風営法には、違反した場合に罰金や懲役刑を科す規定があるため、逮捕される可能性があります。
そのため、風営法違反で逮捕されないようにするには、風営法に関する知識をしっかりと身につける必要があります。
とはいえ、風営法には複雑かつ細かなルールがあり、
- 「どのような行為が風営法違反になるのだろうか…」
- 「風営法違反で逮捕はされるのだろうか…もし逮捕されたらどうなってしまうのだろう…」
と感じている方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、風営法違反事件をはじめとした刑事事件に強い弁護士が、
- よくある風営法違反となる行為と罰則
- 風営法違反の逮捕率や逮捕後の流れ
- 風営法違反の摘発で誰が捕まるのか
などについて詳しく解説していきます。
なお、心当たりのある違反行為をしてしまい、逮捕回避や不起訴獲得に向けて早急に対応したいとお考えの方は、記事を最後まで読んだ上で、全国無料相談の弁護士にご相談ください。
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目次
そもそも風営法とは?対象となる店は?
そもそも風営法とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律の略称です。
風営法は、風俗営業や性風俗関連特殊営業の営業ルールを定めて、地域環境や子供の健全な育成に悪影響を及ぼさないようにすることを目的に、「風俗営業」と「性風俗関連特殊営業等」に関する営業時間・営業区域、年少者の立ち入り等を規制しています(風営法第1条)。
一般的に「風俗営業」と聞くと、デリヘルやソープランドなどの性風俗店を思い浮かべる方が多いと思いますが、性風俗店は「性風俗関連特殊営業等」に該当します。風俗営業とは、風営法第2条1項で定義されている特定の営業形態を指します。具体的には、以下のような営業が風俗営業に該当します。
〇1号営業:キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業
→風営法上の接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と規定されています(風営法第2条3項)。簡単に言えば、飲食物の提供を超える会話やサービスを行うことと考えておけば良いでしょう。料理店であっても接待行為があれば風俗営業に該当します。たとえば、キャバクラ、ラウンジ、スナックなどでは、お客の隣の席に座ってお酌や談笑といった接待行為を行うため、風営法の1号営業に該当します。
〇2号営業:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席における照度を10ルクス以下として営むもの
→1号営業のように接待は伴わないものの、店内の照度が10ルクス以下(「10ルクス以下」とは、ろうそく1本程度・上映前の映画館ほどの明るさです)の喫茶店やカップル喫茶、バーなどの飲食店も風俗営業に該当します。
〇3号営業:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの
→他からの見通しが困難な5平方メートル以下の客席を設けた店舗も風俗営業に該当します。たとえば、狭い個室のような客席を設けた喫茶店、カップル喫茶、バー、個室居酒屋などが対象となります。
〇4号営業:まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
→雀荘、パチンコ店、パチスロ店も風俗営業に該当します。
〇5号営業:スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業
→ゲームセンターやダーツバーなどの他、飲食店であってもスロットマシンやテレビゲーム機を備えて営業する場合は風俗営業に該当します。
風営法違反となるよくある行為と罰則
ここでは、風営法で摘発・逮捕されるケースが多い違反行為とその罰則について解説します。具体的には、次の4つの行為について説明します。
- ①無許可営業
- ②客引きやつきまとい
- ③名義貸し
- ④未成年者に接待させたなど
①無許可営業
風営法では、「風俗営業」に該当する事業を行おうとする場合には、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(風営法第3条1項)。
先ほどお伝えしたように、飲食店であっても風俗営業に該当することもあります。たとえば、ガールズバーやコンカフェのように、食品衛生法上の飲食店営業許可を取得すれば開業できる形態の飲食店であっても、単なる飲食物の提供を超えてお客に会話やサービス(カラオケでデュエットする、一緒にゲームをするなど)を提供すると、風俗営業1号営業の「接待」行為と警察が判断する可能性があります。その場合、風俗営業の許可を受けずに無許可営業を行ったとして、逮捕・摘発されるおそれがあります。
風俗営業の無許可営業をしていた場合には、刑事罰として2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはそれらが併科される可能性があります(風営法第49条1号)。また、偽りその他不正な手段により許可を受けた場合にも同様の刑罰が科されます(風営法第49条2号)。
コンカフェが風営法違反で逮捕・摘発されるケースを弁護士が解説
②客引きやつきまとい
風営法では、「営業に関し客引きをすること」、「営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」が禁止されています(風営法第22条1項1号、2号)。
「客引き」とは、相手を特定してお店の客として来るように勧誘する行為をいいます。 具体的には、特定の通行人に執拗につきまとってお店への入店を勧誘したり、特定の通行人の前に立ちふさがったりしてお店の案内をする行為が客引きにあたります。例えば、以下のような行為を行うと客引き行為として摘発を受ける可能性があります。
- 無視して通り過ぎた通行人の前に立ちふさがる
- 通行人が通り過ぎようとしているにもかかわらず付いて行き歩きながら話しかける
- 執拗に「居酒屋いかがでしょう?」「今お時間ありませんか?」などと言う
- ナンパ等を装う
- 人の身体または衣服をつかんで離さなかったり、所持品を取り上げたりする など
一方で、客引き行為とよく似た言葉に「呼び込み」という行為があります。一般的に「呼び込み」とは、店舗前や人通りが多い場所でチラシやティッシュを不特定・多数の人を対象に行う勧誘行為であるため、風営法の規制の対象とはなっていません。しかし、呼び込みを行う際に、特定の通行人に対して値段交渉などを行なうと違法な「客引き」に該当する恐れがあるため、注意が必要です。
風営法に違反して「客引き行為」を行った場合には、6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性があります(風営法第52条1号)。
③名義貸し
風営法は、「名義貸し行為」を禁止しています。
「名義貸し」とは、風営法の許可を受けた者が風俗営業を行わず、名義を貸して他人が営業することを指します。
風営法には、「(風俗営業の)許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない」と規定されています(風営法第11条)。
実際に許可を受けていない他人が代わりに風俗営業をすることを許してしまうと、許可制度が骨抜きになってしまいます。また、「営業権の譲渡を受けた」、「営業権付でお店を購入した」などという場合にも注意が必要です。風営法上の許可は「人」と「場所」に対して出されています。そのため、営業主体や場所が代わる場合には、新規に許可を取得する必要があるのです。
風営法の規定に違反して名義貸し行為を行った場合には、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性があります(同法第49条3号)。
④未成年者に接待をさせたなど
風営法は18歳未満の未成年者に対してさまざまな規制をしています。
風営法は、風俗営業を営む者に対して、次のような行為を禁止しています(風営法第22条1項3〜6号)。
- 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること
- 営業所で午後10時~翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
- 18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(ゲームセンター等5号営業の場合には、午後10時~翌日の午前6時までの時間において客として立ち入らせること)
- 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること
以上のような風営法上の規定に違反した場合には、刑事罰として1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらが併科されるおそれがあります(風営法第50条1項4号)。
風営法違反で逮捕・起訴される?初犯の量刑傾向は?
では、風営法に違反した場合、どのくらいの確率で逮捕や起訴されるのでしょうか。また、初犯の場合の量刑はどの程度になるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
逮捕率は?
それでは、風営法違反による逮捕率はどのくらいなのでしょうか。
検察庁が公表している検察統計調査によれば、2023年において風営法違反により逮捕された事件の総数は、1304件で、逮捕されなかった事件は595件です。
そのため、逮捕率は45.6%となります。
また、風営法違反により警察官に逮捕され検察官に送致された事件は686件で、そのうち逮捕に引き続き勾留された事件は625件です。
そのため、逮捕された事件のうち91.1%は逮捕に引き続き勾留されていることがわかります。
以上より、風営法違反事件の半分程度は逮捕され、逮捕された場合には高い確率で勾留されていることがわかります。
起訴率は?
2023年において検察が処理した風営法違反の事件の総数は1957件で、そのうち、起訴された件数が697件、不起訴となった事件が748件です。
そのため、起訴率は35.6%となります。
起訴された事件のうち、略式命令請求がされた事件が607件、公判請求された事件が90件です。そのため、起訴された事件のうち87%以上が略式命令請求されていることがわかります。
「略式命令請求」とは、検察官が簡易裁判所に対して、正式な裁判によらずに被疑者に罰金や科料などの財産刑を科すよう申し立てる手続です。勾留されている場合は略式起訴された当日に釈放されます。
これに対して、「公判請求」とは、刑事事件において検察官が裁判所に公開の法廷での裁判を求めることをいいます。公判請求されると、被疑者は被告人となり、刑事裁判が行われます。
初犯の場合の量刑傾向は?
風営法違反の罪で起訴された場合であっても、初犯であれば略式起訴による罰金刑になる可能性が高いでしょう。
例えば、無許可営業や名義貸しなどの風営法違反の場合、法定刑は「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金」または併科とされていますが、初犯で再犯のおそれも小さいと判断された場合には、100万円前後の罰金刑で済むことがあります。また、客引き等の場合には50万円前後で済む可能性があります。
他方、同種前科がある場合や、初犯であっても悪質なケースでは公判請求されるおそれがあります。
風営法違反で逮捕された場合の流れ
風営法違反で逮捕された場合の流れは次の通りです。
- 現行犯逮捕または通常逮捕
- 警察官による取り調べ・勾留
- 検察官による起訴・不起訴の判断
- 刑事裁判を受ける
以下で詳しく解説します。
①現行犯逮捕または通常逮捕
風営法違反は、主におとり捜査や私服警官の巡回によって発覚します。また、インターネットの普及により、口コミや通報(タレコミ)を通じて摘発されるケースも増加しています。
警察官が違法な客引きを目撃した場合、その場で現行犯逮捕されることがあります。無許可営業が行われている場合も、営業時間中におとり捜査官が客のふりをして入店し、従業員が接待を行っている様子を確認した上で、経営者を現行犯逮捕することが一般的です。
また、名義貸しのケースでは、捜査によって容疑が固まった段階で逮捕令状が発行され、通常逮捕されることになります。
②警察官による取調べ・勾留
風営法違反の疑いで逮捕された場合には、警察署に連行され、警察による取り調べを受けることになります。逃亡や罪証隠滅のおそれがあり、留置の必要があると判断された場合には、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄と事件記録が検察官に送致されることになります(送検)。
検察官は、事件の送致を受けた場合には24時間以内、かつ最初の身体拘束から72時間以内に勾留するか否かを判断しなければなりません。検察官が勾留の必要がないと判断した場合には、在宅事件に切り替わり、釈放されることになります。
③検察官による起訴・不起訴の判断
検察官が勾留の必要があると判断した場合には、裁判所に対して勾留請求をすることになります。裁判所が勾留を決定した場合には、10日間の身体拘束が継続することになります。さらに、捜査のため必要がある場合には、10日間を上限として勾留を延長することができます。したがって、逮捕・勾留された場合には、最長で23日間(48時間+24時間+10日間+10日間)の身体拘束を受ける可能性があります。
そして、検察官は被疑者を勾留している間に捜査を行い、起訴または不起訴の判断をしなければなりません。
風営法違反の罪については、略式起訴となるケースが少なくありません。
略式起訴とは、検察官が簡易裁判所に対して、正式な裁判手続を経ずに書面でのみ審理を行い、罰金や科料の刑罰を言い渡す起訴方法です。略式起訴された場合、罰金や科料を納めることで刑の執行が完了します。裁判所による略式命令を受けた被告人は、罰金・科料を納付することで手続きを終了させることができます。
そのため、略式起訴された場合には、罰金を支払うことで即日釈放されることになります。
④刑事裁判を受ける
身柄事件の場合には、保釈されない限り、裁判まで引き続き身柄が拘束されます。在宅事件の場合には、指定された公判期日に、自宅から裁判所に出廷することになります。
刑事裁判は、起訴から約1〜2か月後に開かれ、審理を経て判決の言い渡しを受けます。風営法違反事件の場合、否認しているなどの事情がなければ1回目の裁判で審理が終了し、その約2週間後には判決が言い渡されるケースが多いでしょう。
風営法違反の罪で有罪判決を受ける場合であっても、執行猶予が付される可能性もあります。執行猶予が付された場合には、実際に刑務所に入る必要はなく、執行猶予期間に問題なく過ごせば刑が執行されることはありません。
なお、第一審の判決に不服がある当事者(被告人または検察官)は上級裁判所に控訴することができ、第二審の判決に不服がある当事者は上告することができます。過去には、風営法違反(無許可営業)で罪に問われ、1審(地裁)および2審(高裁)で無罪判決となった事案について、検察官が上告したものの、最高裁がその上告を棄却し無罪が確定したケースも存在します。
参考:「クラブ」は風営法違反にあたらず 経営者の無罪確定へ - 産経ニュース
風営法違反は行政処分を受けることも
風営法に違反した場合には、刑事処分を受けるのみならず、行政処分や行政指導を受ける可能性もあります。行政処分とは、行政庁(公安委員会)が風俗業者の権利や義務に直接影響を及ぼし、義務を課したり権利を変更したりするものです。違反行為の悪質性を考慮した上で、行政指導または行政処分が行われることになります。
風営法に違反した場合には、具体的に以下のような行政処分等がなされる可能性があります。
- ①許可の取消し
- ②営業停止命令
- ③指示処分
以下、それぞれについて詳しく解説していきます。
許可の取消し
公安員会は、風俗営業者が風営法の規定に違反した場合において、「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」には、風俗営業の許可を取り消すことができます(風営法第26条1項)。
そのため、以下のような違反行為があった場合には、公安委員会によって風俗営業の許可が取り消される可能性があります。
- 不正な手段で許可を取得した場合
- 客引きをした場合
- 名義貸しをした場合
- 18歳未満の者に客の接待をさせた場合
- 営業停止命令に違反した場合 など
また。風俗営業の許可が取り消された場合には、取消しの日から起算して5年経過していなければ再度許可申請をすることができないため(同法第4条1項6号)、注意が必要です。
営業停止処分
風営法違反の行政処分として、風俗営業者に対し営業停止命令が下される場合があります。営業停止命令は、風俗営業者が風営法や関連条例に違反した場合、または処分や条件に違反した場合に下されます。
営業停止命令の期間は、違反行為の内容や程度によって異なります。
たとえば、以下のような違法行為の場合には、40日以上6か月以下の営業停止命令が出されるkとになります。
- 不正な手段による許可取得
- 客引き行為
- 18歳未満の者を客として立ち入らせた
- 20歳未満の者への酒類、たばこの提供 など
指示処分
指示処分とは、風営法の規定に違反している場合、風俗営業者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることを指します。
指示処分に従わなかった場合は、より重い営業停止処分や許可の取消しとなるため注意が必要です。
風営法違反に関するよくある質問
風営法違反は誰が捕まる?
風営法違反で逮捕されるのは、その違反行為に関与した当事者です。一般的に逮捕の可能性が最も高いのは経営者ですが、従業員やキャストが風営法違反の事実を知りながら違反行為に加担していた場合には、当該従業員やキャストも逮捕される可能性があります。ただし、風営法違反の事実について故意がない場合は、逮捕されることはありません。
なお、風営法で処罰対象となるのは風俗営業を行う事業者であり、店を利用する客は原則として対象外です。したがって、客が風営法違反で逮捕されることはありませんが、警察による事情聴取の対象となる可能性はあります。
風営法違反で前科はつく?
風営法違反で行政処分を受けただけの場合は前科はつきません。一方、風営法違反で罰金刑や懲役刑の有罪判決を受けた場合には前科がつきます。執行猶予付き判決を受けた場合も同様です。前科とは、有罪判決を受けた経歴を意味しますが、執行猶予がついたとしても有罪であることに変わりはないからです。
風営法違反で逮捕された場合の弁護活動
風営法違反で捜査を受けた場合、早めに弁護士に相談し、捜査段階からアドバイスを受けることで、逮捕のリスクを減らせます。ただし、風営法の保護法益は「善良な風俗・清浄な風俗環境・少年の健全な育成」であり、特定の被害者が存在しないため、示談成立による逮捕回避は難しいことが一般的です。したがって、捜査機関の判断によって逮捕される可能性は十分にあります。
では、風営法違反で逮捕されてしまった後に弁護士と接見し、事件の解決を依頼すると、弁護士は具体的に何をしてくれるのでしょうか。以下で解説していきます。
早期釈放を目指す
前述の通り、風営法違反で逮捕に引き続き勾留されてしまうと、刑事処分(起訴または不起訴)が決定するまで最大で23日間、主に警察署の留置場で身柄を拘束を受けることになります。
経営者や従業員はその間お仕事を休まざるを得ませんし、学生のキャストの方などは学校を休まなくてはなりません。身柄拘束が長引くほど生活に与える影響は大きく、家族や周囲の人に事件のことを知られる可能性も高くなります。
このような状況は、逮捕された方にとって非常に厳しいものです。そのため、弁護士が検察官に対し勾留請求をしないよう求めたり、裁判官に勾留請求を却下して釈放を命じるように働きかけるなどの弁護活動を行い、早期に身柄を解放できるよう尽力します。
不起訴処分を獲得して前科がつくのを回避する
風営法違反で逮捕された場合でも、不起訴処分を獲得すればすぐに釈放されます。また、不起訴処分となれば前科がつくこともありません。
弁護士は、被疑者の状況や事件の内容を踏まえ、以下のポイントを検察官に主張します。まず、初犯であることは再発の可能性が低いと判断され、重要な要素です。次に、事件の内容が悪質でないことを示すことで起訴の必要性を低くします。また、被疑者の社会的背景や人間性を考慮し、社会復帰の可能性を強調します。これらの情状を基に、弁護士は検察官に不起訴が妥当であると認識させるよう尽力し、不起訴処分を目指します。
執行猶予付き判決を獲得する
風営法違反で嫌疑で起訴された場合、刑事裁判で実刑判決による懲役刑を科されてしまうと、実際に刑務所に収監されてしまうことになります。
しかし、執行猶予付きの判決を獲得できれば、たとえ懲役刑の言渡しを受けたとしても、刑務所に収監されることを回避することができます。執行猶予期間中に再犯をしなければ、判決に基づく刑の執行を免れることができます。
したがって、有罪判決を回避できない状況でも、弁護士は、風営法違反事件の再発防止のための具体的な取り組みや更生できる環境作りが出来ていることを主張・立証し、執行猶予の獲得や減軽できるようつとめてくれます。
冤罪の場合は無実を主張する
冤罪の場合には、無実を主張していくことになります。
風営法違反の事実がない場合には、事件について否認する必要があります。実際に風営法違反の疑いで逮捕されたものの、被疑者からよくよく話を聞いてみると、風営法で定められた風俗営業者には該当しなかったという事案も存在しています。
冤罪事件の場合には、弁護士が有利な証拠を収集し、捜査機関に意見書を提出するなどして、早期釈放や不起訴処分の獲得につとめてくれます。
風営法違反の弁護士による解決事例
ここでは、当事務所の弁護士が担当した風営法違反事件の解決事例を紹介します。
※個人情報保護およびプライバシーの観点から、イニシャルを使用し、事件の内容に変更を加えています。
無許可営業の疑いで逮捕された事例
この事例では、無許可で風俗営業をしたとして、いわゆる「雇われママ」であるAさん(40代・女性)が突然、警察に逮捕されてしまった事例です。
Aさんの逮捕に先立ち、女性キャストとの会話やお酒を楽しむ飲食店である「ラウンジ」を無許可で運営していたとして店の経営者(50代・男性)が逮捕されました。その後、事情を知らずに店を切り盛りしていたAさんも警察から事情聴取を受け、共犯者として逮捕されてしまいました。
Aさんの弁護人として就任した弁護士は、Aさんや経営者の男性と接見して詳しく事情を確認したところ、Aさんは単なる雇われママにすぎず、経営には一切タッチしていなかったことから、無許可営業の共犯者とは言えないことが判明しました。
Aさんは逮捕に引き続き勾留されてしまいましたが、弁護人は不起訴の獲得を目指して検察官に意見書を送るなどの弁護活動を行いました。また、Aさんは逮捕直後から弁護人以外との面会を禁止する「接見禁止」が出されていたため、Aさんのご家族からの励ましやメッセージなども弁護人が担っていました。
結果的に、弁護人の弁護活動が功を奏し、Aさんは嫌疑不十分として不起訴となりました。
客引き行為で逮捕された事例
この事例は、法律相談で来所された方の息子であるBさん(20代・大学3年生)が逮捕されたという事件です。
居酒屋で客引きのアルバイトをしていたBさんは、数週間前に店の近くを行き交う通行人に対して、数十メートルにわたり横を歩きながら客引きをしていたところ、その様子を第三者が動画撮影していたことから、後日警察官に逮捕されるに至りました。居酒屋の店長である男性も一緒に逮捕されているということでした。
Bさんのご両親は、Bさんが大学3年生で就職活動を控える身でありながら、起訴されて前科が残ってしまうことは何としても避けたいと強く望まれておりました。当該居酒屋の経営者も逮捕されており、店側の別件の違反行為も疑われる事案でした。
そこで、Bさんの弁護人に就任した弁護士は、両親がBさんを監督下におくことを誓約していることや、Bさんが素直に罪を認めて深く反省していること、Bさんが客引きのバイトを辞めて今後は就活に専念することを約束していること及び弁護士の意見書を検察官や裁判所に提出しました。
弁護人による弁護活動の結果、Bさんの勾留は延長されることなく釈放され、起訴猶予を理由とする不起訴を獲得することができました。Bさんは2週間弱の身体拘束を受けていましたが、幸いにも大学の春休み中であったため、実生活にはほとんど影響を与えることなく事件を解決することができました。
まとめ
以上、今回は風営法違反について、風営法違反で逮捕されるよくあるケースや刑罰、初犯の場合の量刑などについて詳しく解説しました。
仮に、風営法違反の容疑で逮捕されたとしても、初犯で違反の程度が小さい場合には、不起訴や略式起訴で手続きが終了することも少なくありません。
そのため、風営法違反で捜査を受けており警察に逮捕されそうと不安な方や、既に逮捕されてしまった方のご家族の方は、風営法や事業経営に精通している弁護士に一度相談されることをおすすめします。
当事務所は風営法に関するトラブルや経営トラブルの解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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