このようにお考えではないでしょうか。
離婚調停とは、離婚に関する様々な問題について夫婦だけでは話がまとまらない場合に、家庭裁判所で話し合いをすることです。あくまでも「話し合い」ですので、勝ち負けは存在せず、話し合いが合意に至らなければ調停不成立となります。
もっとも、令和2年度の司法統計によると、離婚調停が成立する割合は約半数であり、調停委員を交えた話し合いで何らかの決着がついていることになります。とすれば、夫婦の一方が自身に有利な条件で調停を成立させることができた場合には「勝ち」ということができるでしょう。
そこでこの記事では、離婚問題に強い弁護士が、離婚調停で勝つためのポイントについて徹底解説していきたいと思います。
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目次
離婚調停で勝つためのポイント
離婚調停で勝つためのポイントは次のとおりです。
①自分の主張を明確にし、整理しておく
まず、あなたが離婚調停で何を実現したいと思っているのか、相手に何を求めたいのか、相手に何をして欲しいと思っているのか、自分の主張を明確にし、整理しておくことです。
一度離婚調停を申し立てると離婚することを前提で手続きが進められていきますし、相手にもあなたが離婚を希望しているメッセージが伝わります。後戻りはできないと考えておいた方がいいでしょう。そこで、まずは、そもそも本当に離婚したいと思っているのか、離婚することで後悔はないのか今一度自分自身に問いかけ、離婚意思が固いことを確認しておく必要があります。
離婚意思が固いことが確認できたら、次は、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などの離婚条件に関する希望について考えましょう。親権を希望するのであれば、養育費の金額のほか、いつからいつまで受け取りたいのか、毎月の支払期限をいつまでとするか、面会交流は実施するのか、実施するのであればどのようなルールで実施するのか、あなたの希望を考えておきましょう。
②自分の主張を裏付ける証拠を集めておく
自分の主張を明確にし、整理できたら、主張を裏付ける証拠を集めておきましょう。
相手の不貞などの有責行為を理由に離婚を望んでいるのであれば、以下のような相手の有責行為を裏付ける証拠を集めておく必要があります。
【不貞行為】
- ラブホテルを出入りする場面を撮影した動画・写真、
- 不貞を認める内容を記録した念書、誓約書、示談書
- 不貞を認める発言を記録した音声データ
- 不貞をうかがわせる内容のLINE・メール など
【悪意の遺棄】
- 家事放棄、育児放棄がわかる動画・写真
- 源泉徴収票、給与明細書、預金通帳、クレジットカードの利用明細 など
【DV、モラハラ】
- 診断書
- 被害状況がわかる動画・写真
- 警察等の相談機関に相談したときに作成された相談記録
- 目撃者(子どもなど)の証言 など
また、以下のような親権などの離婚条件に関する証拠も集めておく必要があります。
【親権】
- 母子手帳
- 保育園、幼稚園、学校の連絡帳
- 子どもとの触れ合いがわかる動画、写真 など
【養育費】
- 源泉徴収票
- 確定申告書 など
【財産分与】
- 預金通帳の写し
- 残高証明書
- 生命保険、学資保険の解約返戻金証明書
- 不動産の売買契約書
- 登記事項証明書
- 固定資産評価証明書 など
【年金分割】
- 年金証書
- 年金情報通知書 など
証拠と聞くと「裁判で必要なもの」と思われがちですが、必要となるのは裁判だけに限られません。もし、協議や調停のときに証拠がなければ説得力のある主張をすることができず、相手の反論を許してしまい、結果、話がまとまらなかったり、話し合いが長引いて離婚までに時間がかかってしまう可能性があります。
相手の反論を許さず、話し合いを短期間に、スムーズに終わらせるためには証拠による裏付けのある主張をしていく必要があります。
③相手の主張を予想し、争点を明確化してみる
証拠集めと同時に、相手の主張を予想し、離婚調停においてどの点が争点となり得るのか明確化しておきましょう。
相手があなたの主張をすべて飲んでくれることに越したことはありませんが、多くの場合そうはいきません。相手には相手の主張・言い分があって、あなたの主張と食違うところが往々にして出てきます。
離婚調停は裁判と異なり、話し合いによって合意を目指す場ですから、すべて自分の主張を突き通すというわけにはいきません。あくまで離婚調停での離婚を目指すのであれば、ある点についてはあなたの主張を突き通す一方で、他の点については譲歩しなければならない場合も出てくるでしょう。
そのため、以下のような表を作って、どの点が相手と合意でき(争点化せず)、どの点が合意できないのか(争点化するのか)あらかじめ予測し、譲歩できない点と譲歩できる点を明確化しておくことが大切です。
自分 | 相手 | 争点 | |
離婚 | 同意 | 同意 | なし |
親権 | 自分にあり | 同意 | なし |
養育費 | 子ども一人につき毎月4万円 | 子ども一人につき毎月2万円 | 養育費の金額 |
面会交流 | 月1回 宿泊認めない | 月2回 長期休暇で宿泊 | 頻度 宿泊の可否 |
財産分与 | なし | なし | なし |
慰謝料 | 一括で100万円 | 支払義務なし | 支払義務 |
年金分割 | 請求しない | 同意 | なし |
なお、実際の相手の主張は、離婚調停を申し立てた後に相手が裁判所に出す答弁書を見たり、離婚調停での相手の主張を聞いたりして確認し、あなたの予想と異なる場合は、適宜、上記の表を修正していくことになります。
④陳述書を提出する
離婚調停で勝つためには、夫婦関係等調整調停申立書と一緒に陳述書を出すことも考えられます。
陳述書とはあなたの主張をまとめた書面です。陳述書を作る過程で、あなたの主張を整理することができます。また、あらかじめ家庭裁判所に提出しておくことで、調停委員が事前にあなたの主張を把握することができますので、調停委員と綿密な意思疎通を図ることができ、結果として、あなたの希望に沿った調停案を提案してくれる可能性があります。
陳述書に何を書くか決まりはありませんが、離婚を決意するに至った経緯、離婚協議の状況、経済状況、健康状態、子どものこと、あなたの希望、主張などを書きます。書き方に決まりはありませんが、経緯については時系列に沿って書いた方がわかりやすいです。その他についても、感情を入れず、簡潔に書くことを心がけます。相手に対する批判、悪口、愚痴を書くと調停委員にマイナスのイメージをもたれてしまいますので書いてはいけません。
⑤調停委員にいい印象をもってもらう、味方につける
次に、離婚調停が始まったら調停委員にいい印象をもってもらう、味方になってもらうために離婚調停での言動には細心の注意を心がけましょう。
確かに、調停委員の役割は公平、中立な立場から話をまとめることにあり、夫婦どちらか一方の味方になってくれるわけではありませんが、あまりに悪い印象を与えてしまうと自然と他方の味方になって話をまとめたくなるものです。
調停委員にいい印象をもってもらうには、外見、すなわち服装や装飾品にも気をつける必要があります。離婚調停での服装に決まりはありませんが、社会常識の範囲内の落ち着いた服装とした方が無難です。相手とお金に関することについてもめそうなときは、派手な服装やブランドものの装飾品を身につけることは避けましょう。
離婚調停を有利に運ぶための服装や持ち物は?チェックリスト付きで解説
⑥調停では自分の主張の基礎となる「事実」を指摘する
次に、調停委員に自分の主張を理解してもらうには、自分の主張の基礎となる事実を、これまで集めてきた証拠を使いながら指摘していくことが求められます。
たとえば、相手と親権をめぐって争いとなり、親権を主張するのであれば、これまでの監護実績を主張していく必要があります。ここで単に「私には監護実績は十分あります」と主張するだけでは調停委員に何も通じません。なぜ監護実績が十分といえるのか、その主張の基礎となる事実(別居期間中は子どもと暮らしていた、子どもの園・学校、習い事への送迎、料理、お風呂入れなどはすべて自分がやっていた、など)を証拠を使いながら指摘していく必要があります。そこで、はじめて「あなたには監護実績が十分=親権をもたせた方がいい」という判断になります。
⑦相手が主張する事実と自分が主張する事実の違いを整理する
離婚調停では相手の主張にも耳を傾けます。相手が自分の主張を一歩も引かない姿勢を示しているときは、相手の主張の基礎となる事実の指摘が十分か見極め、不十分であれば主張の根拠となる事実や証拠の提示を求めましょう。相手が十分な事実や証拠を提示できない場合は、この時点であなたが有利となります。
一方で、全部が全部、相手と主張や事実が違うわけではありません。どこが同じでどこが違うのか整理し、同じ部分はその事実はあったものとして話を進め、違う部分はあらたに証拠を提出するなどして自分の主張により説得力をもたせていく必要があります。
⑧代案を提案してみる
離婚調停が終盤にさしかかってくると、調停委員から調停案を提示されます。
調停案の中にはあなたの主張や希望が反映されている箇所もあれば反映されていない箇所もあります。先ほども述べましたとおり、離婚調停はあくまで話し合いで合意形成を目指す場ですから、相手の主張や希望も反映した調停案となっていても致し方ない場合もあります。
ここで調停案に納得できないからといって不快感を示し、感情的な対応を示してはいけません。離婚調停ではあなたがどんな人か、人となりも見られています。
どうしても調停案を受け入れることができない場合は拒否してもかまいませんが、調停委員に代替案を提示してみるのも一つの方法です。この際、「この案であれば受け入れることができる」と、あなたの最終的な結論を述べて代替案を出すと、調停委員が再度調停案を検討してくれ、合意に至りやすくなります。
離婚調停で勝つためには弁護士への依頼も検討
離婚調停は自分で進めていくことも不可能ではありませんが、勝つためには弁護士に依頼した方がよいでしょう。
離婚調停で勝つには自分の主張を整理した上で、離婚調停において的確に主張する必要があることはすでに述べたとおりですが、弁護士に依頼すれば弁護士が代わりに行ってくれます。
離婚調停の経験のある弁護士であれば、あなたから話を聞き、あなたの主張をくみ取り整理した上で、調停委員にわかってもらえるように的確に主張してくれます。
また、弁護士に離婚調停の依頼をすることで、勝つために必要な証拠やその集め方についてもサポートしてくれますし、論理的で説得力のある主張書面を作成し提出をしてくれます。
離婚調停を弁護士に任せるかどうか迷っている方は、離婚調停の費用相場は?弁護士に依頼するメリットを解説も合わせて読んでみてください。
当事務所では、離婚調停の経験豊富な弁護士が在籍しており実績があります。親身誠実に、依頼者にとって有利な条件を獲得できるよう弁護士が全力を尽くします。離婚調停で勝利するために弁護士への依頼をご検討中の方は当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。お力になれると思います。
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