
子供が他人の物を壊してしまったとき、「子供でも刑事罰を受けるのだろうか」「親として賠償責任を負わなければならないのか」と不安を感じる方は少なくありません。
子供が器物損壊事件を起こした場合、14歳未満であれば刑事罰を受けることはなく、14歳以上20歳未満でも家庭裁判所の保護処分にとどまるケースがほとんどです。一方、民事上の賠償責任については、12歳前後を境に子供本人が責任を負う場合と、親が監督義務者として賠償責任を負う場合があります。
この記事では、以下の内容について刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説します。
- 子供の器物損壊で刑事責任・賠償責任はどうなるのか
- 器物損壊で中学生・高校生が退学になる可能性と回避策
- 子供が器物損壊事件を起こした場合に親がとるべき対応
なお、お子様の器物損壊事件について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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子供が器物損壊事件を起こしたらどうなる?
子供が器物損壊事件を起こした場合、刑事責任や民事責任はどうなるのでしょうか。ここでは、器物損壊罪の基本的な内容と、子供が負う可能性のある責任について解説します。
そもそも器物損壊とは?
器物損壊とは、他人の物を壊したり、その物の用途に従って使えなくしてしまう犯罪です(刑法第261条参照)。罰則は、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料です。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
「他人の物」は、文書と建造物を除くあらゆる物です。動植物も含みます。
また、故意に人の家のガラスを割る、タクシーのドアを蹴って凹ませるといった物理的に物の形体を変更または滅却させる行為のほか、飲食店の食器に放尿する、女性の衣服に精液をかけるなど、広く物の本来の効用を失わせる行為も器物損壊にあたります。例えば、子供が他人の家の壁やシャッターにスプレーで落書きをする行為や、自転車や車の空気を抜いてパンクさせる行為も器物損壊にあたります。器物損壊罪の成立要件や示談金の相場について詳しくは器物損壊とは?成立要件と示談金相場・示談しないとどうなるのかを解説をご参照ください。
刑事責任は負う?
子供が器物損壊事件を起こした場合には刑事責任を負わない可能性が高いです。
刑法第41条は、「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と規定しています。したがって、14歳未満すなわち13歳以下の者は、刑事未成年として器物損壊事件を起こしたとしても刑事罰を受けることはありません。
一方、20歳に満たない「少年」による非行については少年法が規定しており、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年は「触法少年」といいます。触法少年については、都道府県知事や児童相談所長から送致を受けた場合に、家庭裁判所の審判に付されます。この場合、家庭裁判所は触法少年に対して保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致など)を決定します。
また、14歳以上20歳未満の者は、「犯罪少年」と呼ばれ、さきほどの刑事未成年ではありませんので逮捕・勾留される可能性があります。
少年事件(20歳未満の者が犯罪相当の行為をした事件)の場合には、検察官による捜査が終わった事件はすべて家庭裁判所に送致されます。犯罪少年による器物損壊事件の場合には、家庭裁判所による少年審判に付され保護処分が決定されることになります。保護処分の場合は前科はつきません。
ただし、家庭裁判所の裁判官が、少年事件を起こした少年の非行歴や成熟度、事件の重大性などを踏まえて刑事裁判が妥当であると判断した場合には、検察官送致(逆送)という処分がとられる場合があります。逆送された事件については、成人が事件を起こした場合と同じように検察官によって刑事裁判所に起訴され、刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されることになります。逆送・起訴されて有罪となった場合には前科がつきます。
しかし、器物損壊罪は「原則逆送対象事件」ともされておらず、実際に重大事件とも言い難いため、逆送となるケースはほぼないと考えられます。したがって、子供が器物損壊事件を起こしたとしても、刑事責任を負わない可能性が高いと言えるでしょう。
民事責任は負う?
他人の物を壊した場合には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」と言えるため、行為者には不法行為責任に基づき「これによって生じた損害を賠償する責任」が発生します(民法第709条)。
しかし、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」としています(民法第712条)。
このような未成年者の責任能力については、おおむね12歳前後が境界線とされており、12〜13歳程度であれば責任能力があると判断される傾向にあります。一方、11〜12歳程度の場合には責任能力がないとされるケースもあります。
したがって、責任能力のある子供自身に対して器物損壊行為によって生じた損害を賠償するように請求できますが、その子供に資力があるかどうかはまた別の問題となります。
子供の親は賠償責任を負う?
器物損壊をした子供に責任能力がないとされる場合であっても、「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定しています(民法第714条1項)。
そして、子供の両親などの親権者は監督義務者にあたります(民法第820条参照)。
ただし、親権者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、親権者は免責されます(民法第714条1項但書き)。
器物損壊で中学生・高校生は退学になる?
器物損壊事件を起こした場合、中学生・高校生は退学になるのでしょうか。
まず、中学校は義務教育であるため、公立中学校では退学処分は認められません。私立中学校の場合には退学処分がありえますので、その場合には他の私立中学に編入するか、公立中学校に転校することになります。
また、高校生が退学処分になるかどうかは、学校側の裁量による部分が大きく、事案に応じて判断されます。
事件が検察官送致(逆送)されて刑事裁判で有罪判決を受けた場合や、児童自立支援施設・少年院送致になった場合には、退学になる可能性があります。
退学処分を回避するためには、以下のような対策をしておくことが大切です。
- 警察からの学校への連絡を控えてもらう
- 家庭裁判所からの学校照会を控えてもらう
- 事件を反省し更生への取り組みを行っていることを報告する
子供が器物損壊事件を起こした場合はどうする?
子供が器物損壊事件を起こしてしまった場合、親としてどのように対応すべきでしょうか。ここでは、罪を認める場合と認めない場合に分けて、具体的な対応方法を解説します。
罪を認める場合の対応方法
器物損壊の罪を認める場合には、その被害について適切に謝罪して被害弁償をすることが大切です。
被害者が捜査機関に告訴をする以前であれば、示談が成立することで告訴状の提出を回避して事件化することを未然に防ぐこともできます。
仮に事件化してしまった後であっても、早期に被害者との示談が成立することで、少年にとって有利な判断を得られる可能性が高まります。
犯罪少年による器物損壊事件では、被害弁償や示談の成立の有無がその後の少年への処分に大きく影響する可能性がありますので、弁護士に依頼して適切に対応することが重要です。器物損壊事件を弁護士に依頼した場合の費用や示談金の目安については器物損壊の弁護士費用はいくら?相談すべきケースや示談金について解説で詳しく紹介しています。
弁護士を入れて早期に被害者との示談が成立することで、少年が釈放され学業への復帰・社会復帰が実現できる可能性が高まります。
罪を認めない場合の対応方法
実際には器物損壊事件を起こしていないのにその容疑をかけられてしまった場合には、弁護士を通じて捜査機関や家庭裁判所に対して非行事実がないことを主張していくことになります。
弁護士が付添人として、少年のアリバイや真犯人が存在している可能性があることを適切に主張・立証することで、嫌疑なし・嫌疑不十分として審判の不開始や不処分を得られる可能性があります。
器物損壊事件で捜査機関に逮捕された少年の方は、心理的なプレッシャーや恐怖心、仲間の少年たちとの人間関係などさまざまな要因で、自分の正当な主張を維持することが困難なケースがあります。
そのような場合であっても、弁護士と接見して主張や言い分を伝えることで、事件の実態に即した適切な処分を求めるように捜査機関や家庭裁判所などにはたらきかけていくことが可能となるのです。
お子様の器物損壊事件でお悩みの方は弁護士にご相談ください
子供が器物損壊事件を起こした場合、刑事責任を負う可能性は低いものの、年齢によっては賠償責任を子供本人や親が負うことになります。また、事件の対応を誤ると退学や保護処分といった重い結果を招くおそれもあります。
このような事態を防ぐためには、早い段階で弁護士に依頼し、被害者との示談交渉を適切に進めることが重要です。示談が成立すれば、事件化の回避や有利な処分の獲得につながるだけでなく、お子様の学校生活や将来への影響を最小限に抑えることができます。
「警察から連絡が来ている」「被害者から賠償を求められている」「学校に知られてしまうのではないか」など、お子様の器物損壊事件について少しでもご不安をお感じの方は、おひとりで抱え込まず、弁護士にご相談ください。当事務所は器物損壊事件の示談交渉や早期釈放に豊富な実績があり、全国どこからでも無料でご相談いただけます。お子様とご家族の今後のために、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

