
風営法の営業時間違反は、摘発や行政処分につながり、営業停止や許可取消しといった重大なリスクを招きます。風営法では業種ごとに細かく営業時間が規定されており、ホストクラブやキャバクラ、ラウンジ、ガールズバー、パチンコ店、ゲームセンターなど、それぞれの営業形態に応じて守るべき時間帯が異なります。
「知らずに違反してしまったらどうしよう…」「うちの店はどこまで営業できるのか分からない」と不安を抱える方も少なくありません。違反は知らなかったでは済まされず、軽微なケースでも指示処分や営業停止、悪質と判断されれば許可取消しとなる可能性があります。
この記事では、風営法の営業時間一覧を業態ごとに整理し、違反にあたるケースや罰則の内容もわかりやすく解説します。風営法違反に強い弁護士が実務の視点から詳しく解説していきますので、最後まで読むことで思わぬ営業時間違反を避け、適切な営業判断を行うための知識を身につけられます。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|
目次
風営法の営業時間一覧
以下では、風営法で規制される主な業種ごとの営業時間を整理しています。風俗営業、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業、性風俗関連特殊営業といった分類ごとに、原則の営業時間と条例による例外を一覧にまとめました。自分の業態がどこに該当するのかを確認しながら読み進めてください。
風俗営業(ホストクラブ、キャバクラ、ラウンジ、接待を行うスナック・ガールズバー・コンカフェ、個室カラオケ、パチンコ店・雀荘、ゲームセンターなど)の営業時間
業種 | 風俗営業の種類 | 具体例 | 営業時間 | |
風俗営業 | 接待飲食等営業 | 1号営業(接待飲食) | ホストクラブ、キャバクラ、ラウンジ、スナック、ガールズバー、コンカフェなど | 原則:午前6時~午前0時/条例による延長許容地域:午前6時~午前1時 |
2号営業(低照度飲食店) | 喫茶店、バーなど | 原則:午前6時~午前0時/条例による延長許容地域:午前6時~午前1時 | ||
3号営業(区画席飲食店) | カップル喫茶、個室居酒屋、個室カラオケなど | 原則:午前6時~午前0時/条例による延長許容地域:午前6時~午前1時 | ||
遊技場営業 | 4号営業(射幸性遊技場) | パチンコ店、スロット店、雀荘など | 各都道府県の条例による
例)東京:午前10時~午後11時 |
|
5号営業(ゲーム機設置店) | ゲームセンター、アミューズメントカジノなど | 原則:午前6時~午前0時
各都道府県の条例による年少者の立入禁止あり
|
1号営業(接待飲食店:ホストクラブ、キャバクラ、ラウンジ、スナック、ガールズバー、コンカフェなど)
「1号営業」とは、「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」を指します。
具体的には、ホストクラブ、キャバクラ、ラウンジ、キャバレー、スナック、ガールズバー、コンセプトカフェ(いわゆる「コンカフェ」。メイドカフェなど)等が該当する可能性があります。
「接待」とは、客の隣に座ってお酌をしたり、カラオケでデュエットしたり、談笑したりするなど、客の傍にいて、特定少数の客に継続的に歓楽をもてなす行為を指します。また、「遊興の提供」にあたる行為の具体例としては、歌や踊りの披露、ゲームの相手をする、ショーを行うなどが挙げられます。
そして、1号営業の営業時間は、原則として「午前6時〜午前0時まで」と定められており、風営法上、深夜(午前0時〜午前6時まで)の営業は禁止されています。また、風俗営業許可と、後述する深夜酒類提供飲食店営業の届出は実質的に同時取得ができないため、風俗営業として午前0時以降も営業することは原則として認められません。
ただし、各都道府県の条例で「営業延長許容地域」が定められている場合は、その地域に限り午前1時までの営業が可能です。詳細は各都道府県の条例をご確認ください。
なお、スナックやガールズバー、メイドカフェ・コンセプトカフェなどの中には、必ずしも接待行為を伴わない営業形態もあります。この場合には「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をすることで、午前0時以降も営業が可能となり、実質的に24時間営業を行うことも認められます。
ラウンジは風営法違反になる?風俗営業許可が必要なケースを解説
コンカフェが風営法違反で逮捕・摘発されるケースを弁護士が解説
風営法違反は逮捕される?よくある違反行為と罰則を弁護士が解説
2号営業(低照度飲食店:喫茶店やバーなど)
2号営業とは、店内の照度を10ルクス以下にして客に飲食をさせる営業を指します。
具体的には、喫茶店、バー、雰囲気重視の飲食店などが該当する可能性があります。ムードのある雰囲気を演出するために証明を暗くしている喫茶店やバーであっても、10ルクス以下になると風俗営業法上の許可が必要となります。
客室については、客席と客に遊興をさせるための部分の双方において、照度を測定したうえで、いずれかの測定場所の照度が10ルクス以下である場合には、低照度飲食店営業に該当することになります。
10ルクスがどの程度の暗さかというと、一般的にローソクの炎程度で、向かい側の人の顔がようやく見える明るさと表現されることがあり、具体的には劇場や映画館の休憩時間の明るさに例えられます。したがって、かなり暗い飲食店と言えるでしょう。
2号営業の営業時間は、原則として「午前6時〜午前0時まで」と定められており、風営法上、深夜(午前0時〜午前6時まで)の営業は原則として禁止されています。
ただし、各都道府県の条例で営業延長許容地域が定められている場合は、その地域に限り午前1時までの営業が可能です。詳細は各都道府県の条例をご確認ください。
なお、このような低照度飲食店営業で接待行為を行う場合には、風俗営業の1号営業に該当するため、別途1号営業の許可が必要となります。
3号営業(区画席飲食店:個室居酒屋、カップル喫茶、個室カラオケボックスなど)
3号営業とは、設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むものを指します。
このような区画席飲食店は、周囲の目が届かない密室内で、みだらな行為や違法な取引が行われるおそれがあることから、都道府県公安員会から許可を受ける必要があるのです。
具体的には、カップル喫茶、個室居酒屋、ビデオボックス、DVD鑑賞店、個室カラオケボックスなどが該当する可能性があります。インターネットカフェ(ネカフェ)であっても、上記の構造を持つものについては、区画席飲食店に該当するため、風俗営業法上の許可が必要となります。
3号営業の営業時間は、原則として「午前6時〜午前0時まで」と定められており、風営法上、深夜(午前0時〜午前6時まで)の営業は原則として禁止されています。
ただし、各都道府県の条例で営業延長許容地域が定められている場合は、その地域に限り午前1時までの営業が可能です。
4号営業(射幸性遊技場:雀荘、パチンコ店など)
4号営業とは、遊技設備を設置し、射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を指します。
具体的には、パチンコ店、スロット店、雀荘などが該当する可能性があります。
4号営業の営業時間は、都道府県の条例により異なります。パチンコ店は一般的に「午前10時〜午後11時まで」の地域が多いですが、地域によっては大きく異なる営業時間を設定している都道府県もあります。
【午前10時~午後11時以外のパチンコ店営業時間例】
営業時間 | 都道府県 |
午前8時~午前0時 | 宮城県 |
午前8:30~午後11時 | 青森県 |
午前9時~午前0時 | 三重県、沖縄県 |
午前9時~午後10:30 | 静岡県 |
午後9時~午後11:30 | 愛媛県 |
午前9時~午後11時 | 北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、神奈川県、茨城県、栃木県、愛知県、新潟県、富山県、福井県、岐阜県、広島県、岡山県、山口県、鳥取県、島根県、徳島県、香川県、高知県 |
なお、パチンコ店には営業延長許容地域の適用がないため、条例で定められた時間を超えての延長営業はできません。
一方、雀荘については、風営法の原則として午前0時から午前6時までの深夜営業が禁止されていますが、営業延長許容地域では午前1時まで営業が可能です。ただし、東京都のように用途地域によって午前10時から午後11時に制限される場合もあるため、詳細は各都道府県の条例をご確認ください。
5号営業(ゲーム機設置店:ゲームセンター、アミューズメントカジノなど)
5号営業とは、射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるゲーム機を備える施設で、客に遊技をさせる営業を指します。
ゲームセンターは、ゲーム機賭博事犯や少年犯罪の温床となるおそれがあるため、その健全化と業務の適正化を図るために、その営業には公安員会の許可が必要となります。
具体的には、ゲームセンター、メダルゲーム専門店、アミューズメントカジノなどが該当する可能性がありますが、射幸心をそそる遊技設備とはいえない「ドライブゲーム」や「飛行シミュレーションゲーム」、「モグラ叩き機」などは対象外とされています。
そして、5号営業の営業時間は、原則として午前6時から午前0時までと定められており、風営法上、午前0時から午前6時までの営業は原則として禁止されています。
ただし、各都道府県の条例で営業開始時間が異なります。例えば東京都では午前10時から午前0時、愛知県では午前9時から午前0時となっています。また、各都道府県の条例で営業延長許容地域が定められている場合は、その地域に限り午前1時までの営業が可能です。
なお、風営法の規制対象外の設備のみを設置したゲームセンターであれば、24時間営業も可能です。
また、5号営業には年少者の立入り制限時間も別途定められています。例えば東京都の条例では、16歳未満は午後6時まで、16歳未満(保護者同伴)は午後10時まで、18歳未満は午後10時までとなっています。
特定遊興飲食店営業(ナイトクラブ、カラオケバーなど)の営業時間
特定遊興飲食店営業とは、深夜(午前0時〜午前6時)に客に酒類を提供し、かつ客に遊興をさせる営業を指します。
具体的には、ナイトクラブ、カラオケバー、スポーツバー、ショーパブ、ライブハウス、ディスコなどが該当する可能性があります。
このような業態が風俗営業と区別されていることに疑問を感じる方もいると思いますが、これは深夜という時間帯の特殊性にあります。深夜は一般的に多くの人が睡眠を取っていることから、人目が少なくなり、規範の逸脱に対する制御機能が低下する時間帯です。さらに、日中の勤務から解放され長時間にわたって慰安を求め続ける人が多くなるのも深夜帯です。そのため、遊興と飲酒が組み合わさることで、騒音、酔客によるトラブル、性的な問題など、風紀上の問題が発生するリスクが高まると考えられています。
特定遊興飲食店営業は、風営法上は営業時間の制限がありませんが、各都道府県の条例で営業禁止時間が定められています。例えば、東京都・大阪府・京都府では午前5時〜午前6時、兵庫県では午前6時〜午前10時の営業が禁止されています。
特定遊興飲食店営業の最大の特徴は、風俗営業では禁止されている深夜時間帯(午前0時〜午前6時)の営業が可能な点です。
ただし、この営業形態で接待行為を行うと、風俗営業の1号営業に該当することになり、営業時間は午前0時までに制限されるため注意が必要です。
深夜酒類提供飲食店営業(居酒屋、バー、接待を行わないスナック・ガールズバー・コンカフェなど)の営業時間
深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜(午前0時〜午前6時)に酒類をメインで提供する飲食店営業を指します。
具体的には、居酒屋、バー、接待を行わないコンカフェ、ガールズバー、スナックなどが該当する可能性があります。
酒類を提供する飲食店営業は、原則として午前0時〜午前6時までの営業は禁止されています。しかし、この深夜酒類提供飲食店営業の届出を出すことで、24時間営業が可能となります。
ただし、深夜酒類提供飲食店営業では接待行為や遊興の提供は認められていません。これらの行為を行うと風俗営業の1号営業に該当し、営業時間は午前0時までに制限されることになります。
性風俗関連特殊営業(ソープ、ヘルス、ホテヘル、デリヘル、個室ビデオ、ラブホテル、出会い喫茶、アダルトグッズ販売店、有料アダルトサイト、テレクラなど)の営業時間
業種 | 風俗営業の種類 | 具体例 | 営業時間 | |
性風俗関連特殊営業 | 店舗型性風俗特殊営業 | 1号営業 | ソープランド | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) |
2号営業 | ファッションヘルス、性感マッサージなど | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) | ||
3号営業 | ヌードスタジオ、個室ビデオ、のぞき部屋、ストリップ劇場など | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) | ||
4号営業 | ラブホテル、モーテル、レンタルルームなど | 24時間営業可能 | ||
5号営業 | アダルトグッズ販売店 | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) | ||
6号営業 | 出会い喫茶、出会いカフェなど | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) | ||
無店舗型性風俗特殊営業 | 1号営業 | デリバリーヘルス、ホテルヘルス | 24時間営業可能(受付所は午前0時~午前6時は営業禁止) | |
2号営業 | アダルトグッズ通信販売 | 24時間営業可能 | ||
映像送信型性風俗特殊営業 | インターネット等利用のアダルト画像送信営業 | 有料アダルトサイト、ライブチャットなど | 24時間営業可能 | |
電話異性紹介営業 | 店舗型 | テレフォンクラブなど | 午前0時まで(午前0時~午前6時は営業禁止) | |
無店舗型 | ツーショットダイヤルなど | 24時間営業可能 |
店舗型性風俗特殊営業
店舗型性風俗特殊営業とは、店舗を設けてその店舗内でサービスを提供する形態の性風俗営業で、1号から6号に分類されます。
- 1号営業(ソープランド)
浴場業の施設として個室を設け、個室で異性の客に接触するサービスを提供する営業です。 - 2号営業(ファッションヘルス、イメージクラブ、性感マッサージなど)
個室を設け、異性の客の性的好奇心に応えて接触するサービスを提供する営業です。ただし、1号営業に該当するものは除かれます。 - 3号営業(ストリップ劇場、ポルノ映画館など)
性的好奇心をそそる目的で、裸体の姿態を見せる興行など、風俗や少年の健全な育成に著しい影響を与える興行を行う営業です。 - 4号営業(ラブホテル、レンタルルームなど)
異性を同伴する客の宿泊や休憩に特化した施設を設け、利用させる営業です。 - 5号営業(アダルトグッズ販売店)
性的好奇心をそそる写真やビデオテープ、その他物品を販売または貸し付ける店舗を設けている営業です。 - 6号営業(出会い喫茶、出会いカフェ、出会いバーなど)
店舗を設けて、面識のない異性との一時的な交際を希望する客に対し、異性の姿態や画像を見て面会の申込みを取り次いだり、個室などで異性と面会する機会を提供したりする営業です。
そして、店舗型性風俗特殊営業の営業時間について、1号営業(ソープランド)、2号営業(ファッションヘルス、イメージクラブ、性感マッサージなど)、3号営業(ストリップ劇場、ポルノ映画館など)、5号営業(アダルトグッズ販売店)、6号営業(出会い系喫茶)については、午前0時までと定められており、午前0時から午前6時までは営業できません。
これに対して、4号営業(ラブホテル・モーテル・レンタルルームなど)は、24時間営業が可能です。
無店舗型性風俗特殊営業
無店舗型性風俗特殊営業は、店舗を持たない営業形態で、1号と2号に分類されます。
- 1号営業(デリバリーヘルス、ホテルヘルス)
客の住居や宿泊施設に、性的好奇心に応じたサービスを提供する者を派遣する営業です。デリバリーヘルスやホテルヘルスなどがこれに該当します。 - 2号営業(アダルトビデオ等通信販売営業)
電話やインターネットなどを通じて客からの依頼を受け、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープなどの物品を販売または貸し出す営業です。通信販売や宅配便を利用して商品を届けます。
そして、1号営業(デリバリーヘルス、ホテルヘルス)、2号営業(アダルトグッズ通信販売)については、24時間営業が可能です。ただし、ホテルヘルスの場合、受付所は午前0時から午前6時まで営業ができない点には注意が必要です。
映像送信型性風俗特殊営業
映像送信型性風俗特殊営業とは、インターネットを利用した画像・映像配信業を指します。
具体的には、有料アダルトサイトやアダルトライブチャットなどがこれに該当します。店舗を持たずにサービスを提供できるのが特徴です。
この営業形態は、24時間営業が可能です。
店舗型電話異性紹介営業
店舗型電話異性紹介営業とは、テレフォンクラブのように、店舗を設けて面識のない異性との一時的な会話や交際を希望する客に対し、会話の機会を提供する営業です。
具体的には、店舗にいる一方の客からの電話による会話の申し込みを、店内にいるもう一方の客に取り次ぐことによって異性を紹介する形態を指します。
この営業の営業時間は、午前0時までと定められており、午前0時から午前6時までは営業できません。
無店舗型電話異性紹介営業
無店舗型電話異性紹介営業とは、ツーショットダイヤルや伝言ダイヤルといった、電話や通信設備を使って、面識のない異性との一時的な会話や交際を希望する人同士をマッチングさせる営業を指します。
店舗を構えることなく、一方の客からの電話を、別の客に電気通信設備を介して取り次ぐことで、異性を紹介する形態です。
この営業は、24時間営業が可能です。
そもそも風営法はなぜ営業時間を規制しているのか
風営法が営業時間を厳しく規制している最大の理由は、「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」にあります。風営法で規制される事業は、酒類や射幸心をそそる遊技を伴うものが多く、特に深夜時間帯は、人々の社会規範が緩みやすく、トラブルが発生しやすいと考えられています。
実際に、過去の検挙事例を振り返ると、風俗営業に関連して売春や賭博といった犯罪が多数発生しており、騒音や酔客同士の傷害事件、未成年者の出入りなど、さまざまな問題が指摘されてきました。
風営法はこれらの問題を未然に防ぎ、地域社会の平穏を確保するために、特定の時間帯における営業を制限しています。
以上より、営業時間の規制は、風俗営業自体を否定するものではなく、あくまでもトラブルや犯罪の発生リスクを抑え、社会全体にとって健全な環境を維持するための措置といえます。具体的な営業時間は、風営法本体の条文に加え、各都道府県の条例によって定められているため、事業者は両方の規定を確認する必要があります。
風営法の営業時間違反(時間外営業)の罰則は?
風営法の営業時間違反(時間外営業)は、直接刑事罰が科されるわけではありません。しかし、この違反をきっかけに警察の立入調査が入り、その際に接待を無許可で行っていたり、立入検査を拒否したりすれば、無許可営業や検査拒否として刑事罰の対象になる可能性があります。さらに、行政処分として営業停止や許可取消しに発展することもあり、事業の継続に直結する重大なリスクとなります。
ここでは、営業時間違反がどのように処分につながるのかを、刑事罰と行政処分の両面から整理して解説します。
営業時間違反に刑事罰はある?
風営法で定められた営業時間を超えて営業した場合、それ自体に対する直接的な刑事罰の規定は原則としてありません。
しかし、時間外営業は違法行為であり、この行為をきっかけに、より重い罰則の対象となる可能性が十分にあります。
たとえば、営業時間を超えて営業していた場合、警察官が店舗に立ち入り調査を行うことがあります。この際に、正当な理由なく警察官の立ち入りを拒否したり、妨害したりすると、風営法違反として100万円以下の罰金に問われる可能性があります。実際に、立ち入りを拒んだことで逮捕されるケースも少なくありません。
また、深夜酒類提供飲食店営業の届出のみで営業している店舗が、時間帯を問わず接待行為を行った場合は、風俗営業の許可を得ずに接待を行ったことになり、「無許可営業」として処罰の対象となります。2025年6月28日の改正風営法により罰則が大幅に強化され、個人については5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその併科が科される可能性があります。
さらに、両罰規定により、違反行為が法人の業務に関して行われた場合には、行為者個人の処罰に加え、法人自体にも3億円以下の罰金が科される可能性があります。
特に、午前0時以降に接待行為を行っていた場合は、営業時間違反と無許可営業が重なる「二重違反」として扱われ、警察による取締りが一層厳格化されることに注意が必要です。
2025年の風営法改正の最新内容|何が変わる?影響や対策を解説
風営法違反は逮捕される?よくある違反行為と罰則を弁護士が解説
行政処分はどうなる?
営業時間規制に違反した場合には、刑事罰だけでなく行政処分も下される場合があります。
行政処分には、その違反内容や悪質性に応じて「指示処分」、「営業停止」、「許可取り消し」の3種類があり、公安委員会によって判断されます。
初犯で比較的軽微な違反の場合は、改善を求める「指示処分」となることが多いでしょう。
しかし、この指示に従わない場合や、悪質な営業形態と判断された場合は、「営業停止」処分が下される可能性があります。営業停止期間は20日以上6カ月以下と定められており、この期間中は一切の営業ができません。
さらに、指示処分に従わなかったり、何度も営業時間違反を繰り返したりした場合は、最も重い「許可取り消し」処分を受ける可能性があります。
一度許可が取り消されると、その後5年間は営業許可の再申請ができないため、事業の継続は極めて困難になります。
安定した経営を目指すのであれば、営業時間を含む規制の遵守を徹底することが不可欠です。
風営法の営業時間についてのよくある質問
2025年の改正風営法により営業時間に変更はありましたか?
2025年6月28日に改正風営法が施行されましたが、これによる営業時間の変更はありません。今回の改正は、主にホストクラブなどの接待飲食等営業における無許可営業や名義貸し、スカウトバックといった悪質な行為に対する罰則を強化することを目的としています。風俗営業者がより厳格なコンプライアンス体制を構築し、業界全体の健全化を図るための改正であり、既存の営業時間規制に影響を与えるものではありません。
したがって、風俗営業を行う事業者は、引き続き風俗営業法及び各都道府県の条例で定められた営業時間を遵守する必要があります。
風俗営業の朝の営業開始時間は?
繰り返しとなりますが、風営法では、風俗営業について午前0時から午前6時までの営業が原則として禁止されています。
そのため、午前6時以降であれば営業を開始することが可能です。「朝キャバ」や「朝ホスト」といった営業形態が成り立つのは、この風営法の規定に基づいているからです。
ただし、すべての風俗営業が午前6時から始められるわけではありません。
パチンコ店やゲームセンターなど一部の業種では、各都道府県の条例で「午前9時から」や「午前10時から」といった形で営業開始時間が個別に定められています。
風俗営業は年末年始になると営業時間が延長されるの?
風営法では、風俗営業者は「特別な事情のある日」に限り、営業時間を延長できると定められています。
この「特別な事情のある日」として、年末年始が指定されるケースが多くあります。
例えば、兵庫県や大阪府では、年末年始期間中に限り、風俗営業の営業時間が午前1時まで延長されています。
また、三重県では、条例により1月1日に限り、伊勢神宮の参拝客にトイレを貸すという名目でパチンコ店の営業時間が24時間と定められているなど、地域によって特殊な例も存在します。したがって、ご自身の地域で年末年始期間に風俗営業の営業時間が延長されているかどうかについては、各都道府県の条例をご確認ください。
風営法違反で摘発されたら当事務所までご相談ください
風営法の営業時間違反は「知らなかった」では済まされず、立入調査をきっかけに無許可営業などの重大な違反へと発展し、営業停止や許可取消しといった深刻な処分に直結することがあります。摘発を受けてしまった場合、経営への影響は計り知れません。
当事務所は、これまでに数多くの風営法違反事件を取り扱ってきた実績があり、特に営業時間違反や無許可営業に関するケースにも対応してきました。経験豊富な弁護士が、状況を丁寧に整理し、最善の解決策を共に考えます。
摘発直後の初動対応こそが結果を左右します。場当たり的な説明や安易な署名押印は不利に働くことがあるため、一人で悩まず、早めにご相談ください。親身かつ誠実にサポートし、事業の継続を全力で守ります。
全国どこからでも無料でご相談いただけます。風営法違反で摘発された方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|