
転職会議に投稿された悪い口コミは、ガイドライン違反や権利侵害にあたる内容であれば削除できる可能性があります。ただし運営が任意の申し出に応じることはまれで、消してもらうには所定の手続きに沿った申請や法的な対応が必要です。
「事実と異なることを書かれて応募者が減ってしまった」「退職者の書き込みが採用活動の足を引っ張っている」とお困りの企業のご担当者も多いのではないでしょうか。こうした書き込みは検索でも見つかりやすく、応募を考えている人の目に触れ続けます。
この記事では、ネット上の誹謗中傷対策に強い弁護士が、次のポイントを解説します。
- 削除に応じてもらえる書き込みの基準
- 削除を求める3つの方法と進め方
- 消せない書き込みに企業が取れる対処法
- 弁護士に依頼するメリットと費用の目安
お読みいただくことで、手元の口コミのうちどれに削除を求められるのか、そして次に何をすべきかを整理できます。
なお、転職会議の書き込みへの対応でお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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転職会議は口コミの削除に応じる?運営の方針と削除の基準
転職会議は、企業で働いている人・働いていた人が口コミを投稿する国内最大級の転職口コミサイトです。投稿者について表示されるのは「正社員」「20代後半」といった属性だけで、氏名は出ません。そのため、社員ではない人が事実と異なる内容を書き込むことも起こり得ます。
ネガティブな口コミを放置すると、採用活動に影響が出ます。転職会議が2023年に実施したアンケートでは、口コミを見て応募意欲が低下した求職者は約50%にのぼると公表されています。
一方で、転職会議は口コミの削除に慎重です。公式の「口コミ投稿ガイドライン」の記載は次のとおりです。
転職会議では原則として口コミの削除は承っておりません。
また、一度ご投稿いただいた口コミは、投稿者様が転職会議を退会された場合でも削除されることなく掲載され続けます。
口コミの修正は、1投稿あたり1回限り可能です。複数回の修正はお受けしておりません。
つまり、投稿者に頼んで消してもらうことも、退会を待つこともできません。削除を求めるなら、企業の側からその口コミが削除に値することを示して申請する必要があります。
転職会議以外の口コミサイトでも考え方は共通します。オープンワーク(旧Vorkers)への対応については「オープンワークの口コミは削除できる?削除依頼と投稿者特定方法」で解説しています。
削除対象になるのはガイドライン違反・権利侵害の口コミ
転職会議は投稿を全件確認したうえで掲載の可否を決めており、「口コミ投稿ガイドライン」で削除の対象を示しています。大きく次の5つです。
- 個人特定につながる投稿(個人のプライバシーを侵害すると判断されたもの)
- 誹謗中傷にあたる投稿
- 実体験に基づかない投稿(憶測・伝聞・虚偽、在籍情報の信憑性が低いもの)
- 読みにくい投稿(過度な誤字脱字、アスキーアート、カジュアルすぎる表現など)
- その他(無関係な企業の情報、機密にあたる情報、犯罪や事件に関わる内容、宣伝や外部リンクへの誘導、評価を操作する意図の投稿、利用規約違反など)
たとえば、役職者をイニシャルで名指ししてその人格を否定する口コミは、「個人特定」と「誹謗中傷」の両方にあたり得ます。
また、転職会議は、「月給×12か月」で算出した金額と投稿された年収額との差が大きい場合や、給与・労働時間・年間休日数が現実にあり得ない数値である場合を、在籍情報の信憑性が低いと判断する例に挙げています。これらは、在籍していない人物の書き込みを疑う手がかりになります。
ガイドライン違反にあたらない場合でも、投稿が企業の名誉や信用を侵害しているときは、権利侵害を理由に削除を求める余地があります。転職会議は、権利者が出した客観的な証拠をもとに、情報流通プラットフォーム対処法(インターネット上の権利侵害への対応を定めた法律。以下「情プラ法」)に沿って口コミを審査すると説明しています。
裏を返せば、「事実と違う」と主張するだけでは足りず、違うことを裏づける資料を企業側で用意できるかどうかが分かれ目になります。
事実に基づく口コミや主観的な評価は削除されない
一方で、ガイドライン違反にも権利侵害にもあたらず、削除が認められない口コミもあります。転職会議は、企業から申立てを受けた場合でも、ガイドラインに照らして不適切と判断できないものは削除を断る方針を公表しています。
断った例として転職会議が挙げているのは、会社の評価のつけ方について主観的な意見を述べたものや、特定の個人を指しておらず誹謗中傷とは判断できない投稿です。
「星1つの低い評価をつけられた」という理由だけでは、削除は難しいのが実情です。評価点そのものは投稿者の受け止め方の表明であり、具体的な事実を示したものとは評価されにくいためです。
厳しい内容でも、実際に働いた人の体験に基づく口コミであれば掲載が続く可能性が高く、その場合は削除以外の方法で影響を抑える対応を検討することになります。
転職会議の口コミを削除する3つの方法
転職会議に削除や修正を求める方法は、大きく3つあります。①から順に、手間と時間の負担が小さい順です。弁護士に依頼した場合の費用は後半で示します。
①運営に送信防止措置を申請する
最初に検討するのは、転職会議の運営会社である株式会社リブセンスへ直接、削除を申請する方法です。転職会議は、権利者または代理人弁護士が、権利侵害の可能性がある投稿について所定の手続きで送信防止措置(その投稿を表示されないようにする措置。実務では「削除」と呼ばれます)を申請できるとしています。
申請先は転職会議のお問い合わせ窓口です。申請では、次の3点を運営側がすぐ確認できる形で示します。
- 削除を求める口コミの特定(企業ページのURL・投稿日・投稿の文面)
- その口コミが侵害している企業の権利、または違反しているガイドラインの項目
- 主張を裏づける客観的な資料
実務では、送信防止措置依頼書(侵害情報の通知書を兼ねた定型の書式)に、法人の登記事項証明書などの本人確認資料を添えて提出します。この依頼書の作成方法は「送信防止措置とは?削除依頼が無視されても出せる依頼書の書き方」をご参照ください。
結果を左右するのは証拠です。転職会議は、残業代が支払われていないという趣旨の口コミについて、企業側が残業代の支払い実績のように客観的に証明できる資料を出した場合を、削除を行う例として挙げています。タイムカードや賃金台帳、給与明細を、投稿の記述と1対1で対応づけて示せるかどうかが問われます。
申請すれば必ず削除されるとは限りません。転職会議が公表している審査結果は次のとおりです。
- 掲載継続(71.0%)
- 全件削除(21.6%)
- 部分的な削除(7.4%)
この割合は、2025年4月〜2026年3月の申請を2026年5月時点で集計したものです。全件削除と部分的な削除には、投稿者が同意した任意の削除も含まれます(出典:転職会議 口コミ・ランキングの信頼性への取り組み)。
約7割は掲載が継続されており、削除された分にも「部分的な削除」が含まれます。部分的な削除とは、1件の投稿のうち文章の一部だけを消す対応で、問題とされた記述以外は掲載されたままになります。
全文の削除を求めたい場合や、申請が通らなかった場合は②を検討します。投稿者の特定も考えるなら③もあわせ、着手の順序を先に決めておきましょう。
②裁判所に削除の仮処分を申し立てる
転職会議が口コミの削除に応じないときは、裁判所へ削除の仮処分を申し立てる方法があります。仮処分とは、判決を待たずに暫定的な措置を裁判所に命じてもらう手続きです。認められれば、裁判所からリブセンスにその口コミを削除するよう命令が出されます。
申立てでは、削除を求める根拠となる権利(被保全権利)といま裁判所の判断を得ておく必要があること(保全の必要性)の2つを明らかにし、疎明しなければなりません(民事保全法13条1項・2項)。疎明とは、一応確からしいと裁判所に思わせる程度に資料を示すことをいいます。口コミの削除では、人格権(名誉・信用など、その人や法人の人格的な利益を守る権利)に基づいて求めるのが一般的です。
この手続きは「仮の地位を定める仮処分」にあたり、自社に生じる著しい損害や急迫の危険を避けるために必要なときに発令されます(民事保全法23条2項)。相手方が立ち会える審尋(当事者の言い分を裁判所が聴く手続き)の期日を経るのが原則です(同条4項)。
また、仮処分命令は担保を立てさせて発することができるとされており(民事保全法14条1項)、実務上は担保金(相手方に損害が生じたときの備え)を法務局に預けます(供託)。金額は裁判所が事案に応じて決め、削除の仮処分では10万円から50万円程度とされることが多いようです。預けた担保金は、事件の終了後に所定の手続きを経て返還を求めます。
申立てから発令までは1〜3か月程度で、審尋の回数や争点によって前後します。
仮処分の具体的な手続きや流れについては「削除請求の仮処分|誹謗中傷を消す流れと期間・費用」で詳しく解説しています。
③投稿者を特定して口コミの修正を求める
同じ人物と思われる悪質な口コミが繰り返し投稿される場合や、投稿者に損害賠償を請求したい場合には、誰が書いたのかを特定する手続きを検討します。
ただし転職会議は、投稿者本人による口コミの削除を認めていません。特定できても本人に消させることはできず、1投稿あたり1回限りの修正で問題のある記述を直してもらう形になります。これも強制はできないため、損害賠償請求の交渉のなかで応じてもらうことになります。
投稿者の特定は、情プラ法に基づく発信者情報開示請求(投稿者のIPアドレスや氏名・住所の開示を求める手続き)で行います。開示が認められるには、次の2つをいずれも満たす必要があります。
一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
情報流通プラットフォーム対処法5条1項1号・2号 出典:e-Gov法令検索
権利侵害が「明らか」であることが求められるため、読んで不快だというだけでは足りません。
転職会議は、2025年に受けた裁判所を経由しない開示請求のうち開示したものは0件だと公表しており、実際には裁判所を通じた手続きが前提になります。
2022年10月に施行された改正法で「発信者情報開示命令」(裁判所がサイト運営者やプロバイダに開示を命じる制度)が新設され、以前は2段階だった裁判手続きを1つの非訟手続(訴訟とは別の、簡易な裁判手続き)で進められるようになりました(情プラ法8条)。
急ぐ理由は、通信記録(アクセスログ)に保存期間があるためです。プロバイダが保存する記録は一定期間で消去され、消えてしまえば投稿者にたどり着けません。保存期間は事業者によって異なるため、投稿を確認したら早い段階で着手する必要があります。特定までは数か月から半年程度とされています。
投稿者が特定できれば損害賠償の請求を検討でき、口コミの内容によっては、名誉毀損罪(公然と事実を示して会社の社会的評価を下げる罪)や信用毀損罪(虚偽の情報で事業上の信用を害する罪)を理由とする刑事告訴が選択肢に入ることもあります。
発信者情報開示の手続きの流れや要件については「発信者情報開示請求の仮処分と訴訟の手続き」もあわせてご確認ください。
削除できない口コミに企業が取れる対処法
削除は選択肢の一つにすぎません。転職会議では、削除の対象にならない口コミは掲載され続けます。その口コミがある前提で、評判や採用への影響を抑える対応も並行して考えましょう。
口コミに返信して企業の見解を伝える
転職会議は、自社に投稿された口コミの閲覧と返信ができる企業向けの公式サービス(転職会議MIRROR)を無料で提供しています。口コミに個別に返信でき、事実と異なる点の訂正や改善した内容を、求職者が読む場所で示せます。返信は口コミのそばに企業名義で表示されます。
転職会議が実施した調査では、5段階評価で最低の「1」がついた口コミについて、返信がある例とない例で求職者の反応を比べました。企業に「良い印象を抱かない」という反応は41.8%から16.8%まで下がったと公表されています。
ただし感情的な反論や投稿者を非難する返信は逆効果になりかねません。事実関係を淡々と示し、改善に向けた取り組みを具体的に書いてください。
採用サイトなどで自社の情報を発信する
求職者は転職会議だけを見て応募先を決めるわけではありません。採用サイトや社員インタビュー、SNSなど自社が発信する情報が充実していれば、口コミは判断材料の一つになります。
労働時間や休日、評価制度など、口コミで指摘されやすい項目は、実際の運用を具体的な数字とあわせて公開しておくと、求職者が実態を確認しやすくなります。
どの口コミに削除を求め、どの口コミは返信で対応するのかという切り分けの段階から弁護士に相談しておくと、対応の順序を誤らずに済みます。
弁護士に依頼するメリットと費用の目安
口コミの削除申請や裁判手続きは、企業が自ら行うこともできます。転職会議も、申請に弁護士を通す必要はないと説明しています。それでも弁護士に依頼する意味がある場面と、依頼した場合の費用の目安を示します。
削除できる見込みを事前に見極められる
転職会議で削除が認められるかどうかは、口コミの表現が権利侵害やガイドライン違反にあたるか、反証となる資料が揃うかで決まります。弁護士に相談すれば、投稿の文面と手元の資料を突き合わせ、どの口コミなら申請が通る見込みがあるのかを法的な観点から整理できます。
見込みの薄い口コミまで一律に申請すると、時間と費用をかけたうえで掲載が継続される結果になりかねません。優先順位をつけて動けることが、まず得られる実益です。
申請書類の作成から裁判手続きまで任せられる
転職会議への送信防止措置の申請では、対象の口コミがどの権利をどのように侵害しているのかを書面で法的に構成する必要があります。削除の仮処分に進めば、被保全権利と保全の必要性を疎明する申立書と証拠の準備から、審尋への出席、担保金の供託まで一連の対応が求められます。
弁護士に依頼すれば、これらの書面作成と裁判所とのやり取りを代理して進められ、担当者が通常業務と並行して手続きを抱える負担も減ります。
投稿者の特定・損害賠償請求まで一貫して対応できる
口コミの削除を先に進めると、転職会議から口コミが消えたあとで「誰が書いたのか」を追えなくなることがあります。通信記録の保存期間は、削除手続きの間も進みます。
削除と特定のどちらを、どの順序で行うのか。損害賠償の請求まで見据えるのか。この判断を最初にしておけば、あとから取り返しがつかない事態を避けやすくなります。請求できる金額や進め方は「名誉毀損の慰謝料相場はいくら?請求できる条件を弁護士が解説」にまとめています。
弁護士費用は、相談料と、依頼時に支払う着手金、終了時に成果に応じて支払う報酬金で構成されるのが一般的です。どの手続きを依頼するかで変わりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
- 相談:無料〜1万円程度
- ①送信防止措置の申請:着手金5万円〜10万円程度
- ②削除の仮処分:着手金20万円〜40万円+報酬金15万円〜30万円程度
- ③投稿者の特定(発信者情報開示命令の申立て):総額30万円〜70万円程度
これに加えて、仮処分の担保金や裁判所に納める印紙代などの実費がかかります。料金体系は事務所ごとに異なるため、相談の段階で見積もりを取って確認しておくと安心です。
転職会議の口コミ削除でお悩みの方は弁護士にご相談ください
転職会議の口コミは、ガイドラインに違反する内容や企業の権利を侵害する内容であれば、削除を求めることができます。もっとも運営の姿勢は慎重で、公表されている審査結果でも約7割の申請は掲載継続に終わっています。権利侵害を裏づける資料をそろえた申請や、仮処分などの法的手続きが欠かせません。
弁護士が入れば、どの口コミなら削除が見込めるかを先に見極めたうえで、書類の作成から裁判所での手続きまで一貫して進められます。投稿者の特定や賠償請求を見据えた組み立ても可能です。
対応が遅れるほど、採用活動への影響は積み重なっていきます。すでに転職会議へ申請して断られている場合や、同じ人物と思われる口コミが続いている場合は、早めにご相談ください。
当事務所はインターネット上の誹謗中傷・風評被害対策に豊富な実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

