既婚者の子供を産んだら?取るべき行動と妻からの慰謝料リスク

「既婚者の子供を妊娠してしまった。産んだらどうなるのか、相手は責任を取ってくれるのか」と、誰にも言えないまま検索している方もいるのではないでしょうか。不倫の相手が既婚者でも、産むと決めたなら認知と養育費を請求できます。すでに産んだ後からでも、この取り決めは間に合います。ただし相手の妻に慰謝料を求められるおそれもあり、産む前に決めておくことと、書面に残すことで結果が大きく変わります

一方で、産まない選択をする場合も、中絶の費用を相手に負担してもらえるかは知っておきたいところです。妊娠は待ってくれません。決断を先送りにするほど選べる道は狭くなります。

本記事では、妊娠トラブルの解決実績が豊富な弁護士が、既婚男性の子を身ごもった女性が取るべき行動と法律上の備えを解説します。

  • 妊娠がわかった直後にまず整理すること
  • 産む場合に確保する認知・養育費・書面
  • 相手の妻から慰謝料を請求されたときの備え
  • 産まない場合の中絶費用と慰謝料の請求

お読みいただくことで、相手に何を求められるのか、そして今日から何を決めるべきかを整理できます。なお、相手が既婚者だとわかって一人で悩んでいる方は、抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へご相談ください

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既婚者の子供を妊娠したらまず整理すべき3つのこと

相手に伝える前に整理しておきたいことは3つあります。既婚者の子供を妊娠したとわかった時点で、妊娠の確定、産むかどうかの意思、そして相手との関係を固めておきましょう。この順番で整理しておくと、相手の反応に振り回されずに話し合いを進められます。

産婦人科で妊娠と週数を確定する

既婚者の子供を身ごもったかもしれないと思っても、市販の検査薬で陽性が出ただけでは妊娠が確定したとはいえません。産婦人科を受診して、妊娠の事実と現在の週数を確認してください。

週数の確認を急ぐ理由は、産まない選択に期限があるからです。母体保護法に基づく国の通知により、人工妊娠中絶が認められるのは妊娠21週6日までとされており、22週に入ると出産以外の道はなくなります。

受診の際に受け取る診断書やエコー写真は、後の話し合いで「本当に妊娠しているのか」と疑われたときの証拠になります。

産むか産まないかを自分で決めてから相手に伝える

産むかどうかを最終的に決められるのは、妊娠したあなた本人だけです。相手の男性に中絶を求める権利はなく、逆に相手の意向であなたが出産を強制されることもありません。

だからこそ、相手に告げる前に自分の気持ちを固めておく必要があります。相手が既婚者である以上、返答は次のいずれかになることがほとんどです。

  • 離婚してあなたと結婚し、子供も認知する
  • 結婚はしないものの、認知や養育費、あるいは金銭的な援助という形で関わり続ける
  • 連絡を絶つなど、一切の責任を取らない

どの返答が来ても動じないよう、自分は産みたいのか、産む場合に何を求めるのかを先に決めておきましょう。話し合いはできれば対面で行い、その内容はLINEやメールなど記録に残る形で確認しておくと、後から「言った、言わない」の争いを避けられます。なお、立場が逆に、男性の側が既婚女性を妊娠させたケースの対処は「既婚女性を妊娠させた場合の対処法と絶対に避けるべき対応」にまとめています。

相手との関係を続けるかを決める

妊娠を機に、相手との関係をどうするかも決めておく必要があります。相手が既婚者だと知ったうえで関係を続けることは不貞行為(既婚者が配偶者以外の相手と肉体関係を持つこと)にあたり、相手の妻に慰謝料を求められる危険が大きくなるためです。

「奥さんにばれなければ今までどおりでいい」と相手に言われたとしても、認知や養育費の支払いが始まれば、妻に知られずに続けることは現実的ではありません。

なお、相手が「離婚する」と言っても、不倫をした側からの離婚請求は裁判では原則として認められないため、妻が応じない限り離婚は簡単には実現しません。仮に相手が離婚してあなたと再婚し、不倫関係を解消して家庭を持つ場合も、相手は前の妻から慰謝料を求められたり、前の家庭の子供の養育費を負担したりすることがあります。その負担はあなたとの新しい生活にも影響します。関係を終わらせるなら、認知と養育費の取り決めをしたうえで、後から金銭を蒸し返されないよう示談書を交わしておくと安心です。関係の終わらせ方は「不倫相手との別れ方|穏便に別れる5つの方法とタイミング」が参考になります。

既婚者の子供を産む場合に決めておく認知・養育費・書面化

決めておくべきことは3つです。認知、養育費、そしてそれらを書面に残すこと。出産前に決めるのが理想ですが、すでに産んだ後でも同じ3つを取り決められます。既婚者の子供を産むと決めたら、この3つを揃えておくことで、相手が既婚者でも子供の生活を法律で守れます。この3つに費用の分担などを加えると、話し合う項目は次のとおりです。

  • 認知の時期(出産前に胎児認知をするか、出産後にするか)
  • 養育費の金額・支払日・支払方法・いつまで払うか
  • 出産費用や検診費用の負担
  • 相手の妻から慰謝料を請求されたときの負担割合
  • 合意した内容を公正証書にするかどうか

認知で父子関係を確定する

婚姻関係にない父母から生まれた子供は母親の戸籍に入り、父親の欄は空欄のままです。相手との親子関係を法律上のものにするには、認知(父親が自分の子だと法律上認める手続き。民法779条)が必要になります。

認知には3つの方法があります。相手が自分から役所に認知届を出す任意認知、出産前に相手が認知をする胎児認知(母親であるあなたの承諾が必要です。民法783条1項)、そして相手が応じないときに家庭裁判所を通じて求める強制認知です。

相手が認知を拒む場合は、まず家庭裁判所に認知調停を申し立てます。調停で合意できなければ認知の訴えを起こし、DNA鑑定などで父子関係が証明されれば、相手の意思に関係なく認知が成立します。相手が生きている間は期限なく申し立てられますが、相手が亡くなった後は死亡の日から3年を過ぎると訴えを起こせません(民法787条ただし書)。

認知が成立すると、相手には子供を扶養する義務が生じ、養育費を請求できるようになります。子供は相手の相続人にもなります(民法887条1項)。相手が認知をためらう理由の多くは、認知した事実が相手の戸籍に記載されることです。戸籍に何がどう載るのかは「子供を認知したら戸籍でバレる?隠し子の調べ方も解説」にまとめています。

なお、認知を受けずに一人で育てる道を選ぶこともできます。その場合は児童扶養手当などのひとり親(シングルマザー)向けの公的支援を確認してください。

養育費は算定表を基準に決める

既婚者の子供を産んだ後に認知が成立すれば、相手は親として子供を扶養する義務(扶養義務)を負います(民法877条1項)。相手が離婚するかどうか、あなたと結婚するかどうかとは関係なく、養育費の支払い義務は生じます。

金額は、裁判所が公開している養育費算定表を基準に、双方の年収と子供の人数・年齢から決めるのが一般的です。たとえば相手の年収が500万円、あなたの年収が100万円(いずれも給与所得者)の場合、子1人(0歳から14歳)で月額4万円から6万円が目安になります。算定表は裁判所HPで確認できます。

相手の家庭に子供がいる場合は、扶養する人数が増えるぶん一人あたりの金額は下がります。ケース別の目安は「認知された子の養育費はどうなる?相場・請求手続きと期間を解説」をご覧ください。

気をつけたいのは、「産むことを認めてくれるなら養育費はいらない」と自分から言ってしまうことです。養育費は子供自身の権利であり、あなたが放棄すると約束しても、子供が請求する権利まで消えるわけではありません。ただ、一度そう伝えると交渉は難しくなります。安易に口にしないでください。

出産費用や検診費用、出産までの生活費については、法律で負担割合が決まっているわけではありません。話し合いで分担を決め、養育費とは別に合意しておくと後の争いを防げます。相手が話し合いに応じないときは、認知調停とあわせて養育費の調停を申し立てる方法があります。

合意書・公正証書で書面に残す

認知と養育費について合意できたら、必ず書面にしてください。口約束では合意した内容を証明できず、相手の気持ちが変われば支払いは止まります。

合意書には、養育費の月額、支払日、振込先、いつまで支払うか、進学や病気などで特別な費用が必要になったときの扱いを書きます。

合意書は公証役場で公正証書にしておくと、支払いが止まったときに裁判を経ずに給与などを差し押さえられます(「支払わなければ直ちに強制執行を受けても異議はない」という強制執行認諾文言を入れておくことが条件です)。既婚者である相手からの養育費は長期にわたるからこそ、この一手間が子供の生活を守ります。

慰謝料についての示談書と、養育費についての合意書は別の書面にするのが安全です。示談書に「今後一切の請求をしない」という清算条項が入ると、相手から「養育費も清算済みだ」と主張され、支払いが止まる火種になるためです。

相手の妻から慰謝料を請求されるリスクと備え

相手の妻から慰謝料を請求される可能性は、現実にあります。不倫による妊娠や出産の事実は妻に知られやすく、既婚者の子供を産んだ場合はとくに、知られたときに請求を受けやすいためです。ここでは請求される側の立場から、金額の幅と備え方を整理します。

請求される可能性と金額の幅

相手が既婚者だと知ったうえで肉体関係を持った場合、その関係は不貞行為として不法行為(損害賠償の責任が生じる違法な行為)にあたり、相手の妻はあなたと相手の男性の両方に慰謝料を請求できます。慰謝料の相場は50万円から300万円の範囲といわれ、関係の期間や回数、婚姻期間の長さ、離婚に至ったかどうかで幅があります。具体的な相場や減額事例は「不貞行為の慰謝料500万円は高すぎ?相場・減額事例と対処法」で確認できます。

一般的な目安は、離婚に至らない場合で50万円から200万円程度、離婚に至った場合で150万円から300万円程度とされています。既婚者の子供を産んだという事実は増額の事情として考慮されるため、この幅の中でも高めの水準になりやすいと考えておいてください。

もっとも、内容証明で届いた金額をそのまま払う必要はなく、減額の交渉ができるケースは少なくありません。

求償権で相手の男性に負担を求める

慰謝料を支払ったとしても、あなたが全額を負担しなければならないわけではありません。不貞行為は相手の男性との共同不法行為であり、二人は連帯して責任を負います(民法719条1項)。あなたが妻に全額を支払った場合、相手の男性の負担分を後から請求できます。これを求償権といいます。逆に、相手の男性が妻に全額を支払った場合は、あなたが相手から負担分を求められることもあります。

たとえば妻に150万円を支払ったなら、そのうち相手の負担分(事情によりますが半額程度とされることが多く、その場合は75万円)を相手に求められます。妻の側から「求償権を放棄してほしい」と言われたときは、その代わりに慰謝料を減額してもらう交渉が一般的です。

既婚者の子供を産む前の合意書に「妻から慰謝料を請求されたときは相手が全額を負担する」という条項を入れておけば、妻に支払った後に相手へ全額を求める根拠になります(妻からの請求そのものを防ぐ効果はありません)。相手との関係を整理する段階で、この条項を忘れずに入れてください。求償権の考え方は「不倫慰謝料の肩代わりとは?念書の効力と求償権の注意点」でも解説しています。

相手の妻とは直接やり取りしない

妻から連絡が来ても、電話や対面で直接やり取りすることは避けてください。謝罪のつもりで話した言葉が、後から「関係を認めた」「反省していない」と受け取られ、要求が大きくなる原因になります。

返答は書面で行い、金額や条件の話は弁護士を窓口にするのが安全です。既婚者の子供の認知や養育費の話が絡むと、妻の感情はさらに強く揺れます。あなたが自宅や職場に押しかけられる事態を防ぐためにも、窓口を弁護士に一本化することをおすすめします。

既婚者と知らず落ち度もなかった場合は支払い義務がなく、逆に請求できることも

相手が既婚者だと知らず、知りようもなかった場合は、あなたに故意や過失がないため、妻からの慰謝料請求に応じる義務は原則としてありません

さらに、相手が「独身だ」「離婚している」と偽ってあなたと関係を持ち、その結果として妊娠したのであれば、あなたのほうから相手の男性へ慰謝料を求められる余地があります。貞操権の侵害と呼ばれる考え方です。相手の男性の側から見た「不倫相手への支払義務が生じる例外」は「浮気相手から慰謝料請求された!支払義務と認められる例外」にまとめています。請求できる要件や証拠については「騙された!彼氏が結婚してたなんて...精神的苦痛で慰謝料請求できる?」で解説しています。

産まない場合の中絶費用と慰謝料の請求

費用をすべてあなたが背負う必要はありません。既婚者の子供を産まないと決めた場合も、中絶にかかった費用の負担を相手に求められるほか、相手の対応が不誠実であれば慰謝料の請求も考えられます。

中絶費用は相手の男性に請求できる

中絶費用の負担割合を直接定めた条文はありません。もっとも妊娠には二人が関わっている以上、あなたが費用を全額支払ったのであれば、相手の男性に対して、本来相手が負担すべき半額を返すよう求められるというのが実務の考え方です。話し合いで折半とするケースが多く、既婚者である相手が全額を負担する例もあります。

相手が支払いに応じないときは、内容証明郵便で請求の意思を伝え、それでも支払いがなければ少額訴訟(60万円以下の請求を簡易な手続きで扱う裁判)などの手続きを検討します。話し合いの経緯や避妊についてのやり取りを示すLINE・メール・録音は、請求の根拠になるため残しておいてください。相手が既婚者であることを盾に支払いを渋る場合は、弁護士を通じて請求する方法もあります。

中絶で慰謝料を請求できるケース

既婚者との合意のうえでの関係から妊娠したのであれば、中絶したこと自体を理由に慰謝料を請求することは原則として難しいとされています。妊娠という結果には二人に責任がある、という考え方が前提にあるためです。

ただし、女性が身体的・精神的・経済的な不利益を直接受けることから、相手が既婚者であっても男性にはその不利益を和らげる義務があり、話し合いから逃げて女性に負担を丸投げした行為は不法行為にあたるとした裁判例があります(東京高判平成21年10月15日、第一審 東京地判平成21年5月27日)。この事件では、慰謝料200万円のうち男性の負担分として100万円の支払いが命じられました。

具体的には、避妊していると偽った、中絶を執拗に強要した、妊娠を告げた途端に連絡を絶ったといった事情があれば、慰謝料が認められる可能性があります。詳しくは「中絶の慰謝料は請求できる?認められるケースと相場・請求方法」を、相手が連絡を絶ったまま姿を消したケースは「妊娠したら逃げられた!男性に慰謝料請求が可能なケースとは?」をご覧ください。

既婚者の子供を妊娠してお悩みの方は弁護士にご相談ください

産むなら認知と養育費を書面で確保すること、そして相手の妻からの慰謝料請求に備えることが、あなたと子供を守る道になります。既婚者の子供を妊娠した場合、産まない選択をしても、費用や慰謝料の負担を相手に求めることができます。

こうした話し合いを相手と二人だけで進めると、「奥さんにばれたら困る」と言われて認知を諦めさせられたり、口約束のまま支払いが止まったりすることが少なくありません。弁護士が代理人として交渉すれば、相手や相手の妻との直接のやり取りを避けながら、認知・養育費・慰謝料の条件をまとめて整理できます。

相手が連絡を絶っている場合、相手の妻から内容証明が届いている場合、出産が近づいているのに何も決まっていない場合は、時間が味方になりません。自分で動く前に、専門家の見立てを聞いてから次の一手を決めることをおすすめします。

当事務所は男女トラブルを数多く取り扱い、既婚者の子供を妊娠した女性、すでに産んだ女性からのご相談にも対応してきました。周囲に知られることなく、穏便に解決することを最優先に対応いたします。全国からオンライン・電話でのご相談を承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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