離婚協議書の全部または一部が無効になる場合は?弁護士が解説
一度作成した離婚協議書が無効になることはあるのだろうか?

このような疑問を抱えていませんか?

結論から言いますと、離婚協議書の全部または一部が無効になることはあります

では、どのような場合に無効になるのか、離婚問題に強い弁護士が解説していきます。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください

離婚協議書の全部が無効になる場合は?

離婚協議書はいわば離婚にあたっての「契約書」です。そのため、例えば「離婚協議書の内容が自分にとって不利な条件の内容であった」といった自己都合の理由では無効になることはありません。

ただし、以下のケースでは、離婚協議書はすべてが無効になると考えられています。

協議離婚自体が無効な場合

協議離婚が成立するには、協議離婚届の提出(形式的要件)のほか、夫婦の離婚意思の合致(実質的要件)が必要とされています。したがって、夫婦の一方が離婚に合意していない中で離婚届が提出されてもその協議離婚は無効となります

それでは、協議離婚届出書作成時には夫婦双方が離婚意思を有していたものの、協議離婚届提出前に一方が離婚意思を無くした場合はどうでしょうか。これは「離婚意思」はどの時点で存在している必要があるのか、という離婚意思の存在時期の問題です。

これについて通説的な見解は、離婚意思は原則として「離婚届提出時」に存在していなければならないとしています。判例においても協議離婚届出書を作成した一方の当事者が届け出を相手方に委託した後、協議離婚を翻意(離婚意思を失うこと)した事案について以下のように判示しています。

「相手方によって届け出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する翻意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない」(最高裁昭和34年8月7日判決)

したがって、上記のように「離婚届の提出前に離婚することに翻意した場合」には協議離婚自体が無効であり、既に作成済みの離婚協議書も無効となると考えられます

詐欺・強迫による協議離婚の取り消し

詐欺または脅迫による婚姻の取り消しの規定は、協議上の離婚についても準用されています(民法第764条、747条参照)。

そのため、詐欺または強迫によって協議上の離婚をした者は、その協議上の離婚の取り消しを家庭裁判所に請求することができます。詐欺や強迫を夫婦の一方から受けた場合のみならず、第三者から受けた場合にも取り消しを求めることができます。

協議上の離婚自体が取り消された場合には、既に作成済みの離婚協議書も効力を生じない(つまり、無効)と考えられます

離婚協議書の一部が無効になる場合は?

以下に解説する事項については当事者で合意したとしても効力が生じません。

養育費の請求を放棄する条項

父母の間で養育費の請求を放棄する旨の合意を離婚協議書に記載したとしても無効です

養育費とは子どもが経済的・社会的に自立するまでに監護や教育のために必要となる費用(生活費・学費・医療費など)のことをいいます。

そして親は離婚後も子どもに対してこの養育費を支払う義務があると同時に、子ども自身も親に対して養育費を請求する権利を持っているため、親が勝手に子どもの権利を放棄することはできません。そのため養育費の請求を放棄する条項を設けたとしても子どもとの関係でこの条項が効力を有することにはならないのです。

面会交流権を放棄する条項

別居した親の面会交流権を放棄することを離婚協議書内で約束したとしても無効です

面会交流権とは父母が離婚した場合において子を監護していない親(非監護親)が子どもと直接・間接に会って交流することをいいます。

この面会交流は、「子どもの利益」を最優先して決められ(民法第766条1項参照)、子どもの権利であると考えられていますので、非監護親が勝手に放棄したとしても無効です。

離婚後は親権者の変更を申し立てないという条項

離婚後に親権者の変更を申し立てないという約束を離婚協議書内でしたとしてもそのような合意は無効です

親権者の変更については「子の利益のため必要があると認めるとき」家庭裁判所が裁判により変更することができます。そして請求権者として「子の親族」が規定されていますので(民法第819条6項参照)、子どもや父母以外の親族を無視した上記のような合意は効力を有しません

離婚後は婚姻時の氏を使用しないという条項

離婚後は婚姻時の氏(姓・名字)を使用しないという約束を離婚協議書内でしたとしてもそのような合意は無効です

夫婦が離婚した場合、妻は夫の戸籍から外れ婚姻前の戸籍に戻るか、新しく妻自身を筆頭者とした戸籍をつくることになります。

そのため原則として妻は旧姓に戻ります(これを「復氏」といいます)が、婚姻時の夫の姓を継続して使用する手続き(これを「婚氏続称」といいます)をとることもできます(民法第767条1項2項参照)。

婚氏続称の手続は夫または妻が、離婚後3カ月以内に単独で届け出ることができ、自由に手続をして戸籍法に基づき婚姻時の姓を名乗ることができます。したがって、法で認められた婚氏続称を禁止するような合意は無効となります

離婚慰謝料の遅延損害金の法定利率を違法金利で合意する条項

離婚慰謝料の支払いが遅延した場合に法定利率を超える違法金利で遅延損害金を支払う旨の約束を離婚協議書内でしたとしてもそのような合意は無効です

これまでは遅延損害金の法定利率は年5%でしたが、令和2年4月1日から民法が改正され、離婚慰謝料について遅延損害金の法定利率は年3%になりました(民法第404条2項参照)。

そのため民法所定の法定利率を超える内容で当事者間で合意をしても、無効となります。

まとめ

  • 協議離婚自体が無効である
  • 詐欺・強迫による協議離婚の取り消しがされた
  • 離婚協議書に無効な条項を設けた

これらの場合には、離婚協議書の全部または一部が無効となります。

離婚後のトラブル回避のために作成するはずの離婚協議書が、その作成後の事情の変化により逆に悩みの種になることもあります。

離婚問題を一人で解決するのが難しい、精神的に疲れ切ってしまった、という方は弁護士を頼りましょう。煩雑な手続きや相手配偶者とのやり取りや交渉も弁護士になら一任することができます。

弊所は離婚問題の解決を得意としており実績もあります。親身誠実に、弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が新しい人生への第一歩となります。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください
離婚問題の悩みは弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による離婚問題の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

ご相談のみで問題が解決する方も多くおられますので、誰でも気軽に相談できる法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。