実際に弁護士に相談に来られた方から聞いた言葉です。
「ちょっと大げさでは?」と思われるかもしれませんが、食べログの月間総ページビュー数は約20億弱(2022年12月時点)もあり、食べログに書き込まれた口コミが集客に大きく影響することは確かです。
このような風評被害を回避するために、食べログに投稿された誹謗中傷とも言える酷い口コミは早急に削除することが好ましいでしょう。
そこでこの記事では、ネット誹謗中傷に強い弁護士が主に以下の点につきわかりやすく解説していきます。
- 食べログが削除対象としている口コミ
- 食べログの口コミを削除依頼する方法
- 食べログが口コミを削除してくれない場合の対処法
- 食べログの口コミに対する削除以外の対処法
食べログの口コミが店の経営を左右するほど重要な問題であるとお考えの飲食店関係者の方は最後まで読んでみてください。
なお、記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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記事の目次
食べログが削除対象としている口コミ
ガイドライン違反の口コミは削除対象になる
食べログの口コミガイドラインでは、ガイドラインに違反する口コミについては投稿者に修正を求めたり、食べログ運営側の判断で削除することがあると明記しています。下で挙げるような口コミは、食べログのガイドライン違反として削除の対象となります。
食事していない人の口コミ・飲食の感想とは無関係な口コミ
- 「店員が汚いアゴ髭生やしていて食べる気が失せたので食べずに帰った」
- 「”隠れ家”を売りにしているが、単にアクセスが不便で店内の照明を落としただけの普通の居酒屋だった」
こういった実際に食事していない人の口コミや、飲食とは無関係の店についての感想だけが書かれた口コミは削除の対象となります。
衛生管理面のクレーム
- 「スープにコバエが浮いていた」
- 「食器が汚れていた」
- 「ゴキブリがいた」
など、お店側の衛生管理が行き届いていないということに関するクレームも削除の対象になります。
事実確認が困難なことに加え、食べログという巨大なサイトで公開されてしまうことで、お店が被る被害が甚大だと判断されるからです。
たとえ他のユーザーに注意喚起したいと考えたとしても、保健所などに連絡するなどの対策を取るようにガイドラインに記載されています。
店舗に対する断定的な表現
「私の舌には合わないかな」「個人的にはリピはないな」というのは主観的な意見の範囲内ですが、
- 「こんなクソまずい店に行く価値はない」
- 「この値段でこの味はぼったくりの詐欺」
という記載になってしまうと、それは主観的な意見を超えて「断定」していることになってしまいます。
食べログでは「主観的な感想や評価」を越えた断定的な表現についても削除対象としています。
他ユーザーに対する誹謗中傷
食べログに口コミを投稿したとき、匿名ではありますが「誰が投稿したのか」がアカウント名でわかるようになっています。また、食べログでは、アカウントから「どの店の口コミを書いているか」などを逆引きすることもできるようになっています。
そのため、まれにユーザー同士でトラブルになり、口コミ上でお店ではなく、ほかのユーザーに対して誹謗中傷が行われることがあります。こうした誹謗中傷も、ガイドラインに違反するため削除の対象となります。
店舗に対するクレームやトラブル
飲食店を利用するとき、残念ながらお店と利用客とで揉めてしまったり、利用客がお店に対してクレームを言わざるを得ない場面というのも多々あります。しかし、こうしたトラブルやクレームについて口コミの場で公開することも、食べログのガイドラインでは禁止しています。
トラブルがあった店に対する口コミの投稿
食べログでは、そのお店を利用した人の生の感想を重視していますが、それでもトラブルになったことがあるお店に対する口コミはガイドラインに反するとしています。
これは、トラブルになっていることによってユーザーが偏った意見を抱いてしまう可能性が高いからです。お店側として、もしもひどいクレームを受けたなどのトラブルがあった利用客からの口コミ投稿があった場合は、食べログに対して削除を求めることが可能です。
犯罪行為に結びつくような口コミ
お店側ではなく、利用者側が犯罪行為を起こしかねないような口コミもガイドラインに反するようです。例えば、「お店の前は路駐ができる」「こうすればオーダーをごまかすことができるからやすく食べられる」といった口コミがそれに当たります。
プライバシーを侵害する口コミ
- 「ここのBarのマスターはバツ2だそうだよ」
- 「従業員の○○は窃盗の逮捕歴がある」
といったお店関係者の人に知られくない情報や、
- 「〇〇会社の専務がこの店を接待で使っている」
- 「アイドルの〇〇ちゃんが週1で通ってるそうだよ」
といった情報はプライバシーの侵害に繋がるため削除対象となります。
また、ガイドラインでは、投稿された画像には第三者の肖像権につき必要な権利処理がされていることを前提としていると記載されています。つまり、投稿画像に許可なく第三者の顔などが写り込んでいることが発覚した場合も削除対象となります。
節度ある表現の範囲を超えているもの
食べログでは「節度ある表現」もまたガイドラインで求められています。
少し抽象的で判断に迷うかもしれませんが、例えば、「このお店の牛フィレステーキは私には硬くてあまりおいしくないと感じた」という表現であれば問題ないが、「ネズミの肉でも使ってるのでは?と思えるほどの硬さに感じた。私の人生史上で一番不味かった」など、あまりに過激な表現方法を用いると節度を越えていると判断されて削除対象となることもあります。
口コミだけでなく店舗情報のページを削除できる?
食べログに誹謗中傷ともいえる口コミを書かれた場合、飲食店側とすれば「こんなひどい口コミを書き込まれるくらいなら店舗情報のページ自体を削除してもらいたい」と考えることもあるでしょう。
しかし残念ながら、店舗情報のページそのものを削除してもらえる可能性は低いでしょう。
「勝手に掲載しておいて削除依頼に応じないのはおかしい」と思われる方もいるとは思いますが、実際に店舗情報のページの削除を求めて提起された訴訟では、削除請求を認めれば表現の自由に対する侵害になるなどの理由で請求が棄却されています。
食べログの運営会社であるカカクコムを相手取り、店舗情報の削除を求めて提起された裁判については、食べログに勝手に掲載されても拒否はできない?裁判例を解説で詳しく解説されていますので合わせて読んでみてください。
食べログの口コミを削除依頼する方法
食べログで事実となる口コミや誹謗中傷となる口コミを削除依頼するには、まずはお問い合わせフォームに進みます。もしくは、各口コミの画面下部にある、「問題のある口コミを連絡する」のリンクをクリックしてもお問い合わせフォームにたどり着けます。
お問い合わせフォームの入力画面が開いたら、タイトルの箇所を「問題のある口コミの報告」を選択します。次いで、メールアドレスを記載し、「お問い合わせ内容」の欄に必要事項を記載し送信します。お問い合わせ内容に何を書くべきかは以下の例文を参考にしてください。
2023年3月に訪問のID:△△さんの口コミに、「コロナ禍なのに厨房でマスクをしていない料理人がいた」と書き込みされていますが全くの事実無根です
◇URL:https://tabelog.com/tokyo/……
この書き込みは、御社が定める削除ガイドラインで禁止されている「事実と異なる内容」「衛生管理面のクレーム」「店に悪影響を及ぼし事実確認が困難な事象についての投稿」に該当します。削除対応を宜しくお願い致します。
「お問い合わせ内容」を書く時のポイント
口コミ内容がガイドラインに違反しているかは食べログの専任チームが目視でチェックしますので、スタッフが問題のある口コミを見つけられるようURLの記載は必須です。
また、その書き込みされた文章のどの箇所がガイドライン違反なのかも記載しておくべきでしょう。「口コミに事実無根のことが書かれています」とだけ記載しても、担当者は「口コミのどの箇所が事実無根なのかわからない」という事態になりかねないからです。
例文のように、「コロナ禍なのに~」といった形でガイドライン違反の箇所を具体的に示すようにしましょう。
また、単に「口コミはガイドライン違反だ」と書くのではなく、例文のように「ガイドラインで禁止されている、事実と異なる内容、衛生管理面のクレーム~に該当します」といった形で、ガイドラインのどの禁止事項に違反しているのかを明確に示した方が良いでしょう。
自分の投稿した口コミを削除依頼するには
自分が投稿した口コミは自由に削除することができません。食べログを退会してアカウントを削除しても口コミが消えることはありません。自分の口コミについては店側と同様に、食べログのお問い合わせフォームから削除依頼をする必要があります。自分の口コミを削除する場合の例文は以下を参考にしてください。
◇URL:https://tabelog.com/chiba/……
この書き込みは、御社が定める削除ガイドラインで禁止されている「断定的表現」に該当するかと思われます。
食べログは専門チームが目視チェックして口コミの削除を行っています。相手は人です。自分が書き込んだ口コミなんだから削除されて当たり前という態度をとらずに、反省の態度を示したうえで削除依頼するようにしましょう。
食べログが口コミの削除してくれない場合の対処法
食べログ側が口コミを削除してくれない場合には、民事保全法にもとづき、裁判所から削除についての仮処分命令を出してもらう方法があります。「仮」ではあるものの、裁判所が下した判決に基づくものですので、食べログが命令に従う可能性は高いでしょう。もし従わない場合には、強制執行することもできます。
また、通常の裁判(翻案訴訟)では和解または削除の判決まで数か月~1年程度かかるところ、仮処分命令は一般的には1ヵ月~2ヵ月で出る点も特徴です。早急に削除という対応を取りたい場合は、仮処分命令に進むことは有力な方法です。
ただし、仮処分命令を申し立てる時には、法的にどのような権利が侵害されているのかを明らかにし、根拠となる客観的な証拠を提出するなど専門的な知識が求められます。そのため、基本的には弁護士に依頼することが確実な方法といえるでしょう。
なお、弁護士に削除請求した場合の相場は以下となります(事務所により異なりますので参考にとどめておいてください)。
着手金 | 報酬金 | |
裁判外での削除請求 | 5万円~10万円 | 5万円~10万円 |
裁判(仮処分命令)での削除請求 | 20万円~ | 20万円~ |
一刻も早く誹謗中傷を消去したいなら、削除の仮処分を利用しよう
食べログの口コミへの削除以外の対処法
投稿者を特定して損害賠償請求をする
食べログに投稿された誹謗中傷の口コミが、名誉権やプライバシー権、営業権などの権利を侵害している場合には、プロバイダー責任制限法にもとづき投稿者に関する情報を求める「発信者情報開示請求」をすることができます。
発信者情報開示請求の流れとしては、まずは食べログを運営するカカクコムに対して投稿者のIPアドレスの開示を求めます。カカクコムが開示に応じない場合には裁判所に対して発信者情報開示の仮処分命令を申し立てIPアドレスを開示する命令を出してもらいます。
IPアドレスがわかったら、投稿者が契約しているインターネットサービスプロバイダ(So-netやOCNなど)に対して契約者情報の開示を求めます。もっとも契約者の氏名や住所といった個人情報を任意で開示してくれることはほとんどないため、発信者情報開示請求訴訟といった裁判を提起する必要があるでしょう。
裁判で開示が認められれば投稿者の氏名や住所がわかりますので、誹謗中傷の口コミにより被った店の損害の賠償を請求することができます。まずは投稿者に内容証明で請求し、それに応じない場合には損害賠償請求訴訟を提起する流れになります。
悪い口コミを逆利用する
このように悩まれている飲食店の方もいると思います。
このような場合には、食べログの悪い口コミにこそ丁寧に返信することが重要です。
なぜなら悪い口コミに対して丁寧に対応することで、他のユーザーに対して誠実性をアピールすることができるからです。良いサービス・接客を心がけている店舗の姿勢が伝われば、店に対する信頼も向上するはずです。
悪い口コミに対して卑屈になる必要はありません。事実誤認がある場合には無理に謝罪する必要はありませんが、事実確認が取れたものや顧客の評価に関する部分については共感する姿勢を見せることが効果的です。
「ピンチをチャンスに変える」とはよくいいますが、人はネガティブな情報に敏感に反応する傾向が強いです。
そのため悪い口コミがあったときこそ、耳目を集めて店舗の方針や姿勢、正しい情報を広く周知させる絶好の機会であると思って活用するようにしましょう。
例えば「注文を取りに来るのが遅い」などという口コミに対しては、共感と謝罪を伝え、空いている時間帯を新情報として付け加えることで店舗のPRとして転用することが可能になります。
食べログで悪い口コミを書かれないためには
悪い口コミを削除してもらうことは非常に難しいため、悪い口コミが発生しない・悪い口コミよりも良い口コミの方が圧倒的に多くなるように改善しましょう。
悪い口コミを見て頭に血がのぼることもあるでしょうが、一旦冷静になりなぜそのような口コミがなされたのか・本当に改善できる点は無いのかということを落ち着いて考えてみましょう。削除申請以外にも店をよくするために改善できる点がいくつか思いつくはずです。
ただし、事実誤認や侮辱的な内容など規約に違反する場合には、削除申請するようにしましょう。
食べログに誹謗中傷の口コミを書き込まれたら弁護士に相談
食べログに削除依頼しても応じてくれなかった場合には、これまで説明したように、裁判手続きによって削除請求したり投稿者を特定する方法があります。
しかし、お客の投稿がどのような権利を侵害しているのかといった判断や裁判手続きは専門家でないと困難でしょう。
そのため、食べログが削除してくれなかった場合には弁護士に相談し、裁判手続きによって削除請求が認められる可能性はあるのか、損害賠償請求できる見込みがあるのか、の判断をしてもらいましょう。そのうえで弁護士に依頼するかどうかを判断しましょう。
当事務所では、ネットに書き込まれた誹謗中傷の削除や犯人の特定、損害賠償請求を得意としており実績があります。親身誠実に依頼者のために弁護士が全力を尽くします。ご自身の大切なお店を守りたい方、誹謗中傷の口コミを投稿したお客に法的な責任を負わせたい方は当事務所の弁護士までまずはご相談ください。お力になれると思います。
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