公然わいせつをしてしまい、その場では逮捕されなかったものの、
- 「ある日、突然警察が訪れてきて、逮捕されるのではないか…逮捕される前に自首した方がいいのだろうか…」
- 「でも、自首することでどんなメリットがあるのだろう…自首するとその後、どうなってしまうのだろう…」
といった悩みや不安を抱える方も少なくありません。
そこでこの記事では、公然わいせつ事件に強い弁護士が、
- 公然わいせつで自首をするメリット
- 公然わいせつで自首をした後の流れ
- 公然わいせつで自首をする時の注意点
などについて詳しく解説していきます。
なお、心当たりのある行為をしてしまい逮捕に怯えて暮らされている方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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公然わいせつで自首をするメリットは?
自首とは、犯人が司法警察員・検察官に対して自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることをいいます。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首した場合には、その刑を減軽することができると刑法に規定されています(刑法第42条1項)。そのため自首が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 自発的に自分の犯罪事実を申告すること
- 自身への刑事処分を求めていること
- 捜査機関に対して申告すること
- 事件の犯人と発覚する前に申告すること
そして、自首をすることで、次で挙げる5つのメリットを得られる可能性があります。
- ①逮捕・報道回避の可能性を高めることができる
- ②不起訴・減軽の可能性を高めることができる
- ③示談成立の可能性を高めることができる
- ④家族や会社への発覚を回避することができる
- ⑤不安な気持ちから解放される
以下でそれぞれのメリットにつき解説していきます。
①逮捕・報道回避の可能性を高めることができる
公然わいせつ事件を起こした場合には、後日逮捕され、各種メディアで報道される可能性があります。
公然わいせつ罪の法定刑は、「6月以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」です。他の性犯罪に比べて重大犯罪とまでは言えません。そのため、逮捕される前に自首した場合には身体拘束を受けずに済む可能性があります。
自首をして犯罪事実を正直に話して反省の態度を示すことで、逃亡・罪証隠滅のおそれがないと判断される可能性があり、そのような場合には逮捕・勾留されることを回避できる可能性があるのです。逮捕・勾留されない場合には、身体拘束を受けず在宅事件として刑事手続きが進んでいくことになります。刑事事件の被疑者であることには変わりありませんが、これまでどおり社会の中で日常生活を送ることができます。
また、被疑者が逮捕されてない公然わいせつ事件の場合には、重大事件ではないとして、実名報道がされない可能性が高まります。
インターネット上のニュースや記事で実名が公表されてしまうと、誰でも簡単に事件の概要を知ることができ、また時間が経過しても半永久的に残ってしまうおそれがありますが、実名報道を回避できるとこのようなリスクもなくなります。
②不起訴・減軽の可能性を高めることができる
公然わいせつ事件を起こした場合には、検察官に起訴され、刑事裁判を受ける可能性があります。刑事事件によって起訴された場合には、高い確率で有罪判決を受ける可能性があります。
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%と言われており、起訴されてしまうと有罪認定される可能性が相当高く、無罪とされるケースはほとんどありません。
さらに、公然わいせつ事件により有罪判決を受けてしまうと「前科」が付くことになります。前科とは、過去に有罪判決を受けたという記録のことです。懲役や罰金などの実刑に処せられたケースのみならず、執行猶予が付されたケースでも前科記録は残ってしまいます。
高い有罪率に対して検察官が起訴する起訴率はおよそ3割です。検察官は捜査をしたすべての事件について公訴を提起するわけではありません。嫌疑不十分・起訴猶予の判断がなされた場合には不起訴処分となり、刑事裁判を受けることもないため前科が残ることもありません。
刑事事件を起こしても自首をした場合には、不起訴処分となる可能性があります。また、自首は被告人にとって有利な情状であるため、仮に公訴提起されたとしても、執行猶予など刑が減軽される可能性もあります。
③示談成立の可能性を高めることができる
公然わいせつで自首することで、被害者との示談の可能性を高めることもできます。
公然わいせつ行為は、健全な性風俗を侵害するという社会的な犯罪であるため、特定の被害者や目撃者と示談をしたことで不起訴に直結するわけではありません。しかし、公然わいせつ事件でターゲットとされた特定の女性や目撃者については、実際に不快な思いをしているため事実上の被害者であるとみなすことができます。そのため、目撃者や被害者と示談をすることで本人が被害を謝罪して罪を素直に認めて反省していると評価することができます。
そして、捜査機関に自らの犯行を認めて自首している場合には、謝罪や反省の気持ちを相手に受け入れてもらいやすくなるため、示談の話し合いを行いやすくなる可能性があります。
逆に、逮捕されてから初めて被害者に示談の申入れをした場合には、「逮捕されたから謝罪することにした」として反省していないと受け取られ、示談交渉が難航するおそれがあります。
④家族や会社への発覚を回避することができる
弁護士に同行してもらい自首することで、家族や会社への発覚を回避できる可能性があります。
公然わいせつ事件の被疑者として特定された場合には、逮捕されずに在宅事件として捜査が進められるケースも少なくありません。在宅事件となった場合、取り調べのため警察署や検察庁から呼び出しがあれば出頭する必要がありますが、それ以外はこれまでどおり日常生活を送ることができます。
そのため、逃亡や罪証隠滅を防ぐために、被疑者の家族に連絡して身元引受人として警察署まで迎えに来てもらうことがあります。同居の親族や家族が近隣にいない場合には、職場の上司などが身元引受人になってもらうケースもあります。
このように在宅事件となった場合であっても、家族や職場に事件が発覚してしまう可能性があります。しかし、弁護士に依頼して自首に同行してもらう場合には、弁護士に身元引受人になってもらうことができるため、家族や上司に事件が発覚することを回避できる可能性があります。
⑤不安な気持ちから解放される
さらに、自首をすることで日々の不安な気持ちから解放されます。
公然わいせつ事件を起こした場合、「いつ逮捕されるだろうか」「このまま生活を続けることができるのか」という不安を抱えながら日々の生活を送っていくことになります。
いつか突然警察が自宅にやってくるのではないかという不安感や恐怖心は、間断なくストレスを与え続けることになります。絶え間ないストレスは、場合によっては、体調不良や抑うつ気分を引き起こす原因にすらなります。
しかし、自首をして正直に罪を認めて反省することで、このようなストレスから解放されることになります。事前に弁護士に相談しておくことで、自首をしたあとの対応も任せておくことができます。
このように日常的な精神的なストレスから解放されることも自首のメリットのひとつです。
公然わいせつで自首をする時の注意点
証拠がない場合でも自首をしておく
公然わいせつの証拠がない場合であっても自首することはできます。自首の要件として証拠があることは必要とされていません。
ただし、本人の供述のほかには防犯カメラ映像や被害届がない場合には、警察も刑事事件が実際に発生したのかどうかを確認することができないため、出頭しても自首として取り扱われない可能性があります。このように刑事事件として立件されなかった場合には、被疑者として捜査の対象とされることもないため、自首をした本人に不利益はありません。
後日、改めて被害届などによって犯罪事実の存在を捜査機関が把握した場合には、当初に出頭した時点に自首していたとして、被疑者にとって有利な事情となります。
したがって、公然わいせつ事件について何の証拠もない場合であっても、自首をしておくことがメリットになる可能性があるのです。
証拠がない場合でも自首をすべきかどうか悩まれている方は、証拠がない場合でも自首は成立する?わかりやすく解説をご覧になってください。
犯行時に着用していた服を持参する
自首する際には、公然わいせつの犯行時に着用していた服を着ていくか、持参することが重要です。
公然わいせつ事件で逮捕される場合は、現行犯逮捕または後日逮捕です。後日逮捕される場合には、被害者や目撃者の証言や防犯カメラ映像などをもとに犯人と被疑者の特徴が一致している必要があります。犯人の見た目や服装と一致する場合には、事件の被疑者として立件されることになります。
そのため、自首をする場合には、事件当時に着ていた服を持参して出頭することで別途自宅等を捜索される負担を避けることができます。
犯行現場に近づかないことを確約する書面を持参する
公然わいせつの犯行現場に近づかないことを確約する書面を持参することも重要です。
公然わいせつ事件では、特定の場所で繰り返し行われる可能性が高く、目撃者や被害者も日常的にその場所を利用・通行する人である可能性があります。そして、犯人が再びその場所に行き来して、目撃者や被害者に接触するような可能性がある場合には逮捕されるおそれがあります。被疑者が自首したとしても、再度、犯行現場周辺に現れるとなると、また被害者や目撃者は被疑者と遭遇してしまうリスクがあります。自首したとしてもそのような可能性が残る限り再犯のおそれがあるとして、逮捕される可能性が高まります。
したがって、自首する際には、今後犯行現場には近づかないことを誓約した書面に署名・押印したうえで警察に提出しておくことが大切です。
犯行現場を管轄する警察署に出頭する
公然わいせつで自首する際には、犯行現場を管轄する警察署に出頭する必要があります。
自首しようとする者が警察署に現れた場合、警察署は管轄区域の事件であるかどうかを問わず、受理しなければならないとされています(犯罪捜査規範第63条)。つまり、自首は事件の管轄区域内にある警察署や派出所であれば、どこに出頭しても受理されることになっています。
ただし、公然わいせつの犯罪現場や被疑者の居住している地域と全く関係のない遠方の警察署に自首をしようとすると、被害状況や捜査状況が分からないため、手続きがスムーズに進まないおそれがあります。
したがって、自首する場合には、犯行現場を管轄する警察署に出頭するようにしましょう。
公然わいせつで自首する場合の流れ
自首をした日の流れ
公然わいせつで自首した日の当日の流れは以下のようになります。
- 警察での取調べ
- 顔写真や全身写真を撮影
- 持ち物や車両の撮影
- 犯行現場における実況見分
- 身元引受
①警察での取調べ
公然わいせつ事件を起こしたとして警察署に自首した場合には、まずは個室に案内され取調べを受けることになります。事件の日時や場所、犯行の内容、犯行動機など事件の概要や、出頭した者の氏名、生年月日、住所、家族との同居関係など身上に関して聴取されることになります。このように取調べを受けた結果、公然わいせつ事件を起こしたことを認める自白調書が作成されることになります。調書の内容に間違いがないことを確認されると、本人が署名・捺印します。
取調べが終了すると取調べ状況報告書が作成されます。
②顔写真や全身写真を撮影
警察署では被疑者の顔写真や全身写真を撮影します。目撃証言や防犯カメラ映像と比較するために、公然わいせつの犯行当時に着用していた衣類を着たうえで撮影されることになります。
③持ち物や車両の撮影
公然わいせつの犯行当時に着用していた衣類や持ち物を持参した場合には、それぞれについて説明した調書や写真撮影報告書などが作成されます。自動車やバイク、自転車を利用して公然わいせつ事件を起こした場合には、その車両についても写真等が撮影されます。
④犯行現場における実況見分
警察官に同行し公然わいせつの犯行現場まで移動し、実況見分を行います。犯行現場で具体的にどのような相手にどのような行為を行ったのかという点について、詳細に警察官に対して説明することになります。単純な露出犯などの場合には、数十分程度で終わることが多いでしょう。
⑤身元引受
警察署に戻り、被疑者に身元引受人がいる場合には、その者に被疑者の迎えを依頼することがあります。弁護士が自首に同行した場合には、弁護士が身元引受人となることもあります。
弁護士が身元引受人になることで家族や会社の上司などに公然わいせつ事件を起こしたことの連絡がいくことを回避できます。
弁護士が身元引受人となることのメリットについて詳しくは、身元引受人を弁護士に頼むことはできる?頼むメリットはある?をご覧になってください。
自首した後の流れ
次に、公然わいせつで自首した後の流れについて説明します。
- 捜査
- 検察官に書類送検
- 起訴または不起訴の判断
①捜査
在宅事件(逮捕・勾留されずに普段通りの生活を送りながら捜査や裁判を受ける刑事事件)になった場合には、自首をしてから1〜3か月程度で捜査資料が検察官に送致されることになります。他の事件の多さによっては、検察官送致まで半年前後かかるケースもあります。警察署に呼び出され指紋やDNA採取など、取調べ以外の捜査が実施されることもあります。
②検察官に書類送検
検察官に捜査資料が送致された場合、事件の担当検事がどのような処分をするかを決定します。公然わいせつ事件の場合、検察官の取調べを受けてから最終的な処分が決まることが多いでしょう。
③起訴または不起訴の判断
取調べをした検察官は、起訴または不起訴の処分を決定します。
検察官の取調べの際、略式手続きについての説明があれば、略式起訴(正式な裁判手続きではなく、書面での審理のみで刑罰を言い渡す裁判手続きを求めること)により罰金刑になり事件が終了する可能性があります。また、検察官の判断により、不起訴処分となることもあります。
ただし、性犯罪の前科・前歴がある場合や、常習的に公然わいせつにあたる行為を行っていたなどの事情がある場合には、正式起訴(公開の法廷での裁判を求める起訴)される可能性もあります。
公然わいせつで自首を検討する場合に弁護士に相談するメリット
自首後の見通しを立ててもらえる
公然わいせつで自首した場合、在宅事件になる可能性がありますが、絶対に逮捕されないという保証はありません。逃亡・罪証隠滅のおそれがあると判断された場合には、逮捕・勾留され身柄事件として捜査が進む可能性があります。また、自首してしまうと公訴時効が完成して罪を免れる可能性がなくなります。時効の完成による放免の可能性がなくなるのは自首のデメリットです。
弁護士に相談することで、このようなリスクや今度の見通しについて説明してもらうことができます。もちろん自首にはメリットとデメリットの両方があります。ご自身のケースでどのような対処をするのが適切なのかについても弁護士にアドバイスを受けることができます。
弁護士に相談すれば、事件が解決するまで常にサポートしてもらうことができます。
自首に同行してもらえる
弁護士に依頼することで自首に同行してもらうことができます。
弁護士が自首に同行した場合には、警察官に上申書を提出し、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを説明します。また、弁護士が身元引受人になることで身体拘束を受けずに釈放される可能性が高まります。弁護士が身元引受人になった場合には、家族や職場の人間に事件が発覚せずに済む可能性もあります。
そして、弁護士が自首に同行した場合には、取調べが終わるまで警察署内で待機してもらえます。そのため、取調べに対してどのように対応してよいか分からなくなった場合には、すぐに取調べを中断して弁護士に相談することができます。基本的に弁護士が同席したうえで取調べを受けることは認められないため、本人が取調べを受けている最中は控室や警察署の1階などで弁護士は待機することになります。
弁護士が同行するかどうかで、警察官の取調べの態度は大きく変わります。弁護士の同行なしで取調べを受けた場合には高圧的で厳しい追及を受けることが多々ありますが、弁護士が同行した場合には、取調官も弁護士の存在を意識するため、行き過ぎた取り調べを受ける可能性は低くなります。
弁護士が自首に同行するメリットについて詳しくは、自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?をご覧になってください。
被害者と示談交渉をしてくれる
公然わいせつ事件に被害者がいる場合には、示談交渉も弁護士に任せることができます。
被害者が知り合いの場合などで連絡先を知っている場合には、弁護士が直接示談の意思を確認することができます。これに対して被害者の連絡先を知らない場合には、捜査機関に被害者の連絡先を確認する必要があります。弁護士が示談交渉を目的する場合に限り、被害者に意思確認のうえで、連絡先を教えてもらえることがあります。
話し合いによって示談条件が整った場合には、示談書を作成し取り交わしを行います。
示談書に宥恕条項や清算条項が記載されているかどうかがポイントとなります。宥恕条項とは、加害者が被害者を許すことを示す条項です。清算条項とは、当事者の間で示談された事件についてこれ以上の債権債務関係がないことを示す条項です。
このような示談書がある場合には、不起訴や刑の減軽を獲得できる可能性が高まります。
まとめ
以上、公然わいせつ事件を起こして自首を考えている場合には、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。
事件について弁護士にすべて正直に話したうえで、どのような対応をとるのが適切なのかアドバイスを受けてください。弁護士が自首に同行することで、逮捕や起訴を回避できる可能性があります。
当事務所は、公然わいせつ事件における逮捕の回避や不起訴の獲得を得意としており、豊富な解決実績があります。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守りますので、公然わいせつで自首をお考えの方は、ぜひ当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。
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