違法ピンサロ摘発で客も逮捕!公然わいせつ罪・風営法違反事例

近年、ピンクサロン(ピンサロ)の摘発が相次いでおり、これまでグレーゾーンとされてきた業態も警察により違法と判断され摘発されるケースが増えています。現場では、経営者が風営法違反で、従業員や客が公然わいせつ罪で逮捕されるなど、立場を問わず摘発対象となるのが実情です。こうした摘発は、警察によるガサ入れ(強制捜索)によって一斉に行われることが多く、店側と客が同時に処分の対象となることも少なくありません。

「自分は経営者ではないから関係ない」「客として利用しただけだから大丈夫」といった考えは非常に危険です。経営に関わっていれば営業停止や廃業のリスクがあり、従業員や客として現場にいた場合でも、逮捕や捜査の対象となり、対応を誤れば起訴や前科につながる可能性があります。一方で、不起訴処分となった事例もあり、どのように対応するかによって結果が大きく変わるのも事実です。

この記事では、ピンサロ摘発で実際に店側と客が逮捕された事例ピンサロと風営法の関係摘発時に適用される罪や処罰内容、そして逮捕・捜査を受けた場合の対処法について、風営法違反に強い弁護士が詳しく解説します。最後まで読むことで、経営者・従業員・客それぞれの立場で直面し得るリスクと対応のポイントを理解し、もしものときに冷静に行動できる知識を得られるはずです。

なお、もしご自身や身近な方がピンサロ摘発に関わってしまった場合は、この記事を参考にしたうえで、全国どこからでも無料で相談できる当事務所までご相談ください。

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ピンサロ摘発で店と客が逮捕された事例

ピンサロ(ピンクサロン)の摘発では、経営者だけでなく従業員や客も逮捕されています。2021年の上野「マジックバナナ」を皮切りに、警視庁がピンサロに公然わいせつ罪を適用し始めたことで注目を集めました。

以下では、実際に行われた摘発事例をまとめています。

上野のピンサロ店が公然わいせつ容疑で摘発された事例

2021年5月、警視庁は上野のピンクサロン「マジックバナナ」を公然わいせつ容疑で摘発し、経営者、従業員、客を含む男女8人を逮捕しました。

この摘発は、警視庁がピンサロに対して公然わいせつ罪を適用した史上初のケースとして大きな話題となりました。

摘発の理由は、店内のボックス席に壁がなく、周囲から見える状態で、全裸の女性従業員と男性客がわいせつな行為をしていたことです。経営者は、「全裸でサービスをするよう従業員に指示した」と供述しており、店側の指示によってわいせつ行為が行われていたことが明らかになりました。この摘発は、東京オリンピックを控えた警視庁の「盛り場対策」の一環として行われたとされ、これまで黙認されてきた「グレーゾーン」の業態に対する取り締まり強化の姿勢が示されました。

客も逮捕されましたが、この件では最終的に不起訴処分となっています。

参考:《五輪で異例の摘発》「脱いでいるところが見えますよね」 年商3億近い人気風俗に"史上初の公然わいせつ罪"適用 | 文春オンライン

蒲田のピンサロ店の経営者と客が公然わいせつ容疑で逮捕された事例

2022年7月、大田区蒲田のピンクサロン「レッドダイヤ」が摘発され、経営者と店長、そして客と女性従業員が公然わいせつ容疑で逮捕されました

この店は、風営法上の届出はしていたものの、実態は性的サービスを提供する風俗店とみなされました。問題となったのは、客席の仕切りが低く、他の客や従業員からもサービスが丸見えの状態だったことです。

経営者は、「店の構造上、他の客や従業員からもサービスが丸見えなので罪にあたるのはわかる」と供述しており、違法性を認識しながら営業を続けていたことが明らかになりました。女性従業員と男性客は現行犯逮捕されましたが、その後釈放されています。

参考:東京・蒲田の「ピンサロ」で公然わいせつ容疑 仕切り低く「丸見え」:朝日新聞

巣鴨のピンサロ店の経営者と客が公然わいせつ容疑で逮捕された事例

2022年7月、豊島区巣鴨のピンクサロン「曙」の経営者、女性従業員、男性客が公然わいせつ容疑で現行犯逮捕されました

この店では、従業員と客が半裸の状態でわいせつな行為を行っており、店内の照明が明るく、仕切りもわずか1メートルほどしかなく、周囲からよく見える状態だったことが摘発の理由となりました。経営者は「自分の店は全裸ではないので、大丈夫だと思った」と供述しましたが、公然わいせつ罪が適用されました。この事例は、必ずしも「全裸」でなくても、わいせつな行為と判断されれば摘発の対象となることを示しています。

また、この摘発は、上野の「マジックバナナ」に続いて都内のピンサロへの公然わいせつ罪の適用が相次いでいることを示しており、警察による取り締まりが強化されていることがわかります。

女性従業員と男性客は現行犯逮捕されましたが、その後釈放されています。

参考:女性従業員と男性客がわいせつ行為、周囲に見える状態で…ピンサロ経営者ら逮捕 : 読売新聞

渋谷のピンサロ店経営者と客が公然わいせつ容疑で逮捕された事例

2022年12月、警視庁は渋谷のピンサロ店を摘発し、事実上の経営者である法人の会長ら2人を公然わいせつ容疑などで逮捕しました。

この店は、風営法上の接待飲食業の届出をしていなかった上に、店内のボックス席が他の客から見える状態で、全裸の女性従業員と男性客にわいせつな行為をさせた疑いが持たれました。

経営者は業界最大手で年間数十億円を売り上げていたとされ、摘発後には法人も無許可営業容疑で書類送検されています。会長は、ピンクサロンの営業内容が公然わいせつに該当することを理解していたと容疑を認めており、違法性を認識しながら営業を続けていた悪質性が明らかになりました。この事例は、単なる風営法違反だけでなく、公然わいせつ罪が適用されており、客も現行犯逮捕されています

参考:渋谷のピンサロ店、事実上の経営法人を摘発 業界最大手の会長ら逮捕:朝日新聞

ピンサロと風営法の関係

ピンクサロン、通称「ピンサロ」は、一般的に薄暗い店内の低い仕切りで区切られたボックス席で、飲食物を提供する傍ら、女性従業員がフェラチオを主とした性的なサービスを行う風俗店です。

しかし、ピンサロの法的な位置づけは複雑で、実際の摘発事例を見ると、公然わいせつ罪、風営法の無許可営業、禁止区域営業など、様々な角度から摘発が行われています。この背景には、ピンサロが法的にグレーゾーンに位置しているという事情があります。

現状、多くのピンサロは風俗営業法(風営法)の「性風俗関連特殊営業」ではなく、「接待飲食等営業」の第1号営業として許可を取得して営業しているのが実態です。これは、キャバクラやホストクラブと同じ営業区分であり、性風俗関連特殊営業に比べて規制が緩やかなためと考えられます。

問題となるのは、フェラチオなどの性的サービスが風営法上の「接待」に該当するかという点です。風営法では「接待」を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義していますが、性的サービスがこれに含まれるかは解釈が分かれています。

この点について、山口地方裁判所平成8年10月11日判決では「客の接待をする行為には、性交や性交類似の行為を含む」と判断されており、この解釈によれば、ピンサロの性的サービスも「接待」の範囲内として1号営業で適法に営業できることになります。

一方で、性的サービスが単純な「接待」の範疇を超えるものとして捉えられる場合、ピンサロの営業実態は「店舗型性風俗特殊営業」に該当すると解釈される可能性があります。この観点から性風俗関連特殊営業として認定された場合、無届営業や禁止区域営業として摘発されるリスクがあります。

さらに、ピンサロ特有の店内構造も法的リスクを生んでいます。風営法は店内を見通せる構造を求めているため、個室や高い仕切りが設けられず、結果として他の客から見える状態でわいせつ行為が行われることになり、公然わいせつ罪の適用対象となってしまいます。

このように、ピンサロは複数の法的解釈が交錯する不安定な状況に置かれており、どの法的枠組みで捉えられるかによって、適法な営業にも違法な営業にもなり得るという特殊な業態といえます。多くの経営者が1号営業の許可で営業を続けているのは、より緩い規制の下で営業したいという思惑があるものの、実際には様々な角度から摘発リスクを抱えているのが現状です。

ピンサロの摘発時に適用される罪や処罰内容

ピンサロの摘発では、主に「風営法違反」と「公然わいせつ罪」が適用されるケースが多く、風営法違反の中でも「無許可営業・無届営業」「禁止区域営業」といった複数のパターンがあります。さらに、各都道府県の条例違反が問題となる可能性もありますが、実際の摘発事例では風営法違反や公然わいせつ罪が中心となっています。

以下では、それぞれの違反内容と罰則について詳しく解説します。

風営法違反(無許可営業・無届営業)

ピンサロの摘発で最も多いケースの一つが、風営法上の許可や届出を行わずに営業する「無許可営業」や「無届営業」です。

前述の裁判例によれば、ピンサロでの性的サービスが「接待」に含まれるとする見解があるため、「接待飲食等営業」(1号営業)の許可を取得せずに営業した場合、無許可営業にあたる可能性があります。

また、他人から名義を借りての営業についても、実質的な営業者が許可を受けていないため、無許可営業として扱われる可能性があります。前述の渋谷の摘発事例では、事実上の経営者が従業員の名義で風俗営業許可を取得させて自分が実質的に営業していたため、無許可営業として摘発されました。

さらに、ピンサロが「店舗型性風俗特殊営業」と認定された場合、性風俗特殊営業の届出なく営業していることになり、無届営業となる可能性があります。

これらの違反が成立した場合、「5年以下の拘禁刑」もしくは「1000万円以下の罰金」、またはその両方という重い処罰が科される可能性があります。

風営法違反(無許可営業など)の判例を弁護士が解説

風営法違反(禁止区域営業)

風営法や各自治体の条例では、接待飲食等営業および店舗型性風俗特殊営業ともに、学校や病院、官公庁といった特定の施設から一定距離内では営業が制限されています。この区域は「禁止区域」と呼ばれ、多くの地域がこれに該当する場合があります。

ピンサロが接待飲食等営業として営業している場合でも、実態が性風俗関連特殊営業と認定された場合でも、禁止区域での営業と判断されれば風営法違反で摘発される可能性があります。実際に2024年の大阪市都島区のピンサロ「京橋コスプレアイドル学園」では、性風俗店の禁止区域営業として従業員が逮捕されています。

風営法違反(禁止区域営業)が成立した場合、「5年以下の拘禁刑」もしくは「1000万円以下の罰金」、またはその両方が科される可能性があります。

さらに、一度摘発されると、5年間は風俗営業の許可を新たに受けることができなくなるため、事実上営業継続は困難となります。

参考:万博浄化作戦が始まった!? 風俗ジャーナリストが語る大阪・京橋ピンサロ摘発の〝異様さ〟

公然わいせつ罪

公然わいせつ罪」の適用でピンサロ店が摘発される事例も見られます。

ピンサロは風俗営業法に基づき、店内を見通せる構造にすることが求められるため、個室や高い仕切りを設けることができません。この構造が「不特定または多数人が視認しうる状態」を生み出し、その状態でわいせつ行為が行われると、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。

ここでいう「わいせつ行為」とは、性器の露出や性交、性交類似行為など、社会の性道徳観念に反するとされる行為を指します。たとえ照明が暗く、BGMが大音量であったとしても、客観的に見て第三者が認識し得る状態であれば、公然性が認められる可能性があります。

実際に摘発された上野、蒲田、巣鴨、渋谷の事例では、店内のボックス席が他の客から見える状態であったり、仕切りが低かったりしたことが「公然性」を認める理由とされています。

この罪が成立した場合、「6か月以下の拘禁刑」もしくは「30万円以下の罰金」または「拘留もしくは科料」が科される可能性があります。

また、公然わいせつ罪は、その場でわいせつ行為を行っていた従業員だけでなく、わいせつ行為を指示・黙認していた店の関係者、さらには行為に及んでいた客も逮捕の対象となる場合があります。

公然わいせつ罪は現行犯ではなく後日逮捕されることはある?

各都道府県の条例違反になる可能性も

ピンサロは、風俗営業法の規制だけでなく、各都道府県が定める風俗営業法施行条例に違反する可能性があります。

風営法21条では、善良な風俗を害する行為を防止するため、各都道府県が条例で必要な制限を定めることを認めています。

多くの自治体の条例には、営業所内で「卑わいな行為その他善良の風俗を害する行為」をすることを禁止する規定が盛り込まれています。条例の解釈運用基準においても、卑わいな行為の具体的な内容が示されている場合があります。

例えば、神奈川県風営法施行条例等の解釈運用基準では、卑わいな行為の例として「手・口等で性器等に性的快感を与える行為」が明記されており、これはピンサロで提供されるサービス内容と類似するものと考えられます

したがって、ピンサロの性的サービスが「卑わいな行為」と認定されれば、条例違反として行政処分や罰則の対象となる可能性があります。

ピンサロ摘発で逮捕・捜査を受けた場合の対処法

ピンサロの摘発では、経営者や店長が風営法違反や公然わいせつ罪で逮捕されるケースが多い一方、従業員やサービスを受けていた客が現行犯逮捕される事例も少なくありません。つまり、立場を問わずその場に関わった人が摘発対象となるのが実情です。

逮捕された場合、まず警察署で身柄を拘束され、最大48時間の取調べを受けます。その後、送検され、勾留が認められると最長20日間身柄を拘束されたまま、起訴・不起訴の判断が下されます。経営者・従業員・客いずれの立場であっても、早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です

経営者の場合、無許可営業や禁止区域営業といった風営法違反が争点となり、摘発が続けば営業の継続が困難になります。従業員や客の場合には、不起訴処分となる可能性もありますが、そのためには取調べでの対応が大きく影響します。警察の質問に安易に答えてしまえば、不利な供述調書が作成されるおそれがあるため、黙秘権を正しく行使し、弁護士と連携して対応することが欠かせません

もし起訴されて有罪となれば、前科がつき、就職や資格取得など今後の生活に大きな影響を及ぼします。逆に、弁護士が早期から介入すれば、不起訴処分の獲得や勾留回避など、将来への影響を最小限に抑えられる可能性があります。警察からの呼び出しを受けて不安を感じている方も、慌てず冷静に、できるだけ早く弁護士へ相談してください

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ピンサロの摘発では、経営者や従業員だけでなく、利用客も公然わいせつ罪で逮捕されるケースがあり、場合によっては在宅事件として捜査が続くこともあります。身柄拘束がなかったとしても、警察や検察から呼び出しを受けて取調べに応じる必要があり、対応を誤れば起訴や前科につながるおそれがあります。そのため、立場を問わず早い段階での対応が重要です。

逮捕直後の方はもちろん、警察から連絡を受けて不安を抱えている経営者・従業員・利用客の方も、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。それぞれの立場に応じた適切な弁護活動を受けることで、不起訴処分の獲得や将来への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

当事務所は、風営法違反や公然わいせつ事件に関する豊富な解決実績があり、経験豊富な弁護士が親身かつ誠実にサポートいたします。突然の摘発で混乱している経営者の方、従業員として巻き込まれてしまった方、利用客として現場にいて逮捕された方、それぞれの状況に応じた具体的な解決策をご提示し、最善の結果を目指して全力で取り組みます

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