器物損壊罪の時効は3年!時効の完成を待たずにすべきことを解説

器物損壊罪の公訴時効は3年です。公訴時効とは、犯罪が終了してから一定期間が経過すると起訴することが許されなくなる制度のことです。つまり、公訴時効が完成すれば起訴されて刑事処罰を受けることがなくなります。また、器物損壊罪は被害者等の告訴がなければ起訴ができない親告罪ですが、親告罪の告訴期間は被害者が犯人を知った時から6ヵ月です。そのため、時効期間が経過する前に告訴期間が経過すれば、それ以降は起訴される心配がなくなります

この記事では、上記内容について詳しく解説するとともに、

  • 器物損壊罪の民事の時効
  • 器物損壊で時効を待たずにすべきこと

などについても、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。

なお、器物損壊の時効が完成するまで、いつ逮捕されるのか不安な日々を送られている方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には全国無料相談の弁護士までご相談ください

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器物損壊とは

器物損壊とは

器物損壊とは、他人の物をわざと壊したり傷つけてしてしまうことをいいます。損壊とは、物の毀損・破壊のことをいい、物理的に物の形体を変更又は滅却させる行為のほか、ひろく物の本来の効用を失わせる行為も含まれます。例えば、食器に放尿して事実上使えなくする行為や人の家の壁に落書きをする行為も器物損壊にあたります。

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器物損壊の罰則

器物損壊行為をすると器物損壊罪(刑法第261条)に問われることになります。罰則は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。

器物損壊は故意犯

器物損壊罪には過失犯処罰の規定がありませんので、行為者において器物損壊の事実について認識して認容する心理的な状態(わざと壊したという状況)がなければ器物損壊罪の故意犯は成立しません不注意(過失)や不可抗力で他人の所有物を損壊してしまった(うっかり壊してしまった)場合には器物損壊罪は成立しないということです。

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器物損壊は親告罪

また、器物損壊罪は検察官が起訴するにあたり被害者の告訴を必要とする親告罪です。つまり、被害者から告訴されなければ起訴されて刑事裁判にかけられることもありませんので、刑罰を科せられたり前科がつくこともありません。そのため、器物損壊事件を起こし場合には被害者と示談を成立させ、告訴をしない約束を取り付ける、あるいは、既になされた告訴を取り下げてもらうことが重要となります。

器物損壊の時効

公訴時効は何年?

器物損壊の公訴時効は3年です

刑事犯罪の公訴時効は、法律で各罪の罰則を基準に決めるとされています。

たとえば、「人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑にあたる罪」のうち、「無期の懲役又は禁錮に当たる罪」の公訴時効は「30年」、「長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪」の公訴時効は「20年」とされています。

一方、「人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち、「長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪」の公訴時効は「5年」、「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪」については「3年」とされています。

この点、器物損壊の罰則は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですので、器物損壊は「人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち、「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪」に当たります。

したがって、器物損壊の公訴時効は3年となります。

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時効はいつからスタートする?

公訴時効は「犯罪行為が終わったとき」から進行すると法律で決められています。たとえば、令和51110日にAさんの車に傷をつけたという場合、令和51110日から公訴時効が進行します。一方、令和51110日から同月22日まで、数回にわたり同じAさんの車に傷をつけたという場合は、令和51122日から公訴時効が進行します。

一方、令和51110日にAさんの車を傷つけ、令和51115日にBさんの車を傷つけたという場合は、Aさんの車を傷つけたことに対する器物損壊とBさんの車を傷つけたことに対する器物損壊という2つの罪が成立します。罪名は同じでも、2つ以上の罪が成立する場合は個別に公訴時効が進行します。つまり、Aさんの車を傷つけたことに対する器物損壊については令和51110日から、Bさんの車を傷つけたことに対する器物損壊については令和51115日から公訴時効が進行します。

なお、共犯者がいる場合は、最終の犯罪行為が終わった時から、すべての共犯者に関する公訴時効が進行します。

器物損壊には公訴時効のほかに告訴期間がある

同じ期間でも、器物損壊では公訴時効のほかに告訴期間があります。告訴とは、被害者が捜査機関に対して被害事実と犯人に対する処罰意思を申告することです。器物損壊では、検察官が起訴するにあたっては被害者の告訴を必要とします。これを親告罪といいます。

器物損壊の告訴期間は、被害者が犯人を知ったときから「6か月」です。この6か月が経過すると、被害者は捜査機関に対して告訴できなくなります。前述のとおり、器物損壊は、検察官が起訴するにあたって被害者の告訴を必要とする親告罪ですから、告訴期間が経過すると被害者から告訴される可能性はなくなります。時効期間と比べて告訴期間は短いですので、時効期間が経過しないうちに告訴期間が経過することは十分に考えられます。

器物損壊の時効で注意すべきポイント

器物損壊罪以外の罪を犯した場合は時効期間が異なる

物を壊した、隠したという場合は器物損壊に問われる可能性が高いですが、対象物が物以外のものの場合は器物損壊以外の罪に問われる可能性があります。たとえば、公文書を破ったという場合は公文書毀棄罪(刑法258条)に、建物を壊したという場合は建造物損壊罪(刑法260条前段)に問われる可能性があります。公文書毀棄罪の罰則は「3月以上7年以下の懲役」で時効期間は「5年」、建造物損壊罪の罰則は「5年以下の懲役」で時効期間は同じく「5年」です。

また、喧嘩をして相手の私物を損壊させただけでなく、暴行を加えて相手に傷害を負わせた場合は傷害罪が成立し、時効期間は10年となります。

このように、壊した物や問われる罪によっては時効期間が異なる場合があります。なお、器物損壊罪と異なり、公文書毀棄罪、建造物損壊罪、傷害罪は親告罪ではありませんので、告訴期間による制限はありません。

時効が停止することがある

器物損壊罪の公訴時効の進行が開始した場合でも、時効が停止する事情が生じた場合にはその停止している期間は3年間の時効期間に含まれません。時効を停止する事情がなくなれば時効の進行は再開します。

公訴時効の停止については、刑事訴訟法第254条・255条に規定されています。これらの条文によると、公訴時効が停止する事情は以下の3つとなります。

  • ①犯人が起訴された
  • ②犯人が国外にいる
  • ③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった

「①犯人が起訴された」については、器物損壊行為が複数人で行われた場合、そのうちの一人が逮捕され起訴されれば、その起訴された犯人の刑事裁判が確定するまでは共犯者の時効も停止します。

「②犯人が国外にいる」については、器物損壊の犯人が海外にいる期間は時効が停止し、日本に帰国することで時効の停止が解除されて時効の進行が開始されます。

「③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった」については、”検察官が起訴をした”ことが前提となっているため、起訴されずに器物損壊の犯人がただ逃げ回っているだけだと時効は停止せず進行します。

器物損壊の民事の時効は?

時効には、刑事上の時効(公訴時効)のほかに民事上の時効があります。民事上の時効は、一定期間を経過すると権利を取得する取得時効と権利が消滅する消滅時効があります。このうち、犯罪を犯した場合に関係する時効は消滅時効です

加害者の器物損壊行為という不法行為によって損害を被った被害者は、加害者に対して損害の賠償を求めることができる権利を取得します。民法という法律では、この権利の消滅時効の期間を、被害者が損害及び加害者を知ったときから3年(または不法行為のときから20年)と定めています。そのため、器物損壊の消滅時効の期間は3年(または20年)となります。

また、不法行為とは、故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害することですので、故意犯である器物損壊罪が成立しない場合、すなわち過失により他人の物を損壊させたケースでも不法行為に該当し、損害賠償(弁償)する責任を負います

なお、器物損壊罪の刑罰である「罰金」と、民事責任である「損害賠償金」を混同されている方がいますが、全くの別物です。器物損壊罪で罰金刑に処せられて罰金を納付したとしても、それとは別に、被害者に対して損害賠償責任を負う点に注意が必要です。

時効の完成を待たずにすべきこと

時効完成を待つリスク

これまで説明した通り、器物損壊罪の公訴時効は「犯罪行為が終了したとき」から3年です。

公訴時効が完成するまでの間、あなたは罪を犯した負い目やいつ逮捕されるかわからない不安を抱えながら肩身の狭い生を送らなければなりません。生きた心地がしないでしょう

また、逮捕されると場合によっては実名報道され、それまで積み上げてきた社会的な評価や信用が一気に崩れ落ち、社会復帰の妨げとなる可能性もあります。さらに有罪判決となれば、仮に執行猶予が付いた倍でも前科もつきますので、資格の取得や海外渡航にも影響が出てしまいます。

前科がつくことの生活やお仕事への影響については、前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリットをご覧になってください。

示談交渉をする・自首を検討する

このような事態を招かないためにも、器物損壊につき身に覚えのある方は、被害者に早急に謝罪をするとともに、示談交渉を開始することをお勧めします。

器物損壊罪罪は、前述の通り親告罪ですので、被害者との示談が成立すれば告訴されずに済む、すなわち事件化するのを回避できます

もっとも、器物損壊事件に限らず、犯罪被害者は加害者に対して不信感、恐怖感を抱いていることが多く、加害者と直接示談交渉に応じる可能性は低いです。仮に直接の示談交渉に応じてもらえた場合でも、器物損壊で実際に生じた損害金を大幅に超える示談金を請求されるケースもあります。

この点、弁護士であれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、適切な金額で示談を成立させられる可能性も高まります

また、被害者と連絡が取れない場合には、自首も検討しましょう。自首そのものの効果ではありませんが、自首することで「証拠隠滅・逃亡のおそれがない」と捜査機関が判断して、逮捕を回避できる可能性が高まります

もっとも、自首したからといって必ずしも逮捕を回避できる保証はありませんので、自首するかどうかはやはり弁護士の判断が必要となります。また、弁護士に依頼すれば、逮捕回避のための対策をとったうえで自首に同行してくれますので、一人で不安を抱えながらの自首をせずに済みます。

当事務所では、器物損壊の被害者との示談交渉、自首の同行につき豊富な実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者の盾となって全力で守りますので、器物損壊罪の時効完成まで怯えて暮らすことに精神的に耐えられない方や逮捕による不利益を回避したい方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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