
「現行犯では捕まらなかったけれど、公然わいせつの件でいつか後日逮捕されるのではないか」と、落ち着かない日々を過ごしていませんか。現行犯以外でも、行為をした人が特定されて逮捕状が出れば、後日逮捕はあり得ます。一方で、呼び出しに応じるなど逮捕の必要が低いとみられれば、身柄を拘束されずに捜査が進むこともあります。
現場を立ち去った後で、防犯カメラに映っていたのではないか、誰かが通報したのではないかと考え始めると、不安はなかなか消えないものです。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 現行犯以外で逮捕されるのはどんな場合か
- 逮捕状が出る要件と逮捕までの期間
- 逮捕された後の勾留・起訴までの流れ
- 捕まる前に今からできる3つの対処法
お読みいただくことで、ご自身の状況を整理し、万一の逮捕に備えて今日から何をすべきかを判断できます。
なお、現行犯で捕まらず後日逮捕が不安な方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。早く動くほど、取れる手段は多くなります。
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公然わいせつ罪とは?現行犯以外でも後日逮捕される?
公然わいせつ罪は、その場で見つかって現行犯逮捕(犯行の現場で逮捕状なしに行う逮捕)されることが多いとされる犯罪ですが、現行犯以外の形で後から逮捕されることもあります。この「後日逮捕」は法律上の用語ではなく、裁判官が出した逮捕状にもとづく「通常逮捕」を指す呼び名です。警察官が逮捕状を持って、後日、自宅などを訪ねてくる形が典型です。
以下、罪の内容、後日逮捕の仕組み、踏み切られやすいケースの順に確認します。
公然わいせつ罪にあたる行為と法定刑
公然わいせつ罪は、刑法174条に次のように定められています。
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
出典:e-Gov法令検索
「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状態を指します。実際に誰かの目に入ったかどうかだけでなく、人に見られうる状況で行われたかどうかが問われます。
「わいせつな行為」は、一般の人が性的に恥ずかしいと感じる行為で、路上や公園で下半身を露出する、屋外で性行為に及ぶといった例が典型です。下半身の露出で問われる罪は「下半身露出で逮捕されたらどうなる?問われる罪と逮捕回避方法」で解説しています。
刑罰は4種類あり、重いものから順に、拘禁刑(上限6か月)、罰金(上限30万円)、拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)、科料(1,000円以上1万円未満の金銭の支払い)です。なお、拘禁刑は、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役と禁錮を一本化した刑罰です。
公然わいせつで現行犯逮捕が多い理由
現行犯逮捕の対象になる「現行犯人」は、罪を行っている最中か、行い終わった直後の人です(刑事訴訟法212条1項)。同法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と定めており、警察官に限らず一般の人も取り押さえることができます。現行犯逮捕の要件は「現行犯逮捕とは?逮捕できる要件と身柄拘束された時の対応方法」で詳しく取り上げています。
人目のある場所で行われる公然わいせつは、目撃した人の110番通報で駆けつけた警察官に、その場で取り押さえられやすい犯罪です。これが、現行犯逮捕が多くなる理由の一つです。
反対に、現場を離れた後で後日逮捕に結びつけるには、防犯カメラの映像などで人物を特定しなければならず、簡単ではありません。時間がたつほど目撃した人の記憶はあいまいになり、誰がどのような行為をしたのかを後から裏づける材料が限られるからです。
後日逮捕(通常逮捕)の仕組みと逮捕の要件
後日逮捕(通常逮捕)は、警察などが裁判官に請求して発付された逮捕状によって行われます。刑事訴訟法199条1項は、罪を犯したと疑うだけの相当な理由がある場合に、逮捕状による逮捕を認めています。
さらに同条2項ただし書により、裁判官は「明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」には逮捕状を出しません。実務では、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかが、逮捕の必要性を判断する大きな材料になります。
なお、急を要するときに逮捕状を後から求める緊急逮捕は、死刑・無期または長期3年以上の拘禁刑にあたる罪に限られ(同法210条1項)、上限が6か月の公然わいせつ罪は対象外です。逮捕の種類ごとの違いは「逮捕の種類は3つ|通常・現行犯(準現行犯)・緊急の要件と違い」をご覧ください。
逮捕の必要がないと判断された場合は、身柄を拘束されないまま、警察や検察に呼ばれるたびに出向いて取調べを受ける「在宅事件」として捜査が進みます。在宅事件でも捜査が終わったわけではなく、起訴(検察官が裁判にかけること)されて有罪となり、罰金などの刑を受ければ、前科がつく点は変わりません。
逮捕までの期間について、法律上の決まりはありません。逮捕状は、防犯カメラの解析や聞き込みで人物を特定し、証拠がそろった段階で請求されるため、数日後に警察が訪ねてくることもあれば、数か月たってから自宅を訪ねてくることもあります。
公然わいせつ罪の公訴時効(一定の期間が過ぎると起訴できなくなる制度)は3年です(同法250条2項6号)。行為から3年がたつまでは、後日逮捕される可能性が残ります。時効の数え方は「公然わいせつ罪の時効は3年?時効待ちのリスクと今すべき対応」にまとめています。
後日逮捕に踏み切られやすいケース
公然わいせつで後日逮捕に至るかどうかは、大きく2つの点から考えるとわかりやすいでしょう。
1つめは、行為をした人を特定できる証拠があるかどうかです。現場近くの防犯カメラの映像や、車で移動していた場合のナンバー、目撃した人の説明などから人物が割り出されると、逮捕状を請求する前提が整います。
2つめは、逮捕の必要性を強める事情があるかどうかです。たとえば次のような事情があると、逮捕に踏み切られやすくなると考えられます。
- 行為を見せられた人から被害の申告がある
- 同じ場所や同じやり方で行為を繰り返している
- 同じような行為で前科や前歴がある
- 子どもの前で行うなど、態様が悪質である
- 呼び出しに応じないなど、捜査に協力しない
人物を特定できる証拠と、逮捕の必要性を強める事情がそろうと、後日逮捕の可能性は高まります。反対に、1回きりの行為で、身元がはっきりしていて呼び出しにも応じている場合は、逮捕されずに在宅事件として扱われることもあります。
逮捕される人の割合も、法務省の検察統計で見ておきましょう。2025年(令和7年)に検察庁で処理を終えた「わいせつ・わいせつ文書頒布等」という区分の被疑者(罪を犯した疑いを受けている人)1,825人のうち、逮捕された人は592人で、約32%(約3割)でした。裏を返せば、約7割は逮捕されないまま手続きが進んでいます。
なお、この区分にはわいせつ物頒布等罪(刑法175条)も含まれ、数字は検挙件数ではなく処理を終えた被疑者の人数です。現行犯逮捕か後日逮捕かの内訳もないため、この数字は現行犯以外で逮捕される割合を直接示すものではありません。
出典:e-Stat「検察統計 2025年」表25-00-41
逮捕されるとどうなる?勾留から起訴・不起訴までの流れ
後日逮捕であっても現行犯逮捕であっても、逮捕された後は、勾留(逮捕に続く身柄拘束)などの手続きが同じように進みます。主な段階は次の3つです。
- 逮捕後72時間は警察・検察の取調べを受ける
- 勾留が決まると最大20日間身柄を拘束される
- 勾留期間中に起訴か不起訴かが決まる
なお、逮捕される場面や手続きの詳細は「公然わいせつで逮捕されたらどうなる?流れや逮捕されるケース」でも解説しています。
① 逮捕後72時間は警察・検察の取調べを受ける
公然わいせつの疑いで逮捕されると、まず警察署で取調べを受けます。警察は、身柄を拘束した時から48時間以内に、書類や証拠物とともに事件を検察官へ送る「送致(送検)」の手続きをとらなければなりません(刑事訴訟法203条1項)。警察が留置の必要はないと判断すれば、送致の前に釈放されます。
検察官は、送致を受けてから24時間以内に、裁判官へ勾留を請求するかどうかを判断します(同法205条1項)。勾留を請求するまでの時間は、身柄を拘束された時から72時間を超えられません(同条2項)。勾留請求の期限までに勾留の請求も起訴もされなければ、釈放されます(同条4項)。
この間、家族が本人と面会することは、実務上ほとんど認められていません。一方、弁護人となる弁護士は、逮捕の直後から、立会人なしで本人と接見(面会)できます(同法39条1項)。家族への伝言や勤務先への連絡についても、弁護士に相談して対応を決められます。
② 勾留が決まると最大20日間身柄を拘束される
公然わいせつの事件でも、検察官の請求を裁判官が認めると、勾留が決まります。勾留の期間は請求の日から10日で、裁判官がやむを得ない事由があると認めれば、さらに通算10日まで延長されます(刑事訴訟法208条)。逮捕から数えると、起訴されるまでに最大で23日ほど身柄を拘束されることになります。
後日逮捕の場合も、勾留が続く間は出勤も通学もできません。欠勤や欠席が長引けば、勤務先や学校に事件を知られやすくなり、懲戒処分や退学につながるおそれがあります。事件の内容や本人の立場によっては、報道される可能性も否定できません。
一方、裁判官が勾留の理由がないと判断すれば、勾留状は出されず、本人は釈放されます(同法207条5項)。その後は在宅事件として捜査が続きます。
③ 勾留期間中に起訴か不起訴かが決まる
検察官は、原則として勾留の期間(最大20日間)が終わるまでに、起訴するか、不起訴(起訴しないこと)にするかを決めます。
起訴には、正式な裁判を開かずに罰金を科す「略式手続」を求めるものもあり、法定刑に罰金がある公然わいせつ罪では、この形で終わる例もあります。略式命令で罰金を科されることも有罪の裁判なので、罰金で終わった場合でも前科がつきます。
正式な裁判にかけられた場合は、起訴後も勾留が続くことがあります。その期間は起訴の日から2か月で、特に必要があれば更新されることもあります(刑事訴訟法60条2項)。起訴後は保釈を請求でき、認められれば保証金を納めて釈放されます。
不起訴には、罪を犯したことが明らかでも、本人の境遇や犯罪後の情況などから起訴を見送る場合も含まれます(刑事訴訟法248条)。実務ではこれを起訴猶予と呼びます。
不起訴になれば裁判は開かれず、前科もつきません。不起訴を目指すためにできることは「公然わいせつ罪の不起訴率と不起訴を目指すためにすべきこと」が参考になります。
後日逮捕のおそれを減らすために今できる3つの対処法
人物が特定されて逮捕状が出てしまえば、後日逮捕を確実に避ける方法はありません。それでも逮捕状が出る前に、逃げたり証拠を隠したりするおそれがないことを行動で示しておけば、逮捕の必要性が低いと判断される可能性を高められます。今からできることは、次の3つです。
- ① 弁護士に相談して逮捕の可能性と対応を確認する
- ② 自首するかどうかを弁護士と検討する
- ③ 被害者が特定できる場合は示談交渉を進める
① 弁護士に相談して逮捕の可能性と対応を確認する
まずは公然わいせつなどの刑事事件を扱う弁護士に相談し、ご自身のケースで後日逮捕のおそれがどの程度あるのか、見立てを聞きましょう。弁護士は、行為の場所や時間帯、周囲の人や防犯カメラの有無、前歴などを聞き取って見通しを立て、たとえば次のような対応を検討します。
- 自首するかどうか、するならいつ出向くかの判断と警察署への同行
- 行為を見せてしまった相手がわかる場合の示談交渉の代理
- 逮捕後に勾留しないよう検察官や裁判官へ求める意見書の提出
- 逮捕された場合の速やかな接見
あわせて、同じ行為を繰り返さないための取り組み(家族の協力を得ることや専門機関への相談など)を始めておくと、反省の姿勢を伝える材料になり得ます。
② 自首するかどうかを弁護士と検討する
自首とは、罪を犯した人が、捜査機関に発覚する前に自分から罪を申告することです。刑法42条1項は、この場合に「その刑を減軽することができる」と定めており、減軽するかどうかは裁判所が判断します。すでに警察が人物を特定している場合は、出頭しても法律上の自首にはあたりません。
公然わいせつの件で自分から出向いて事情を話すことは、逃げも隠れもしない姿勢を示す事情の一つになり、逮捕の必要性の判断に影響する可能性があります。もっとも、自首をしたからといって、後日逮捕されないと保証されるわけではありません。
出頭するかどうか、いつ出向くかは、弁護士と事前に話し合い、説明する内容を整理してから決めると安心です。弁護士に警察署まで同行してもらうこともできます。自首のメリットや自首した後の流れは「公然わいせつで自首する5つのメリット|自首後の流れと注意点」で詳しく解説しています。
③ 被害者が特定できる場合は示談交渉を進める
示談を考える前提として、公然わいせつ罪は、特定の個人ではなく、社会の性的な秩序を守るための罪とされています。そのため、はっきりした被害者がいないことが多く、示談(当事者どうしの話し合いによる解決)ができない事件も少なくありません。
一方で、特定の人に向けて露出した場合など、行為を見せられた相手がわかる事案では、その人が実質的な被害者として扱われる場合があります。この場合、謝罪と賠償を尽くして示談が成立すれば、後日逮捕や起訴の判断で考慮される可能性があります。
ただし、本人が相手に直接連絡をとろうとすると、相手に拒まれたり、かえって不安を強めたりするおそれがあります。示談交渉は弁護士を通じて進めましょう。示談金の相場や、示談ができない場合の対応は「公然わいせつの示談金相場は?示談の流れとできない場合の対処法」で解説しています。
公然わいせつで後日逮捕が不安な方は弁護士にご相談ください
公然わいせつは、その場で捕まらなかったとしても、人物が特定されて逮捕の必要があると判断されれば、後日逮捕されることがあります。公訴時効の3年が過ぎるまで、いつ警察が来るのかという不安を抱え続けるのは、精神的にも大きな負担です。
逮捕されれば長期間身柄を拘束され、仕事や家族の生活にも影響が及びかねません。だからこそ、警察から連絡が来る前の段階で弁護士に相談し、自首や示談といった選択肢を早めに検討しておくことが大切です。すでに警察から呼び出しを受けている方や、ご家族が逮捕されてしまった方も、早めに動けば選べる手段が増えます。
弊所は、公然わいせつ事件での逮捕の回避や不起訴の獲得を得意としており、実績があります。弁護士が迅速に動き、依頼者を全力で守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

