インスタの乗っ取りをしたのが誰かわかる?犯人特定方法を解説

インスタグラムのアカウントが乗っ取られた場合、発信者情報開示請求などの法的手続きを踏むことで犯人を特定できる可能性があります。ただし、プロバイダのアクセスログには3〜6カ月程度の保存期限があるため、早めの対応が欠かせません。ご自身で調べてわかるのは、ログインしたおおよその場所や端末までです。また、不正ログインされただけで投稿などの被害がない段階では、開示請求を使えないこともあります。

「乗っ取りの犯人が誰なのか知りたい」「犯人を特定して損害賠償を請求したい」とお考えの方に向けて、この記事ではSNSの乗っ取りや犯人特定に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • インスタ乗っ取りの犯人を特定する方法
  • 犯人を特定できない場合があるのはなぜか
  • 被害を防ぐためにできる日頃の対策
  • 乗っ取られたときの周囲への報告と弁護士への相談

お読みいただくことで、ご自身のケースで犯人を突き止められる見込みがあるか、そして今何から始めるべきかを判断できます。

なお、早急な対応をお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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インスタの乗っ取り犯人を特定する方法

発信者情報開示請求を利用する

インスタの乗っ取りの犯人特定には、「発信者情報開示請求」制度を利用できます。

この「発信者情報開示請求」とは、SNSなどのインターネット上の投稿によって自己の権利を侵害された人が、SNSなどを運営する「コンテンツプロバイダ(CP)」や発信者がSNSなどに侵害情報を記録する通信を媒介した「アクセスプロバイダ(AP)」に対して、発信者情報の開示を請求する手続きです。手続きの全体像は「発信者情報開示請求とは?開示命令による手続きを解説」をご参照ください。

犯人を特定するためには、まずインスタ運営会社(Meta社(旧Facebook社))に発信者のIPアドレスの開示請求をしていきます。そして判明したIPアドレスから接続プロバイダを特定し、そのプロバイダへ発信者の契約者情報(氏名・住所など)の開示を請求するという流れで、乗っ取り犯人を特定できます。

「IPアドレス」とは、ネットワークにつながったスマホやパソコンなどの機器に割り振られる番号のことです。

もっとも、この制度はネット上に流れた情報で権利を侵害された人のためのものなので、不正ログインされただけで、なりすまし投稿などの被害がない段階では使えない可能性があります。

また、インスタのようにログインして使うサービスでは、ログイン時の通信記録の開示を求めることになり、運営会社がほかに発信者を特定できる情報を持っていないことなどの追加の要件も満たす必要があります。

こうした要件を満たして手続きを尽くしても、乗っ取りの犯人を必ず特定できるとは限りません。海外からのアクセスやVPNなどで接続元を匿名化した通信の場合、開示されたIPアドレスから契約者までたどることは困難です。インスタの「ログインアクティビティ」でも、ログインしたおおよその場所や端末はわかりますが、犯人が誰かまではわかりません。一方、パスワードを教えたことのある元交際相手など身近な人物に心当たりがあれば、ログインした場所や端末、開示された契約者の情報がその人物と一致するかを確かめることで、犯人特定の手がかりになることがあります。

ネットトラブルに精通している弁護士に相談する

発信者情報開示請求が認められるためには情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)の一定の要件に該当していることが必要ですので、要件を過不足なく書面に記載しなければなりません。

また、発信者情報開示請求をする場合に注意が必要なポイントは、接続プロバイダなどが保有する発信者のアクセスログの保存期間が一般的に「3〜6カ月」程度であるという点です。

そのためインスタ運営会社に対する発信者情報開示請求をしている間に、接続プロバイダ側のアクセスログの保存期間が過ぎてしまうと、折角IPアドレスの開示を受けても発信者の個人情報を得ることができなくなってしまいます。

そこで、時間制限があるなかで乗っ取りの犯人特定を進める場合には、ネットトラブルを専門的に取り扱っている弁護士に手続きを依頼しておくことでスムーズな解決につながる可能性が高いです。

犯人が特定され民事上の賠償請求をする場合にも弁護士に任せておくことで、適切に交渉をして依頼者の権利を損なわないように取りまとめてもらえることが期待できます。

捜査機関に確認する

インスタの乗っ取りは犯罪にあたるため、警察に被害を相談して捜査が始まれば、警察は運営会社などへの照会や令状に基づく差押えなどで通信記録を調べ、犯人特定を進められます(刑事訴訟法197条2項、218条1項)。

刑事事件となった場合には、捜査機関に確認することで被疑者に関する情報を教えてもらえる場合があります。

犯罪捜査規範には「捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない」と規定されています(犯罪捜査規範第10条の3)。

ただし、捜査その他の警察の事務や公判に支障を及ぼすおそれや、関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれがある場合などには、捜査機関の判断で開示してもらえないこともあります。

警察が被害者に被疑者の氏名などを連絡する「被害者連絡制度」は、主に殺人や傷害などの身体犯や重大な交通事故事件を対象としています。インスタの乗っ取りのような事件では、被疑者の氏名や住所まで教えてもらえるとは限りません。犯人が起訴されて刑事裁判が始まった後であれば、損害賠償請求の準備として、裁判所に刑事裁判の記録の閲覧やコピーを申し出ることができます(犯罪被害者保護法3条1項)。

また、犯人特定後の処分や裁判の状況を知る手段として、検察庁の「被害者等通知制度」を利用する方法もあります。

この「被害者等通知制度」とは、被害者などに対し、事件の処理結果や公判期日、刑事裁判の結果などを通知する制度です。

この被害者等通知制度で通知してもらえる内容は以下のような情報です。

  • 事件処理の結果
  • 裁判期日
  • 裁判の結果
  • 起訴の場合の犯罪事実の要旨
  • 不起訴の場合の主文・理由の骨子
  • 加害者の身柄の状況 など

法務省:被害者等通知制度実施要領

刑事裁判を傍聴する

インスタ乗っ取りの犯人が検察官に公判請求(正式起訴)され刑事裁判を受ける場合には、その裁判は公開の法廷で行われるため、誰でも傍聴が可能です。なお、罰金を科す略式手続きの場合は、公開の法廷は開かれません。

刑事裁判では冒頭手続きとして被告人の本人確認をしますので、氏名などを確認できる場合があります。

さらに検察官の冒頭陳述や被告人質問などで、動機や犯行に至る経緯などを詳しく聞ける場合があります。

社会的関心が高い事件など傍聴希望者が多い場合には、抽選となる可能性もあります。その場合には、集合時間までに裁判所の指定場所に行き傍聴券を入手する必要があります。

そもそもインスタの乗っ取りとは?

インスタの乗っ取りとはなにか

「インスタの乗っ取り行為」とは一般的に、第三者によってアカウントに不正にログインされ、悪用されてしまうことを指します。

アカウントの乗っ取りの具体的な流れとして多いのは、犯人がハッキングなどの不正な方法によって個人のインスタグラムのパスワードを特定し、本人に許可なくログインするというものです。このような不正ログインによって、犯人は被害者のふりをして当該インスタを運用できるようになります。乗っ取りに伴うなりすまし被害への対処法については「インスタなりすましの対処法|報告・削除依頼と犯人特定の方法」で解説しています。

乗っ取られるとどんな被害に遭う?

インスタアカウントを乗っ取られることで、以下のような被害に遭う可能性があります。

  • 完全に別のアカウントとして運用される
  • アカウントと紐づけている個人情報が流出してしまう
  • 本人のふりをして第三者の権利を侵害するような投稿をされる
  • 本人のふりをして本人の権利を侵害するような内容を投稿される
  • 乗っ取られたアカウントで悪質なスパムメッセージを拡散される
  • 本人の投稿を全て削除するなど嫌がらせを受ける
  • なりすまし詐欺により、登録している友達が詐欺被害を受ける など

乗っ取りがきっかけでアカウントが停止されてしまうケースもあります。凍結された場合の対応方法は「インスタのアカウント凍結を異議申し立てで解除する方法と停止理由」をご参照ください。

インスタの乗っ取りは犯罪

インスタの乗っ取り行為は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」に違反する犯罪行為に該当します。

不正行為の内容に応じて、主に以下のような罪が成立し、犯人特定に至れば刑事責任を問われる可能性があります。

  • 不正アクセスをした場合:不正アクセス罪として「3年以下の拘禁刑」または「100万円以下の罰金」が科されます(不正アクセス禁止法第3条、11条)。
  • 不正アクセスに使う目的で他人のパスワードを取得した場合:不正取得罪として「1年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」が科されます(同法第4条、12条1号)。
  • 相手が不正アクセスに使うと知りながら他人のパスワードを提供した場合:不正助長罪として「1年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」が科されます(同法第5条、12条2号)。知らずに提供しても、正当な理由がなければ罰金刑の対象です(同法第13条)。
  • 不正アクセスに使う目的で、不正に取得された他人のパスワードを保管した場合:不正保管罪として「1年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」が科されます(同法第6条、12条3号)。
  • 運営会社になりすました偽のログイン画面やメールでパスワードの入力を求めた場合:不正入力要求罪として「1年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」が科されます(同法第7条、12条4号)。

※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

インスタの乗っ取りを防ぐための対策

複雑なパスワードを設定しておく

犯人特定が難しい場合もあるため、インスタの乗っ取りは日頃の対策で防ぐことが大切です。まずは、パスワードを複雑なものに変更するのが効果的です。

アカウント名から容易に推測できるものや数字の連番、ユーザーの誕生日などをパスワードにしておくことはおすすめしません。

大文字・小文字の英字と数字を組み合わせたパスワードにすると、乗っ取りを防止できる可能性が高まります。

パスワードの使いまわしは避ける

他のサービスと同じパスワードを使いまわすことも回避してください。

インスタグラムとX(旧Twitter)、フェイスブックのパスワードが同じ場合には、インスタを乗っ取られると同時に他のSNSも乗っ取り被害を受ける可能性があります。

逆に他のサービスのログイン情報が流出したことが原因で、インスタアカウントが乗っ取られるというパターンもありますので、共通のパスワードを設定しておくことにはリスクがあります。

サービスごとに別のパスワードを覚えておくのが難しい場合は、スマホやブラウザのパスワード管理機能を活用するとよいでしょう。

パスワードの見直し・二段階認証の導入

他のサービスからパスワードが流出した可能性があるときは、すぐにインスタのパスワードも変更しましょう。流出の心配がなければ、定期的に変更する必要まではありません。

あわせて「二段階認証」も導入しておきましょう。二段階認証とはID・パスワードの入力のほかに、セキュリティーコードなどによる認証を行うことで、本人確認の精度を上げる仕組みです。

スマホが手元にある限り、第三者に不正ログインされてインスタの乗っ取り被害に遭うリスクを大幅に減らせるでしょう。

インスタで乗っ取られた場合の対処法

他のSNSアカウントで乗っ取り被害を報告しておく

インスタのアカウントが乗っ取りの被害に遭った場合には、犯人特定を待たずにLINEやフェイスブックなど他のSNSで周囲の人間にインスタが乗っ取られている事実を報告することも重要です。

乗っ取りの犯人が本人のふりをして、知人に詐欺行為をはたらく可能性があります。そのため、「現在インスタグラムのアカウントが乗っ取り被害に遭っている」「インスタから連絡が来た場合には詐欺被害に遭うおそれがあるため無視してください」といった内容を報告し、知人への二次被害を防ぎましょう。

周囲への報告とあわせて注意したいのが、金銭の要求です。犯人からアカウントを返す代わりにお金を求められたり、見知らぬ相手から有料での復旧を持ちかけられたりしても、応じてはいけません。支払ってもアカウントが戻るとは限らず、さらにお金をだまし取られるおそれがあります。

弁護士に犯人を特定してもらい法的な責任を追及する

インスタの乗っ取りは不正アクセスにあたる犯罪ですが、具体的な被害が発生していない場合には、被害届(警察に犯罪の被害を申告する書類)を提出しても警察が犯人特定に向けて迅速に動いてくれない可能性があります。

警察が動きにくい場合でも、なりすまし投稿などで権利を侵害されているなら、弁護士に依頼することで警察の捜査を待たずに発信者情報開示請求で犯人を特定し、損害賠償を請求できることもあります。なお、ネット上の被害で警察がどこまで対応してくれるのかについては「ネットの誹謗中傷で警察が動かない理由と3つの対処法を解説」もあわせてご確認ください。

また、犯人に刑事責任を問いたいときは、弁護士を代理人として刑事告訴(犯人の処罰を求める申告)をする方法もあります。

相談に備えて、乗っ取られたアカウントの投稿やメッセージ、不審なログインの通知メールなどは、証拠としてスクリーンショットで保存しておきましょう。

インスタの乗っ取り被害でお困りの方は弁護士にご相談ください

インスタの乗っ取り犯人は、発信者情報開示請求や警察の捜査によって特定できることがある一方、海外からのアクセスなどで特定が難しいケースもあります。

乗っ取り被害に遭うと、個人情報の流出やフォロワーへの詐欺被害など、ご自身だけでなく周囲の方にも影響が及ぶことがあり、精神的な負担も大きくなります。手がかりとなるアクセスログは時間がたつと消えてしまい、被害が広がるおそれもあるため、被害に気づいたらできるだけ早く対応を始めることが重要です。

当事務所はインターネットトラブルの解決に豊富な実績があり、犯人特定から損害賠償請求まで一貫してサポートいたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を実施しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

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