
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。刑法上の公然わいせつ罪が成立するには「わいせつな行為」が必要ですが、その基準は必ずしも明確ではなく、ケースによって判断が分かれることもあります。
実際の判例では、上半身の露出だけでは公然わいせつ罪にあたらない可能性が高いと判断されたケースもあります。ただし、公然わいせつ罪が成立しなくても、軽犯罪法や迷惑防止条例に違反する可能性はあるため、注意が必要です。
この記事では、刑事事件に詳しい弁護士が以下の点について解説します。
- 女性が上半身を露出した場合、公然わいせつ罪が成立するか
- 下着姿になった場合の公然わいせつ罪との関係
法律上のリスクや適切な対応を知っておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
上半身を露出した場合、公然わいせつ罪に問われるのか
単なる上半身の露出では公然わいせつに当たらない可能性も
女性が上半身を露出しただけでは、公然わいせつ罪(刑法174条)に該当しないと判断される可能性があります。
刑法上の「わいせつ」には、「性欲を不当に刺激し、一般的な羞恥心や社会通念に反する行為」が含まれます。しかし、どこまでが「わいせつ」とされるかは抽象的であり、判例や解釈に委ねられます。
実際の裁判例や法解釈によれば、上半身の肌を見せる行為は、必ずしも「わいせつ」に該当するとは限らないとされています。特に性器ではない部位の露出については、わいせつ性が否定される場合があります。
そのため、たとえノーブラで上半身が見えていたとしても、状況によっては公然わいせつ罪が成立しない可能性があるのです。ただし、次に述べるように、他の法律で問題となることは十分にあり得ます。
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軽犯罪法や迷惑防止条例に問われる可能性も
公然わいせつ罪が成立しない場合でも、他の法律によって処罰対象となることがあります。
たとえば軽犯罪法1条20号では、「公衆の目に触れるような場所で、けん悪の情を催させるような方法で身体の一部を露出した者」に対し、拘留または科料を科すと定められています。
また、都道府県の迷惑防止条例では「卑わいな言動の禁止」が定められており、露出行為が社会的通念に反すると判断されれば、条例違反として処罰されるおそれがあります。
女性が下着姿になった場合、公然わいせつ罪は成立するのか
2017年、静岡県で女性が下着姿になったとして、公然わいせつの容疑で逮捕された事案が報道されました。女性は「暑かったので脱いだ」と供述したとされています。
この件では、下着だけを着用した状態で公の場にいたことで通報され、警察が現行犯逮捕に踏み切ったとされています。
しかし、刑法上の「わいせつ」に下着姿が該当するかについては争いがあります。実務上は、下着姿だけでは公然わいせつ罪が成立するとは限らないという見解が一般的です。
警察は「エスカレートするおそれがあった」として逮捕に踏み切ったようですが、本件は軽犯罪法や迷惑防止条例による対応が妥当だった可能性もあります。
したがって、女性が下着だけの姿で公の場にいた場合でも、公然わいせつ罪にはあたらず、別の法律で処罰される可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
女性が公共の場所で上半身を露出したとしても、それだけでは公然わいせつ罪に問われる可能性は低いと考えられます。これは、刑法上の「わいせつ」の定義が、性器の露出などより強度の行為を対象としているためです。
しかし、軽犯罪法や迷惑防止条例では、上半身の露出や下着姿も処罰対象となる可能性があります。
そのため、法律上のリスクを正しく理解し、必要に応じて弁護士に相談することが重要です。
当事務所では、公然わいせつ事件に関する逮捕や起訴の回避について豊富な実績があります。弁護士が親身かつ誠実に依頼者を全力で守りますので、不安をお持ちの方はぜひご相談ください。
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