公然わいせつ罪の時効は3年!時効を待たずに取るべき対応を解説

公然わいせつ罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法第250条2項6号)です。時効は、公然わいせつ行為が終了した時点から進行を開始します。時効期間が経過すると、検察官は公訴提起(起訴)できなくなり、刑事責任を問われることはありません

本記事では、公然わいせつ事件に詳しい弁護士が、以下の点について解説します。

  • 公然わいせつ罪の公訴時効
  • 公然わいせつに関する民事上の損害賠償請求の時効
  • 時効の完成を待つリスクと、時効を待たずに取るべき対応

なお、公然わいせつ事件を起こしてしまい、時効が成立するまでの間、逮捕の不安を抱えながら生活することに耐えられないとお考えの方は、この記事を最後までお読みいただき、全国無料相談の弁護士までご相談ください

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公然わいせつの時効は何年?

まずは、公然わいせつ罪の内容や時効期間について解説します。

そもそも公然わいせつ罪とは?罰則は?

公然わいせつ罪とは、公然とわいせつな行為をした場合に成立する罪です(刑法第174条)。たとえば、公園で下半身を露出したなどという場合に公然わいせつ罪に問われる可能性があります。

公然とは、不特定又は多数の人が認識できる状態のことをいいます。現実に不特定又は多数の人に見られる必要はなく、その可能性があれば足りるとされています。したがって、一部の人にしかわいせつ行為を見られなかったとしても、そこで不特定又は多数の人の目に触れる可能性のある場所である限り、公然性の要件を満たします。例えば、繁華街で下半身を露出したり、公共交通機関の車内で自慰行為をしたり、深夜の街角で性器を見せつける行為がこれに該当します。

次に、わいせつな行為とは、行為者又はその他の物の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道徳観念に反するものをいいます。例えば、カフェやレストランの席で性器を露出したり、公共の場で裸になる行為がこれに該当します。

公然わいせつの罰則は、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

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公然わいせつ罪の時効は3

公然わいせつ罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条2項6号)。これは、わいせつな行為が終了した時点から進行し、3年が経過すると、検察官はその行為について起訴することができなくなります。その結果、裁判で刑事責任を問われることはありません

公訴時効とは、犯罪が発生してから一定期間が経過した場合に、起訴ができなくなる制度のことをいいます。時間が経つことで証拠が散逸し、公正な裁判が難しくなることなどを考慮して設けられたものです。

また、起訴とは、検察官が裁判所に対し、被疑者を刑事裁判にかける手続きを行うことを指します。起訴がなされると、裁判で有罪か無罪かが判断されることになりますが、公訴時効が完成すると、そもそも起訴自体ができなくなります。

仮に、公訴時効が成立した後に誤って起訴されてしまった場合でも、裁判所は「免訴判決」を下し、刑罰を受けることはありません。

なお、公然わいせつ罪と類似する犯罪として、わいせつ物公然陳列罪やわいせつ電磁的記録媒体公然陳列罪があります。これらの時効期間も公然わいせつ罪と同じ3年とされています。

公然わいせつ罪の時効に関する注意点

次に、公訴時効の注意点について解説します。

公訴時効が停止することがある

公訴時効の進行は、特定の事由によって一時的に停止することがあります。これにより、時効期間が延びる場合があるため注意が必要です。

時効の進行が停止する主なケースは、次の3つです。

  • 起訴された場合
    → 起訴された時点で時効の進行は停止し、刑事手続きが続行されます。
  • 国外に逃亡した場合
    → 犯人が日本国外に逃亡すると、その期間は時効のカウントに含まれません。
  • 逃亡するなどして起訴状の謄本が送達できない場合
    → 被疑者が所在不明で起訴状を送達できないと判断された場合、時効の進行が停止します。

たとえば、公然わいせつ罪に該当する行為をした後、1年後に国外へ逃亡した場合、それまで進行していた1年分の時効期間はいったん停止します。その後、仮に帰国すれば、その時点から残り2年の時効期間が再び進行することになります。

このように、時効期間が一時停止することがあるため、単純に「3年経てば時効が成立する」とは限らない点に注意が必要です

民事事件(損害賠償請求)の時効もある

これまで解説してきた公然わいせつ罪の時効は刑事事件に関するものですが、刑事事件とは別に、民事事件の時効(消滅時効)も存在します

公然わいせつ罪に該当する行為を行った場合、被害者が精神的苦痛を受けたとして慰謝料(損害賠償)を請求される可能性があります。この場合、民法に基づく損害賠償請求の消滅時効が適用され、一定の期間を過ぎると請求ができなくなります。

損害賠償請求の消滅時効は、次のいずれか早い方の期間で成立します。

  • 被害者が被害および加害者を知ったときから3年
  • 行為のときから20年

つまり、刑事事件の公訴時効が成立しても、被害者が時効内に損害賠償請求を行えば、民事上の責任を問われる可能性があることを理解しておく必要があります

公然わいせつ罪の時効完成を待つリスク

公然わいせつ罪の時効成立を待つことには大きなリスクが伴います。運よく誰にも見つからなかった場合、そのまま逃げ切れると考える人もいるかもしれません。しかし、それは非常に危険な判断です。

後日逮捕・起訴のリスク

警察が事件を認知し、十分な証拠を確保していた場合、時効が完成する前に後日逮捕・起訴される可能性があります

法務省の令和5年版犯罪白書によると、公然わいせつ罪の認知件数は2387件、検挙件数は1587件とされています。これを見ると、公然わいせつ罪は約66%の確率で検挙されていることがわかります。つまり、警察が事件を認知した場合、相当な確率で捜査が進み、犯人が特定される可能性があるということです。

特に、以下のような状況では、時効を迎える前に後日逮捕されるリスクが高まります

  • わいせつ行為が防犯カメラに記録されている、または目撃者の証言がある
  • 常習性が顕著であり、再犯の可能性が高い
  • 社会の耳目を集めた事件であり、警察が厳しく対応する必要があると判断する

また、警察がすでに犯人を特定している場合、時効直前に逮捕・起訴される可能性もあります。そのため、「時効まで逃げ切れるだろう」と安易に考えるのは危険です。

なお、公訴時効は「起訴がなされなければ適用される制度」です。時効完成前に起訴されてしまえば、もはや時効の適用を受けることはできず、その後は通常の刑事手続きが進むことになります。「時効を迎えれば必ず安全」とは言えないため、警察や検察の動向には十分な注意が必要です。

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時効前に逮捕されると生活に大きな影響が出る

公然わいせつ罪で逮捕されると、身柄を拘束され、釈放されるまで警察の留置場で生活しなければなりません。外部との連絡は制限され、自由に外出することもできず、強いストレスを感じることが多いでしょう。

また、逮捕による影響は、仕事や家族にも及びます

  • 仕事への影響
    →逮捕されると長期間の欠勤を余儀なくされ、解雇や退職を促される可能性があります。会社に知られれば、社会的信用を失うリスクも高まります。
  • 家族への影響
    →逮捕によって家を空けることになれば、家族の負担は増大します。事件が実名報道された場合、家族にも影響が及ぶ可能性があります。特に、子どもがいる場合は学校での人間関係や近隣の目を気にしなければならなくなることも考えられます。

時効前に逮捕されると、今後の生活や社会的信用に大きなダメージを与える可能性があります。時効成立を待つのではなく、早めに適切な対応を検討することが重要です。

公然わいせつ罪の時効完成を待たずにすべき対応

前述の公然わいせつ罪に関するリスクを避けるためには、時効完成を待つのではなく、早期に取るべき対応を検討することが重要です。状況に応じて最適な対応を選ぶことで、逮捕や起訴のリスクを軽減することができます。以下の方法を順にご紹介しますが、それぞれの選択肢は状況に応じて選んでいく必要があります。

  • ①自首する
  • ②被害者と示談を成立させる
  • ③示談できない場合は贖罪寄付をする
  • ④再犯防止措置を講じる

①自首する

事件が捜査機関に発覚していない場合、自首を検討することが重要です。自首をすることで、罪を認め、反省の意思を示せます。捜査機関には「逃亡や証拠隠滅のおそれがない人物」と認識される可能性が高まり、結果として逮捕を回避できる場合があります

また、公然わいせつ罪は比較的軽微な犯罪とされるため、重大犯罪に比べると自首による逮捕リスクは低いと考えられます。そのため、できるだけ早く適切に対応すれば、不必要な逮捕を防げる可能性が高まります。

ただし、自首をしたからといって必ずしも逮捕を免れるわけではありません。自首の法的効果は、裁判で刑の減軽が認められる可能性がある点にありますが、逮捕を回避できるかは捜査機関の判断によります。さらに、自首をきっかけに捜査が進み、本来なら発覚しなかった可能性のある事案が問題視されるリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

こうしたリスクを踏まえ、自首を検討する際は、事前に弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士が同行することで、供述内容の整理、不利な発言の防止、警察の対応の監視などのサポートを受けられます。準備不足のまま出頭すると、不要な拘束を受ける可能性もあるため、適切な準備を整えた上で進めることが重要です。

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②被害者と示談を成立させる

被害者がいる場合、示談を成立させることが逮捕や起訴の回避につながる可能性があります

公然わいせつ罪は、性秩序・公序良俗を保護する目的で定められた犯罪ですが、特定の被害者がいないケースも少なくありません。ただし、目撃者が被害届を提出している場合、その人を実質的な被害者とみなし、示談交渉を行うことが可能です。

示談交渉では、示談金の支払いを条件に被害届の取り下げを求める形が一般的です。示談が成立すれば、被害届が取り下げられる可能性があり、結果として不起訴処分となることもあります。

しかし、公然わいせつ事件では加害者と被害者が面識を持たないことが多いため、示談交渉は弁護士を通じて行う必要があります。被害者が承諾すれば、警察を通じて連絡先を取得し、弁護士が交渉を進めることが可能です。示談の際は、適切な謝罪や示談金の相場についても専門的な助言を受けられるため、弁護士に相談することをおすすめします。

なお、被害者が特定できない場合は示談交渉自体ができないため、次に説明する贖罪寄付など別の対応を検討する必要があります。

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③示談できない場合は贖罪寄付をする

被害者が特定できない、または示談交渉に応じてもらえない場合は、贖罪寄付を行うことが有効な対応策となります

贖罪寄付とは、罪を犯したことに対する反省の意思を示すために、被害者支援団体や慈善団体に寄付をすることです。示談が成立した場合ほどの効果は期待できませんが、捜査機関に反省の意思を示す手段として有効とされ、不起訴処分となる可能性を高める要素になり得ます

贖罪寄付の手続きは、日本弁護士連合会(日弁連)などの公的機関でも案内されています。どの団体に寄付するべきか、どのような手続きを踏めばよいかについては、弁護士に相談すると適切な方法をアドバイスしてもらえます。

④再犯防止措置を講じる

公然わいせつ罪の対応として、再発防止のための具体的な取り組みを行うことが重要です。

公然わいせつ行為は、一時的な衝動によるケースもあれば、繰り返し行ってしまうケースもあります。そのため、自分の行動を客観的に見つめ、必要に応じて専門的なサポートを受けることが有効です。

例えば、性依存症や衝動制御の問題が背景にある場合、専門の医師による診断を受け、治療を開始することで、再発のリスクを低減できる可能性があります。特に、専門のクリニックでカウンセリングを受けたり、通院治療を継続したりすることで、再発防止に努めていることを示すことができるため、処分を判断する際に考慮される場合があります。

また、家族や信頼できる人と問題を共有し、適切なサポートを受けることも重要です。こうした取り組みを行うことで、捜査機関や裁判所に対して前向きな姿勢を示すことができ、不起訴処分や刑の軽減につながる可能性があります。

弁護士に相談することで、どのような再発防止策を講じるべきかのアドバイスを受けたり、裁判所や検察官に対して適切に再発防止の取り組みを伝えたりするサポートを受けることができます。

まとめ

公然わいせつ罪の時効は行為の時から3年です。時効が完成すれば、検挙や逮捕、起訴、刑罰を受ける可能性はなくなります。しかし、3年という期間は短いようで長く、その間、警察からの呼び出しや逮捕の不安を抱え続けることは精神的に大きな負担となります。

そうした不安を抱えたまま生活するのではなく、早めに弁護士に相談し、適切な対応を検討することが重要です。弁護士に相談することで、今後取るべき対応が明確になり、不安から解放されるだけでなく、逮捕や起訴を回避できる可能性も高まります。

当事務所は、公然わいせつ罪に関する逮捕回避・不起訴獲得の実績が豊富です。依頼者の状況に応じた最適なサポートを提供し、親身かつ誠実に全力で守ります。時効完成を待つことによるリスクを避けたいとお考えの方は、ぜひ当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。

公然わいせつの弁護士費用の相場は?依頼のメリットや選び方を解説

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