
この記事をご覧の方は、「養育費を支払ってもらえないで困っている」、「弁護士に依頼したいけど、弁護士費用がいくらかかるか不安」という方が多いのではないでしょうか?
本記事では、養育費の請求と回収の場面に分け、それぞれのケースにおける弁護士費用について詳しく解説します。
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目次
①養育費の請求を弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用の内訳
養育費の請求を弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用の内訳は、大きく「法律相談料」、「着手金」、「報酬金」、「日当費」、「実費」に分けることができます。
※【 】内は弁護士費用の相場を示しています。
法律相談料【無料or5,000円~】
法律相談料は、始めて弁護士と法律相談をした場合にかかる費用のことです。
法律事務所に養育費の請求を依頼したいと申し込んでも、いきなりその依頼を引き受けてくれるわけではありません。
まずは、弁護士に現在か抱えている問題点、悩みなどを話し、弁護士からアドバイスや弁護士費用に関する説明を受け、その上で弁護士に依頼するかどうか決めるための手続きが初回の法律相談です。
無料の場合は1回限り、30分などと時間制限が設けられている場合が多いです。
有料の場合は5,000円~が相場といえます。
着手金【15万円~】
着手金は、弁護士に養育費の請求を依頼した直後、つまり、弁護士(法律事務所)と委任契約を締結した直後に発生する費用です。
満足のいく養育費を請求できたか否か、弁護活動の成果が得られたか否かにかかわらず、一度支払った着手金は返金されません。
また、着手金という名のとおり、基本的に着手金を支払わないと、弁護士は弁護活動を始めてくれません。
着手金は一括で支払うことが原則ですが、分割の支払い可能な法律事務所もあります。
一度、相談してみましょう。
報酬金【20万円+獲得した(減額した)慰謝料の10~30%】
報酬金は、弁護活動による成果に応じて発生する費用です。
基本的に、基礎報酬金と追加報酬金の2階建てとなっている場合が多いです。
基礎報酬金は「20万円」などと固定されています。
他方で、養育費の追加報酬金は獲得した養育費(経済的利益)の5年分の10%(養育費請求する場合)、あるいは減額した養育費(経済的利益)の5年分の10%とされていることが多いです。
養育費は、子供の年齢によっては、数十年に渡って相手方に請求しなければならない場合もあります。
その場合、そのすべての養育費を算定の対象とされると追加報酬金があまりにも高くなりすぎるおそれがあります。
したがって、「5年分」などという限定を設けて調整が図られています。
日当費【弁護活動の内容によります】
日当費は、弁護士が法律事務所外で弁護活動を行った際に発生する費用です。
養育費の請求に関していえば、相手方との養育費に関する交渉を事務所外で行う際に日当費が発生する可能性があります。
また、交渉で話がまとまらず、調停、訴訟へと手続きが進んだ場合に、弁護士が裁判所へ出廷する際に日当費が発生します。
通常、「裁判所への出廷1回につき3万円」などと固定の金額を設定されていることが多く、活動の回数が増えれば増えるほど金額は高くなります。
報酬金と同様、日当費は契約時には予測できない金額で、弁護士の弁護活動によっては高くなる可能性があることは頭に入れておくべきです。
実費
実費とは、その名のとおり、弁護活動によって実際にかかった費用のことです。
たとえば、養育費を確実に支払ってもらうため、離婚協議書を強制執行認諾付き公正証書という公文書にすることがあります。
その場合は作成費用、事務手数料が発生します。
その他、相手方に書面を送る際にかかる郵送費、弁護士が裁判所へ出廷する際にかかる交通費などがあります。
交通費については、法律事務所から裁判所までの距離が遠ければ遠いほど高くなります。
少しでも弁護士費用を節約したいという方は、裁判所から近い法律事務所に所属する弁護士を選ぶことも一つの方法です。
②未払いの養育費を回収するための法的手段と弁護士費用
①では、これから相手方に養育費を請求する際の弁護士費用について解説しました。
②では、相手方が養育費を支払ってくれない場合の手段と弁護士費用について解説します。
なお、養育費が未払いとなった場合に備えるための有効な手段は、(ア)離婚協議書の強制執行認諾付き公正証書化、(イ)調停離婚(調停調書の取得)、(ウ)裁判離婚(判決謄本、和解調書の取得))です。
なぜなら、(ア)、(イ)、(ウ)の書面は、その書面自体に、直接強制、間接強制を行える強制力が付与されます。
履行勧告
履行勧告とは、家庭裁判所から養育費の支払い義務がある相手方に対して「約束通り養育費を支払いなさい。」と勧告してもらうことです。
家庭裁判所に履行勧告してもらうためには、家庭裁判所に備え付けられてある「申出書」に必要事項を記入し、「申出書」に「調停調書、判決謄本、和解調書のいずれかのコピー」、可能であれば、「相手方が養育費の支払っていなかったことがわかる資料(預金通帳など)のコピー」を添付して家庭裁判所に提出します。
履行勧告は、個人で行う請求よりかは効果があって相手方が養育費を支払ってくれることが一定程度期待できます。
もっとも、履行勧告には強制力がありません。
つまり、仮に、相手方が履行勧告に従わなかった場合でも、それ以上、相手方の財産を差し押さえるなどの手立てを打つことはできません。
また、履行勧告の申立てができるのは、裁判手続き(調停、判決、和解)によって養育費の支払いを取り決めた場合です。
つまり、協議離婚で強制執行認諾付き公正証書を作成しても、それを基に履行勧告の申立てを行うことはできません。
直接強制
直接強制とは、要は、養育費の支払い義務がある相手方の財産を差し押さえることです。
財産を差し押さえるには、債務名義がある書面を取得しておくことが大前提です。
債務名義がある書面とは、「相手方の財産を差し押さえてもよいですよ」というお墨付きのある書面のことで、強制執行認諾付き公正証書、調停調書、判決謄本、和解調書などがこれに当たります。
その上で、原則として、相手方の住所を管轄する地方裁判所に対して申立てを行う必要があります。
申立てをするには、申立書のほか送達証明書(債務名義が相手方に送達されていることの証明書)などの書類が必要です。
さらに、相手方が今、どこに、どんな財産を有しているのか調べて特定する必要もあります。
この際、相手方を裁判所に呼び出して財産を開示させる「財産開示手続」と裁判所を通じて第三者(銀行等、法務局、市区町村など)から相手方の財産に関する情報を取得することができる「第三者からの情報取得手続」を利用することもできます。
直接強制は、相手方の財産をそのまま養育費の支払いに充てることができる点で、最も強力な手段といえます。
また、一度、手続きを取ると、相手方が折れて任意に養育費を払ってくれることも期待できるでしょう。
しかし、効果が大きい分、やるべきことが多く、手続きも複雑ですし、費用もかかります。
また、相手方から回収できる財産がなく、今後もその見込みがない場合は直接強制しても意味はありません。
その意味でも、相手方の財産調査は大切な手続きといえます。
間接強制
間接強制とは、養育費の支払い義務がある相手方が、裁判所が命じた一定期間内に養育費を支払わない場合に、「養育費の支払いが1日遅れるごとに、1日につき●●円(間接強制金)を支払え。」といった形で、お金の支払いを命じるものです。
間接強制を申立てるには、申出書に記入の上、申出書に執行力のある債務名義の書面、送達証明書などを添付して、家庭裁判所に提出します。
間接強制は直接強制と異なり、相手方の財産を差し押さえて、そこから養育費を回収するというものではありません。
間接強制は、あくまで「間接強制金」という威力を背景に相手方に心理的プレッシャーを与え、それによって相手方に自発的な養育費の支払いを促す、というものです。
したがって、相手方が自発的に養育費を支払わない場合は、やはり間接強制とは別に直接強制を申立てる必要があります。
また、相手方に支払い能力がなく養育費を支払うことができない場合、養育費を支払うことで生活が極端に苦しくなる場合は、間接強制が出されないこともあります。
弁護士費用
弁護士費用の内訳は「着手金」、「報酬金」、「日当費」、「実費」に分類されます。
内訳の内容は、各法律事務所で異なります。
たとえば、発生するのは報酬金、実費のみとし(着手金なし)、かつ、毎月支払いを受ける養育費(最長で5年分)の3割を弁護士報酬とする法律事務所もあります。
他方で、5万円から10万円の着手金を設定するかわりに、報酬金を低めに設定する(養育費の1話程度)法律事務所など様々です。
③養育費の請求や回収手段を弁護士に依頼するメリット
請求の面では、相手方と直接、やり取りをする必要がないという点です。
離婚する相手、あるいは離婚した相手と養育費をめぐって直接交渉することは心理的にも大きな負担です。
感情的になってなかなか話がまとまらない場合も多いでしょう。
回収の面では、複雑な手続きを弁護士に任せることができるという点です。
前述のとおり、特に直接強制ではやるべきことが多く、初めての方にとっては何から手をつけ、どう手続きを進めていけばよいかわからないというのが正直なところだと考えます。
まとめ
養育費は、お子様やご自身の生活にとって大切なお金です。月々の額は少額でも積み重なれば、大きな金額となります。養育費を支払われてない方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
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