子供を認知しないとどうなる?デメリットと認知してもらう方法

「子供を認知しないとどうなるの?養育費や相続はもらえないの?」と不安を抱えていませんか。

子供を認知しないと、法律上は父親がいない状態となり、養育費を請求することも、父親の遺産を相続することもできません。ただし、相手が拒んでも、家庭裁判所での話し合い(認知調停)や裁判(認知の訴え)で認知を求めることができます。

本記事では、男女トラブルに強い弁護士が次の点を解説します。

  • 子供を認知しないと生じる4つのデメリット
  • 認知されると変わる養育費と相続の扱い
  • 父親が認知しないときに認知してもらう方法
  • 父親が認知を拒み続けた場合に起こること

お読みいただくことで、認知されないと何が起きるのか、相手が拒んだら次に何をすべきかが分かります。

なお、子供の認知でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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子供の認知とは

認知とは、結婚していない男女の間に生まれた子について、父親が「自分の子である」と認める届出、または裁判によって、父親と子の間に法律上の親子関係を生じさせることをいいます(民法779条、781条1項、787条)。

結婚していない男女の間に生まれた子供は「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」や「婚外子」と呼ばれます。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2024年に生まれた子供のうち、婚姻関係にない父母の子(嫡出でない子)は18,093人で、全体の約2.6%です。子供の母親が誰かは出産の事実から明らかですが、父親との親子関係は、認知がなければ法律上は生じません。

これに対し、結婚している夫婦の間に生まれた子供は、嫡出推定(婚姻中に妻が妊娠した子などを夫の子と推定する民法772条のルール)によって夫の子として扱われるため、原則として認知は必要ありません。

子供を認知しないとどうなる?認知されていない子供の4つのデメリット

子供を認知しないと、父親と子供の間に法律上の父子関係が生じません。血縁関係があっても法律上は他人として扱われるため、認知されない子供には次の4つのデメリット(不利益)が生じます。

  • 法律上の父親がおらず、戸籍の父親欄も空欄になる
  • 父親に養育費を請求できない
  • 父親の財産を相続できない
  • 父親を親権者にできない

法律上の父親がおらず、戸籍の父親欄も空欄になる

認知されていない子供は、法律上の父親がいない状態になります。母親が出産後に出生届を出せば、子供は母親と同じ戸籍に入り、母親の氏を名乗ります。このとき、戸籍の【父】の欄は空欄のままです。

子供が認知されると、空欄だった【父】の欄に父親の氏名が記載されます。認知の事実は父親側の戸籍にも記録されるため、父親の家族が知るきっかけになることもあります。

認知後の母子の戸籍

もっとも、認知されても子供が父親の戸籍に移るわけではなく、子供の氏が父親の氏に自動的に変わることもありません。父親の氏を名乗るには、家庭裁判所の許可を得て届け出る必要があります。詳しくは「子を認知すると戸籍はどうなる?記載例と父の姓を名乗る手続き」で解説しています。

なお、認知されない子供でもパスポートは申請できます。外務省が案内する申請書類(申請書・戸籍謄本・写真など)に、父親の記載や認知を求めるものはありません。

父親に養育費を請求できない

認知しないままの父親には、子供に対する扶養義務(親が子の生活費を負担する義務)がないため、母親は父親に養育費を請求できません。

支払いを約束する合意書や公正証書がなければ、任意に払っていた父親が支払いを止めても、母親は取り立てることができません。

認知されれば、父親は子供に対して扶養義務を負い(民法877条1項)、母親は養育費を請求できるようになります。認知の効力は出生の時にさかのぼるため(民法784条)、過去の養育費を請求できる場合もあります。実際に、大阪高決平成16年5月19日(家月57巻8号86頁)は、母親が出生後早い段階で認知を求め、認知の審判が確定した直後に養育費の調停を申し立てたケースで、出生時にさかのぼって過去の養育費の請求を認めた事例として知られています。どこまでさかのぼれるかは、個別の事情に応じて判断されます。

養育費の具体的な金額の決め方や相場は、「認知された子の養育費はどうなる?相場・請求手続きと期間を解説」にまとめています。

なお、扶養義務は親子が互いに負うため(民法877条1項)、認知後は、生活に困った父親から子供が扶養を求められる可能性もあります。

父親の財産を相続できない

認知されない子供は、父親が亡くなっても相続人になれず、父親の財産を相続できません。

認知されれば、子供は父親の法定相続人(法律で相続人と定められた人)になり、相続権が認められます。かつては非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定がありましたが、最高裁平成25年9月4日決定で同規定は違憲と判断され、同年12月の民法改正で非嫡出子と嫡出子の相続分は同等になりました。父親に妻との間の子がいても、認知された子は同じ割合で相続でき、父親が遺言で他の相続人に全財産を残した場合でも、遺留分(法律で保障された最低限の取り分)を主張できます。父親が認知しないまま亡くなった場合も、死亡の日から3年以内に認知の訴えを起こして認められれば、子供は相続人になれます。

父親を親権者にできない

認知されていない子供の親権者(子供を育て、財産を管理する権利と義務を持つ人)は母親だけで、法律上の父親がいないため、父親を親権者にすることはできません。

認知されても、親権は原則として母親が行います。もっとも、父母の協議で父を親権者と定める従来の方法に加え、2026年4月1日施行の改正民法819条4項により、「父母の双方」を親権者と定めることもできるようになりました。協議が調わないときは、家庭裁判所に協議に代わる審判を求めることができます(民法819条5項)。

親権を取得する方法は「認知した父親は親権者になれる?親権取得の方法を弁護士が解説」で詳しく取り上げています。

認知してもらう方法と手続きの流れ

子供を認知してもらう方法には、父親が自分の意思で届け出る任意認知と、家庭裁判所の手続きを使う強制認知があります。手続きは、話し合い、認知調停、認知の訴えの順に進みます。父親が話し合いに応じず認知を拒んでいる場合の対処法については、「「認知しない」と言われた!認知してくれない時の4つの対処法」もあわせてご確認ください。

子供を認知してもらう手続きの流れ(話し合いで任意認知を求める→応じなければ認知調停→合意できなければ認知の訴え→確定から10日以内に認知の届出)

話し合いで任意認知をしてもらう

まずは父親と話し合い、認知してもらうよう求めます。任意認知とは、父親が自分の意思で市区町村役場に認知届を出して認知することです(民法781条1項)。届け出るのは父親本人で、母親が無断で出すことはできません。手続きの手順や必要書類は、「任意認知とは?手続きの方法・必要書類・届出期限を解説」が参考になります。

子供が成人している場合は子供本人の承諾が(民法782条)、妊娠中に認知する胎児認知では母親の承諾が必要です(民法783条1項)。父親は遺言で認知することもできます(民法781条2項)。

一度認知した父親は、その認知を取り消すことができません(民法785条)。ただし、血縁上の親子でない場合などには、一定の期間内に認知の無効を争える場合があります(民法786条)。

応じなければ家庭裁判所に認知調停を申し立てる

父親が話し合いに応じない、または認知しないという場合は、家庭裁判所に認知調停を申し立てます。認知の訴えを起こす前には、原則として先に調停を申し立てる必要があります(調停前置。家事事件手続法257条1項)。子供が未成年なら、母親が子供に代わって申し立てます。

調停では、父子関係に争いがあればDNA鑑定で確かめることもあります。父親が認知に合意し、家庭裁判所が必要な事実を調べたうえでその合意を正当と認めると、「合意に相当する審判」(調停での合意を審判の形で確定させるもの)がされます。審判が確定したら、申し立てた側が10日以内に審判の謄本を添えて役所に届け出ます。

認知調停の具体的な流れや必要な証拠については「認知調停の申立て方法と流れ|何が証拠になる?不成立の場合は?」もあわせてご確認ください。

調停で決まらなければ認知の訴えを起こす

調停で合意できない場合は、家庭裁判所に認知の訴えを起こします。認知の訴えとは、裁判所の判決によって認知を成立させる手続きです。訴えを起こす場合の進め方や注意点は、「強制認知とは?手続きの流れと費用、負けるケースを弁護士が解説」で紹介しています。

裁判では、DNA鑑定の結果が重要な証拠になります。DNA鑑定を強制することはできませんが、父親が鑑定を拒否した場合も、妊娠した時期の交際状況や血液型など、ほかの事情から父子関係が判断されます。

判決で父子関係が認められれば、父親が認知を拒んでいても認知の効力が生じ、子供は出生の時にさかのぼって父親の法律上の子になります。父親の立場からみれば、養育費の支払いを求められ、その子供が自分の相続人にもなるということです。判決が確定したら、訴えを起こした側が10日以内に判決の謄本を添えて役所に届け出ます。

認知の訴えは、子供が生まれた後、父親が生きている間はいつでも起こせます。父親の死後も、死亡の日から3年以内なら検察官を相手に起こせます(民法787条、人事訴訟法12条3項)。死後の認知の手続きや相続への影響は「死後認知とは?認められる条件と手続き・相続への影響」を参照してください。

相手が子供を認知しないとお悩みの方は弁護士にご相談ください

認知しないままでは、子供は父親から養育費を受け取る権利も、遺産を受け継ぐ権利も持てません。

相手が拒んでいても、認知調停や認知の訴えで子供の認知を求めることはできます。ただ、DNA鑑定の進め方や証拠の準備など、専門的な判断が必要な場面もあります。弁護士に依頼すれば、相手との交渉から家庭裁判所での手続きまでを任せられます。

「相手と直接やり取りしたくない」「早く養育費を受け取れるようにしたい」といったお悩みを、一人で抱え込む必要はありません。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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