不倫相手の子供を妊娠してしまった!認知や慰謝料は請求できる?

もしも不倫相手の子供を妊娠してしまったら、そのあとの選択肢としては、出産するか中絶するかということになります。もし出産するとしたら、相手の男性に対して生まれてくる子の養育費や認知は要求できるのでしょうか?また、不倫相手の子供を妊娠したということで、男性に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

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不倫相手の子供を妊娠したらまずすべきこと

間違いなく妊娠しているかを確認する

まずは、間違いなく妊娠しているのかどうかの事実確認をすることになります

生理が遅れているというだけでは妊娠しているかどうかは分かりませんので、適切な検査を行うことになります。妊娠の有無を確認できるのは、一般的に妊娠5週目以降であると言われています。

妊娠の有無を確認するためには、市販の妊娠検査薬を適切に使用すればある程度の確度をもって検査することができます。妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使用することが可能です。妊娠検査薬で陽性となった場合には産婦人科を受診してください。

妊娠検査薬での検査の結果、陰性反応の場合であっても、月経予定日から2週間が過ぎて月経が来ない場合にも念のため、産婦人科を受診するようにしましょう。

特に、不倫相手の子どもを妊娠した場合で人工妊娠中絶を検討しているという方は、早めに妊娠の事実を確認する必要があります

人工妊娠中絶ができる期間には限りがあります。母体保護法において中絶が認められているのは「胎児が、母体外において、生命を保続することができない時期」です。この時期については妊娠21週6日までとされています。

その期間を過ぎてしまうと人工妊娠中絶という選択肢をとることは難しくなってしまうため、なるべく早く産婦人科を受診するようにしてください。

子供のことについて話し合う

子どもを産むにしても中絶(堕胎)するにしても、独身女性であれば、不倫相手の同意を得なくても実施することができますし、女性が法的責任を負うことはありません。

「中絶は男性の同意書が必要では?」と思われるかもしれませんが、男性の同意が得られない場合は同意書不要で中絶手術を実施する病院が多数あります。

とはいえ、中絶するにしても中絶費用がかかりますし、産むにしても出産費用がかかります。

とくに子供を産むとなると、出産後の養育費も必要となりますし、遠い将来のことかもしれませんが、不倫相手が亡くなった場合の遺産相続の問題も生じます。

多額のお金が絡む以上、やはり不倫相手と産む産まないの話し合いはしっかりすべきでしょう

今後の不倫関係について話し合う

中絶して、これまで通りの不倫関係を続けるのであれば別ですが、妊娠を機に二人の関係を見つめ直すきっかけにもなります

酷なことを言うようですが、不倫相手がアナタを本気で愛しているのであれば、家庭や世間体を顧みずにとっくにアナタと一緒になるための行動を起こしているはずです。

「妻とは冷めきっている。愛しているのはお前だけだ」「子供や仕事面で複雑な事情を抱えている。離婚するまでもう少し待ってくれ」

こういった不倫男性の常套句を本気にしている女性は少ないとはいえ、心のどこかで「もしかしたら…」と淡い期待を抱いたり、信じたいという気持ちが働いている人もいることでしょう。

しかしながら、日々多くの不倫トラブルの相談を受けている弁護士の経験から言えることは、”不倫に明るい未来などほぼない”ということです。

極まれに愛人から本妻に昇格するケースもあるものの、結局は2号さんとして都合よく扱われ続けるか、飽きられて捨てられることがほとんどです。

「彼と過ごせるその一時さえ幸せなら都合の良い女でも構わない…」

そういった刹那的な人生を歩むことを良しと思えない自分がいるのであれば、「子供を産もうと考えているけどどう思う?」と不倫相手に問いかけてみると良いでしょう。

その時の不倫相手の反応で、”既婚者である彼はなぜ自分と交際しているのか”、きっと見えてくるものがあるはずです

離婚について話し合う

ダブル不倫で子どもを妊娠した場合、出産を選択するのであれば離婚について検討する必要があります

このようなダブル不倫のケースでは、不倫相手が離婚をして自分と再婚してくれる可能性があるのか、自身が離婚してシングルマザーとして子どもを養育していくのか、ということをそれぞれと話し合って判断することになります。

2024年4月1日より施行されている改正民法では、嫡出推定の規定が改められ婚姻禁止期間が廃止されました。

この民法改正により女性は離婚後100日内であっても再婚することが可能となりました。また、改正民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする」(改正民法第772条1項)と規定されているため、施行日以降は、再婚後に出生した子どもは再婚後の夫の子どもと推定されることになります。

一方再婚をしない場合には、離婚後300日以内に生まれた子どもは前の夫の子どもと推定されることになります。

離婚・再婚については、生まれてくる子どもの戸籍に関わる問題であるため、慎重に考えて話し合いを行う必要があります

不倫相手の子供を妊娠した場合の選択肢

不倫相手と再婚し、子どもを出産する

不倫相手の子どもを妊娠した方の中には、子どもの父親である不倫相手と結婚することが最適解であると考える方も多いと思います。

しかし、現在のパートナーと離婚して不倫相手と結婚するのは、以下のようなリスクが考えられます。

  • 現在のパートナーが離婚を拒否される
  • 不倫相手に子どもがいる場合、養育費の負担が発生する
  • 不倫相手の当事者は慰謝料を請求される

自身に不貞行為がある場合、有責配偶者としてこちらからの離婚請求は原則として認められません。配偶者が離婚に応じてくれない場合には、離婚することが難しくなります。また、それぞれが離婚することができたとしても、不倫相手に既に子どもがいる場合には、その子が成人するまでは養育費の支払義務を負うことになります。

さらに、不貞行為を行った配偶者は、相手方配偶者に対して不法行為責任を負うことになります。そのため、不倫当事者はそれぞれの配偶者に対して慰謝料を支払う義務が発生することになります。

以上のようなリスクがあるため、子どもの本当の父親と再婚することができても、不倫をした当事者は経済的に困窮する可能性があります

子どもを出産して不倫相手には認知だけしてもらう

不倫相手とは結婚せずに子どもを生んでシングルマザーとして子どもを育てていくという選択肢もあります。

この場合、子どもの父親である不倫相手には「認知」をしてもらうことになります。この「認知」とは、婚姻関係にない父母の間に生まれた子ども(非嫡出子または嫡出でない子)と父親との間に、法律上の父子関係を創設するための身分上の法律行為のことです。

認知は子どもが生まれてから行うこともできますし、子どもが生まれる前の胎児の段階で行うこともできます。

しかし、子どもの父親である不倫相手が認知を拒否するリスクがあります

この場合には、強制認知を求めていくことになります。

まずは認知調停・審判を申立て、裁判官と調停委員2名を介して話し合いによって認知を目指すことになります。

調停・審判によっても認知を決することができなかった場合には、裁判所に認知の訴えを提起していくことになります。訴訟になった場合には、生物学上の父子関係を証明するためにDNA鑑定などを実施して厳密に親子関係が判断される可能性があります。

認知が認められた場合には、法律上の父子関係が発生することになるため、不倫相手に対して子どもの養育費を請求することができるようになります。ただし、法律上の親子関係が確定したからといって、適切な養育費の支払いを継続して受けられるかどうかという点は別問題となります

子どもを出産するが、不倫相手に再婚も認知も求めない

不倫相手に再婚も認知も認知も求めずに、子どもを出産して養育していくという選択肢もあります。

しかし、このような場合には、経済的な後ろ盾がないため経済的に困窮し、仕事と育児を一人で行わなければならないため孤独になるというリスクがあります

不倫相手と結婚せず認知も求めない場合には、相手からの扶養を期待することができないため、経済的に困窮してしまう可能性があります。シングルマザーの中には子の父親から養育費を受け取ることができずに困っている方が多くいます。生活保護やひとり親世帯を支援する公的援助を利用すれば最低限の生活を送ることはできるかもしれませんが、子どもに余裕のある生活をさせてあげることは難しいでしょう。

また、法的な親が母親1人であり、生活に必要なお金を稼ぎながら子どもを養育しなければならないため、精神的・物理的に孤立してしまうという可能性もあります。

中絶して不倫関係も終わらせる

子どもを産むのを諦めて、不倫相手との不倫関係にも終止符を打つという選択肢もあり得ます。

この場合には、以下のようなリスクがありますので注意が必要です。

  • 中絶による精神的・肉体的ダメージを受ける
  • 中絶にコストがかかる

人工妊娠中絶を行う場合には、母体に肉体的なダメージのみならず精神的なダメージを与える可能性があります。正確な統計データがあるわけではありませんが、日本産婦人科学会によれば、中絶手術後にみられる影響として月経不順、不妊症、習慣流産、次回出産時の障害、精神的な問題などリスクがあるという報告があります。

また、中絶には費用と制限時間があります。妊娠初期とそれ以降では中絶方法が異なり、場合によっては入院が必要となる場合もあります。

中絶の費用については、病院によって異なりますが、妊娠初期で大きな手術がない場合には10万円〜15円程度の費用がかかることになります。一方妊娠後期になると、手術費用と入院費用が必要になることがあるため、50万円前後必要となる可能性もあります。

不倫相手の子供を妊娠したので、男性に慰謝料を請求できる?

まずは慰謝料請求ができるかどうかを解説します。

不倫相手の子供を妊娠したことによって精神的に苦痛をうけた、ということで、不倫相手の男性に対して慰謝料を請求したいという相談が寄せられることがあります。しかし、これは難しいと言わざるをえません。なぜなら、不倫とはいえお互いが合意の上で性行為を行なっているからです。少なくとも当事者同士の間では慰謝料が発生する原因がありません。

ただ、例外的に慰謝料が請求できることもあります。たとえば、相手が既婚者だったことを隠して交際していた、合意がないのに無理やり性行為をされたというような悪質なケースなどです。

不倫相手の男性にたいして慰謝料が認められるケース

この点について裁判所は、原則として慰謝料は請求できないとしながらも、女性は妊娠によって身体的、精神的苦痛と経済的負担という不利益を被るものであって、男性はその不利益を軽減、解消するべき「父性としての」義務があると判断しています(東京高判平成21年5月27日判時2108号57頁)。

これはどういうことかというと、妊娠によって女性は身体や心の苦痛、経済的な負担などの不利益を直接受けるため、その不利益を軽くする義務が男性にもあって、その義務を果たさないとすれば慰謝料を請求されうるということです。

例えば不倫相手の子供を妊娠したケースでいうならば、女性がどうしても産みたいと主張しているのに、男性が強く中絶を求め続けて中絶を余儀なくされたような場合には、女性から慰謝料の請求が認められることがあるということです。慰謝料の請求については、中絶した時期や状況などの具体的なケースで判断されるため、自分の場合は認められるか知りたいというときは、弁護士に相談してみてください。

むしろ注意すべきは、不倫相手の妻から慰謝料を請求された場合かもしれません。

不倫相手の男性に中絶費用は請求できる

ちなみに、もしも不倫相手の子供を中絶するとなったときには、中絶にかかる費用の少なくとも半分を不倫相手の男性に請求したとしたら、男性はこれを拒むことができません。

タチの悪い男性であれば、「俺の子じゃない」などと言い逃れをして中絶費用の支払いも拒絶するかもしれませんが、二人の合意の上で妊娠し、中絶することを選ぶということになるので、中絶費用は少なくとも二人で負担するというのが一般的な考え方です。

しかし、中絶費用は高くても数十万円くらいなので、男性が払わないからといって弁護士に依頼したり、裁判を起こしたりすると費用倒れになりかねません。そのため、話し合いがこじれてしまったときには当事者同士で解決することが少し難しくなってしまいます。

ただ、弁護士への相談は無料でできますので、中絶費用を払ってくれないといったトラブルで悩んでいるなら一度ご相談ください。

不倫相手の子供を妊娠してしまったが、認知してもらえる?

不倫相手の子供を妊娠し、悩んだけれど産んで育てていきたいと出産を決意する人もいます。もしも不倫相手がすでに夫婦関係が破綻していて、出産を機に離婚に踏み切ってくれるなら、不倫相手と再婚して子供を育てていくという見通しは明るいものになるでしょう。

しかし、「妻とはうまくいっていない」「離婚するつもりだ」と口では言っていても、実際に離婚するケースはほんとうに多くありません。逆に、中絶を求められたり、認知はできないなどと言われたりすることもあります。

もしも不倫相手が子供を出産することに非協力だったとしたら、子供を産んだ後はシングルマザーとして子供を育てていかなくてはならなくなりますが、せめて認知はしてほしい、養育費は毎月欲しいと思うのは当然の心理です。
では、認知や養育費は求めることができるのでしょうか?

認知とは

認知とは、生まれた子供を「自分の子供で間違いない」と認めることです。結婚している夫婦間に生まれた子供であれば、法律上で夫の子供と推定されます。この子供のことを、法律用語では「嫡出子」といいます。

しかし、結婚していない男女の間に子供が生まれたとしても、夫婦のように、父親が誰なのかを決める基準がありません。そのため、父親となる男性がその子供を「自分の子供である」と認知をする必要があるのです。

認知された子供は、法律上は非嫡出子として扱われます。嫡出子が夫婦間に生まれた子供であるのに対して、非嫡出子は夫婦ではない男女の間に生まれた子供ということになります。

認知のメリットはどこにある?

でも、父親が誰なのかはっきりさせるためだけに認知という制度があるのなら、別に認知してもしなくても特に問題ないのでは?と思ってしまいます。認知されないままだとどんなデメリットがあって、認知されることでどんなメリットが生まれるのでしょうか?

認知されることで、結婚していない男女の間に生まれた子供は法律的には「非嫡出子」というものになります。認知を受けて非嫡出子にならないとき、不安になるのが以下の2点ではないでしょうか。

  • 父親に養育費の支払い義務や扶養義務がなくなるのでは
  • 父親が死んだとき、相続できる財産が減るのでは

まず、養育費や扶養義務について見ていきましょう。
嫡出子は父母の直系血族なので、たとえ離婚したとしても父親の養育費支払い義務や扶養義務がなくなることはありません。直系血族という事実は変わらないからです。

非嫡出子も、父親となる男性からの養育費の支払い義務や扶養義務は同じく認められています。しかし、認知をしていない子供にまでそれらの義務を際限なく認めるとすると、本当は自分の子供ではないのに「あなたの子供だから養育費を払って」と要求できることになってしまって、混乱が生じます。

そこで、男性が子供を認知するという手続きをとることが、養育費の支払い義務や扶養義務の前提となるのです。ようするに、認知されないままだと、父親に対して養育費を請求したり、扶養義務を主張したりすることができなくなってしまうということ。これは大きなデメリットと言えそうです。

相続についても同じです。相続については、一般的に争うことが多いこともあって、民法上で法定相続分という決まった割合が決められています。

基本的にはこの法定相続分に従って財産を分けることになるのですが、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の法定相続分の1/2しかありませんでした。嫡出子が1,000万円を相続するケースでも、非嫡出子は500万円しかもらえなかったのです。

しかし、民法が改正され、今は非嫡出子も嫡出子と同じ法定相続分になりました。例えば嫡出子が1,000万円を相続できる権利があったとすると、不倫相手との間の子供(非嫡出子)も同じく1,000万円を相続できる権利を持つということです。しかし、認知という手続きを経なければそもそもその権利を持つこともできません。
こうしてみると、認知することのメリットの大きさがわかりますね。

認知することのデメリットはある?

では、逆に認知させることによって生じるデメリットというのはあるのでしょうか?
大きなデメリットとしては、不倫相手の妻から慰謝料を請求される可能性が高まるということです。子供を認知すると、男性の戸籍には認知をしたことが記載されます。

もしも不倫相手が子供を産んだということを妻には隠していたとしても、戸籍には認知の事実が記載されるため、ずっと隠し通すことは難しいもの。

それに、そんな重大な事実を隠されていた妻もたまったものではありません。夫が自分の知らないところで女性を妊娠させて、子供まで生まれていたとなると、精神的苦痛ははかりしれないものです。結果として、妻から不倫していた夫だけではなく、不倫相手の女性に対しても慰謝料を請求するケースが見受けられます。

男性が認知を拒否したらどうなるの?

見てきた通り、認知すると養育費の支払い義務や扶養義務が生じますし、不倫していたことが明るみに出てしまって夫婦関係にも亀裂が入ることが考えられます。そのため、できるだけ認知したくないと考える男性も少なくありません。

妊娠した女性に対して中絶を強制することはもちろんできませんので、女性が「産む」と言えば、男性としてはどうすることもできませんが、「産んでも俺は認知しないから」と認知を拒否されたとき、女性としてはどうすることもできないのでしょうか?

もしも認知してほしいと要求したのに男性がそれを拒否したら、女性は裁判所に訴えてまずは「認知調停」、それでもだめなら裁判で「認知の訴え(強制認知)」という手続きをとることができます。男性が認知をしてくれないとしても、裁判所に訴えれば、裁判所が父子関係があるかどうかを審査してくれ、父子関係があるかどうかを裁判所が認定してくれるのです。

そのため、男性は自分の子供に対しては、現実的には認知を拒否できないということになります。

不倫相手の子供を妊娠してしまったら、早めに弁護士に相談を

これまで見てきたことをまとめると、不倫相手の子供を妊娠して中絶した場合、中絶費用については男性に請求できますが、慰謝料を請求するのは基本的には難しいことがわかりました。

子供を産むことに決めた場合は、男性に子供を認知してもらうことで、養育費を請求したり、子供の扶養義務を男性に求めることは可能です。

一方で認知にはリスクもあります。それは、妻から慰謝料を請求される可能性が高まるということ。このように、不倫相手の子供を妊娠したことによって、精神的にも経済的にもダメージを受けることは少なくありません。

それに、男性が離婚して自分と再婚してくれるというケースは極めて少ないものです。辛い選択ですが、産むと決めたなら、一人で育てていくという覚悟は必要になります。

しかし、それでも経済的に子供を守るため、養育費や将来の相続権など、法律で保護されている権利はしっかりと押さえておきたいもの。単に話し合いで合意するだけでは不十分です。話し合ったことはしっかりと書面に残しておく必要があります。
こういった書面の作成までも含めて、不倫相手の子供を妊娠してしまったら、まず早い段階で弁護士にご相談ください。

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