歳未満のときは、法定代理人(親権者である母など)が子に代わって申し立てます(民法791条3項)。15歳以上であれば、子本人が申し立てます。

許可の審判が出ると、「審判書謄本」という書類が届きます。これを添えて、役所に入籍届を提出します。入籍届が受理された時点で、子は母の戸籍を出て、父の戸籍に入ります。

認知した父親の戸籍はどうなる?

父が子を認知すると、父の戸籍の身分事項欄にも「認知」の事項が記録されます。記録されるのは【認知日】【認知した子の氏名】【認知した子の戸籍】で、いつ、どの子を認知し、届出の時点でその子がどこの戸籍にいたのかが読み取れます。

認知後の父の戸籍

コンピュータ化される前の紙の戸籍では、「平成○年○月○日 ○○県○○市○○町○番地 △△(母の氏名)同籍□□(子の氏名)を認知届出」のような文章の形で記載されていました。

任意認知と裁判認知で記載例はどう違う?

認知には、父が自ら役所に認知届を出す「任意認知」と、家庭裁判所の調停や訴えを経て認知が認められる「裁判認知」(強制認知)があります。どちらでも父と子の戸籍に認知の事項が記録される点は同じですが、記載される項目には違いがあります。

任意認知では、役所に提出した日が【認知日】として記録されます。一方、裁判認知では、【認知日】の代わりに【認知の裁判確定日】が入り、【届出日】と【届出人】も記録されます。

裁判認知の場合、裁判を求めた側が、裁判が確定した日から10日以内に裁判の謄本を添えて届け出ることになっています(戸籍法63条1項)。求めた側が届け出ないときは、相手方が届け出ることもできます(同条2項)。裁判認知の流れや費用については「強制認知とは?手続きの流れと費用、負けるケースを弁護士が解説」にまとめています。

転籍や改製で作られた父の新しい戸籍には記載が移らない

認知の事項は、届出をした時点の父の戸籍に記録されます。その後、転籍(本籍地を移すこと)や戸籍の改製(法改正などで戸籍の様式が作り替えられること)、婚姻などで父について新しい戸籍が作られると、父の側の認知の事項は新しい戸籍には書き移されません。新しい戸籍へ移す事項を定めた戸籍法施行規則39条1項に、認知した父の側の事項が挙げられていないためです。

これに対し、認知された子の側は、別の戸籍に移っても認知の事項が引き継がれます(同項2号)。

ただし、父の現在の戸籍に記載がなくても、それ以前の戸籍(全員が抜けて閉じられた除籍や、改製前の改製原戸籍)を取り寄せれば、認知した子がいることは確認できます。相続手続きで亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本をそろえる場面などで、判明することがあります。家族に知られるかどうかについて詳しくは「子供を認知したら戸籍でバレる?隠し子の調べ方も解説」で解説しています。

認知の効果は?出生時にさかのぼって父子関係が生じる

認知の効力は、認知した時点からではなく、子が生まれた時にさかのぼって生じます(民法784条)。ただし、認知より前に第三者がすでに取得した権利を害することはできません。

法律上の父子関係が成立すると、父は子を扶養する義務を負い、子の側から父に養育費を求められるようになります。請求できるのは原則として請求した時点以降の分ですが、出生時までさかのぼって支払いを認めた裁判例もあります。養育費の相場や請求手続きは「認知された子の養育費はどうなる?相場・請求手続きと期間を解説」をご参照ください。

父が亡くなったときは、認知された子も相続人になります。かつて嫡出でない子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年の民法改正で相続分の区別はなくなり、現在は同じ割合で相続します。

親権は、認知の後も原則として母が持ちます。父母が話し合えば、父母の双方または父を親権者と定めることもできます。

反対に、認知されないままだと子の戸籍の父欄は空欄のままで、血のつながりのある父であっても法律上は親子として扱われません。養育費を求めることも、父の財産を相続することもできない状態が続きます。父が認知に応じないときは、家庭裁判所に認知請求の調停を申し立てる方法があります。認知に応じない相手への対処法については「「認知しない」と言われた!認知してくれない時の4つの対処法」もあわせてご確認ください。

認知と戸籍の問題でお悩みの方は弁護士にご相談ください

子は生まれた時点では母の戸籍に入り、父の認知があれば、子と父それぞれの戸籍にその記録が残ります。ただ、認知によって子の戸籍や姓が父の側へ移るわけではなく、父の姓を名乗るには家庭裁判所の許可と入籍届が必要です。

認知は、戸籍の記載にとどまらず、養育費や相続といった子の生活を支える権利の出発点になります。相手が認知に応じない場合や、認知後の手続きの進め方に迷う場合は、早めに法的な見通しを持っておくことが大切です。

「相手に認知を求めたいが話し合いが進まない」「認知した場合に今の家族へどう影響するか心配だ」など、お立場によって悩みはさまざまです。おひとりで抱え込まず、状況をお聞かせください。

当事務所は男女トラブルの解決に豊富な実績があり、認知や戸籍に関するご相談にも丁寧に対応しています。相手方との交渉が必要な場合は弁護士が間に入り、ご依頼者の負担を抑えながら解決を目指します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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