
「質問箱Peingで誹謗中傷を受けた…匿名の質問者を特定できないだろうか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
質問箱Peingは匿名で質問を送れるサービスであるため、悪意ある質問や誹謗中傷が届いても、質問者が誰なのかすぐにはわかりません。「開示請求をすれば特定できるのでは?」とお考えの方もいるかもしれませんが、Peingは基本的に回答者しか質問内容を閲覧できない仕組みのため、名誉毀損の要件である公然性を満たさず、開示請求が認められない可能性が高いのが実情です。
この記事では、Peingでの誹謗中傷における質問者特定の可否や開示請求のハードル、脅迫を受けた場合の対処法について弁護士が解説します。
なお、Peingに限らずSNS上の誹謗中傷について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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質問箱Peingの誹謗中傷の犯人は特定できる?
質問者を特定するには開示請求が必要
質問箱Peingで、質問の名を借りて誹謗中傷の投稿をした質問者を特定するためには、まずはサービスのコンテンツプロバイダ(デジタル化された情報の提供を行う事業者。質問箱Peingの場合は「Digital monkey株式会社」(※2025年8月に事業譲渡済み))に対してIPアドレスの開示請求を行います。
もっとも、IPアドレスの開示を受けても質問者の氏名や住所は分かりません。そのため、コンテンツプロバイダから開示されたIPアドレスをもとにアクセスプロバイダ(ネット接続サービスを提供する事業者)に対して契約者情報の開示請求をします。
情報開示を受けることができれば、質問者が投稿に使ったアクセスプロバイダが保有している契約者情報(氏名や住所など)が特定できることになります。開示請求の具体的な手続きについては「発信者情報開示の仮処分・訴訟の流れや要件をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
質問箱Peingの開示請求は難しい
上記では、質問箱Peingで悪口などの誹謗中傷を行った質問者を特定するための発信者情報開示請求の手続きの流れにつき解説しました。
しかし、質問箱Peingによる誹謗中傷ケースで、発信者情報開示請求を行うのは簡単ではありません。
発信者情報開示を請求するためには、「権利が侵害されたことが明らかである」ことが必要であり、質問者による質問が権利侵害にあたることが前提となります。
質問者による質問が名誉毀損・名誉権の侵害にあたるというためには、公然と他人の社会的評価を低下させるような発言を行ったと言える必要があります。
しかし、Peingは基本的に回答者しか閲覧することができず、不特定または多数のユーザーが閲覧できるものではありません。そのため、Peingには名誉毀損の要件である公然性がないため、権利侵害の明白性があるとはいえない可能性があるのです。
回答があれば権利侵害が認定されて開示請求できる?
質問箱Peingでは回答者が回答すると連携しているX(旧Twitter)に自動で質問内容も投稿されることになります。
そのため、質問者がそのシステムを認識したうえで誹謗中傷する内容の質問を投稿すれば、名誉毀損や侮辱の「公然性」要件を満たすと判断される余地があります。
すなわち、特定の相手への質問の投稿であっても、事実の摘示は、特殊関係で限定された者のみに対してではなく、不特定多数人が閲覧することができる状態において行われた(伝播可能性があった)として、「公然性」があったと評価することができます。
ただし、このような法律構成の場合、むしろ回答者の方で、誹謗中傷する質問を公にする行為を積極的に行っていることになります。
回答者が質問に回答することが論理必然であるという前提はやや不自然であり、やはり、質問者が公然と名誉毀損行為を行ったとはいえないのではないか、という疑問が残ります。
したがって、回答者の回答行為によりその質問内容が公となったとしても、開示請求が認められない可能性も十分あります。また、仮に開示請求が認められて質問者に損害賠償請求をしたとしても、被害者(回答者)自身が質問内容をSNSに公開した点を過失と評価され、過失相殺により損害賠償額が減額される可能性もあるでしょう。損害賠償請求の手順や慰謝料の相場については「名誉毀損で慰謝料や損害賠償請求する人のための全手順と相場を公開」をご参照ください。
過去にIPアドレスが公開されたケースはある
過去には質問箱Peingにおいて、複数人に誹謗中傷の質問を繰り返した質問者のIPアドレスが、回答者の自衛のためという理由から開示されたケースがあります。
ただし、IPアドレスがわかったからといってそれだけでは、質問者の個人情報が特定されるわけではありません。前述の通り、得られたIPアドレスをもとにアクセスプロバイダに対する発信者情報開示を求め、アクセスプロバイダから質問者の氏名、住所、メールアドレス、電話番号などの情報を開示してもらう必要があります。
もっとも、権利侵害の明白性が認められない限りアクセスプロバイダが任意で開示請求に応じることはないため、公然性の要件を満たさない質問箱Peingでの発信者情報開示請求のハードルは決して低いとはいえません。IPアドレスの開示だけでは犯人特定に至らないケースについては「IPアドレス開示請求は意味ない?犯人特定ができない4つのケース」もあわせてご確認ください。
「脅迫」があった場合は警察が質問者を特定することも
脅迫とは、本人や親族の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合に成立する犯罪です(刑法第222条)。
例えば、「殺す・痛めつける」「背後から刺されないように注意しろ」などと質問箱に投稿した場合には脅迫に該当する可能性があります。
そして、脅迫の場合は、先ほどの名誉権の侵害とは異なり、「公然性」は要求されていませんので、発信者情報開示請求が認められるようにも思えます。
しかし、発信者情報開示請求について規定するプロバイダ責任制限法は、不特定多数に向けられた投稿が対象となっています。すなわち、基本的に回答者のみが質問内容を閲覧できる質問箱Peingで脅迫にあたる投稿がなされたとしても、不特定多数に向けられた投稿ではないとして開示が認められないおそれがあります。
もっとも、警察などの捜査機関が刑事事件として捜査を開始すれば、プロバイダに捜査関係事項照会を行うなどして質問者の身元を特定し、検挙・逮捕してくれることも期待できます。誹謗中傷被害で警察に動いてもらうためのポイントについては「ネットの誹謗中傷で警察は動かない?どんなケースなら動いてくれる?」で具体的に解説しています。
質問箱Peingの誹謗中傷でお困りの方は弁護士にご相談ください
質問箱Peingでの誹謗中傷は、サービスの仕組み上、公然性の要件を満たしにくいことから質問者の特定が難しいケースが多いといえます。一方で、脅迫にあたるような悪質な投稿であれば、刑事事件として捜査機関による犯人特定が期待できます。
匿名で心ない言葉を投げかけられる苦しさは計り知れません。「誰に相談すればいいのかわからない」「脅迫めいた質問が届いて不安を感じている」という場合には、おひとりで抱え込まず、弁護士に相談することで具体的な対処の道筋が見えてきます。
また、質問箱Peingだけでなく、X(旧Twitter)やインスタグラムなど不特定多数が閲覧できるSNSでの誹謗中傷であれば、発信者情報開示請求による投稿者の特定や慰謝料請求が可能です。当事務所はネット上の誹謗中傷トラブルについて豊富な解決実績があり、全国どこからでも無料でご相談いただけます。被害にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

