IPアドレス開示請求は意味ない?犯人特定ができない4つのケース

ネットで誹謗中傷の被害に遭い、「IPアドレスの開示請求をしても意味がないのでは」「結局、誰が書き込んだのかはバレないのでは」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

たしかにIPアドレスだけで投稿者の氏名や住所を直接知ることはできません。しかし、裁判手続きを活用すれば、IPアドレスをもとにプロバイダを経由して投稿者の身元にたどり着くことは十分に可能です。

この記事では、ネット誹謗中傷の犯人特定に強い弁護士が、IPアドレスの開示請求が本当に無意味なのかという疑問にお答えしたうえで、犯人を特定できないケースと対処法について解説します。

  • 開示請求が意味ないと言われる理由
  • IPアドレスから投稿者を特定するまでの流れ
  • 投稿者を特定できない4つのケース
  • ログ保存期間と早急に動くべき理由

なお、誹謗中傷の投稿者特定でお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。

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IPアドレスの開示請求は本当に無意味?

IPアドレスの開示請求をしても意味がないとよく言われる理由として以下の二つのものがあります。

  • ①サイト運営者からIPアドレスを開示してもらえないことが多い
  • ②IPアドレスだけでは犯人を特定できない

はたして本当にそうでしょうか?

①サイト運営者からIPアドレスを開示してもらえないことが多い?

投稿者(発信者)のIPアドレスを知るためには、サイト運営者に対して「発信者情報開示請求」という手続きをとらなくてはなりません。

この点、発信者の書き込み内容が明らかに名誉毀損やプライバシーの侵害に該当するようなケースであれば、任意でIPアドレス等の情報を開示してもらえることはあります。

ただ、実際のところは、発信者のプライバシーの観点から、発信者の身元特定につながるIPアドレスを"任意で"開示してくれる率は高くありません。

しかし、「発信者情報開示仮処分命令の申立て」、「発信者情報開示命令の申立て」という裁判手続きで請求が認められれば、IPアドレスをサイト運営者から開示してもらうことができます。

投稿された内容が、名誉権・プライバシー権・肖像権・著作権等の権利を侵害していればIPアドレスが開示される見込みは高いでしょう。諦める必要はまったくありません。発信者情報開示の具体的な手続きについては「発信者情報開示の仮処分・訴訟の流れや要件をわかりやすく解説」をご参照ください。

②IPアドレスだけでは犯人の特定ができない?

たしかにIPアドレスだけで犯人の特定はできません。

IPアドレスは「インターネットの住所」と呼ばれているとはいえ、123.45.67.89といった単なる数字の羅列です。この数字からわかる個人情報としてはせいぜい「国や大まかな地域」です。

実際に、アクセス情報【使用中のIPアドレス確認】をクリックして自分のIPアドレスを見てみましょう。

この数字を見ただけで氏名や住所がわからないことはお分かりいただけたと思います。

しかし、このサイトで判明したIPアドレスをドメイン/IPアドレス サーチ【whois情報検索】の検索窓に入力して検索してみましょう。

So-net、OCN、NTT、au、SoftBankなどのプロバイダ名が画面に表示されましたよね?

このようにIPアドレスがわかれば、投稿者が契約しているインターネットサービスプロバイダ(ISP)が簡単にわかります。

そして判明したISPに対して「発信者情報開示命令の申立て」や「発信者情報開示請求訴訟」を起こして勝訴すれば投稿者の氏名や住所を特定することができます。

裁判手続きが必要ですが、IPアドレスから書き込み犯人に辿り着くことができることがご理解いただけたと思います。

なお、氏名や住所といった契約者情報は個人情報の最たるものであり、ISPが契約者情報を任意で開示してくれることはほとんどありません。そのため、裁判所を介さない一般的な発信者情報開示請求によってISPが任意開示に応じることはまずありませんので「裁判手続き」が必要であると覚えておきましょう。開示請求の書き方について詳しくは「発信者情報開示請求を自分で行う人のための基本的な書き方とは」で解説しています。

ただし犯人特定ができないケースもある

これまで説明してきたように、誹謗中傷やプライバシーの侵害、著作権侵害など、問題のある投稿をした犯人をIPアドレスの開示請求で特定することは基本的に可能であるものの、特定ができない(あるいは困難な)ケースも存在します。

①ログが消えてしまっているケース

じつはログの保存期間というのは法律で定められていません。

コンテンツプロバイダ(サイト運営者のこと)もインターネットサービスプロバイダ(ISP)もログを保存する必要もなく、もし保存したとしてもいつでも好きな時に消去することもできます。

したがって、いざサイト運営者にIPアドレスのログの開示請求をしたり、ISPにアクセスログの開示請求をしたりしても、ログが存在しないという事態もあり得ます。

とはいえ、2ちゃんねるや5ちゃんねるといった掲示板や、X(旧Twitter)やFacebookといったSNSなど規模の大きいサイトでは一定期間はログを保存しています(保存期間は公表されていません)。

また、ISPについては携帯会社(NTTドコモ、SoftBank、auなど)では3ヶ月、固定ネット回線のISPでは6ヶ月はログを保存していることが多いでしょう(まれに1年または1年以上保存しているISPもあります)。

ただ、スマホ等の携帯からネットに投稿がされたのであれば、上記の通り3ヶ月で携帯会社のサーバーからログが消去されますので、問題のある投稿の発見や開示請求の手続き開始が遅れるとISPでのログの保存期間が終了して消去されていることもあります。

いくらIPアドレスがわかったところでISPでのログが消えていれば犯人特定はできませんので、問題のある投稿に気付き次第、早急に発信者情報開示に関する手続きをスタートさせる必要があります。

②海外のプロキシサーバーを経由しているケース

プロキシサーバーとは、自宅や社内といった内部ネットワークからネット接続する際に、ネットを高速化させたり安全性を高めるためにユーザーとインターネットの世界との間に置かれる中継サーバーのことです。

プロキシサーバーの仕組み

書き込み犯人がプロキシサーバーを介して掲示板等に誹謗中傷の投稿をしていた場合、被害者がサイト管理者に対して発信者情報開示請求をして入手できるIPアドレスはプロキシサーバーのものとなります。

そうなると被害者は次に、プロキシサーバーの管理者に対して書き込み犯人のIPアドレスの開示請求をする必要があります。

しかし、これが海外プロキシサーバー経由であった場合には、その事案にどの国の法律を適用するか(準拠法)の関係で、日本の情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法。発信者情報開示請求の根拠となる法律)が適用されるのか、日本の裁判所がその事件を審理する権限(管轄権)を持つのかといった問題が生じます。

海外対応もできる法律事務所に手続きを依頼すれば海外プロキシサーバーへの開示請求も可能ですが、開示されるまでの期間も長く、費用も国内での開示請求に比べてかなり高くなります。

また、TorブラウザやVPNのように匿名性を高めるツールが使用されると、投稿者のIPアドレスの追跡はますます困難になります。

とはいえ、掲示板やSNSでは海外プロキシサーバー経由でのアクセスを禁止する対策をとっているところも多いため、海外プロキシサーバー経由でIPアドレスを特定できなくなるケースは少ないでしょう。海外サーバーが関係するケースの手続きについては「誹謗中傷サイトの管理人が海外法人の場合の手続き」もあわせてご確認ください。

③公衆無線LANを利用しているケース

公衆無線LANとは、無料で利用できる無線LANでのインターネット接続サービスのことです。フリーWiFi、フリースポットなどとも呼ばれており、観光スポットや空港、交通機関などの街中のほか、飲食店や宿泊施設、コンビニなどでもこのサービスの提供を行っていることもあります。

こういった公衆無線LANを利用してネットに投稿が行われた場合、この無線LANのネット回線の契約者はサービスを提供している上記施設(の管理機関、経営会社)であるため、発信者情報開示請求で判明するのはこれら施設の管理機関や経営会社のIPアドレスです。

つまり、そのIPアドレスをもとにインターネットサービスプロバイダに契約者情報の開示を求めても、問題のある書き込みをした人の情報(氏名・住所等)にたどり着くことはできません。

ただし、警察が刑事事件として捜査に乗り出せば、防犯カメラの映像等から身元特定に至るケースもあります。警察が動いてくれない理由や対処法については「ネットの誹謗中傷で警察が動かない理由と3つの対処法を解説」で詳しく解説しています。

④ネットカフェやインターネット付き集合住宅からの投稿のケース

ネットカフェからの書き込みの場合も公衆無線LANと同様に判明するIPアドレスはネットカフェの経営会社のものとなります。

また、インターネット設備が最初から備わっていて住民が個別にプロバイダ等を契約する必要がないマンションなどの集合住宅からの投稿も、発信者情報開示請求によって判明するIPアドレスはその集合住宅の管理会社や委託業者のものとなります。

ネットカフェや集合住宅に通されたネット回線は各席や各部屋が分け合って使用しますが、どの席(または部屋)がいつどのサイトにアクセスしていたかといった記録はされないのが一般的ですので、これらのケースでも投稿者の特定は非常に困難です。

ネット誹謗中傷の投稿者特定はお早めにご相談ください

IPアドレスの開示請求は、決して無意味な手続きではありません。裁判手続きを通じてIPアドレスの開示を受け、さらにプロバイダから契約者情報の開示を受けることで、誹謗中傷の投稿者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置を講じることが可能です。

ただし、最大の壁となるのがログの保存期間です。携帯キャリアでは約3ヶ月、固定回線でも約6ヶ月でログが消去されてしまうことが多く、手続きの開始が遅れるとIPアドレスが判明しても契約者にたどり着けない事態が起こります。発信者情報開示命令の申立てや訴訟といった裁判手続きを迅速かつ的確に進めるには、この分野に精通した弁護士のサポートが欠かせません。

誹謗中傷を受け続けることによる精神的な負担は、決して小さなものではありません。「投稿から時間が経ってしまった」「自分で動いてみたが行き詰まっている」「何から手をつければよいかわからない」という方も、まずは一度ご相談いただければと思います。早期に動き出せば、それだけ犯人特定の可能性は高まります。

当事務所はネット誹謗中傷の発信者情報開示請求に豊富な実績があり、投稿者の特定から削除請求、損害賠償請求、刑事告訴まで一貫してサポートいたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

誹謗中傷の削除請求 発信者情報開示請求 名誉毀損・侮辱 風評被害対策 リベンジポルノ 慰謝料請求
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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