公然わいせつ罪の時効は3年?時効待ちのリスクと今すべき対応

公然わいせつ罪の公訴時効は3年です。わいせつ行為が終了した時点から原則として3年が経過すると、検察官は起訴できなくなります。その結果、刑事責任を問われることはありません。

「あのとき現行犯で捕まらなかったけれど、後日逮捕されるのだろうか」「3年間おとなしくしていれば本当に時効が成立するのか」。公然わいせつ行為をしてしまった方の中には、こうした不安を抱えながら毎日を過ごしている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、性犯罪事件の解決実績が豊富な弁護士が、以下の点について解説します。

  • 公訴時効の年数と、進行が止まるケース
  • 被害者から慰謝料を請求される民事上の期限
  • 3年の経過を待つ間に潜む2つのリスク
  • 後日逮捕や起訴に備えて今すぐとるべき4つの対応

なお、逮捕や起訴への不安を一人で抱えている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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公然わいせつ罪の時効は何年?

そもそも公然わいせつ罪とは?罰則は?

公然わいせつ罪は、不特定又は多数の人の目に触れうる場所や状況でわいせつな行為をした場合に処罰される罪です(刑法第174条)。たとえば、路上で全裸になったり公園で下半身を露出したりした場合などに公然わいせつ罪に問われることがあります。

公然とは、不特定又は多数の人が認識できる状態のことをいいます。現実に不特定又は多数の人に見られる必要はなく、見られる可能性があれば足りるとされています。路上や公園、電車内、駅構内など不特定多数が出入りする場所であれば、実際に誰かに見られていなくても公然性の要件を満たし得ます。

わいせつな行為とは、性欲を刺激・興奮または満足させ、一般人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する行為をいいます。具体的には、公共の場で下半身を露出する行為のほか、ライブ配信のように不特定多数が視聴できる場で性行為を見せる行為も、これに該当すると判断された例があります。

公然わいせつの罰則は、6ヵ月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

公然わいせつ罪の公訴時効は3年

公然わいせつ罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条2項6号)。3年が経過すると、検察官は起訴できなくなります。その結果、裁判で刑事責任を問われることはありません。

公訴時効とは、犯罪行為が終わった時から一定期間が経過した場合に、起訴ができなくなる制度のことです。時間が経つことで証拠が散逸し、公正な裁判が難しくなることなどを考慮して設けられたものです。

起訴とは、検察官が裁判所に対し、被疑者を刑事裁判にかける手続きを行うことを指します。起訴がなされると裁判で有罪か無罪かが判断されますが、公訴時効が完成すると、そもそも起訴自体ができなくなります。

仮に、公訴時効が完成した後に誤って起訴された場合でも、裁判所は「免訴」の判決を言い渡すため(刑事訴訟法第337条4号)、刑罰を科されることはありません。

なお、わいせつな画像や動画を配ったり、ネット上にアップロードして誰でも見られる状態にしたりする行為(後者はわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪と呼ばれ、電磁的記録媒体陳列罪ともいわれます)は、わいせつ物頒布等罪(刑法第175条)にあたります。拘禁刑の上限が2年で、長期5年未満の罪にあたるため、公訴時効は公然わいせつ罪と同じ3年です。

公然わいせつ罪以外の犯罪の時効期間については「刑事事件の時効は何年?公訴時効を一覧表で犯罪別に解説」で一覧にまとめています。

公訴時効の起算点はいつから?

公訴時効は、犯罪行為が終了した時点からカウントが始まります(刑事訴訟法第253条1項)。公然わいせつ罪の場合、わいせつな行為をやめた瞬間が起算点です。

たとえば、路上で陰部を露出した場合、露出行為をやめた時点から3年間が時効期間となります。「警察に発覚した日」や「被害届が出された日」ではなく、あくまで行為が終了した時点から起算される点を押さえておきましょう。

公訴時効が停止することがある

公訴時効の進行は、主に次の3つの停止事由にあたる場合に止まります(刑事訴訟法第254条・第255条)。

  • 起訴された場合
    → 起訴された時点で時効は停止します。共犯の一人が起訴されれば、他の共犯者の時効も停止します。
  • 犯人が国外にいる場合
    → 国外にいる期間は、時効のカウントに含まれません。
  • 逃げ隠れして起訴状の謄本が送達できない場合
    → 逃げ隠れているために起訴状の謄本の送達や略式命令の告知ができなかった場合は、その期間中、時効が停止します。

たとえば、行為から1年後に国外へ逃亡した場合、時効はその時点で停止し、帰国すれば、帰国した時点から残り2年の時効期間が再び進行します。

このように、時効期間が一時停止することがあるため、単純に「3年経てば時効が成立する」とは限らない点に注意が必要です。

公然わいせつ罪で海外逃亡した場合に時効が停止し、帰国後に再開する流れを示すタイムライン図解

公然わいせつの民事上の時効は3年または20年

刑事事件の公訴時効だけでは安心できません。

公然わいせつ罪に該当する行為を行った場合、被害者が精神的苦痛を受けたとして慰謝料(損害賠償)を請求される可能性があります。この場合、民法に基づく損害賠償請求の消滅時効が適用され、一定の期間を過ぎると請求ができなくなります。

損害賠償請求の消滅時効は、次のいずれか早い方の期間で完成します(民法第724条)。

  • 被害者が損害と加害者を知った時から3年
  • 行為の時から20年

つまり、刑事事件の公訴時効が完成しても、被害者が消滅時効の期間内に損害賠償請求を行えば、民事上の責任を問われる可能性があることも覚えておきましょう。

公然わいせつの民事時効について、知った時から3年と行為から20年の2つのタイムラインを示す図解

公然わいせつ罪の時効待ちに潜む2つのリスク

「3年逃げ切れば大丈夫」という考えは危険です。公然わいせつ罪の時効完成を待つことには、以下のような大きなリスクが伴います。

後日逮捕・起訴のリスク

犯行の現場で逮捕されなかったとしても安心はできません。警察が犯行を認知し、十分な証拠を確保していた場合、時効が完成する前に後日逮捕・起訴される可能性があります。

警察庁の犯罪統計(令和7年1〜12月・確定値)によると、令和7年の公然わいせつ罪の認知件数は2,258件、検挙件数は1,687件で、検挙率は74.7%でした。この検挙率には現行犯逮捕された事件も含まれるため、後日逮捕の割合そのものではありません。

特に、以下のような状況では、時効を迎える前に後日逮捕される可能性があります。

  • わいせつ行為が防犯カメラに記録されている、または目撃者の通報や証言がある
  • 常習性が顕著であり、再犯の可能性が高い
  • 社会の耳目を集めた事件であり、警察が厳しく対応する必要があると判断する

なお、時効完成前に起訴されて有罪となれば、罰金刑でも前科がつきます。今後の就職や社会生活にも影響を及ぼしかねないため、警察や検察の動向には十分気を配る必要があります。

現行犯逮捕されなかった公然わいせつ事件が後日逮捕に至るケースについては、「公然わいせつ罪は現行犯ではなく後日逮捕されることはある?」で詳しく解説しています。

時効前に逮捕されると生活に大きな影響が出る

逮捕後は、身柄を拘束されたまま捜査が進む身柄事件と、途中で釈放されて拘束されずに進む在宅事件に分かれます。身柄事件では、逮捕から48時間以内に事件が検察官へ送られ(送致)、逮捕から最大72時間以内に、検察官が勾留を請求するかを判断します。裁判官が認めると、逃亡や証拠隠滅を防ぐための身柄拘束である勾留が原則10日間、延長されれば最長でさらに10日間続きます。在宅事件では、呼び出されて取り調べを受けた後に書類が検察官へ送られ(書類送検)、起訴されれば有罪判決で前科がつく可能性があります。

身柄事件として勾留が決定した場合、起訴・不起訴が決まるまでに最長で23日間身柄拘束が続く可能性があります。接見禁止の決定が出れば弁護士以外との面会もできなくなります。拘束が続けば仕事を長期間欠勤せざるを得なくなり、解雇や退職を促されるおそれもあります。

さらに、事件が実名報道された場合は家族にも影響が及びます。そのため、時効の完成を待つのではなく、早めの対応を検討すべきでしょう。

逮捕から起訴・不起訴が決まるまでの流れは「公然わいせつで逮捕されたらどうなる?流れや逮捕されるケース」で解説しています。

時効の完成を待たずに今すべき4つの対応

時効完成を待つリスクを避けるためには、早い段階で具体的な対応をとるべきです。状況に応じて、以下の方法が考えられます。

  • ①自首する
  • ②被害者と示談を成立させる
  • ③示談できない場合は贖罪寄付をする
  • ④再犯防止措置を講じる

①自首する

事件そのものや犯人が誰であるかが捜査機関に発覚していない段階であれば、自首を検討することが重要です。自首によって罪を認め、反省の意思を示せば、捜査機関に「逃亡や証拠隠滅のおそれがない人物」と認識される可能性が高まり、結果として逮捕を回避し、在宅のまま捜査を受けられる場合があります。

ただし、自首の法的効果は裁判で刑の減軽が認められる可能性がある点にあり、逮捕を免れるかは捜査機関の判断によります。また、自首をきっかけに、本来なら発覚しなかった可能性のある事案が問題視されるリスクもあります。

そのため、自首を検討する際は事前に弁護士へ相談し、準備を整えた上で出頭することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、出頭前に供述内容を整理し、取り調べでの受け答えについて助言を受けられます。

自首のメリットや具体的な流れについては「公然わいせつで自首すべき?5つのメリットと自首後の流れ」をご参照ください。

②被害者と示談を成立させる

自首後や捜査が始まった段階で被害者がいる場合、示談を成立させることが逮捕や起訴の回避につながることがあります。

もっとも、公然わいせつ罪は、健全な性的風俗や社会の性秩序を保護する目的で定められた犯罪であり、特定の被害者がいないケースも少なくありません。ただし、わいせつ行為を目撃した人が被害届を提出している場合は、目撃者を被害者として扱い、示談交渉を進めることが可能です。

示談交渉では、示談金の支払いを条件に被害届の取り下げを求めることが考えられます。示談が成立して被害届が取り下げられれば、不起訴処分となることもあります。

しかし、公然わいせつ事件では加害者と被害者が面識を持たないことが多いため、示談交渉は弁護士を通じて行うことが望ましいといえます。被害者が承諾すれば、捜査機関を通じて連絡先を取得し、弁護士が交渉を進められます。示談の際は、適切な謝罪や示談金の相場についても専門的な助言を受けられるため、弁護士への相談が有効です。

示談金の相場や示談の具体的な進め方については「公然わいせつの示談金相場は?示談で不起訴になるかを弁護士が解説」にまとめています。

③示談できない場合は贖罪寄付をする

被害者が特定できない、または示談交渉に応じてもらえない場合は、贖罪寄付を行うことが有効な対応策となります。

贖罪寄付とは、公然わいせつなどの罪を犯したことに対する反省の意思を示すために、被害者支援団体や慈善団体に寄付をすることです。示談が成立した場合ほどの効果は期待できませんが、捜査機関に反省の意思を示す手段として有効とされ、不起訴処分となる可能性を高める要素になり得ます。

贖罪寄付の手続きは、日本弁護士連合会(日弁連)でも案内されています。どの団体に寄付するべきか、どのような手続きを踏めばよいかについては、弁護士に相談すると適切な方法をアドバイスしてもらえます。

贖罪寄付の具体的な効果や検討すべきケース、寄付までの手続きの流れについては「贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ」で解説しています。

④再犯防止措置を講じる

再犯を防ぐための具体的な取り組みも、公然わいせつ罪への対応として欠かせません。

公然わいせつ行為は、一時的な衝動によるものもあれば、繰り返し行ってしまうケースもあります。そのため、自分の行動を客観的に見つめ、必要に応じて専門的なサポートを受けることが有効です。

たとえば、性依存症や衝動制御の問題が背景にある場合、専門医の診断を受けて治療を始めることで、再犯のリスクを低減できることがあります。専門のクリニックでのカウンセリングや通院治療を継続すれば、再犯防止の措置を講じていることを示せるため、処分を判断する際に考慮される場合があります。

また、家族や信頼できる人と問題を共有し、適切なサポートを受けることも大切です。具体的な対策については弁護士から助言を受けられます。治療やカウンセリングなどの再犯防止の取り組みを弁護士が意見書などで検察官や裁判所へ伝えれば、不起訴処分や刑の軽減につながる可能性があります。

公然わいせつ罪の不起訴率や不起訴を目指すための具体策については「公然わいせつ罪の不起訴率と不起訴を目指すためにすべきこと」もあわせてご確認ください。

公然わいせつの時効についてお悩みの方は弁護士にご相談ください

公然わいせつ罪は、公訴時効の3年が経過するまでの間に後日逮捕に至る可能性があります。時効の完成を待つよりも、自首や示談、贖罪寄付、再犯防止措置といった早期の対応をとる方が、逮捕の回避や処分の軽減につながる場合があります。

弁護士に相談すれば、現在の状況を踏まえて自首すべきかどうかの判断や、示談交渉の進め方、再犯防止策の立て方など、具体的な見通しを得ることができます。

「いつ警察から連絡が来るのだろう」という不安を抱えたまま生活を続けることは、精神的にも大きな負担です。すでに時効のカウントが進んでいる方や、防犯カメラに映っていないか心配な方も、まずは一度ご相談ください。

当事務所は、公然わいせつ罪に関する逮捕回避・不起訴獲得に向けた弁護活動の実績が豊富です。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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