
「友人が器物損壊をしたとき、自分もその場にいた。一緒にいただけで罪に問われるのだろうか…」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
器物損壊の現場にただ一緒にいただけであれば、罪に問われることはありません。ただし、犯人との間に意思連絡があった場合は共同正犯として処罰される可能性があり、複数人で共同して損壊行為を行った場合には、より重い「集団的器物損壊罪」に問われることもあります。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、器物損壊で一緒にいた人が罪に問われるケースと問われないケースの違いや、容疑をかけられた場合にとるべき対応について解説します。
なお、器物損壊の現場に一緒にいたことで警察から容疑をかけられている方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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そもそも器物損壊とは?
器物損壊とは、故意に他人の物を壊したり、その物の用途に従って使えなくしてしまう犯罪です(刑法第261条参照)。
「故意に」とは、わざと・意図的にという意味です。したがって、過失(うっかりミス)で他人の物を壊しても器物損壊は成立しません。
「他人の物」は、文書と建造物を除くあらゆる物です。動植物も含みます。
また、アイスピックで自転車のタイヤに穴を開ける、石を投げつけて窓ガラスを割るといった物理的に物の形体を変更または減却させる行為のほか、商店街のシャッターにスプレーで落書きをする、女性の衣服に体液をかける、他人の飼い犬の鎖を外して逃すなど、ひろく物の本来の効用を失わせる行為も器物損壊にあたります。
器物損壊の罰則は、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料です。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
器物損壊で一緒にいた人は罪に問われる?
ここでは、器物損壊の現場に一緒にいた人が罪に問われるかどうかについて、「一緒にいただけの人」と「一緒になって器物損壊行為を行った人」に分けて解説します。
一緒にいただけの人は?
器物損壊行為を行った人と同じ場所に「一緒にいただけの人」は何らかの罪に問われるのでしょうか。
結論からいうと、ただ一緒にいただけの人であれば、器物損壊罪を含む何らかの犯罪が成立することはないと思われます。
「ただ一緒にいただけの人」とは、相手が器物損壊行為を行った現場にいたけれども、その実行行為に何らの加担もしていない人物です。
つまり、相手の犯罪行為について意思の連絡を形成しておらず、相手の器物損壊行為に対して何ら重要な因果的な寄与を行っていない人であれば刑事責任を問われません。
なぜなら、上記のような人物は、器物損壊行為について非難されるいわれはなく、なんら刑法的な責任は発生していないと考えられるからです。
上記に対して意思連絡がある場合には、器物損壊罪の「共同正犯」に問われる可能性があります。
すなわち、器物損壊の行為について相手と意思を通じ合って、器物損壊の結果に対して重要な影響力を発揮したような場合です。
具体的には「(誰)の(何)を破壊しよう」と示し合わせて、現場では具体的な実行行為こそ行っていないものの、激励や道具の貸与などによって犯罪結果に対して大きな影響力を発揮した人物であれば、共同正犯者として一緒に処罰される可能性があります。
以上のように共犯者に該当しない限り、「ただ一緒にいた人」が器物損壊罪などで処罰されることはありません。
一緒になって器物損壊行為を行った人は?
複数人で共同して器物損壊行為を行った場合には、「暴力行為処罰法」による「集団的器物損壊罪」に問われる可能性があります。
「暴力行為処罰法」とは、集団的な暴力犯罪や凶器を用いた暴力犯罪について特に重く処罰するために制定されている刑法の特別法です。
「集団的器物損壊罪」は、以下のいずれかの方法で器物損壊を行った場合に成立する犯罪です。
- 団体または多衆の威力を示して行う場合
- 団体または多衆を仮装して威力を示して行う場合
- 凶器を示して行う場合
- 数人が共同して行う場合
したがって、器物損壊を行っている人と意思を通じて一緒に損壊行為を行うと、「数人共同」の要件を満たし、集団的器物損壊罪が成立する可能性があります。
集団的器物損壊罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑」または「30万円以下の罰金」となっており、科料がなくなっている分、通常の器物損壊罪より重い刑罰となっています。
また、器物損壊罪は親告罪であるのに対して、集団的器物損壊罪は非親告罪であるため、後者については告訴がなくとも検察官は公訴を提起することができます。
なお、暴力行為処罰法は器物損壊だけでなく、暴行罪や脅迫罪にも適用されます。暴力行為処罰法の構成要件や罰則について詳しくは「暴力行為等処罰に関する法律とは?構成要件や時効をわかりやすく解説」をご参照ください。
器物損壊で一緒にいた人がとるべき対応
器物損壊の現場に一緒にいた人がとるべき対応は、状況によって異なります。以下では、「一緒にいただけなのに容疑をかけられた場合」と「一緒になって器物損壊をしてしまった場合」のそれぞれについて見ていきましょう。
一緒にいただけなのに容疑をかけられた場合
一緒にいただけなのに警察に「一緒にやっただろう」と追及されている場合には、容疑を晴らす必要があります。
器物損壊の共犯者として疑われている場合には、共謀関係がないことを捜査機関に説明していく必要があります。被害者や目撃者の供述、防犯カメラの映像などから被疑者が無実であることを推認できる事情を提示していくことが重要となります。
具体的には、
- 明示・黙示の意思連絡の不存在
- 器物損壊行為について促進・誘発する事情がないこと
- 犯行の動機や結果に対する積極性がないこと など
を推認できる事実を主張・立証していくことになります。
したがって、一緒にいただけなのに器物損壊罪の容疑をかけられている人は、すぐに弁護士に相談して対応を依頼するようにしてください。ただ容疑を否認し続けていると警察に逮捕の必要があると判断されてしまう可能性もあるため、早期の対応が大切です。
一緒になって器物損壊をしてしまった場合
相手と一緒になって器物損壊行為をしてしまった場合には、素直に事実を認めて被害者に謝罪の意思を示すことが大切です。
一緒になって犯罪行為を行った場合であっても、被害者との示談を成立させることで逮捕や起訴を免れる可能性があります。
事件後すぐに被害者に謝罪をして宥恕を得ることで、被害者が刑事告訴を取り下げてくれる可能性があります。前述のとおり器物損壊罪は親告罪であるため、被害者が告訴を取り下げてくれれば検察官は起訴することができません。したがって、有罪判決を受けることもなく前科が残ることもないのです。
また、被害者が告訴を取り下げてくれない場合であっても、被害弁償が完了している場合には、一定程度違法性が減少したとして検察官が起訴猶予処分を決定する可能性もあります。
以上より、器物損壊行為に加担している場合には、弁護士に依頼してすぐに被害者との示談に動いてもらう必要があるでしょう。示談書の作成方法や具体的な文例については「器物損壊の示談書の書き方と例文【テンプレート有り】」で詳しく解説しています。
器物損壊の現場に一緒にいたことでお困りの方へ
器物損壊の現場にただ一緒にいただけであれば罪に問われることはありませんが、犯人との意思連絡があった場合や複数人で共同して損壊行為を行った場合には、共同正犯や集団的器物損壊罪に問われる可能性があります。
身に覚えがないのに容疑をかけられている場合、適切な証拠をもとに共謀関係の不存在を主張しなければ、逮捕や起訴に至るおそれがあります。また、実際に加担してしまった場合でも、早い段階で被害者との示談を成立させることで、不起訴処分を得られる可能性が高まります。いずれのケースでも、早期に弁護士へ相談することがその後の結果を大きく左右します。
警察から連絡が来ている方、すでに取り調べを受けている方は、一人で抱え込まず専門家に相談されることをおすすめします。当事務所では、器物損壊事件における逮捕の回避や不起訴の獲得を得意としており、豊富な実績があります。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、まずはお気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

