公然わいせつの示談金相場は?示談で不起訴になるかを弁護士が解説

公然わいせつの示談金の相場は10万円〜50万円程度です。目撃者との示談が成立すれば、不起訴処分を得て前科を回避できる可能性が高まります。この罪に形式的な被害者はいませんが、行為を目撃した人が「事実上の被害者」となるため、目撃者を相手方として話し合いを進めることができます。

「目撃者に通報されてしまい、このままでは逮捕されるのではないか」「示談したくても、誰にどう連絡すればよいのかわからない」といった不安を抱えて検索されている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、同種事件の弁護経験が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 被害者のいない犯罪でも示談はできるのか
  • 示談金の相場と金額に影響する要素
  • 示談成立までの流れと示談書の内容
  • 目撃者と合意できない場合の対処法

なお、同じような状況でお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談窓口までお問い合わせいただけます。

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公然わいせつでも示談はできる?

公然わいせつ罪は、公園・駅・路上・電車内などの人目につく場所で下半身を露出したり、性行為や自慰行為をしたりした場合に成立する犯罪です(刑法第174条)。法定刑は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金であり、事案によってはこれらに代えて拘留・科料が科されることもあります。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

公然わいせつ罪は「健全な性風俗」という社会全体の利益を守るための犯罪であり、形式的には特定の被害者が存在しません。そのため、わいせつな行為を目撃した人も、法律上の厳密な意味では「被害者」に当たりません。

もっとも、行為を直接見せられた目撃者は、「望まないものを見せつけられた」という精神的苦痛を受けています。加害者はこの苦痛について民事上の損害賠償責任を負う可能性があるため、目撃者は「事実上の被害者」として示談交渉の相手方になります。目撃者との示談は可能であり、不起訴処分を獲得するために非常に重要な意味を持ちます。

目撃者を特定できないなど、示談ができない場合の対処法は「公然わいせつで示談できないケースと対処法」で解説しています。また、どのような場合に逮捕に至るのか、逮捕後の手続きがどう進むのかについては「公然わいせつで逮捕されたらどうなる?流れや刑罰を弁護士が解説」で詳しく取り上げています。

公然わいせつで示談をするメリット

公然わいせつ事件で示談が成立した場合、主に次のようなメリットがあります。

  • 逮捕の回避:事件発覚後、逮捕される前に示談がまとまれば、身体拘束を受けずに済むケースがあります
  • 不起訴処分の獲得:特に初犯で示談が成立していれば、検察官が起訴を見送る(起訴猶予とする)ことがあります
  • 前科の回避:不起訴処分となれば刑事裁判は開かれず、前科もつきません
  • 量刑の軽減:起訴された場合でも、示談の成立は刑を軽くする方向に作用します

令和7年(2025年)の検察統計によると、公然わいせつ罪で起訴された人は814人、不起訴となった人は693人で、そのうち579人は、犯罪の成立は認められるものの諸事情を考慮して起訴が見送られる「起訴猶予」でした。公然わいせつ事件は、示談などの対応しだいで不起訴を十分に目指せる犯罪といえます。不起訴率の詳しい分析は「公然わいせつ罪の不起訴率と不起訴を目指すためにすべきこと」にまとめています。

再犯や同種の前科がある場合でも、示談の成立は処分を軽くする方向に働きます。ただし、初犯と比べると不起訴のハードルは上がるため、できるだけ早く弁護士へ相談することが大切です。

公然わいせつの示談金相場はいくら?

公然わいせつ事件の示談金相場は、10万円〜50万円程度が目安となります。ただし、事件の内容や悪質性によって金額は大きく変わります。

示談が成立しないまま略式起訴(本人の同意を前提に、簡易裁判所が公開の裁判を開かず書面審理で罰金を命じる手続き)をされた場合の罰金は10万円〜30万円程度が目安とされ、示談金と大差はありません。それでも、罰金刑が確定すれば前科となる一方、示談が成立して不起訴となれば前科はつきません。同じ程度の金銭的負担でも、その後の人生への影響は大きく異なります。

なお、公然わいせつの示談金は、痴漢や不同意わいせつのように身体への接触がある性犯罪と比べると、低めにとどまる傾向があります。被害者がいる性犯罪の金額水準を知りたい方は「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方」もあわせてご確認ください。

示談金額に影響する要素

示談金額に最も大きく影響するのは、行為の悪質性です。単に露出していただけなのか、特定の相手に見せつける意図があったのかによって、目撃者が受ける精神的苦痛は大きく異なります。

このほか、目撃者が未成年者であれば精神的な影響がより深刻と評価されやすく、同じ場所で繰り返し行っていたなど常習性がある場合も、示談金は高くなる傾向にあります。

行為の種類別の示談金目安

行為の態様ごとのおおよその目安は、次のとおりです。

【比較的軽微なケース:10万円程度】

酔って用を足していたところを見られ、公然わいせつを疑われた場合などです。路上での用足しは、通常は軽犯罪法違反(第1条26号)にとどまりますが、人通りの多い場所で性器を露出した場合など、態様によっては公然わいせつ罪に問われることがあります。わいせつ目的ではなくても、結果的に他人を不快にさせた責任は生じます。なお、わいせつな行為とまではいえない単なる身体の露出であれば、軽犯罪法違反(第1条20号の身体露出の罪)にとどまる可能性もあります。

【中程度のケース:10万円〜30万円程度】

駐車場に停めた車の中で自慰行為をしていたところを通行人に見られた場合などです。積極的に見せる意図がなくても、公共の場で性的な行為をしていた以上、目撃者への慰謝料は必要になります。

【悪質性が高いケース:30万円〜50万円程度】

帰宅途中の女性を追いかけて露出した場合や、電車内で隣の乗客に性器を見せつけた場合など、特定の相手をターゲットにした行為は示談金が高額になります。目撃者が恐怖心を抱くような態様であれば、さらに増額する可能性もあります。

いずれも目安にすぎず、目撃者の被害感情が強ければ相場を超える金額を求められることもあります。最終的な金額は交渉で決まるため、適正な水準での合意を目指すなら、示談交渉の経験がある弁護士に任せることをおすすめします。

公然わいせつの示談はいつまでに成立させるべき?

不起訴を目指すのであれば、示談は検察官が起訴・不起訴を判断する前に成立させる必要があります。逮捕されている事件では、逮捕から最長23日間の身体拘束中に処分が決まります。在宅事件(逮捕されずに捜査が進む事件)でも、書類送検から処分が出るまでは1〜2か月程度のことが多く、時間の余裕はありません。

示談成立までには、目撃者がすぐに応じてくれれば1〜2週間程度、被害感情が強い場合や条件面で折り合いがつかない場合は1〜2か月程度かかることもあります。処分の時期から逆算すると、動き出しが遅れるほど間に合わなくなるおそれが高まります。

起訴された後に示談が成立しても、執行猶予や量刑の判断で有利に考慮されます。しかし、起訴されて有罪判決が確定すれば、執行猶予がついても前科がつきます。前科を避けたいのであれば、起訴前の示談成立を目指すことが欠かせません。

そのため、弁護士への依頼は早いほど有利です。警察から任意の事情聴取を受けた段階で相談すれば、逮捕前に示談をまとめられる可能性もあります。まだ発覚していない段階では目撃者を特定しにくいため、自首を含めた対応を弁護士と検討することが大切です。自首については「公然わいせつで自首する5つのメリット|自首後の流れと注意点」で詳しく解説しています。

公然わいせつの示談で弁護士に依頼する3つのメリット

公然わいせつ事件の示談交渉は、弁護士のサポートなしに進めることが難しいのが実情です。弁護士に依頼する主なメリットは次の3つです。

  • ①目撃者の連絡先を取得できる
  • ②逮捕・勾留を回避できる可能性が高まる
  • ③不起訴を獲得できる可能性が高まる

①目撃者の連絡先を取得できる

示談交渉を始めるには、まず目撃者の連絡先を知る必要があります。しかし、目撃者は加害者に個人情報を知られることを強く拒むため、警察や検察が被疑者本人や家族に連絡先を教えることはありません。

弁護士であれば、捜査機関を通じて目撃者に示談の意思を確認してもらい、了承が得られれば弁護士限りで連絡先の開示を受けられます。つまり、示談交渉の窓口になれるのは、事実上弁護士だけです。目撃者にとっても、加害者と直接やり取りせずに済むため、示談に応じやすくなります。

弁護士に依頼してから示談が成立するまでの流れは、次の図のとおりです。

公然わいせつ事件の示談成立までの流れ(弁護士への依頼→目撃者の連絡先取得→示談交渉→示談書の作成→示談金の支払い)

弁護士が目撃者に謝罪の意思を伝えて示談金額や条件を交渉し、条件がまとまれば示談書を作成して、示談金の支払いと引き換えに取り交わすのが一般的です。

②逮捕・勾留を回避できる可能性が高まる

公然わいせつは現行犯逮捕が多い一方、防犯カメラや目撃証言から身元が特定され、後日逮捕されることもあります。弁護士が早い段階で示談をまとめ、身元引受人や今後の生活環境を整えたうえで捜査機関に伝えれば、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと示すことができ、逮捕を避けられる余地が広がります。

すでに逮捕された場合も、弁護士は示談書や意見書を検察官・裁判官に提出して勾留しないよう求め、勾留が決まったときは準抗告という不服申立てで争うことができます。早期に釈放されれば長期の欠勤も避けやすく、会社や家族に知られないまま解決できることもあります。

③不起訴を獲得できる可能性が高まる

示談が成立しても、それだけで自動的に不起訴になるわけではありません。弁護士は、示談書に加えて本人の反省の状況や再犯防止の取り組みを書面にまとめ、検察官に不起訴処分を求めて働きかけます。

その際に重要なのが、示談書の条項です。目撃者が加害者を許す旨を記す宥恕(ゆうじょ)条項と、示談をもって当事者間の債権債務がすべて解決したことを確認する清算条項があれば、「被害感情が解消され、紛争が円満に解決した」と評価され、刑事処分が軽くなる傾向があります。公然わいせつ事件では、目撃者に二度と近づかないことや、事件が起きた駅・公園などへの出入りを控えることを約束する条項を加え、目撃者の不安を和らげることもあります。

弁護士費用の相場や弁護士の選び方については「公然わいせつの弁護士費用の相場は?依頼のメリットや選び方を解説」で紹介しています。

公然わいせつで示談できないケースと対処法

目撃者が見つからない、示談を断られたといった理由で、示談が難しい場面は珍しくありません。ただし、示談ができない場合でも、不起訴や刑の軽減を目指す道は残されています。

示談が難しいケースとは?

まず、目撃者を特定できない場合です。通報した人がそのまま立ち去った場合や、警察官が現場で見つけた場合、防犯カメラの映像から発覚した場合などは、示談の相手がいないことがあります。

目撃者が複数いる場合も、全員との示談は現実的に難しく、通報した人や被害感情の強い人を優先して交渉することになります。また、特定の個人を狙った悪質な行為の場合や、目撃者が未成年の場合は、示談を拒否されることも少なくありません。拒否されたときでも、謝罪文だけは受け取ってもらえるよう働きかけるべきです。

なお、ハプニングバーのように、居合わせた客が性的な行為を承知のうえで集まっている場所では、客を被害者として扱いにくく、示談による解決はなじみません(参考:「ハプニングバーは違法?摘発で客も逮捕?問われる罪と罰則を解説」)。

贖罪寄付で反省を示す

示談ができない場合には、贖罪(しょくざい)寄付を検討してください。贖罪寄付とは、弁護士会や犯罪被害者の支援団体などにお金を寄付し、罪と向き合い反省している姿勢を形にして示す方法です。

寄付をすると、受け入れた団体から贖罪寄付を証明する書面が交付されます。検察官が処分を決める前に提出すれば、不起訴を判断する材料の一つになり得ます。起訴後に裁判官へ提出した場合も、量刑の面で有利に考慮される可能性があります。手続きや寄付先は「贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ」をご覧ください。

再犯防止の取り組みを示す

公然わいせつは同じ行為が繰り返されやすい傾向があるため、検察官や裁判官は「再び同じことをしないか」を重視します。そのため、示談ができない場合ほど、再犯防止に向けた具体的な行動が重要になります。

たとえば、性依存症などを扱う専門の医療機関に通院する、同居する家族に今後の生活を監督してもらう、といった取り組みです。通院の記録や家族の誓約書を弁護士が意見書とあわせて提出することで、示談がなくても不起訴や執行猶予を得られる可能性が高まります。

公然わいせつ事件の示談による解決事例

ここでは、当事務所の弁護士による公然わいせつ事件の示談による解決事例を紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。

①現場で取り押さえられたが、示談により被害届が提出されなかった例

被疑者が、女子高生が通う通学路で、女子高生2名に対してズボンを下ろして性器を露出した姿を見せつけた事案です。

被疑者は、女子高生2名から通学路にいた教師に被害を報告され、現場から約100メートル離れた時点で身柄を取り押さえられています。女子高生2名は、はじめ警察に被害届を提出することを考えていました。しかし、被疑者から依頼を受けた弁護士が、女子高生2名に謝罪の意を伝えるとともに、被疑者を遠方の実家に引っ越させる手続きを取ったことを伝え、示談金各10万円を提示したところ、示談することができました。

その結果、女子高生2名は警察に被害届を提出しませんでした。

②本件に加えて余罪4件を起訴されたものの、示談により執行猶予を獲得した例

被疑者が、コンビニエンスストアのレジの店員に対して陰茎を露出したという公然わいせつ罪で現行犯逮捕された事案(本件)です。

被疑者は、本件以外にも、同じ区内のコンビニエンスストア(4店舗)で同様の手口による公然わいせつを行っていたことがお店の防犯ビデオカメラなどから判明し、本件と併せて5件の公然わいせつで起訴されました。被告人は、本件より半年ほど前に、盗撮で罰金30万円の略式命令を受けた前科を有していたことから、実刑の可能性も否定できませんでした。そこで、弁護士は、すべての目撃者及び店舗に対して謝罪及び示談交渉を進め、示談金の支払い、今後、被告人が店舗に立ち入らないことなどを条件に示談を成立させました。

また、前科や今回の犯行などに照らすと性犯罪性向が進んでおり、このまま何ら対策も打たなければ、再犯を繰り返すおそれがあったため、ご家族の協力のもと、被告人に性犯罪治療の専門医療機関で治療を受けることを勧めました。そして、ご家族が協力的で被告人も真面目に治療に専念したことから、裁判では治療経過や今後の見通しなどを立証し、あわせて5件とも示談が成立していることを主張しました。

その結果、懲役4月(判決当時の刑名)、執行猶予4年(保護観察付き)の判決を獲得することができました。

公然わいせつ事件でお困りの方へ

公然わいせつ事件では、目撃者との示談が不起訴処分と前科回避に向けた大きな分かれ目になります。示談金は10万円〜50万円程度が相場であり、示談が難しい場合でも、贖罪寄付や再犯防止の取り組みによって処分の軽減を目指せます。

もっとも、目撃者の連絡先は本人や家族には開示されないため、示談交渉は弁護士を通じて行うのが現実的です。検察官が処分を決める前にまとめなければならないという時間の制約もあり、一日でも早く弁護士に依頼し、示談交渉と不起訴の獲得に向けた弁護活動を始めることが重要です。

当事務所は、公然わいせつ事件を含む刑事事件の弁護を数多く手がけ、示談交渉や不起訴処分の獲得について豊富な実績があります。ご家族や職場に影響が及ばないよう配慮しながら、迅速に対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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