離婚調停を申立てる場合、多くの方が「離婚調停を有利に進めたい」とお考えになるのではないでしょうか?
離婚調停を有利に進めるためのツールが「陳述書」です。
この記事では、その陳述書の効果的な書き方などについて詳しく解説してまいります。
ぜひ、最後までご一読いただき、陳述書を書く際の参考としていただけると幸いです。
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目次
離婚調停で使う陳述書とは?
離婚調停における陳述書とは、離婚調停(夫婦関係調整調停(離婚))において、離婚調停を申立てた方(以下、あなたといいます)の言い分を調停委員に的確かつ効果的に伝えるために、離婚調停を申立てた家庭裁判所に対して、調停期日前にあらかじめ提出する書面のことです。
陳述書は離婚調停の申立書と同時に家庭裁判所に提出するのが一般的です。
離婚調停では調停委員が夫婦の間に入って、夫婦の双方から話を聴き、言い分をまとめた上で双方が合意できるだろう調停案を提示します。
このように調停委員は夫婦のどちらか一方の味方ではなく、意見の調整役のような役割を果たしています。
また、そもそも調停委員は、あなたとの面識がなくあなたがどんな事情を抱え、どのような気持ちで離婚調停に臨んでいるのかなどについて、あなたから話を聴くまではまったく知らない第三者です。
だからこそ、調停期日では、調停委員から離婚調停を申立てようと決意した動機やいきさつなどについて詳しく聴かれるのですが、その質問に答えるだけでは、果たしてあなたの言い分が調停委員にきちんと伝わっているかどうかは分かりません。
「相手に説明することが苦手」という方はなおさらそういう不安をお持ちになるのではないでしょうか?
そのため、こうした調停委員にあなたの現状や言い分を少しでも把握・理解してもらい、調停委員が提示する調停案に反映してもらうためのツールが「陳述書」というわけです。
離婚調停で使う陳述書を書くにあたって準備するもの
では、離婚調停における陳述書を書くにあたって準備するものについてご紹介してまいります。
書式
離婚調停の申立て時に用いる「申立書」と異なり決まった書式はありません。
パソコンで書く場合はワード等に、手書きで書く場合は任意の紙に書けば足ります。
もっとも、ビジネスや公的機関へ書類を提出する場合はA4サイズを使用することが多いため、A4サイズを用いた方が見た目としてはよいと考えます。
パソコン(手書きの方はボールペン)
陳述書は手書きで書いても構いませんが、できればパソコンで書きましょう。
手書きで書く場合はボールペンを用いる必要がありますが、訂正・修正が必要となった場合に、訂正・修正のしやすさや見た目、調停委員に与える印象という観点からどうしてもパソコンの方が有利です。
文字のフォント(大きさ)は10.5ポイントから12ポイントまでとしましょう。
印鑑
陳述書の最後に氏名を書き、氏名の横に印鑑を押印する必要があります。
シャチハタは避け、最低限、実印を使いましょう。
離婚調停で使う陳述書の書き方と例文
では、実際の陳述書の書き方について解説してまいります。
陳述書に書くべき内容と例文
陳述書に書くべき内容は、基本的に、申立書と同時に提出する「事情説明書(※)」に記載できなかったこと、になります。
事情説明書に記載できた内容をあらためて陳述書に書く必要はありません。
具体的には以下の内容ですが、必ず以下の内容のものを書かなければならないというわけではありません。
最終的にはあなたの事情に応じて、取捨選択して書いていきましょう。
※事情説明書
離婚調停申立て時に「申立書」とともに家庭裁判所へ提出する書類。陳述書と異なり書式が決まっており、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。家族構成、夫婦(申立人、相手方)の資産状況、生活費等に関する情報を記載します。
①表題
例 陳述書
②宛名
例 家庭裁判所 御中
③作成年月日
例 令和〇年〇月〇日
④結婚までのいきさつ(交際歴、婚姻日等)
例
・私と夫は職場の元同僚で、夫の申出から交際が始まり、交際期間約3年を経て、平成〇〇年〇月〇日に婚姻届を提出しました。
⑤子どもの出生について
例
・平成〇〇年〇月〇日に長男を、令和〇年〇月〇日に長女を出産しました。
⑥婚姻生活に問題が生じるまでの経緯
例
・私は、長男の出産を機に仕事を辞め専業主婦となり、家事や育児に専念するようになりました。
・夫は、結婚当初や長男が生まれてから1年ほどは、仕事から帰宅して家事・育児を手伝ってくれていました。
・しかし、徐々に夫の帰宅時間が遅くなり、平成〇〇年〇月頃からは、家事や育児はすべて私任せとなっていきました。
・私は、夫に、仕事終わりにどこで何をしているのか尋ねたこともありましたが、夫からは「残業や会社の付き合いで遅くなっている。」などと言われました。
・私は、少し不安になったため、元同僚に夫の仕事終わりについて尋ねてみたところ、「夫は残業などしていない。」、「仕事後、夫がどこで何をしているのか分からない。」ということでした。
⑦離婚を決意する(離婚調停を申立てる)に至った出来事、事件
例
・私は、ますます夫の仕事の後の行動を怪しく思い調べたところ、次のことが判明しました。
・平成〇〇年〇月〇日午後〇〇時〇〇分頃、夫と〇〇(不倫相手)が、〇〇(住所)のラブホテルへ立ち入り、その〇時間後に、同ホテルから出てきたこと
・平成〇〇年〇月〇日午後〇〇時〇〇分頃、夫が、〇〇(住所)にある〇〇(不倫相手)の自宅へ立ち入り、その〇時間後に、同所から出てきたこと
・私は、不貞行為の事実等を夫に問い詰めましたが、夫はしらを切るだけで私の気持ちにより沿ってくれることはしませんでした。
・その後も、夫の生活態度は変わらず、それどころかますます帰宅時間が遅くなる頻度は増え一方で、夫婦の溝が埋まることはありませんでした。
・そのため、私は、夫と婚姻生活を築いていくことはもはや不可能と判断し、離婚調停を申立てるに至りました。
⑧離婚条件に関する希望
例
・親権は私が持つ代わりに、夫の面会交流は認めます。
・財産分与として夫名義の車を譲り受けます。車のローン残債(〇〇円)は離婚前に夫が完済した上で、車の名義を私に移すことを求めます。
・養育費は子ども一人につき最低4万円を請求します。
・慰謝料は150万円を請求します。
陳述書を書く際の注意点(内容面)
陳述書を書く際の形式上の注意点は、前述のとおり、
- パソコンで書く
- A4用紙を使う
- 文字のフォント(大きさ)は10.5ポイント~12ポイントまで
という点です。
以下では、陳述書を書く際の内容上の注意点について解説してまいります。
客観的「事実」を書く
客観的事実とは実際に起きた事実(出来事)のことです。
たとえば、前述した「陳述書に書くべき内容」の「⑦離婚を決意する(離婚調停を申立てる)に至った出来事、事件」をご覧ください。
ここでは、あなたの感情(怒り、悲しみ、失望等)を抜きにして、実際に起きた事実(調査したて分かった事実)のみを記載しています。
当然、他の項目でも同じことがいえます。
事実は項目(主題)ごとに書く
事実を書き始める前に、今から何のことについて書くのか、つまり項目(主題)を付けると文書にメリハリをつけれて分かりやすくなります。
どんな項目が適当かは「陳述書に書くべき内容」の①から⑧にお示ししました。
文書を書く際は、項目から内容が大きく外れないよう注意しましょう。
事実は時系列に沿って書く
事実は古い順から書いていきます。
もっとも、前述の①から⑧については、交際から離婚を決意するに至った経緯まで、自然と時系列に沿って書くようになっています。
後は各項目の中で各文書について時系列に沿って書いていきましょう。
可能な限り一文は短く
一文は一行、長くても二行以内に収めることが理想です。
また、主語と述語がきちんと対応しているのか常に意識しながら書いてみるとよいです。
そうすると、自然と一文が短くなっていきます。
一文を短くすることで文書にリズムが生まれ読み安い陳述書に仕上がります。
なお、文書を書くことが苦手な方は、箇条書きしてもかまいません。
嘘は書かない
当然のことですが、嘘を書いてはいけません。
離婚調停を申立てるくらいですから感情的になっていることは分かります。ご自身に非がない場合はなおさらでしょう。
しかし、だからとって嘘を書いてよいということにはつながりません。
また、たとえあなたが嘘ではないと思っていたとしても、相手方から嘘だ(事実とは異なる)と反論される可能性もあります。
したがって、事実を記載する場合は、あらかじめ事実を裏付ける証拠を確保し、その証拠に基づいて記載することが大切です。
まとめ
調停委員にあなたの言い分を的確かつ効果的に伝えるためには、感情を抜きにして、何が起きたのかとういう「事実(出来事)」を伝えることがまずは重要です。
これまでの解説をご覧になっても、「やっぱり書けない」という方は、一度、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか?
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